ここからはちょっと後日譚を。






高本さんが処女を失った後も、高本さんは俺に普通に接してきた。



ああ、これが大人になった高本さんかと思うと、それだけで鬱勃起。



前期のテストが終わり、夏休みに入る頃、サークルの前期打ち上げ会が開かれた。



サークルの4年には酒癖が悪い“東田(仮名)”という先輩がおり、あまりの酒癖の悪さにそれまでは先輩がお目付として必ず隣に座っていたのだが、その先輩が卒業して東田は解き放たれてしまった。



その日、したたかに酔った東田は高本さんの隣に座って高本さんに絡み始めた。






「高本さんさあ、福田とヤったんだって?」



「な、なんのことだか・・・」






「だからさ、Hしたんでしょ?」



「し、知りません・・・」






「自分がHしたことも知らないのかなあ?」



「もう、やめてください!!」






「福田にもそんなこと言って、実はいいことやっちゃってんのかなあ~?」






俺は東田の斜め後ろに座っていた。



高本さんをおかずにしている俺が怒るのもなんだが、酒の力もあり、猛烈に怒りが沸いてきた。



しかし、いきなり殴ったりしたら高本さんが困ってしまう。






「東田さん!!酒、足んないみたいッスね!!俺が注ぎましょう!!」






俺は東田と高本さんの間に割って入った。






「なんだ、てめー!!俺は高本と話してんだよ!!」



「あ、俺、東田さんと話したいッス!!」






「うっせーんだよ、失せろ・・・」



「まあまあ、そう言わずに飲んで下さいよ・・・」






ガッツーン!!



ものすごい衝撃を感じると、俺はそのまま意識を失ってしまった・・・。






後でわかったんだが、東田が中身が入ったままのジョッキで俺を思いっきり殴ったのだった。



中身が飛び散って高本さんにもかかり、高本さんはショックで青ざめ震えていたらしい。



俺は救急車で運ばれたわけだが、ただの脳震盪で命には全く別条なし。



翌朝には退院した。






病院に東田と両親が謝りにきていたのにはウケた。



内定も決まっている東田は、これを警察沙汰にして欲しくないらしい。






「絶対に警察に届け出る」と言い張ってやろうと思ったのだが、俺は東田の母親が「金十万」と書かれた封筒を持っているのに気付いた。






正直、すごく欲しい。



なにせ、貧乏学生で金がない。






俺は、母親の手から封筒をびっと奪うと「治療代は別ですよ」と言ってやったw






この事件の後、俺もサークルにしばらく顔を出さなくなった。



高本さんと授業で顔を合わせても、よそよそしい挨拶をするだけになった。






2年の冬ごろにサークルに復帰した俺は、とっくに高本さんがサークルを辞めていたことを知った。



福田とも、あの事件の後気まずくなってすぐに別れたとのことだった。






3年生になると高本さんとは専攻も異なり、滅多に会わなくなったし、俺も遂に彼女ができて22歳にして脱童貞。



4年生になると就職氷河期だったが、なんとか就職も決めた。






そして卒業。



卒業パーティーで久々に高本さんを見た。



黒いドレスを着た高本さんは、大人の女性という感じだった。



パーティーも終わり、数少ない友人同士で2次会に行くかということで連れだって歩きだした。






しばらくすると、後ろから「加藤くん!」と呼び止められた。






高本さんだった。






友人には「先行ってて。あとで携帯に電話すっから」と言い、高本さんのところへ。






なんだろう、心臓がドクドク鳴った。






「もう、卒業なんだね。早いよね・・・」



「そうだなあ。ついこの間、田舎から出てきたばっかりのような気がする」






「加藤くんもだいぶ昔と変わったよね(w」



「まあ、4年もいればね。こっちで働くし」






「・・・あのね、あの時、助けてくれてありがとうね。私、お礼も言えなくて・・・」



「あの時?」






「ほら、2年の時、東田さんが・・・」



「ああ、アレ・・・あははは・・・」






あの出来事は、自分の中では高本さんにかっこ悪いところを見せてしまった、と思っていた。



また、あんな大事になって高本さんは福田と別れてサークル辞めて、迷惑かけたかなぁとも思っていた。



しかし、後に福田があの時助けなくて、高本さんが福田に怒ったという話も聞いた。



そこから、急速に二人の仲は冷え切っていったとも。






「すごく嬉しかったんだよ、私・・・」



「いや、俺、殴られて倒れただけだし・・・」






その時、高本さんはすっと俺に近づくと俺の首に腕を回してちょっと背伸びをして、キスをした。






エエエエエエエッ!!






もう、心臓が口から飛び出るかと。






どんな感触だったかも、どれほどの間だったのかも覚えていない。



ただ、高本さんがすごくいい匂いだったことしか覚えていない。






高本さんはすっと離れて、俯き加減になると「スーツ、かっこいいね・・・」と言った。






俺は、呆然として何も言えない。






「さよなら!」と高本さんは言うと、くるっと踵を返して駆け出していった。






俺は・・やはり呆然としたままだった。






その後、友人と飲んだんだが「それはお持ち帰りだろ!!バカヤロー!!」という話に。






だよなあ・・・。



でも、彼女いたし。






その俺の童貞を奪った彼女とも結婚してしまった。



だから、俺は一人としかHしたことない。



性格的に、浮気とかも出来ないし。






高本さんとは以来会っていないが、年に何度かメールのやり取りくらいはある。



いまだに、福田以来彼氏は居ないらしい。






ちなみに福田は、高本さんと別れた後1年の女子(処女)と付き合い、3年になると新入生(処女)と付き合い、4年になるとやっぱり新入生(処女)と付き合った。



全てサークル内。



福田は、4年間でサークルの女子5人と付き合い、うち4人が処女。



しかも、みんなそこそこ可愛い。



なんとも、羨ましい。






ということで、おしまい。