私は今年の春まで海外勤務をしていました。



その赴任中に体験した恥ずかしいことを書こうと思います。






私が赴任していたのは、いわゆる先進国ではありません。



望んだ海外赴任ではありませんでしたが、私の仕事は上司とセットの部分がありますので、やむなくついて行ったような感じでした。



何かと差し支えるところもありますので、詳細については書くことができません。



欧米圏でもアジア圏でもない所とだけ申し上げておきます。






基本的には、ずっとその国の首都にいました。



首都とはいっても、あらゆる面で東京とは比べ物になりません。



最初のうちは、その生活環境になかなか適応できず苦労の連続でした。



特に、食べ物が合わないのか、水が合わないのか・・・。



恥ずかしい話ですが、赴任してからの数ヶ月は常に便秘に悩まされていました。



3~4日便通がないこともざらで、日本から持っていっていた薬などすぐに使い切ってしまいました。



そんなこともあって現地の診療院を利用することが何度かありました。



向こうは結構アバウトです。



医師に便秘である旨を伝えると、割と簡単に薬を処方してもらうことができました。






あるとき、私たちはその国の北側の地方に行くことになりました。



調査の関係で、車で行くしかない地域です。



私たちが拠点にしていた首都からは、丸1日の移動でした。



まるで辺境の地を思わせるその町(村?)に、約2週間の滞在予定です。






仕事自体は順調に進んでいました。



私自身は上司の補佐をするだけですから、たいした仕事ではありません。



でも・・・この地に来てから、私はまた便秘に悩まされていました。



あいにく薬も切らしてしまっています。



まだ1週間以上ここに留まることを考えれば、薬を処方してもらいたいところでした。



泊っていた宿泊所(ホテルというほど立派なものではありません)の人に、町の診療所を紹介してもらいました。



上司の許可をもらって、車を使わせてもらえることになりました。






教えてもらった診療所を1人で訪ねます。



舗装などされていない道路・・・そして畑だらけの道を抜けた先に、その診療所はありました。



地方の過疎の町です。



ある程度予想はしていましたが、実際に行ってみると、そこはびっくりするぐらい簡素なところでした。



まるで小屋のようなその診療所・・・。



戸惑いながらも建物の中に入ります。






内扉を開けて入ると・・・。



そこは、さほど広くもない四角い部屋でした。



受付などはなく、入口近くの両壁沿いに長ベンチが置かれています。



私が中に入ると同時に腰かけていた5~6人が一斉に私を見ました。



その視線に圧倒されてしまい、みるみる不安でいっぱいになります。






受付など、どこにもありません。



部屋の中に、カーテン式のパーティションで区切られているところがあるだけでした。



どうしていいのかわからず、おろおろしてしまいます。



そんな私の様子を見兼ねてくれたのか、ベンチの1人がカーテンの向こうに声を掛けてくれました。



パーティションの横からひょいと男の人の顔が出て、私を見ます。



私がその人に下手な英語で言いかけると・・・。






「Take your seat,and wait your tumplease」






早口でそう指示されました。



そして、またすぐに顔を引っ込めてしまいます。



ほっとしました。



今の人がお医者さんです。



私はこちらの言葉はほとんどわかりません。



特にこの地域に来てからは、英語が通じないことも多くて苦労していました。



でも、あの先生には私のカタコト英語がなんとか通じそうです。






とりあえず長ベンチの空いているところに腰かけました。



日本の病院とは大違いでした。



受付がないどころか、診察室と待合室の区別すらありません。



カーテン式のあのパーティションが、ただ衝立になっているだけです。



その衝立だって、一応置かれているだけという感じでした。



長さがありませんから、先生の机や診察ベッドの端が見えています。



実際、向こう側の診察の声も丸聞こえでした。



何を言っているのか私には理解できませんが、こっちで待っている人たちに会話が筒抜けです。



でも、この人たちにとってはそれが当たり前のようでした。



みんな平然としています。






日本人である私は完全に浮いている感じでした。



順番待ちしている周りの人たちが、結構じろじろと見てきます。



さすがに東洋人の女を見たことがないとも思えませんが・・・まるで観察するような目で私を見ています。



視線に悪意を感じることはありませんが、なんだか注目されているような気がして落ち着きません。






(早く順番が来ないかな)






長ベンチに腰かけながら、ついつい衝立の向こうが気になってしまいます。






「◯×△◯×△・・・」



「△◯□、△◯×□・・・」






女性の患者さんと先生とのやり取りが続いています。



衝立は3枚のパーティションが連結しているようなタイプでした。



連結部の隙間から、その女性の赤い服がチラチラ動いて見えます。



しばらくして衝立の向こうからその中年の女性が出てきました。



待っている人たちに、一言声をかけて帰っていきます。



みんなも、にこやかに言葉を交わして見送っていました。



小さな町の診療所です。



私の目にはとても簡素に映っても・・・この人たちにとっては、ここがかけがえのない医療機関なのだと実感します。






衝立の向こうから先生が顔を出しました。






「△×◯□△×・・・」






ベンチに腰かけていた白髪のおじさんが立ち上がります。



衝立の向こうへ歩いていきます。






「◯□×△□・・・」



「△×◯×・・・」






診察が始まったようでした。



長ベンチの隅が空いたので、私はそちらに移動しました。



さっきよりも衝立の向こう側がかなり見える感じになります。



おじさんの置いた荷物・・・。



診察ベッドも三分の一ぐらいまで見えてしまいます。






「◯×△□・・・」



「△×◯×□×△・・・」






聞こえてくる声を耳にしながら、みんなぼけーっと自分の順番を待っています。



もう私のことを見る人はいなくなりました。






それにしてもお国柄というのか・・・。



何もかもがアバウトです。



順番待ちの人が診察の途中でも勝手に衝立の向こうに入っていきます。



先生と、ちょっと言葉を交わして、またベンチに座る・・・。



そんなことも当たり前のように何度もありました。






さっきのおじさんが診察ベッドに腰かけたようです。



座った場所が端っこだったので私と目が合ってしまいました。



申し訳ないと思って、すぐ目線を床に落としますが・・・。



向こうは気にしている素振りはありません。



脇に体温計を挟んでいるようでした。



すると・・・先生が衝立の向こうから顔を出しました。






「◯△△×◯・・・」






長ベンチから初老の女性が立ち上がります。






「×△◯×□△・・・」



「□◯△・・・□×◯・・・」






おじさんがまだ向こうにいるうちに女性との診察の声が聞こえてきます。



ちょっと驚きましたが、周りに不思議な顔をしている人はいません。



みんなは相変わらず、ぼけーっと自分の順番を待っているだけです。






先生はときどき衝立の向こうから姿を現します。



棚の引き出しのようなところから薬を出したり、ステンレスの移動台の上で作業したり・・・。



先生1人しかいませんから、とにかく忙しそうでした。



女性の診察が先に終わったようで帰っていきます。



しばらくしてから白髪のおじさんも診察を終えて出ていきました。






「×△□△・・・」






次のおじいさんが先生に呼ばれます。



診察を終えて帰って行く人もいれば、新たに訪れて来る人もいます。



新しく人が来るたびに、私はじろじろ顔を見られました。



もともと気弱な性格なことも相まって、いちいち委縮してしまう自分がいます。






結局、どれぐらい待ったでしょうか。



やっと私の順番が来ました。



先生が顔を出して、私に声をかけます。



ちょっと緊張しながらも立ち上がりました。



パーティションの向こう側へと回り込みます。



丸椅子に座るよう指示されました。



先生と向かい合って診察が始まります。






最初に日本人であることや、泊っていた宿泊所でここを紹介されたことなどを伝えました。



私の拙い英語にも先生は一生懸命に耳を傾けてくれます。



若い先生でした。



30歳ぐらいでしょうか・・・よく分かりません。






そして本題に入ります。



苦しそうな顔でお腹を擦るジェスチャーを交えながら、先生に便秘を伝えました。



先生は『わかった』という顔で、私に服を捲くるように指示します。



シャツを捲り上げて、お腹を出しました。



先生の手が私のお腹をぎゅうぎゅう擦ります。



温かい手でした。



パンツの中にまで手が入ってきて、お腹を触診しています。






「OK」






先生が立ち上がりました。



部屋の中にいくつもある棚の引き出しのひとつを開けています。






(良かった)






薬の処方がはじまるのです。



これでようやく私もこの便秘から解放されます。



そう思いました。






でも・・・。



先生が棚から出したのは薬ではありませんでした。



注射器のような形をしたガラスの瓶です。



目を疑いました。






(え、それって)






嫌な予感がします。



私は固まったまま動けずにいました。






(ウソ・・・まさか・・・浣腸?)






どっと冷や汗が噴き出すのを感じました。






(ウソでしょ・・・?)






焦りました。






(薬をくれればそれでいいのに)






でも、先生になんて声をかけたらいいのかわかりません。



頭の中が真っ白になって英語が出てこないのです。



ステンレス台の上で何かを準備している先生の後ろ姿・・・。



樹脂のケースのようなものを使って、何か湯せんしているように見えます。






覚悟が決まったというか・・・。



頭が現実を受け入れようとしはじめていました。



たぶんあれは間違いなく浣腸です。



私には初めての経験でした。



ですから漠然とした恐怖感があります。



でも・・・便秘に浣腸が効くだろうことぐらいは素人の私にもわかりました。



それに、何よりも・・・。






(この辛さから解放されるなら、それで楽になれるのなら)






という思いもありました。



丸椅子で身を固くしている私の前に先生が戻ってきます。



先生にとっては、あくまでも患者の治療です。



当然のことですが無表情で淡々としていました。






言われた通りにチノパンを下ろします。



先生に、「下は全部脱いで、そのカゴに入れなさい」と指示されました。



ショーツも脱いで下半身裸になった私に、ベッドに横たわるよう先生が促します。



相手はお医者さんです。



恥ずかしいなんて言っていられませんでした。



言われた通り、診察ベッドで仰向けになります。






先生が、私のお腹に手のひらを当てました。



その温かい手のひらが、圧迫するようにお腹を押さえます。



張り具合を確かめているような感じでした。



そして、今度は体を横向きにするよう指示されます。



指示通りに横向きに寝そべると・・・。






(あっ)






待合室の長ベンチ・・・。



その端っこに腰かけている男の人の姿が見えてしまいました。



さっき私が座っていたのと同じ場所です。



向こうの人も、私の顔を見ています。



自分と同年代ぐらいの無精ひげの男性でした。






(見ないで)






衝立がありますから、あの人には私の上半身しか見えていません。



でも、今の自分のこんな不安な顔を見られるのは嫌でした。






(こっちを見ないで)






先生が薄いビニールのような手袋をつけています。



そして、ゼリーのようなものを指先にすくい取ったのが見えました。



何をされるのかわからずに、また不安でいっぱいになります。



先生がベッドの反対側に回りました。



両手でお尻を掴まれます。






(ああ)






結構な力で、お尻の穴を広げられていました。






(や・・・恥ずかしい)






次の瞬間には・・・。






(ああっ)






先生の指が私の肛門をなぞりました。



ゼリーのようなものを塗りつけられます。



長ベンチの無精ひげさんと目が合いました。



ずっと私の顔を見ています。






(こっちを見ないで)






あの人に見えているのは私の顔だけです。



お尻に何をされているのかは見えていません。



それでも、今のこの顔を見られることに羞恥心でいっぱいでした。



先生に肛門を弄られています。






(そんなとこ・・・恥ずかしいよ・・・あっ)






指先が、お尻の穴の中にまで押し入ってきます。






(ああっ、ちょっと・・・あっ・・・ああっ・・・)






肛門に指を入れられたまま、まるでマッサージするみたいにグリグリされました。






(イヤあ)






こんなの初めての体験です。






(あああ)






お尻の穴に入った指の動きに涙が出そうでした。



顔をしかめずにはいられません。



それなのに・・・無精ひげさんが、ますますじっと視線を向けてきています。






(見ないで。あっち向いててよ)






味わったことのない違和感に耐えながら心の中で必★にお願いします。



お尻の穴から先生の指が抜かれました。



作業台に戻って行く、その背中を目で追います。



内心、ショックで泣きそうになっている私がいました。



でも先生は違います。



お医者さんらしく、てきぱきと準備を進めています。



あのガラス瓶を手にして、何か調整しているのが見えます。






(ああ、いよいよだ)






<続く>