たぶん気のせいだと思うのだが、むんとした牝の匂いが鼻を突く感覚にオレは理性を失ってしまった。



唇を裂け目に口づけ、そして夢中でしゃぶりつく。



舌先をねじ込み、肉襞をかき分けて舐め、ねぶり尽くす。






「うんぅ・・・っ」






ビクンとサチコさんの身体が跳ね、反射的に太ももがオレの顔を挟み込み、締め付ける。



最初の内はオレの口から漏れる唾液だけだったのだが、徐々にかすかな酸味と塩気の混じった何かがオレの口の中を満たすようになっていた。



舐めるうちに硬くしこっていくクリトリスに舌先を集中する。



弾いては突き、そして転がす。






「あっ・・・んんぅ」






サチコさんの呻き声が、だんだんと熱を帯びたものに変わっていくのが分かった。



押し★すようなくぐもった呻き声と、しかし隠しきれない荒い息遣い。



時折、痙攣にも似た鋭い震えがサチコさんの身体に走る。






(本気で感じてんのかな・・・?)






経験値の低さは当時のオレに答えを与えてはくれなかった。



女体の本気の反応など、当然のように知らなかった。



が、漠然と伝わる感触に後押しされて、オレは一層熱心にサチコさんの裂け目を責め続けた。






「んんーっ」






そのうちにひときわ鋭くサチコさんの身体が跳ね、そして力の入った呻きが長く伸びた。



腰が浮き、幾度か震えた後、糸が切れた人形のようにくたっとなるのが分かった。






「はぁ・・・」






ややあって、大きく吐息を漏らしたサチコさんが顔を真っ赤にして恥ずかしそうにオレの方を見るのが分かった。






「アンタ舐めるの上手やなぁ。才能あるわ」






とろんとした表情のサチコさんにそう言われると嬉しくないわけがない。






「そうっすか?必★やったんすけど・・・」






涎にまみれた口元を手の甲で拭って、オレは一息ついた。



どうやらサチコさんがイッてくれたらしいと分かって、なんとも言えない充足感のようなものが込み上げてくる。






「気持ち良かったよ・・・。彼女ができても今みたいにちゃんとしたげや」






よろよろと身体を起こすと、サチコさんは少し乱れた髪を掻き上げた。






「アンタのんも、カチカチやん・・・」






そう言うなりサチコさんはオレの股間に顔を埋めた。



四つん這いの姿勢で、ぱくんと隆起したオレのモノを咥え込んだ。






「あっ、ううっ」






温かく、ねっとりとした何かに包み込まれ、そして柔らかな、しかし意志を持った塊が這い回る感触の心地良さに思わず声が漏れた。






「んっ・・・ふふっ」






鼻から抜けるようなサチコさんの吐息がオレの股間を包み込む。



オレとは違って、的確かつ熟練された舌の蠢きがもたらす快感に、オレのイチモツはさらに硬度を増していった。



サチコさんの口の中で、絡みついて泡だったサチコさんの唾液が淫靡な水音を奏で始めた。






「くうう・・・」






気持ちよさに堪えきれず、どうしても声が出てしまう。






「あっ、ヤバイっす、イキそう、ああっ」






我慢など出来るはずがなかった。



オレの呻きに一瞬ぴくんと動きを止めたサチコさんだったが、おかしそうに目で笑うと続けて責められていた。



放尿にも似た、しかし比べものにならない迸るような快感とともに、オレのイチモツはその精を何度も吐き出していた。



サチコさんの口の中に。






「んぅ・・・」






吐息混じりに呻きが漏れ、一瞬の脱力感に自然と目を閉じていた。






「んくっ・・・やっぱり若いなぁ・・・。さっきしたばっかしやのに、もう回復してるやん」






喉を鳴らしてオレの放った精を嚥下したサチコさんは満足げにそう囁くと、唇の周りを枕元のティッシュで拭って一笑した。



唾液と精にまみれたオレのイチモツに舌を絡め、ぱくりと咥え込んでねぶり取ると、つんつんと指先で突く。






「まだ、元気やなぁ・・・ふふっ」






ぺたんとお尻から座り直したサチコさんは、内股気味に膝を立てた姿勢で両手を拡げてオレを招いた。






「おいで・・・。私もアンタのんが欲しいわ」






うっとりとそう言うサチコさんの視線が淫蕩な輝きを放っている。






「うん・・・」






オレとサチコさんは完全に淫靡な空気に支配されていたのだった。



膝立ちでサチコさんに寄っていくと、オレはサチコさんの両膝を割り拡げた。



自分の手でイチモツを掴み、そしてサチコさんの裂け目に宛てがうようにする。



拡げられたサチコさんのそこは、さっきオレが舐めたとき以上に濡れ、そして輝いて見えた。






「めっちゃ・・・濡れてますやん、おめこ」






オレがそう囁くとサチコさんは微かに赤面した。






「そうや・・・男の人のん舐めたらな、私かって興奮すんねん」






早口でそう言って顔を伏せ、上目でオレを見つめる。



その言葉に全身が熱くなる。



オレはサチコさんを見つめたままイチモツをぐっと押し込んだ。






「んんぅ・・・あっ」






予想以上にサチコさんのそこは濡れていた。



ほとんど抵抗感の無いまま肉と肉が擦れあい、絡みつく。






「くうん・・・っ」






こぼれたサチコさんの吐息がさっきよりも大きい。



オレの首に抱きついていたサチコさんの手に力が入るのが分かった。



その重みに負けてサチコさんを押し倒す形になった。






「はぁ・・・」






温かな肉に包み込まれぎゅっと締められる快感にオレも声を漏らしていた。






「めっちゃ・・・気持ちいいです、めっちゃ」






うわ言のように囁きながら、オレは抽迭を開始した。



絡みつく肉に押し出される感覚に抗うように、ぐっ、ぐっ、とサチコさんの奥底に突き立てる。






「ぁあっ、あ・・・ぁ、ぁ、ぁんっ」






恥じらいからなのか、漏れる声を押し★そうとするサチコさんだったが、我慢しきれず、時折声のオクターブが上がってしまう。



身をくねらせ、しかしオレに抱きつく力が強くなっていく。



肌と肌がより密着し、熱を帯びた体がさらに熱を増す。



接合部からこぼれるぬめり気をかき混ぜる音が徐々に大きくなっていった。






「あぁんっ、あっ・・・んんぅぅ」






漏れる声を、下唇を噛むようにして抑えるサチコさんの切ない表情が見えた。



その時、なぜそうしようと思ったのかはよく分からないが、オレは繋がったままでサチコさんの唇に唇を重ねた。






「・・・ぁ、んっ、んんぅ・・・」






無理やりに唇を合わせ、舌先をねじ込んでいく。



苦しげなサチコさんの呻く吐息が、オレの唇の中にも入り込んでくる。



抽迭を止めないまま舌先を舌先に絡めていく。



それに応えるようにサチコさんも舌を絡め、そして2人で夢中で吸い合った。






「んっ、ふぅん・・・んっ」






「んくっ、んっ、んっ、んーっ」






オレとサチコさんの呻きが絡みつき、そしてひとつになっていく。



息苦しさからなのか、痺れるような感覚が全身を走る。



次の瞬間、オレとサチコさんが繋がっている辺りから、それまで経験したことのなかった感覚が、なんて言うのかな、爆発するって感じだろうか。



快感が膨れあがって、それに全部が取り込まれたようにも感じた。






「んぁ、ああっ・・・」






「んはっ、ああっ、あ、あ、あんっっ!」






いつの間にか重ねていた唇が離れ、オレもサチコさんもほとんど絶叫に近い呻きを漏らしていた。



鋭く、何度も身体が震える。



そして、あの放出感が全身を駆け巡った。



視界が一瞬真っ白になる。



滲んだ汗が額から顔を伝い、ぽとんと落ちる感覚があった。






「ふぁ・・・ぅ・・・ん」






「ふぅ・・・っ」






全身の力が抜け、唇から自然と吐息が漏れた。



しばらくそのまま繋がっていた。



すっと視界が開けてきて、ぐったりとしたサチコさんの顔をぼんやりと眺めていた。



ピクン、ピクンと時折身体を震わせ、上気した肌を薄いピンクに染めたサチコさんはとてもきれいで、そして何よりもエロかった。






「・・・なぁ。大人のエッチをした感想は?」






体液で汚れた下半身を処理した後、ごろんと横になったオレにまとわりつくように寄り添ったサチコさんは、オレの肩に頬を乗せてそう囁いた。






「なんか・・・めっちゃ変な感じです。悪い意味じゃなくて、その・・・」






どういう風に答えればいいのかすぐ言葉にできなくて、オレはもごもごと言った。



なんとも言えない高揚感と達成感を上手く伝えられないもどかしさに困惑していると、サチコさんはクスクスと笑って、うっとりと目を閉じた。






「本気のエッチって気持ちええやろ・・・。私も久しぶりやわ」






その表情にオレはなぜか感動して、訳も分からずサチコさんの身体をそっと抱き締めた。



自然と頬と頬が当たり、その柔らかさとくすぐったさに笑いが込み上げた。






「ふふっ。なぁ、キス、して」






「うん」






身を起こしてオレはサチコさんの唇に唇を重ねた。



そのままなんとなく一緒に寝て、朝になるとオレとサチコさんは近所にあった喫茶店でモーニングを食べ、そして別れた。






「・・・また遊びに行きますね」






「アカンで。ちゃんと大人になってから」






そう言ってサチコさんはいたずらっぽく笑うと、手を振ってバイクに跨がるオレを見送ってくれた。






「わかってますって」






オレも手を上げるとバイクを発進させた。



ミラーの中のサチコさんは、しばらくオレを見送ってくれていた。



だんだんと小さくなるサチコさんの姿をオレは今でも忘れられない。






その後3ヶ月ほどして、どうにか中型免許を取ることができたのだが、間抜けなことにRZ50で右折事故を起こしてしまい、オレは脚を骨折。



3ヶ月ほど入院する羽目になった。



RZは廃車になってしまったので、夜に出歩く足もなく、事故の保証金はあったけど、学校やら何やらで忙しく、次のバイクもなかなか買えないままだった。






そんなこんなで色々とあって、オレもサチコさんの所に遊びに行くどころではなくなってしまった。



結局、オレは再びバイクに乗ったのは高校を卒業できることが決まってからだった。



別にバイクが無くったってチャリでも良かったのだけど、ガキのつまらないプライドがあって、せっかく取った中型のバイクで行きたかったのだ。



本当はRZが欲しかったところだが、違う先輩の知り合いからSPレーサー崩れのぼろぼろのTZRを安く売ってもらうことになって、オレはまたしても親に嘘をついて夜の街に出かけた。






初めて行った時と街の雰囲気はまるで変わっていなかった。



今度は目指す場所が決まっているので、やり手婆ぁどもの声には目もくれず、サチコさんとこの婆ぁがいた辺りを真っ直ぐに目指した。



だが、そこにはまるで違う婆ぁが客引きをしていた。






「お兄ちゃん、遊んでいかへん」






声を掛けてくる婆ぁに、前に会った婆ぁのことを尋ねる。



だが、返ってきた答えはオレを失望させるものだった。



あの婆ぁは、ずいぶん前に店仕舞いしたのだった。






サチコさんのことも聞いてみた。



婆ぁが店仕舞いする少し前に、この仕事を辞めて田舎に帰ったらしいという話だった。



それ以上の消息は分からない、とも。






結局、その日はその婆ぁのところで遊んだのだが、あのサチコさんとの時のような盛り上がりもなく、それ以降オレは新地に遊びに行くこともなくなった。