エミが、Kと付き合い始めたのは1年ほど前だ。



付き合い当初は美男美女のお似合いのカップルに見えたんだけれど、実際はあんまり上手くいってなかったようだった。



詳しくは知らないけれど、原因はKの浮気のようだった。






「なんであの人は私だけを見てくれないんだろ?」






オレはエミから時々相談を受けていたんだけれど、その度に、「辛いなら、ちょっと距離を置いてみれば?」とか無難なことしか言えなかった。



というのは、エミが具体的な話をあまりしたがらなかったこともあるし、オレが聞きたがらなかったのもある。



本来なら親身に相談に乗って、Kからエミを奪うくらいのほうが良かったのかもしれないんだけれど、あんまり自分から話したがらないことを聞くのは失礼かもとか思ったり、何よりもオレが、大好きなエミから彼氏の話なんか聞くのは我慢がならなかった。






そんなエミがKと別れたのは半年ぐらい前だ。



どうやって別れたのかは詳しくは知らない。



ただエミは、「もうついていけない」と言っていた。






そのあと本当にエミが、彼のことを忘れられたかといえばそうでもなかった。



エミがその彼のことがすごく好きなのは分かる。



だってオレの目から見てもKはかっこいいもの。



で、かっこいいだけじゃなくて話も上手くて、大学での成績も優秀で奨学金とか貰ってたのかな、詳しくは分かんないけど、まあ漫画に出てくるようなかっこいい青年だった。



笑うと歯が光りそうなそんな感じ。



そりゃモテるわな。








別れた後、見ててやばいくらい辛そうだった。



鬱になって、数日経ってちょっと元気を取り戻したかと思うと、何かの拍子に泣き出すとかそんな感じ。



オレは頑張って慰めたりしたんだけど、正直オレが役に立ってたのかどうか分からない。



こういうのって結局、自分で立ち直るしかないだろうし。






で、エミと付き合うようになったのは1ヶ月ほど前。






「ゆうくんといると安心する・・・」とかベタなセリフを言われて、「オレはエミを泣かせない」とかベタなセリフを言ったりして、いっつも一緒にいるようになった。






セックスしたのは1週間ほど前。



オレがエミの部屋に行って、肉じゃがとか一緒に作ったりして、ビール飲んで、帰りたくなくなっちゃって、エミに覆い被さっちゃった。



でも、これはちょっと失敗だったかもしれない。



事が終わって裸で抱き合ってたとき、「ちょっとゆうくんの目、怖かった」って言われた。



オレはそのとき、男の嫌なとこが出ちゃってたし、エミはそういうのに敏感になってたらしく、もっと彼女が落ち着いてからにしようって思い直した。






でも正直言うと、我慢できるかどうか、自分に自信がないとも思った。



裸でオレはエミの背中に張り付いて、そっと置いた手の平に感じた乳房は、手の平から溢れんばかりに張りがあって、溶けそうなくらいどこまでも柔らかく、胸に感じるエミの背中は温かくしなやかで、すらりとしたエミの足を腿に感じながら、ずっとエミの中に沈み込んでたいって思った。






何日かすぎて、やっぱりエミの体が恋しくなっちゃった。



なんかもうね、禁断症状みたいな感じ。



デート中もずっと勃起しっぱなし。



でも我慢した。



今、やっぱりオレは血走ってるし、そういうので抱いたりしたら、エミはやっぱり傷つくと思ったから。






「ねえ、Kが久しぶりに会いたいって言ってきてるんだけど。ゆうくんも一緒で、Kの彼女も一緒で、4人で遊び行かないかって」






正直いって、オレは気乗りしなかった。



エミもちょっと不信に思ったりもしたらしいんだけど、できればKとは普通の友達に戻りたいらしく、まあ浮気癖さえなければ男にも女にもいい奴らしいし、ひょっとしたらエミに踏ん切りがつくいいチャンスかもしれないって思ってOKした。



Kに会うまでは、普通に振舞えるか心配だった。






でもKはすごいやつだった。



3人相手に分け隔てなくしゃべって、オレの心配を解すように冗談を言ったり、わざと大袈裟にはしゃいだりして、なんか簡単にこっちの内側に入ってくるのね。



またそれが嫌味がなくて。



で、一緒に連れてきた彼女も、名前はミオちゃんって言うんだけど、中性的な容姿のさばさばした娘で、笑いが絶えなくって、オレとかの背中バンバン叩くような娘で、オレも途中から、もういっかって感じで楽しむようになった。






Kとミオちゃんがちょっと席を離したとき、「あの2人、似合ってるね」ってエミが呟いた。






「なんかKくんも、私の関係ないとこで生活送ってんだなって感じちゃった」






そう言ったエミは少し悲しそうだったけれど、なんか吹っ切れたみたいな顔をしていて、「エミにはオレがいるから」って自然に口に出してた。



そしたらエミはすごい笑顔で頷いた。



その笑顔が本当に可愛くて、そっとキスしたら、「今はゆうくんのこと大好きだよ」って言った。






「私、こうやって普通にデートして、普通に手を繋いで、普通にキスするのに憧れてたんだ」






それを聞いて、オレは今日来てよかったなって思ったんだ。



本気でそう思った。






でも事態はその夜、急展開する。






その夜、いったいどうやって目が覚めたんだっけ?



エミとKとミオちゃんと3人で遊びに行って、居酒屋で飲んで、Kの部屋に連れられてまた飲んで、「広い部屋だね」とか「絨毯がふかふかする」とかそんな話をしていて、あんまり記憶がない。



ただ何度か夢の狭間で大袈裟に騒ぐ女の笑い声が響いていた。



たぶんミオちゃんの声だと思う。






次に目が覚めたときは、まるで不安定な斜面に寝そべっているように体がぐらぐらして、平衡感覚がまるでなかった。



思わず手の平で床を支えたくらい。



手には毛の長い絨毯の感触があって、指で固く握り締めたが、握力がまるでなかった。



重力が頬を絨毯に押し付けていて、意識が柔らかさに埋もれている。



部屋はオレンジ色の薄暗い光りに包まれていたが、それが目を開けて感じているのか、目を閉じて感じているのかは分からない。



頭の奥で鼓動と共に光りが点滅して、視界がよく分からなかったのだ。



こめかみの血管が大袈裟に脈を打っている。



喉奥に吐き気を感じ、口を閉じようとしたが力が入らず、舌がだらりと飛び出していた。



泥沼から這い上がるように意識が浮上してくると、辛うじて白熱灯の弱々しい光りを感じることができ、遠くで誰かの呼吸が聞こえていた。






部屋の隅で蠢く人影が朦朧と見える。



エミが床にだらしなく座り込んでいた。



眠っているようにも見えたが、時々ゆっくりと顔を上げてはガクンと前のめりになりそうになったりしていて、まるで上から糸で吊るされている人形みたいに見える。



おっぱいが誰かの手の平に揉まれていて、ゆらゆらと弾んでいる。



エミの顔の後ろにKらしき顔が見えた。



KであってKでないような顔。



少なくともオレが見たこともないような、悪意のないまま悪意を働きそうな、ビニールを貼り付けたような笑顔。






そんな笑顔のまま、エミの顎を引き寄せてキスした。



舌が絡み合うのが見える。



2人とも裸だった。



オレは夢の続きを見ているようで、意識を押し戻そうと弛緩した顎を閉じようとする。



でも顎の力がうまく入らず奥歯がガタガタと震えて、勝手に舌が垂れ下がった。



なんだか体が変だった。



少なくとも経験したことのない酔い方だった。






Kの指先は、エミのおっぱいの上で円を描くように動き、そっと乳首を刺激して、もう片手の指が腹を撫でながらゆっくりとエミの太ももの上に下りて足を開かせた。



エミの秘部が白熱灯の光りを受けてテラテラと光り、濡れているのが分かった。



Kの指先は休むことなく動き、けれどもわざとエミの秘部には触れず、エミは軟体動物のように体をよじる。






「あれ、どうしたのかなエミちゃん?」






Kはにやにやしながらエミの反応を楽しんでいる。



エミはKを睨みつけるが、思うように目に力が入らないのかすぐに弛緩して顔を逸らす。






「乳首、すごく硬くなってるね」






Kはエミを後ろから支えながら首筋や耳に舌を這わせ、まるで彼女を知りつくしているかのように指が体をなぞりあげる。






「エミ、エッチ好きでしょ?」






「そんなこと・・・ないもん」






「無理しなくていいよ、別れた後も俺の部屋に何度か来てたじゃん」






「だって・・・それは・・・Kが無理やり・・・んっ」






Kの指がエミのクリトリスに触れた。



その瞬間にエミは声を上げて体を縮こめた。






「無理やりじゃないでしょ?」






「だって・・・いっつも話があるって・・・んんっ・・・呼び出しといて・・・」






何度か来てたって?



え?オレと付き合ってたときも?



ああ、よりを戻したのかな、よかったね。



いや、そうじゃないだろ。



ここは怒るところじゃないのか。



そういえば今日の酒代って清算したっけ?






なんだか思考が繋がらない。



体の表面が何だか冷たいが、内臓が焼けるように熱く、まるで皮膚が浮いているように感じる。



オレは胎児のように横向きに体を縮こまらせていて、なぜだか裸だった。






自分で脱いだのか?



何があったんだ?



それにしても、ミオちゃんはどこに行ったんだ?



帰ったのかな。



今度はミオちゃんが泣いたりするのかな。



可哀想だな、ミオちゃん。






Kの指は小刻みにエミを刺激する。






「やぁぁあ・・・やめてよもうっ・・・ぁぁぁあああっ」






「でも部屋に来たってことは、こういうのいつも期待してたんでしょ?」






「違うもん・・・んんんっ・・・あん・・・」






「嘘つくエミは嫌いだな」






「ゆうくんが起きちゃうから、もうやめて・・・」






「大丈夫だよ、ちょっとやそっとじゃ起きないよ。それよかさ、あんまりエッチを長引かせてるとホントに起きちゃうよ?」






「じゃあ・・・もう・・・やめようよ・・・彼女いるんでしょ」






「ミオのこと?やつはただの友達だよ、ホントに好きなのはエミだけだよ」






「やめてよもう・・・騙されないかっ・・・らっ・・・ん」






「本当だよ、オレこんなことでしか上手く表現できないけど、エミのことが大好きなんだ」






まだKのことを忘れられなかったのか、エミは一瞬嬉しそうな顔を見せ、でもすぐに顔を伏せた。



Kはもう一度エミを振り向かせ、「好きだよ」と見つめて激しくキスをした。



エミが弱々しい抵抗を見せて口を背けると、「離したくない」とそのままエミを押し倒し、もつれ合いながら強く抱き締め、再び情熱的に舌を絡ませた。



いつの間にか仰向けになっていたエミは、ほとんど抵抗しなくなっていた。



Kの指が膣の中にぬめり込む。






「やっあっ・・・あっあっ」






指の動きは激しさをまし、Kはクリトリスに舌を宛てがう。






「あぁぁぁぁん・・・んっ・・・こんなの・・・はぁ・・・あっ・・・ダメだから・・・はぁ、はっ、あんっ!」






言葉とは裏腹にエミの体は徐々に仰け反っていき、肘を両脇に付けて拳を頭のほうで握り締めている。



肘に挟まれたおっぱいはぷるぷると揺れている。



乳首は硬く尖っていて、口を開いて吐息を漏らし、切なげな表情を見せ、もうすぐ絶頂に達するかに見えた。



少なくともオレはあんなに淫れたエミを見たことがなかった。



エミがイキそうなその瞬間、Kは指の動きを止めた。



眉間に皺を寄せていたエミの顔がふと切なげな表情に切り替わる。



エミの腰はうねうねと動き、Kの指を求めているようだった。






「欲しいの?」






Kはただニヤニヤとエミを見ている。






「・・・いらないもん」






その言葉通り、オレはまだ彼女が抵抗していると信じたかった。






「じゃあ入れなくてもいいから、オレのどうにかしてよ。収まんないと無理やりしちゃいそうだから」






「なんでよぉ・・・あっ」






Kの指が再びゆっくりと動く。






「やめて・・・あっ・・・ん」






指は動きを止める。



エミの波が収まりそうになると、再び動かし始める。



Kはエミをイクかイカないかの瀬戸際まで導きながら、決してイカせようとしない。



エミはもう泣きそうな顔をしていた。






「・・・お願い」






エミは小さく呟いた。






「お願いって何?やめるの、イカせて欲しいの?」






「・・・イカせて」






ショックで目の前が暗くなり、もうやめろよと思うが、言葉が出ない。






「じゃあオレも気持ちよくしてよ」






エミは起き上がるとペニスに舌を這わせた。



舌は裏スジをチロチロと舐めたかと思うとねっとりとペニスを咥え込み、激しく頭を上下に動かし始めた。






クチュ・・・クチュ・・・クチュ・・・クチュ・・・。






だんだんとエミのお尻は高々と持ち上がり、秘部から愛液が漏れ太ももに伝っているのが見えた。



我慢できずにエミは自分でクリトリスを弄り始めた。






「だめだよ、自分で弄っちゃ」






「だってぇ・・・」






甘えた声でKを見つめる。



Kは薄ら笑いを浮かべている。



エミはお尻をくねくねさせている。



もうそこには抵抗しているエミはいなかった。



オレがそばで寝ていることも、きっと忘れているんだ。






「欲しかったらちゃんと言いなよ、ほら」






「また、言うのぉ」






「また」って何だよ。






「エミのぉ・・・おまんこにぃ・・・Kくんのおちんちんをぉ・・・入れて・・・」






オレには、何度も繰り返されたゲームを2人が楽しんでいるように見えた。



オレが一番知りたくなかったエミ。






「じゃあ自分で入れなよ」






エミはKに跨がると、ペニスを自分の秘部に宛てがい、ゆっくりと沈み込んだ。






「はぁぁ・・・」






吐息を漏らすと、エミはクリトリスをKの腹で擦るように腰を前後にくねらせている。






「やらしいな、エミは」






「だってぇ・・・あっ・・・だってぇ・・・うんっ・・・」






Kは下からエミのおっぱいに手をあてがって揉んでいる。



けれど腰を動かしているのはエミばかりで、どんどん動きが速くなっていった。






「はっ・・・あん・・・はっ・・・あっ・・・イッちゃ・・・うん・・・あっ!だめっ!」






エミの腰の動きが止まり、仰け反りつつ軽く痙攣したかと思うと、そのままKの体に崩れ落ちた。



Kの唇に自分の唇を押し当て、舌をめり込ませ、お互いの舌が絡み合う。



Kはエミを抱き締めると、エミも自分から腕を絡ませ、繋がったまま2人は蠢き、上下の体を入れ替え、Kが上になったかと思うと、何度も口付け合いながら、「エミ、可愛いよ」「エミの中、すごいことになってるよ」と囁き、耳に舌を這わせ、その度にエミから吐息が漏れた。






「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」






激しい2人の息遣いが部屋に響き、湿った空気が蔓延している。






よりを戻したんだね、お前ら。



よかったね、エミ。



何やってんだ、オレ。



静かに寝て、ばれないようにしなきゃ。



違うよね、うん、違う。



ここは怒るところなんだ、でも怒ると馬鹿みたいだ・・・。



えっと、なんだっけ?



さっきから同じことを考えてる。






心臓が激しく脈打って頭に響き、勃起したペニスまでドクドクいってる。



オレは信じられないくらい勃起していた。



馬鹿だなオレ。



でも目が離せない。



Kは上体を起こすと腰を動かし始めた。






「あっ・・・あっん・・・はっ・・・やんっ・・・あっ・・・はっ・・・」






腰を打ち付けるたびに、エミの吐息とクチュクチュという猥雑な音が交じり合っていた。



Kはエミの両手を掴むとおっぱいを挟むように引っ張り、腰の動きを速めた。






「やぁあ・・・それ・・・気持ち・・・いぃ・・・んぁ・・・はっ・・・ああぁあ・・・はっ・・・やっ!当たるの・・・当たるのぉ!すごっ!いぃ!あぁあぁっぁ!」






自身の両腕に挟まれた豊かなおっぱいは激しく波打つように揺れ、乳首は信じられないくらい硬くなっている。






「エミのおっぱいすごいねぇ、ぷるぷるしてる、久しぶりに見たよ、ゆうくんにも揉まれたの?」






「知らない・・・」






「知らないわけないだろ」






「やぁ・・・なんでぇ・・・そんなこと・・・はっ・・・ああぁん・・・聞くのぉ」






「やったのか、やってないのか、どっちなんだ?」






「あんっ・・・一度・・・だけ・・・」






「そっか、じゃあお仕置きだな」






Kはエミの腰を掴むと再び激しく動き始めた。






「あぁぁああ!だめぇぇえ!イッちゃ!あああぁ!」






「おら、彼氏とどっちがいいんだよ、言ってみろよ」






「あん!こっちの!んはっぁ!ほうがいいぃぃぃいいいい!ああぁ!」






エミは腰を浮かせ仰け反り、顔を激しく左右に振りながら絨毯を強く握り締めた。



噴出す汗が光りを受け、全身を浮かび上がらせていた。



そのとき扉が開く音がして、誰かが部屋に入ってきた。






「もう、激しいな、お風呂場まで聞こえてたよ」






ミオちゃんだった。






「ミオ、相変わらず風呂長げーな」






「風呂だけじゃないよ、コップとか洗ってたもん」






ミオちゃんはバスタオルで短い髪の毛をばさばさと拭きながら部屋の中央に立って、繋がったエミ達を見ている。



ミオちゃんも裸だった。



細く引き締まった背中とお尻が白熱灯に照らされて光っている。






「すごいおっぱい、いいなエミちゃんは、私なんかこんなだよ」






ミオちゃんはエミを見ながら自分の手を胸にあてがって、上体を左右に振っておどけて見せた。



横を向いたときに微かな膨らみが見えた。






<続く>