朝礼のあと、新人保険外交員の娘は、地域担当の前任者からリストを渡された。






その前任者が契約獲得件数の最多記録保持者であることを娘は知らされていた。



渡されたリストには、住所、氏名、訪問日時と、その横に『印し』が記入されている。



「それ。◯印が付いてるのは、脈ありよ。×は、だめね。多分」



「この◎印は、どういう意味なんですか?先輩?」






「アタシが担当なら今月中に契約が取れてた筈の、お客様」






昇進して本社勤務が決まったという前任者は、謎めいた笑みを浮かべると「ま。頑張りなさいね」と、娘に言い残していた。






研修期間が終わってすぐに配属が決まった娘は、まだ当地の地理に不案内であった。



前任者に渡されたリストを頼りにして、ビラを配って一軒一軒と訪問していった。



その成果は上々であった。



配属されて最初の1ヶ月で契約件数の上位に食い込んだ。



◎印の効果だった。



新人ながら効率よく新規契約を獲得することができていた。






しかしながら2ヶ月目に入ると、リストの◎印も残り少なくなってきた。



改めてリストを最初から見直していると、娘は印を一つ見落としていたことに気付いた。



◎印が掠れていたため見過ごしていたのだ。






それは前任者の悪戯だった。



新人の娘が、訪問してはいけない相手だった。






最初の1ヶ月で、娘もリストの要領は分かってきていた。



訪問日時通りに行けば「留守」であることは少ない。



契約が取り易かった。



朝から夕刻まで◯印を訪問して回った。



やはり◎印に比べると手応えは薄い。



掠れた◎印の訪問日時には、夕刻過ぎの時刻が記入されている。



勤務時間外だった。






娘は事務所に「直帰します」と連絡を入れてから、◎印へと向かった。






そのアパートに着いた時には、外はもう夜になり始めていた。



訪問日時通りだった。






「こんばんわ」とノックをする。






「どちらさん?」






戸の内側から室内にいた男の声が返ってきた。



どこか不機嫌そうな声。






「◯◯生命の、小林ユカと申します」






相手の顔が見えない事でいつもより少し緊張していた。






「この度、こちらの地区の担当になりましたので、ご挨拶に伺いました」






なんとか、いつも通りにちゃんと言えた。



ほっとした。






「あぁ保険屋さん。ちょっと待ってくれる?」






暫らくしてようやく戸が開く。






「まぁ立ち話もなんだから。上がって」






薄汚れた中年のオヤジだった。



でも、◎印だった。






ユカは一瞬躊躇してから、後ろ手に戸を閉めた。






部屋の中に案内されると、ちゃぶ台の上には一枚の契約書が置いてあった。



8畳ほどの一部屋。



さっき片付けたらしい布団が片隅に寄せられていた。



ちゃぶ台の上の契約書に注がれているユカの視線を知ってオヤジはほくそ笑んだ。



部屋の中が多少汚れている事にも、今のユカには気にならないようだった。






ちゃぶ台の上の契約書が概ね記入済みであるのを見たユカは内心喜んでいた。






「前任者から、ご契約についてお話しは伺ってらっしゃるとは思いますが」と、冷静を装って言った。






◎印でも詰めを誤っては元も子もない。






「うん。聞いてるよ。だいたい書いたけどね」






そっけなくオヤジは話しながらビールをユカに薦めた。



ユカは無下に断ってはこじれると思い、薦められるままコップのビールを飲み干した。






「ぉおっ?いい飲みっぷりだね~。強いの?イケるクチか?」






「いいえ、それほどでも。普通ですよ」と、ユカは答えたが、自分では“けっこう強いほう”だと自負していた。






娘の知らないところで“落とし穴”が大きな口を開き始めていた。






「独りで飲んでててもツマんないからサ。ちょっと付き合ってよ。契約するからさ」



「わかりました。構いませんよ。宜しくお願いいたします」






契約の件については、さりげなく念を押すことを忘れなかった。






2杯目からは、徐々に飲み干すペースがあがっていった。



オヤジも酒は強い。






「ビール終わりですかぁ?」






もう終わりだろうと空き缶の山を見やってユカが言う。






「うん、ビールは終わりだ。でも、ビールだけじゃ足りないだろう??」






オヤジの酔った目がユカを挑発する。



もうすぐ契約書をもらって帰れる。



あと少しだわ。






台所から持ち出した一升瓶が二本ちゃぶ台の脇に置かれる。



一升瓶は日本酒と焼酎と見える。






「さぁさ、もうちょい付き合ってもらおうか?」






「付き合うけど、酔いつぶれる前にハンコ押してくださいよ?」と、ユカは余裕の表情を見せた。






ふらふらとユカに酒をつぐオヤジの手元を見て、もう一息のところまで来ていると思った。



オヤジは酔った目つきをしてはいたものの、それほど酔ってはいなかった。






勢いに乗って酒を飲み干す白いノドを、オヤジは淫猥な妄想に重ねてじっと見つめていた。



自分では酒が強いと思っていた娘だったが、オヤジの酒豪ぶりには遠く及ばなかった。






ユカが酩酊する頃合を見計らったオヤジは、ジャンケンで勝ったら印鑑を押すと持ちかけた。



五回勝負で、負ければ服を一枚脱ぐのだと言われてもユカは迷わずに勝負を受けてしまった。



ユカの三連勝で始まったジャンケンは、すぐにオヤジが巻き返して三勝三敗になった。



オヤジが後出し気味のイカサマをしても、ユカは気付けないほどに酔っていた。






「うはは!また、勝った!!さぁ、どっちだ?ブラか?パンティか?どっちを脱ぐのかな?」






酩酊状態のユカは、背中に手を廻すとホックを外してブラを脱いだ。



どこかに羞恥は残っているらしく、片手を胸元にあてがい乳頭を隠そうとしていた。



耳たぶは真っ赤になっていた。



それでも、まだジャンケンをやめる気はないようだった。



オヤジが手を突き出すと応じてゆく。






「勝ったぁー!さぁさぁ、立って脱いでよ。最後の一枚。うはは!」






勝てる見込みのない勝負に敗れたユカは、ふらふらと立ち上がるとショーツを脱ぎ下ろした。






白い股間、ふっくらした恥丘のあたりに淡い茂みがあり、可愛らしく閉じた陰門が見える。



横から見ると平たい肢体はキレイな曲線を描いており、正面からみた曲線も申し分ない。



秘所を手で隠して恥らうユカを、オヤジはニヤニヤ笑いながら見上げていた。






「あと二つ勝てばハンコ押すけど。まだ、やるかい?」



「・・・やります」






「もう、脱ぐものないの、わかってる?」






ユカは黙って頷いた。



もう、賭けるものがない。



それは分っていた。






「じゃあ、こうしよう。オレが勝ったら1分間・・・」






オヤジは彼女の肢体を自由にできる時間を賭けさせた。






罠に深く嵌まり込んだことに気付かずにユカは勝負をうけ、当然のように敗れた。






「時間を見ててくれよ。じゃあ、立って。手で隠すなよ。そうそう・・・」






乳頭にしゃぶりつきながら1分間オヤジはユカの乳房を捏ねて愉しんだ。






ジャンケンに負けるたびにユカの乳頭はツヤツヤと尖り膨らんでいった。



乳頭を舌先で転がすオヤジの指先は、広げられた股間でうごめき秘裂を弄んでいた。



五連勝した後でオヤジは、そろそろゲームを終わりにしようと持ちかけてきた。






「次から・・・1勝したらハンコ押してやるよ。その代わり・・・時間は倍々だ。いいか?」






ユカの白い肢体がオヤジに組み敷かれ犯されるのは、もう時間の問題だった。