学校で水泳がある日に男子はよく水着をズボンの下に穿いてくる、でも女子はあまりそうしない。



なぜかと言えば、トイレが面倒くさいから。



制服の下にスクール水着を着てる時におしっこしたくなると、全部脱がないといけない。



学校に行ってすぐプールだったらいいけど、そうじゃなければトイレが大変です。






そんな事は十分に分かってたのに・・・。






ある朝、寝ぼけた頭でなんとなく、今日の水泳は午前中だからと思って、水着装着で登校した。






これが間違い。



HRが終わる頃には皆さんの予想通り私はおしっこがしたくなった。






(どうするどうする?どうしますか?)






今は我慢するべきか、すぐトイレに行って脱ぎ脱ぎするべきか。






(よし我慢する!)






そう決めた途端に尿意が最高潮に達するのは、マーフィーの法則だったか。






もう授業が始まるのに、結局トイレに走った。





しかも混んでるトイレがイヤで、ちょっと離れたトイレに。






(やばいやばい、漏れそう!)と思いながら、ネクタイを外し・・・。



(授業に間に合わない~)と焦りながら、ちまちまとブラウスのボタンを外し・・・。






スカートも脱いでタンクの上に無造作に置いて・・・。






「ああもうああもう!」と呟きながら体をくねらせて、水着を胸の下まで下ろす。






と、ここまで来て私は、股の部分をぐいっとずらすという、聞いた事はあるけど、やった事はない方法を思い出した。



水着を膝まで下ろすのと股をずらすのとどっちが早いか、この時点では大して差がないと思う。



でもとにかく焦ってた私は、布地とあそこの間ににょーっと、指2本を挿し込んだ。



(念のため言うけど、膣に指を入れたという表現じゃないです)






これも間違いだった。



あそこを触った刺激のせいか何なのか、私の脳から勝手に放尿許可信号が送られたらしく、ぴろっと水着を濡らしてしまった。






(あっまだダメですにょ~!)と思ったけど、この後はもう止まらなかった。






そこで私は開き直っちゃった。



結局、あそこ隠してチチ隠さずという、放尿には全く無意味なバカな格好で、しゃがんだ状態で全部出した。






「はああぁぁ~」という深い溜め息は、すっきりしたからじゃなかった。



水着のお尻までじわーじわーと、温かいおしっこが染めていくのを実感してた。



絶望とはこの事を言うんだなと思った。






水着はもう脱ぐしかなかった。



水着を脱いで、“全裸にソックスと上履きだけ”という格好になった時、これはいやらしいと思った。



高校生にもなって、変態が喜びそうなカッコを学校でしている自分が悲しいのに、妙に怪しい気分になってる。






でも、今の私は何かに目覚めてる場合じゃないです。



ブラとパンツはここには無い、教室のバッグの中だ。



仕方がないからノーパンノーブラのまま制服を着る。



ノーパンもやばいけど、スカートが捲れなければバレない、でもノーブラは真剣にやばい。



ポケットを探ると運よく絆創膏が一枚。



上手く千切れば両方の乳首に貼れる!と思ったのも束の間、慌てて引っ張ってる内にくしゃくしゃにしてしまった。



片方の乳首にすら貼れなくなった。






もう授業が始まっている。



教室に今戻ったら、たぶん皆が注目する中で、教室の真ん中辺りの自分の席まで歩く事になる。



ノーブラのまま、そんな事出来ない。



水着を水洗いして用具入れに隠した後、結局私は一時限目をそのままトイレで過ごした。






休み時間になって、こっそり教室に行ってバッグを取って、トイレでブラとパンツを着ける。



そうしたかったのに、教室に戻る前に、廊下で男子(A)に呼び止められた。






「W(私)、サボッてたの?どうかしたのか?」






私はそれまで無断で欠席した事がなかった。



先生が「Wはどうした、休みか」と言って、生徒達も「あれ?Wがいない」と、ちょっとザワワな空気になったらしい事も知った。






理由は体調不良とかで誤魔化せるけど、今教室に戻ったらノーパンノーブラ状態で皆に囲まれそうな気がする。



呼び止めたのがAじゃなかったら、せめて女子だったら事情を話せたかもしれない。



なのによりによって男子。



そしてAは、私の胸を、乳首を見ていた!ような気がした。






もうダメだ、私は教室と逆の方向に逃げた。



ノーパンだから大胆に走れない。



小走りで、とにかく逃げた。



すれ違う人がノーブラに気付かないように、ブラウスをぎゅっと掴んで浮かせながら走った。



階段の一番上まで行った。



屋上に出る前の踊り場で、教室に戻るチャンスが来るまで隠れていようと思った。



なのにAが追ってきた。



なぜトイレに逃げなかったんだと後悔・・・。






「W!何だよ!何で逃げたの!?」






Aが追いついた時、私は座り込んでさめざめと泣いていた。



たぶんノーブラはバレてる。



何か変な事されるかもしれない。



階段の下から追いかけられたから、ひょっとしたらノーパンもバレた?



そう思ったら怖くて恥ずかしくてしょうがなかった。



私は両手で胸を隠すようにして背中を丸めた。



その怯えた様子を見てAは、勝手に何かピンと来たようだった。






「お前いじめられてんの?誰かに何かされたの?大丈夫??」






何かされたんじゃなくて、されるかもと思って怯えてるんだけど、私がいじめかレイプまがいの被害に遭って挙動不審になってるように、Aには見えたらしい。



そして、ノーブラもノーパンもバレてなくて、Aが本気で心配してくれてるのも分かった。



ほんの少しだけホッとしたら、また涙が零れてきた。






「あっあのさ、本当にどうしたんだよ・・・何かあったの?」






「違うそんなんじゃない。お願い、誰にも言わないで、私のバッグ持って来て・・・」






オロオロしてるAにそう言うと、Aは黙って頷き、引き返してくれた。



普段特に親しくしてない彼を信用していいのか、誰かを呼んで来ちゃうんじゃないか、また不安になって私は泣いた。



でもAは1人で走って戻って来てくれた。



安心してまた泣いた。






「あっあっありがっおえ」






お礼も言えないくらい嗚咽した。



いつの間にかAももらい泣きしてて、もらい泣きの相互連鎖が始まった。



始業のベルが鳴ったので、私はもう1回サボッてしまったからもういいや!って思ってたけど、Aには「もう行っていいよ」と言った。






ところがAの中では変なヒーロースイッチが入ったようだった。






「ほっ、ほっとけない!俺が一緒に、いっ・・・いてあげるから!」






・・・あなたがいると私、着替えられないんですが。






トイレに着替えに行くにしても、Aが居なくなるまではノーパンノーブラで立ち上がる動きをしたくない。



助けてくれた人を邪険には出来ないし、私はどうしたらいいか分からなかった。






するとAが突然言った。






「俺、Wが好きで!えっと・・・」






うわ、うわーと思った。






私の恋愛経験は中学時代、人気者の先輩に言い寄って、2回ほどイヤイヤグループデートしてもらったくらいだった。



脈がないと分かったら急に熱が冷めて、それ以降は特に男に恋焦がれた事はなかった。



でも一度は男子から告白されてみたいっていう憧れは、普通の女子として普通にあった。



もちろん相手によるけど、Aなら問題ない、ってかどっちかって言うと嬉しい。



でもそれは、ブラジャーとパンツを普通に身に着けてればの話。






こんな状況で突然人生初告られとか、非常にリアクションに困る。






でもAからすれば、こんな状況だから・・・だったんだと思う。



私が明らかに困ってて、それを助けたのが自分で、わけ分かんないけど、泣くくらい感情が高まってと来たら、言わずにはいられなかったんだと思う。



仕方がないから私はこう言った。






「今は無理、ごめん」






『今』って言うのはもちろんノーパンノーブラ状態の事で、平常時だったらとりあえず付き合う流れになってもおかしくなかった。






「何で無理なの?好きな奴いんの?」と食い下がるAに、私は、「ハイテないからーっはいてナイカラーっ!」と掠れた声で、キチガイみたいに呻いてしまった。






何の脈絡もないその言葉だけじゃ『下着を着けてなくてそれどころじゃないから』という意味に繋げられなかったAは、私がキレ気味な事もあって、結局何も理解出来ないまま教室に戻っていった。






何とか無事に、私は下着を装備した。



精神的守備力がこんなちっぽけな布2枚に左右されるなんて、ビキニアーマーもバカには出来ないんだなって、どうでもいい事を思った。






その後、Aへの感謝の気持ちと、追い払って悪かったなとか、好きと言われて男として意識するようになった事とか、まぁ色々考えてるうちにAへの好意が膨らんでる自分がいた。



あの時、『今は無理』っていう保留気味の返事をしたので、たぶんもう一度告白してくれるだろうと思って、私はそれを待った。



でもAは、どうも私に嫌われたと思ったらしくて全然動きが無かった。



この誤解を解くには、やっぱり私からあの話をしないといけない。






「あの時、私はパンツを穿いてなかった、だから無理って言った。だからその・・・」






もう一度好きって言って欲しくて、説明しようとしたけど上手くいかない。






「とにかく私は、パンツが、ぶぶぶぶらが」






(パンツは言えても、男にブラと言う単語が言いにくいのは何でだろう)






余計におかしな奴だと思われそうで、そう思うと余計に上手く言葉が出て来なかった。



Aもやっぱりよく分からない様子。



よく分からないけど、とりあえず聞きました、みたいな言い方で・・・。






A「それで今は?パンツ?穿いてるからいいの?」






私「うん!穿いてる!だからさ、その」






A「よく分かんないけど、俺嫌われてない?」






私「嫌いなわけない。だからこないだの、もう1回言ってみて」






A「えー、じゃ、じゃあ、あの、Wが好きです」






私「私も。あはは、よろしくです」






おしっこ漏らした事は秘密にしたまま、何とか誤解が解けて、とにかくやったーと思った。



彼氏が出来た。






終わり。






エッチな場面を書かないと話が終わらないと言うか、オチにならないので、恥ずかしくない程度に書いていく。



Aは付き合ってみると意外と無口で、優しいと言うか気ぃつかいと言うか、あの日私に何があったのかを聞こうとしなかった。



絶対気になってるはずなのに、触れてはいけない話だと思い込んでるようだった。






最初はもちろん私も、話す気は無かった。



でも付き合いが長くなってキスもして、お互いの家を行き来する仲になると「そろそろヤられてぇ」とか思うようになる。



(念のため言いますが当時の私の中では「そろそろエッチな事されたいかも、ウフフ」とかいう可愛い言葉です)






とにかく私は、彼氏ができてから具体的に自分の性欲を意識するようになった。



あの日の露出まがいの出来事を思い出すと、怪しい気分になるようになった。



あの話をAに打ち明けたら、エッチな関係に発展するきっかけになると思って、話す機会を窺っていた。






あの日、君が告白した相手は、ノーパンノーブラだったのですよ!という事を、ついに伝えた。



Aはびっくりしてたけど、前に私が言った「あの時、私はパンツを穿いてなかった、だから無理って言った」という言葉の意味を、やっと理解した。



いじめとかレイプとか、私に物凄い暗い背景があるんじゃないかと、Aは想像してた。



心に傷がある彼女を健気に支える彼氏、という役回りを、自分の中で勝手に作り上げて演じてる部分があったみたいで、あれが単なるお漏らし事件だと知ると、ぷつんと糸が切れたように明るくなった。






「何もなくてよかった!」と喜ぶAを見て、良い人だなぁと思った。






「パンツ穿いてないから無理!とか意味分かんねーし(笑)」と、すっかり笑い話になったので、良かったと思った。






私に暗い過去があると思い込んで遠慮してたというAは、そんなのなかったと知って、エロな部分を気兼ねなく出してきた。



私の狙い通りというか、狙い以上だったので、この後ちょっと戸惑ったけど。






「で、今はパンツ穿いてるんだよな?」






「あはは、穿いてるよ!」






「俺、Wが好き」






突然なに!?と思ったけど、「私もAが好き」と答える。






なにこの恥ずかしい会話、やばい顔が熱い~とか思ってこれはキスシーンだな!と思って心の準備をし始めたら・・・。






「パンツ脱いで」






(えっ、いきなりそっちかぁ・・・)






それはさすがに急展開過ぎる、と戸惑ってたら・・・。






「早く脱げよっ!」






(うわぁ怖い、何なの)と思ったけど、ある程度は覚悟してたし。






エッチ展開の流れとして、パンツだけ脱ぐというのはおかしい気もするけど、Aが真剣な目をしてるのでとりあえず脱いだ。



あの日以来2回目のノーパン。






まずは普通、キスしながら胸触られるんじゃ?とか想像してたのに、いきなりあそこ触られる?いや見られるっ?



今日で最後(喪失)まではちょっとなぁ、と不安と期待でドキドキしてたら・・・。






「俺、Wが好き」






また同じ事言われた。






「う、うん、私も好きだよ」






私も同じように答えたら・・・。






「お前そこはパンツ穿いてないから無理!って言えよ!(笑)」






・・・何だコントがしたかったのか。



こっちは思いっきり緊張して身構えてたのに。



意地悪だ、でも何だかエロ楽しい気分になってる自分もいた。






「ぶ、ぶ、ブラはまだしてるから無理じゃないもん、好きだもん!意地悪!プンプン!」






ちょっと痛い萌えキャラをわざとらしく演じつつじゃれ合ってたら、まあ、後は、そういう事で。






終。






・・・ここで終わると怒られるのでもう少し。






じゃあブラも取ったらどうなるかっていう。



ノーブラになった私に・・・。






「好き」






「私も好きだよ」






「無理じゃないの?」






「無理じゃない、好き」






「どこまでは無理じゃない?」






というわけで、ブラウスのボタンを全部外して・・・。






「無理?」






「無理じゃない。好き」






ゆっくり胸を擦られて・・・。






「無理?」






「無理じゃない・・・好きぃ・・・」






キスされながらスカートに手を入れられて・・・。






「無理?」






「無理じゃない・・・好き・・・。ッ!」






あの日トイレで目覚めかけた私の中の何かは、ハイソックスを脱ぐ事だけはさせなかった。