ちょっと昔の話、バイト先の後輩の彼女と寝てしまった。






俺がまだ大学生だった時、アルバイト先に森(仮名)という後輩がいた。



彼は俺より学年は2年下。



大学は違えど、バイト先で意気投合、妙に気が合った。



彼とは住んでるアパートが比較的近かったのもあり、よく互いの部屋を行き来して安酒をかっくらってた。



当時の俺の彼女、美喜(仮名)も上戸だったんで、3人で飲むってことも多かった。






そんな森に彼女が出来たのは、彼が大学2年の初めの頃。



森の所属するサークルの新入生で、男どもの人気を独占していた子だったそうな。



そいつらとの争奪戦の末、森が彼女の心を射止めたのだ。



森にとっては生まれて初めて出来た彼女だったらしく、付き合う前から俺は何かと相談を受け、アドバイスを求められたし、付き合いだしてからは色々と惚気けられた。



まあ、嬉しそうに彼女の話をする森が微笑ましかったし、俺と美喜で、「早く俺たちに彼女紹介しろよ。4人で飲もうぜ」と、よく森にからかい半分に催促したもんだった。






その森の彼女、沙希(仮名)を直接紹介されたのは夏頃だった。



週末、仕事がオフの美喜と俺の部屋でまったりしていた時、森が沙希を連れて遊びに来た。



玄関を開けて初めて沙希を目にした瞬間、俺は息を呑んだ。



話には聞いていたが、想像以上にキレイな子だったからだ。



美喜も一目見て驚いていた。






可愛いと言うより、まさに綺麗、美しいの類。



毛穴がないんじゃないかっていうくらい、きめの細かい白い肌に、切れ長で奥二重の目が印象的。



なんとも洗練されたルックスだった。



しかし性格の方は、見た目とは裏腹になんとも掴みどころがなく、基本的には大人しいのだが、ちょっと変わった感じのする子だった。



森がてこずっているのがなんとなく分かる気がした。



それでも俺と美喜の馬鹿話をニコニコと聞いてくれるし、18歳なのに酒もいける口で、悪い子ではないなとは思った。



妙な違和感みたいなものはあったが。






ただ、(こんなキレイな子と森は・・・)と少々羨ましく感じた。



美喜には俺のそういう態度を見抜かれ、後でチクチク言われた。



いや、別に美喜に不満があるわけじゃないし、比べてどうこうってことじゃない。



ただ、“隣の芝生は青い”っていうか、そんな感じ。






それから何度か沙希とは飲む機会があった。



もちろん森や美喜も一緒にだが。



美喜も沙希を不思議な子だと思っていたようだが、可愛がっていた。






それがいつの頃からだろうか、森は沙希に不満や不安を抱えるようになってきたようで、俺はバイト先でウンザリするほど、そのことを愚痴られた。



付き合いが長くなってくると、お互い合わないところが出てくるものだ。



森の言い分を聞けば、確かに沙希にも色々問題はあるだろうが、森も沙希を束縛して監視下に置こうとしすぎる。



なんだかんだ言って森は沙希のことが好きで好きで仕方ないのだが、思い通りにならないもどかしさでイライラしているようだ。






沙希は森の手におえるような子ではないと正直思った。



あの子は難しそうな子だ。



付き合うと苦労するタイプ。



俺なりにそう感じた。



だけど他所様のカップルにどうこう口出しできるほど俺も偉くはない。



出来ることと言ったら、愚痴の聞き役に徹し、「頑張れよ」と励ますことくらいだ。






そんなある日の夜、結構寒くなり始めた時期、携帯に森から1通のメールが届いた。



この頃は森からこの手のメールを俺はしょっちゅう受けていた。



また沙希と一悶着あったのかなと呆れつつ返信。



沙希がうちに1人で来たことなど、今まで一度もなかったし、そんな事ありえないって考えれば分かるだろ。



確かに沙希も変わり者だが、森もかなり嫉妬深いというか心配性というか。



それからちょっとして、ピンポ~ンと部屋のチャイムが鳴った。



時計はもう夜中の11時を回っている。






(・・・まさか、な)






そう思い、玄関のドアスコープを覗いてみると、そのまさかが立っていた。



沙希だ。






ドアを開けて・・・。






「よう、沙希じゃねえか。こんな時間にどうした?森は?」






ことさら何も事情を知らないような顔をして聞いた。






「1人です。あの・・・話したいことがあるので、中に入れてくれますか?」






沙希は俯きがちに何か思いつめた表情でそう言った。



訴えかけるような視線でチラチラ俺を見てくる。



目が合い、ドキっとした。






「あ、じゃあ森も呼ぼうか?ちょうど奴からさっきメール来たし」






「彼とは会いたくないんです。◯◯さんと2人で話したい」






さすがにちょっと部屋に上げるのは躊躇した。



ただの相談だろうから、やましいことは何もないとは言え、若い男女が部屋で2人きりになるのはトラブルの元になりそうな予感。



後で知られたら、森や美喜の余計な誤解を招くかもしれない。



そして何を考えているか読めない沙希の態度にも、ちょっと空恐ろしいものがある。



そりゃ頼られて嬉しくないことはないが、その反面、深く巻き込まれたくない気もする。



俺は遠回しに断ろうとした。






すると急に沙希は意味ありげに・・・。






「美喜さんは平日はここに来ませんよね」






軽く笑いを浮かべながら言った。



ちょっとゾッとした。



美喜は社会人だから、ほとんど土日しかうちに来ない。



沙希はなぜ今、そのことを持ち出すのか。



俺が沙希の扱いに困っていると彼女は近づいてきて、何を思ったか俺の腰に腕をまわしてきた。






「◯◯さんじゃないとダメなんです」






ふっと沙希の栗色の長い髪からいい匂いがする。



俺は魂を持っていかれそうになった。



しかしそこはなんとか気をしっかり持ち、彼女を引き離した。



とにかく俺は、部屋に入れられない理由と、そして森とケンカしたんなら仲直りするようにと、沙希を傷つけないよう適当に言いくるめて追い返し、ドアを閉めた。



冷たいようだが門前払いだ。



時には毅然とした態度を示さないといけない。



ただ沙希の突然の来訪と、抱きつかれたことで、かなり心臓はバクバクだった。






部屋に戻り、気持ちを静めるためにマイルドセブンで一服した後、とりあえず森にはメールを打っておいた方がいいなと、誤解受けないよう言葉を選びつつ、携帯をカタカタと弄る。



するとまたチャイムが鳴った。



それも、“ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン・・・”と、さっきより激しく、狂ったように延々と連打。



木造ボロアパートだからチャイムの音は隣の部屋にも結構響く。



夜も遅いし、近所迷惑この上ない。






(何考えてんだ。あー、もう!)






煙草を灰皿で揉み消し、俺はちょっと腹を立てながら、そしてなぜか妙な恐怖感にかられながら、また玄関のドアを開けた。



沙希はまだそこに立っていた。



なんと全裸で。



俺は事態が飲み込めず、一瞬固まった。



が、すぐに我に返り・・・。






「お、おい。なんて格好してるんだ!」






慌てて沙希の腕を掴んで、玄関の中へ引っ張り込んだ。



そして脱ぎ捨ててあった服、下着を拾い集めた。



ご丁寧に靴まで脱いで・・・。



下着が妙にほくほくと温かいのが生々しい。






(何考えてるんだ。普通こんな事するか?)






やはりこの子はどっか普通じゃない。



動悸がさらに激しくなる。



・・・心臓に悪い。



周りを見回したが誰もいないようなので、人には見られてなかっただろう。






(だからと言って外で全裸になるか?)






俺は玄関のドアを閉め、なるべく彼女を見ないように拾った服を押し付け・・・。






「とにかく服着よう。な」






なだめるように、そう言った。



しかし、沙希は受け取った服を抱えたまま終始無言。



俺は1人で部屋に戻り、書きかけの森への携帯メールを削除した。



そして部屋の端で玄関の方に背を向け座った。






(これからどうすればいいんだ?どうなるんだ?)






混乱した。



それにしても、沙希の裸の見事さと言ったら、激しく勃起ものだ。



状況が状況だけにじっくり見ることは出来なかったが、顔立ちと同じく、白くて細い美しい肢体が、しっかり俺の脳裏に焼き付いていた。






(おっぱいは小ぶりだったな。BかなCかな?)






・・・いやいやいや、そんなこと考えている場合じゃない。



これからどう対処するかが問題だ。






しばらくすると背後に気配を感じた。



沙希が部屋に入ってきたようなので、俺は振り向いた。



沙希はまだ全裸のままだった。






「お・・・おい!早く服着ろって。頼むから。寒いし風邪引くよ」






しかし俺が皆まで言う前に沙希は俺の背中にしがみついてきた。






「◯◯さんの背中、温かいです」






(何を言ってやがる)






俺が服を着させてやるわけにもいかない。



裸の沙希の方をマジマジと見るわけにもいかない。



俺は後ろから抱きつかれたまま身動きが取れず困惑した。



なんとか理性を働かせて沙希を説得しようとした。






「いや・・・こういうのはやめよう。とにかく離れて。服着よう」






「・・・◯◯さんは私のことが嫌いですか?」






沙希が俺の耳元に口を近づけて囁く。



会話になってない。






「いや、好きとか嫌いとか・・・。沙希ちゃん、森と何があったの?」






はっきり意思表示して突き離せばいいものを、こんな時でも俺はいい人ぶって曖昧な態度を取ってしまった。



勃起しながら・・・。






「彼と別れたら抱いてくれますか?」






(なんでそうなるんだよ!?)






「だ、抱くって・・・何言ってんだよ。ほら、俺には美喜がいるし・・・」






そう言うとさすがの沙希も何も答えなかった。



自分を可愛がってくれる美喜の名前を、この状況で聞くのは効いたのか。



沙希はしばらく黙っていたが、なぜか俺にしがみついた腕の力を強めてきた。



そして、するするっと後ろから俺の股間に手を伸ばしてきた。






「ここ、硬くなってますよ」






(!!!)






「いや・・・それは・・・」






下半身は別人格だ。



勃起は不可抗力だ。



俺にそんなつもりはない、はず。



とは言え、沙希に勃起を知られたのが恥ずかしく、思わずうろたえてしまった。



勃起チンコをジャージの上から沙希の手が擦る。



無言で手を動かしながら沙希は、俺の耳、首筋、頬に唇を這わせる。






「うう・・・だから沙希ちゃん・・・やめろって」






とか言いつつ、俺はそんな沙希を強く突っぱねることが出来ない。



そりゃ、男の力をもってすれば沙希を振り解くことなどわけはない。



だが、なぜか力が入らない。



なすがままにされている。



むしろ委ねてしまっている。



女の力は恐ろしい。



ああ・・・。






バビロ~ロアビビポ~♪






タイミング悪く、いやタイミング良く、そこで携帯のメール着信音が鳴った。



俺は我に返った。



沙希もビクっとして動きが止まる。



その隙に俺は体に絡みついた沙希の腕を解いた。



この音は美喜からだ。



携帯を開く。



文字だけだが、不思議と安堵感と懐かしさがこみ上げる。






(ああ、美喜、俺は過ちを犯すところだった・・・)






が、ふと背後から伸びてきた手に携帯を奪われた。



携帯画面を見ながらなぜか微笑む沙希。



もちろん全裸で。



沙希は勝手に携帯を弄り始めた。






「お・・・おい、何する。返せ!」






俺は焦って携帯を取り戻そうとした。



沙希は俺の手をかわし、なかなか返してくれない。



そうこうしているうちにもつれ合い、抱き合う形になってしまった。






(しまった!ベタな手に引っかかってしまった!)






そう思った時はもう遅い。



俺は沙希を下に組み敷いていた。



均整の取れたしなやかな体のライン、なんてキレイなんだろう。



つい沙希の裸体に見惚れてしまった。






<続く>