帰宅途中の気怠い電車の中、ふと生温い視線を感じた。



正面に座る男が私の足を見ていた。



目が合うと、一瞬男は目を逸らした。



だけど私が目を逸らさないでいると、男はゆっくり視線を戻し、私をジッと見返した。






ふと、セックスがしたいと思った。



特にその男とセックスがしたくなったというわけじゃなく、誰とでもいいからセックスがしたいと思った。



時々、そんな気分になることがある。



見ず知らずの男に好き放題にヤられまくりたいと思うことが時々あり、実際、今までに何度もそれをしていた。






私は病気なのかも知れない。



病名はわからないけど、とっても異常な病気のような気がする。



そんな異常な私は男からそっと目を逸らすと、股を少しだけ弛めた・・・。






私は小学校で音楽を教える25歳の新任教師だった。



私の通う学校は都内でも指折りの有名私立小学校なだけに、とても厳しい学校だった。



この学校では、自由などという言葉は一切通用せず、教師も生徒もまるで独裁国の人民のように厳しい規律に従わされていた。



職場だけでなく私生活さえも徹底的に管理されていた。



教師の服装、髪型、言葉使いはどこの学校でもそれなりに厳しいが、表情や仕草、歩き方まで指導され、なおかつ私生活でのテレビ番組や食事までも管理されるのは、少し異常だった。






そんな制圧された生活は、ストレスという塊となって反動した。



それに順応できない教師は学校を去り、それに順応できる教師は皆、心に病を持っていた。



ほとんどの新任教師が1年で辞めていくなか、私は自分を★しながら2年を越した。



しかしその結果、私はとても異常な病気に心を侵されてしまっていたのだった。






正面に座る男の目は、私の弛んだ股に釘付けになっていた。



私は男の熱い視線を股間に感じながら、どうやってこの男を誘おうかと考えていた。



見た感じ、遊び馴れていない男だった。



遊び慣れた男なら、あっちから声を掛けて来るだろうが、こんな男にはそんな度胸も自信もない。



私はそう考えながら、もう少し股を開いた。



ここまで股を弛めれば、下着は丸見えのはずだ。



もしかしたら濡れた下着のシミまで見えているかも知れない。






キキキキキッーっと電車のブレーキの音が車内に広がり、そこにいる人達の体が一斉に右に傾いた。



電車の扉が開くと、扉の真正面に隣りのホームで発車を待つ電車が見えた。



開いた扉から、人がぎっしりと詰まっている車内が見える。



私は男の目を見た。



男は一瞬ギクリとし、私の股間からゆっくり視線を外そうとした。



すかさず男に向けて笑みを浮かべた。



男は、そんな私の笑みを呆然と見ていた。






私は男に向けて意味ありげに頷くと、そのまま電車を下りた。



そして素早く隣りのホームの満員電車に駆け込み、体をドアに向けて振り返ると、男がこちらに向かって走って来るのが見えた。



男のその顔は、まるで今から人を斬ろうとしているサムライのように激しく興奮しているようだった。






男と私は向かい合わせになって満員電車に揺られていた。



男の喉仏が真正面に見えた。



顎の下にポツポツと見える髭の剃り残しと、無惨に欠けた前歯がいかにも低所得者だった。



こんな下品な男に荒々しく犯されたい・・・。



そう思う私の下着は、まるで失禁したかのようにぐしょぐしょに湿っていた。






男の荒い息が私の額に当たっていた。



虫歯特有のツーンっとした口臭が、ひっきりなしに私の前髪を揺らしていた。



男の視線を感じながら、ブラウスの胸元にそっと手をやった。



そして胸元のボタンを、ひとつずつゆっくりと外していった。



男の息はさらに強くなった。



まるで頭上から扇風機を当てられているように、生臭い風が開いた胸元に吹きかかった。






電車がカーブに差し掛かり、車内全体が右に傾いた。



吊り革を持っていない私は男の胸に顔を押し付けた。



仕事帰りの肉体労働者のような饐えた匂いに包まれた。



私はどさくさに紛れ、バッグを持っていた手の甲を男の股間に押し付けた。



私の拳が硬い肉の塊をゴリゴリと動かす度に、男の腰がもぞもぞと動いた。



男はハァハァと臭い息を吐きながら、怖い目で私を見下ろしている。



私は拳で亀頭を探し出し、そこを重点的にゴリゴリさせると、男はもっと触ってくれと言わんばかりに腰を押し出しながら、いきなり私の乳房に手を当てた。



ブラウスの中の白い乳肉がムニュッと歪んだ。



男は手のひらの中に乳房を包んだままブラウスの上から勃起した乳首を見つけ出すと、親指でクリクリと転がした。



ベッド以外の場所で弄られる乳首は刺激が強すぎた。



思わず男の胸の中に熱い息を吐いた私は、そのままもぞもぞと方向転換し、男に背中を向けた。



このほうが男は触りやすいと思ったからだ。






男が尻を弄り始めた。



私がスカートをたくし上げると、男の手はじわりじわりと前に移動し、パンティーの中に滑り込んできた。



男の指は、遠慮なく割れ目を掻き分けてきた。



小陰唇が捲れ、中からいやらしい汁がどろりと溢れ出した。



男のゴツゴツとした指が、どろどろに濡れた割れ目を弄った。



クリトリスを指腹で擦られ、思わず膝がカクンっと折れた。






2本の指が肉穴の中に入ってきた。



指は硬い爪で膣壁に引っ掛けながらズリズリと進み、穴の突き当たりまで行くと荒々しく動き始めた。



ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と掻き回された。



その音は電車の音で掻き消されていたが、私の脳では鮮明に鳴り響いていた。



男の指は根元まですっぽりと入っていた。



指が動く度にクリトリスが男の手のひらでグリグリと転がされ、私は激しい性的興奮と羞恥心に包まれた。






私は今、初めて出会った男に性器を弄られている。



出会ってほんの十数分の間に、人間が最も隠したい部分である恥部を大勢の人の前で弄られ、そして感じている。






私の学校では、教師は怒りと悲しみの感情を露わにしてはいけないという規則があった。



どれだけ腹が立っても生徒の前では絶対に怒ってはいけない。



どれだけ悲しくても生徒の前では絶対に泣いてはいけない。



そんな規則に縛られる私は、いつしか感情を★す術を覚えていた。



だから、どれだけ感じていても、この大勢の人がひしめき合う車内では恥ずかしい声を出さずにいられた。






しかし、もう我慢の限界だった。



私はゴリゴリとした硬い肉棒を入れて欲しくて堪らなくなっていた。



私はそっと横を向いた。



私の頬が男の頬に触れた。






「セックスして下さい」






男の耳元にそう囁いた。



男は痰の絡んだ低い声で、「いいのか?」と驚いていた。






次の駅で電車を降りた。



ほとんど下車する人のない薄ら淋しい駅だった。



男は私の後について来た。



改札口を出ると、寂れた駅前にはコンビニが一軒、ポツンと輝いているだけだった。



夜空を見上げても、ホテルのような建物は見当たらなかった。



しかし私は最初からホテルなど望んでいなかった。



異常な私は、汚い場所で危険に残酷に犯されたかったのだ。






ふと見ると、改札口の横の駐輪場に『WC』と書かれた看板がぶら下がっていた。



見知らぬ駅の公衆便所。



行きずりの男に犯されるにはもってこいの場所だと思った。



堂々と男子トイレに入っていった。



もし、そこに人がいれば、その人も参加させればいいと思った。



それくらい、この時の私の思考は狂い、精神は病んでいた。






一番奥の個室に入るなり男が抱きついてきた。



私も男に抱きついた。



私の胸をブラウスの上から弄る男の手を見ながら、私は男の唇の中に舌を押し込んだ。



濃厚に舌を絡め合うと、すかさず私は男の足下へと体を滑らさせ、スカートの股をわざと大きく開きながらしゃがんだ。



私が男のベルトを外そうとすると、男は私の手を振り払いながら自分でベルトを外した。



がっしりと太い肉棒が天井の蛍光灯に向かって反り起っていた。



くわっとエラを広げた亀頭は赤紫色に火照り、先っぽでは透明の汁をタラタラと輝かせていた。



鼻の奥にツーンっとくるイカ臭が、さらに私を欲情させた。



大きく口を開けながら、それを一気に飲み込んだ。






私の学校には、食べ物を咀嚼する時は、前歯を見せてはいけない、音を立ててはいけない、という規則があった。



私は音を立てないように肉棒をしゃぶった。



口内で舌を巧みに動かし、ぴちゃりとも音を立てずに男を快楽へと導いた。



亀頭に舌を絡ませたままゆっくりと顔を上下させた瞬間、いきなり男は私の頭を両手で鷲掴みし、「だめだ。出そうだ」とその動きを制止させた。






動きを止めた私は、肉棒を口に含んだまま男を便座の上に座らせた。



男を便座に座らせ、しばらく肉棒を口に含んだままじっとしていた。



男の太ももの隙間から白い便器の底が見えた。



便器の奥底から強烈なアンモニア臭が漂い、ふと、その便器に顔を埋めて、大勢の男達が放出したアンモニアを舐め尽したいと思った。






私の口内では、今にも爆発しそうな肉棒がピクピクと痙攣していた。



肉棒を口から抜くと、チュポッという卑猥音がトイレに響いた。



ゆっくりと立ち上がり、便座の端に片足を上げた。



パンティーの股間を横にズラし、男の前に性器を剥き出した。



男は便座をカタカタと鳴らしながら肉棒をしごき、私の陰毛の中を覗き込んだ。



私はドロドロに濡れた性器を自分の指でめちゃくちゃに掻き回しながら、我が校の教師が絶対に口にしてはならない「おまんこ」という卑猥語を、何度も囁いた。






私は男に見られながら自分の指でイッた。



アンモニア臭の漂う駅の男子便所で、見ず知らずの男に見られながらイクのは最高に気持ちがいい。






素早く男に背を向けると、スカートとパンティーを下ろした。



男は、いきなり目の前にぷるるんっと躍り出た尻肉にむしゃぶりついた。



尻肉の割れ目に顔を押し付け、その奥にある肛門を犬のようにベロベロと舐めながら、「生で入れていいのか?」と聞いてきた。



一瞬、性病と妊娠の恐怖が過った。



しかし、むしろ私はその恐怖とスリルを求めていた。



私は男の太ももに跨がりながら、「中でイッてもいいですよ」と囁いた。



男は「本当にいいのか・・・?」と呻き、私の尻が下りてくるのを今か今かと待ちわびていた。






身障者用の手摺につかまった私は、そのまま男の膝に腰を下ろした。



亀頭が尻の谷間でツルンっと滑り、私の尾てい骨にはみ出した。



私は尻をくねらせながら逃げた肉棒を探した。



私のアソコがあまりにも濡れすぎているため、肉棒は尻の谷間を滑りまくり、コリコリとした肉の感触だけが尻全体を駆け回っていた。



そんな肉棒を、ハァハァと荒い息を吐きながら見つめていた男だったが、ついに肉棒の根元を指で支えた。



私は腰を屈めながら、膣の入口に固定された肉棒の先を這わせると、そのまま動きを止めた。



互いの敏感な部分が触れ合い、2人の感情は一気に高揚した。






「刺して下さい・・・」






私がそう囁くと同時に男がグッと腰を突き出した。



まるで座薬を肛門に挿入した瞬間のようだった。



ヌルッと滑り込んで来た異物感が脳を貫き、凄まじい快楽の底に突き落とされた。



一瞬にして、自分の顔の筋肉がだらしなく弛んでいくのがわかった。



肉棒が上下する度に、快楽が下半身から脳へと突き上げられた。



私の尻肉が激しく揺れ、男の太ももに叩き付けられた。



パン、パン、パンっと乾いた音が薄汚れた公衆トイレに響き、その無秩序な音が、秩序で固まった私の脳をドロドロに溶かしてくれた。






もしかしたら、男は凄い性病を持っているかも知れない。



もしかしたら、名前も知らないこの男の子供を孕むかも知れない。



もしかしたら、男は今後も私の身体を求めて来るかも知れない。



もしかしたら、ストーカーと化し、私の学校にまで押し掛けて来るかもしれない。



もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら・・・。






そんな、あらゆる『もしかしたら』が私を襲い、その恐怖がさらに私を興奮させた。



ふと、無性にセックスがしたくなることがある。



誰とでもいいからセックスしたくなることがある。



見ず知らずの男たちに、好き放題に嬲られたくなる。



都内でも指折りの有名私立小学校の教師のくせに、そんな破廉恥なことをしたくなる。






「誰でもいいからセックスして下さい」






突然、何の前触れもなく、膣の中で精液が弾けた。



私は慌ててクリトリスを弄り、男の快楽に便乗した。






「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」と男は唸り声をあげた。






私の背中にしがみつきながら肉棒のスピードを弱めていく。



膣の中でドロドロと蠢く精液の感触を確かめながら、私もイッた。



都内でも指折りの有名私立小学校の教師のくせに、こんな所でこんな男と快楽に昇り詰めた・・・。






ヌポッと肉棒が抜かれた。



男は便座から立ち上がると同時に私を冷たいタイル壁に押しやった。



男はベルトを閉めないまま個室のドアから飛び出し、凄い勢いで走り去った。



私は精液を垂らしたまま、薄汚い個室に1人取り残された。






開いたドアの向こう側に男が立っていた。



見るからに路上生活者風のその男は、恐らく今まで個室を覗いていたのであろう、ペニスを握ったまま呆然と立ちすくんでいた。



男と目が合った。



泥酔したサンタクロースのような顔をしていた。



握り締めたペニスはカサカサに皮が剥け、たちの悪い皮膚病のように赤紫色に爛れていた。






「私は・・・私立◯◯学院初等部の教師なんです・・・名門の私立小学校で音楽を教えているんです・・・」






男にそう告げた。



今、それをここで告げることは、私にとって最高のスリルだった。



男は無精髭に囲まれた唇をぺちゃりと鳴らした。



私を見て笑っているようだった。



私は男に尻を向けた。



精液が滴る陰部を男に向けて開きながら、私は静かに囁いた。






「私とセックスして下さい・・・」