高校一年生のとき、ある女の子(純子)に一目惚れした。






奥手な俺は一年間見てるだけで、告白することができなかった。



部活動にも入り、友達もできた。



その中に悟がいた。



二年になって、好きな人がいるかどうかの話題になった時、おれは純子の名前を出した。



悟と純子は中学が同じだったこともあって、俺と純子の橋渡しをしてくれて付き合うことになった。






純子との交際は清い交際だった。



3ヶ月経ってもキスもなく、デートで手を繋ぐだけだった。






そんな時、父の不倫が発覚した。



お父さん子だった妹の落ち込みようは酷かった。



学校と必要なとき以外は部屋にずっと閉じこもったままだった。



妹が自★するんじゃないかと心配した母は、俺にも妹のケアをするように言ってきた。






家庭の事情を、悟と純子には話した。



悟が一度家に遊びにきた。



たまたま妹がジュースを取りに台所にきて、二人は顔を合わすことになった。






悟は、翌日「妹との仲を取り持ってくれないか」と言ってきた。






悟はイケ面だ。



中学生を、それも受験生を相手にしなくてもいいんじゃないかと思ったが、それは言わなかった。






俺「悟と付き合ってみる?」



妹「絶対イヤ」



俺「気晴らしに遊ぶとか・・・」



妹「イヤ」






理由を聞いても返事はなかった。






悟には「受験生だから付き合う気ないみたい」と、やんわりと俺から言った。






土曜日の午後は、妹とデートするようにしていた。



デートといっても近くの河原を散歩したり、町をぶらついたり、話すことなんてほとんどない。



母が働きに出るようになったので、無理矢理妹を外に連れ出してただけだった。






ある日、妹が俺の腕にしがみついてきた。



怯えていた。



事情を聞くとある男が告白してきたが、妹は断った。



すると男は妹の肩をつかんで壁に押し付け、暴言を吐いて帰っていった・・・とのこと。






その男が自転車ですれ違ったようだった。



妹は、父の不倫があってから男性不信になっていた。






そして「男が怖い」と言った。






「にいちゃんの友達も怖かった」とも言った。






その日を境にして、妹はお兄ちゃん子になっていった。



俺もそのときからシスコンかもしれない。






純子との交際はゆっくりではあるが順調だった。



軽くキスをする程度にまでは進んでいた。



・・・が、突然振られた。






「親が反対するから」






親に俺の家庭の事情を話したんだなと思った。



純子のことは全く恨んではいない。



父への憎しみが増しただけだった。






大学生になり、新たに親しい友達ができた。






バイト先で知り合ったUという男。



Uは2浪して同じ大学に通っていた。






もう一人の親友悟は、違う大学。



バイトはしていなかった。



家は裕福なので車を買ってもらっていて、悟の彼女と3人でドライブをしたこともあった。






大学三年生の時。



バイト先で一つ年上の女性社員(美香)から告白されて付き合うことになった。



積極的な彼女だった。



家では、俺がしっかりしなきゃいけない、と思っていたので、引っ張っていってくれる女性は気持ち的に楽だった。



童貞であることを告げ、色々と教えてもらった。



悟には美香のことを紹介して、4人でダブルデートもした。






四年になり卒論移行して、バイトはやめる事になったが、美香との付き合いは続いた。



ある日のこと、美香がシャワーを浴びているときに、次いつ会えるのかなぁと美香のバッグの中にある勤務表を見ようとしたら、コンドームの箱を発見。



12個が半分に減っていた。



その日は、何もなかったように勤務表のコピーを美香からもらって家に帰った。






浮気は確定してはいないが、この時点でかなり冷めたので、ピンポイントで罠を仕掛けることにした。






サービス業なので、土日はほとんど休みが取れないのだが、たまに休みが取れる時がある。



その時は会っているので浮気はしていないだろう。



・・・となると平日だ。






大学のことも考えると監視できるのは夕方から。



そこで、朝から夕方までの勤務で翌日が休みの日に、俺は就職活動のため東京に出発して翌日会社訪問が終わったらその日に帰って会うという予定を立てた。



電話は遠距離でお金が掛かるから、家に帰ってから俺から連絡するということにもした。



もちろん会社訪問は嘘だ。






尾行の日。



用心のため自分の原付を使わずに、妹の原付とヘルメットを借りる事にした。



美香が勤務を終えて帰る所から追跡開始。



アパートにつくと部屋に入らずに、すぐ近くのコンビニに向かっていった。



そして、見たことのある車に手を振って助手席に滑り込んだ。






悟の車だ。






悟の車はラブホテルに入っていった。



かなり冷めたとはいっても、好きな気持ちは残っていたし、嫉妬もしていた。



信じたい気持ちもあった。



でも、それらは完全に無くなった。



もう美香とは関わりたくなかったので、留守電に別れる旨のメッセージを入れた。






さて、問題は悟のほうだ。



怒りもあったが、ショックと悲しみのほうが大きかった。



色々あって、バイト先の知人Uの立ち会いの元、悟と会うことになった。



最初は河原で会う予定だったのが、悟の要望でファミレスになった。






悟の態度は終始ふてぶてしく、話す内容は衝撃的だった。






中学のときから純子に好意を抱いていたこと。



純子と俺の橋渡しをするとき、俺のことを話す前に純子に告白して断られたこと。



純子と俺が付き合うことになった時、俺のことは「敵」になったこと。



妹と付き合えたら、やり捨てよう(?)と考えていたこと。



俺のこと(妹のこと?)を監視していたこと。



純子の親宛に、俺の父の不倫のことや、兄妹で付き合っているらしいことを書いた手紙を出したこと。



(散歩のときの写真つき)






強烈に残っている言葉は






「お前なんか親友と思ってなかった」



「美香は、お前とのセックスじゃ物足りなかったみたいだぜ!」






その後も美香のことを話してるようだったが憶えていない。



このフォーク目に刺してやろうかなぁ・・・とか、このナイフって人間切れるのかなぁ・・・なんて考えてた。



このとき、俺ニヤニヤ笑ってたみたい。






ガタンと音がして気付いたら、Uが悟を外に連れ出そうとしていた。



俺は、窓際の席から、Uが悟を殴っているのを他人事のように見てた。



Uが一人で戻ってきて、現実世界に引き戻された。






その後はUのアパートでしこたま飲んだ。



いつもなら酔うとすぐ眠くなって寝てしまうのに、この日は全く眠くならなかった。



そして、限界を超えてしまってトイレで吐いた。



酔って吐いたのは、今まででこの1回だけ。






ここからは、目を閉じててアルコールで感覚が鈍っていたので想像の部分もあります。






俺は、仰向けに寝て目を瞑ってた。



Uは、俺が眠ったと思ったのか、頭を撫でてきた。



次にキスをしてきた。



それからジャージの上からペニスを撫で始めた。



半開きだった口にUの舌が入ってきて、ジャージの中に手を入れようとしてきた所で、これはヤバイと思って寝返りを打った。



Uはそれ以降なにもしてこなかった。






不思議と嫌な感じはしなかった。



ペニスはピクリとも動かなかったが。



ファーストキスが男だったので、「またかよ」と思う部分があったからかもしれない。






このことは誰にも話していません。



ファーストキスは17歳、初体験は21歳ということにしています。






後日談的なもの。



美香からは電話があったが、妹の「浮気女は氏ね」でそれっきり。



悟も今どうしてるか全く知らない。



この二人にはもう関わりたくなかった。






純子は今から数年前、学年全体の同窓会で会った。



ちょっとポッチャリしてた。



旦那さんの愚痴ばかり言ってたような気がするが、子供も二人いて幸せそうで良かった。



Uは義弟になった。



友情は今でも続いている。



Uから友情以上の何かを感じることがあるが多分気のせいだろう。






現在の俺、子供はいない。



まぁ、ぼちぼち幸せ・・・なのか?






最後の最後でスペック






純子:初恋の人に似てる。中山エミリ似。



悟 :保阪尚輝っぽい。



美香:南海キャンディーズのしずちゃんを165位にして、ちょっと痩せさせた感じ。Bカップ。



U :井上康生似。柔道はしていない。



俺 :中学生のとき安全地帯の玉置浩二に似てるといわれたが、俺はそう思わない。映画好きな嫁友にはトニーレオンに似てるといわれたが、これまた微妙。美香曰く「どこにでもいる顔」とのこと。俺もそう思う。






以上です。