家に一日中居るのがイヤでした。



子供から手が離れ、少しは自分の時間を持てるようになって、そう感じるようになりました。



口実は何でもよかった。ただ外に出たかった。



一応もっと漏らしい理由をつけて主人に外で働きたいと言ってみました。






意外にも主人は、






「まあ、いいだろう・・あまり遅くなる仕事はダメだぞ」






主人の許可を得て、友達の紹介でファミレスのパートを始めました。



時間は10時から3時までと言う条件でした。






高校を出て、2年間だけ働いた事はありますが、42才の今まで外で働いた経験がありません。



言い換えれば、人との接触も主人以外はあまり無かったと言う事でした。



そんな私です。






そのお店で私は一人の男性と知り合いました。



年齢は私よりひと回り下の30才。



そうです、その店の店長でした。



新人の私に色々親切に指導してくれて、彼の中に主人には無い優しさを見出していました。






ある時、仕事で粗相をし、お客様を怒らせてしまう出来事がありました。



烈火の如く怒鳴り散らすお客様の前で、如何していいか判らないまま、私は泣き出したい心境でおりました。



そんな私に援助の手を差し延べてくれたのが彼でした。






「気にしなくていいですよ・・あの男は常習ですから。運が悪かっただけだから、あまり深く考えないで下さい。辞めるなんて無しですよ」






その出来事は私の心の中に大きく残りました。






翌日、彼にその時のお礼のつもりで、家で煮た手料理を差し上げました。



独身の彼は家で自炊をしているのです。



その時の足しにでもと思ったことでした。






「アッ、すみません、こんな事してもらって・・有難いです。助かります。最近手料理を食べていないもので」






彼が何気なく言った言葉でした。






私は先日の出来事で何かお返しをと言う気持ちがありましたので、






「手料理ならいつでも言ってください。いくらでも作って差し上げますから。料理なら少しは自信があるんですよ」






そう答えてしまっていました。






それがきっかけとなって、ある日、私は彼の家におりました。



彼の休みに合わせて私も仕事を休み、主人には今日の事を内緒にしておりました。






「久しぶりです、こういう料理を味わうのは・・・。お袋の味・・アッ、すみません、そんなつもりじゃ・・」



「構いません、小母さんですから・・もう」






彼が心使いを見せてくれました。






「そんなことないですよ、素敵ですよ・・」






2人の間に妙な間が空きました。






お互いが急にお互いを意識したというのでしょうか?



彼が私を・・そんな風に見てくれている・・私の心が・・不意に軽くなったのです。



彼も私の変化を見て取ったようです。



彼の手が私の手を取っていました。



その手を思い切り引くと、私は彼の胸の中に。






「店長、いけない・・いけません・・」



「好きだった・・ずっと前から・・」






彼が熱く語りかけてきました。






心が動きました。



こんな甘い言葉を受けたことがありません。






「私には主人が・・・」






私の言葉を遮るように彼の唇が私の唇を塞ぎました。






スーッと意識が薄れていくような感覚に包まれました。



頭の中では「いけない・・いけない・・」その言葉を何度も何度も繰り返していたのです。



しかし、一度点いた火は容易に消す事は出来ませんでした。



私は彼の手の中のありました。






「・・いいでしょう?」






彼の誘いに私は答えることは出来ませんでした。



頭の中が真っ白になっていました。






まさかこの様な事が・・・。






思ってもみなかった事が私の身の上に起こっていました。



しかし、身体は彼の腕の中で自由を奪われている状態でした。



逃げるどころか・・思いがけない出来事に戸惑っているのが正直なところです。



今、自分の身に何が起きようとしているのかを理解するまで少し時間が掛かりました。



やっとの事でそれを理解した時、彼の唇が・・・。






(ウソ・・なんで・・なんでこんな事が・・)






42才のこの年まで、主人以外の男性とこの様な事は無縁でした。



テレビのドラマの中だけの事、その程度の認識しか持ってはいませんでした。






(ダメ・・こんな事いけないわ・・主人に知られたら・・)






初め、そう思いました。



でも・・彼の唇が私の唇を優しく吸い上げてくると・・。



状況が微妙に変化してくるのを感じました。






(ナンナノ、コノカンカクハ?・・ハジメテ・・コンナキモチハジメテ・・)






身体が痺れてくるのです。






私の身体は、彼にしっかり抱きしめられていました。



私は必★に腕を彼の胸に押し当て、その身体を押し退けようとしたのですが、それも次第にキスの魔力に負けてしまっていました。



私の身体が意思とは別に勝手に反応していました。



彼のキスを受け入れていたのです。



初めて味わう・・甘く、蕩ける様な・・そして・・痺れるほどに・・。






(ダメ・・ナニヲシテルノ・・ヤメナクチャ・・ハヤクヤメナクチャ・・)






頭の中ではそう何度も思うのですが、私の身体はその意思に反して、動けませんでした。



身体の力が・・抜けていきます。



もう抵抗する気力さえ奪われていました。






(コンナキモチハジメテ・・ダメ・・トメラレナイ・・アア~、モウドウナッテモイイ・・)






そう感じた時、私の身体はその場に押し倒されていました。






彼がジッと私を見つめながら、その手を動かせました。



まるで蛇に睨まれたカエルの様な私でした。






「ダメ・・そんな・・困ります・・困るわ・・」






首を横に駄々振るだけの私、胸元のボタンが順番に外されていくのをただ・・何もせずに見ているだけでした。






(えっ!うそ、裸にされる・・)






私はそう感じていました。



彼の動きは間違いなく私を裸にさせ様としていました。






「店長!ダメです・・こんな事いけない・・主人に知れたら困ります・・」






私の最後の理性がそう言わしめたのでした。






「貴女が欲しい・・」



「こんなコトしに来たんじゃ・・困ります・・本当に・・こまります・・」






ボタンを外され胸の前を開かれました。



それからさらにその下のブラジャーを押し上げると、乳房を下から剥き出しにされてしまいました。






「店長!そんな・・やめて・・やめて・・」






彼の唇が乳房に押し付けられ、そして愛撫がはじまりました。






「ダメです・・ダメです・・いけない・・こんなこといけない・・」






彼の愛撫が次第に熱を帯びてくると、私の身体に変化が現れていました。



気持ちとは別に身体が感じていく・・。



こんな風に愛されるのはいつ以来だろう・・そんなコトを思わせるのです。






(だめ・・そんなにしてはだめ・・のめりこんでしまうから・・やめて!)






心の中で私は叫んでいました。






自分の意思では止める事の出来ない所にと来ていたようでした。



頭の中が真っ白になりました。



何がどうなっていったのか・・もう・・判らなくなっていたのです。



そして次に意識が戻った時にはもはや手遅れでした。



彼のモノが私の中に深々と押し込まれた後でした。



勢いとは恐ろしい物でした。



彼はなにも付けない状態でインサートしてしまったのです。



しかも、それを知った時にはすでに彼が猛烈な勢いで出し入れを始めていたのです。



止めるどころか・・その勢いに私は負けていました。






「だめ~~だめ~~そんな!アァァァァァ~~~~!」






快感が身体を包みもはや止める事は不可能でした。



彼が勢いよく私の中に放ったのを私は何となく感じていました。






(アッ!)






それが正直な私のその時の気持ちです。






(いけない・・とんでもない事をしてしまった。今日は安全日?)






そんな事が頭の中を素早く駆け回ったのです。



店長が私の身体の上にその身体を預ける様に被さったままで、






「すみません・・とんでもない事を・・」






彼も事の勢いで自分がした行為の重大さに気がついたのです。






「・・・」






私は答える代わりに慌ててその場から起き上がり、汚れた股間を彼が用意してくれたテッシュで拭う事で精一杯でした。



彼は何度もすみませんを連発して謝っていました。



私の迂闊さでもあり、彼だけを責める事は出来ません。






「おねがいです・・どうかこの事は・・私達だけの・・」



「勿論です、誰にも言うわけないですよ。僕を信じてください・・が、好きなのは本当なんです・・」






今は彼のその言葉だけが救いでした。






転がるように彼の家を出ました。



正直頭の中がパニック状態です。



自分の馬鹿さ加減に呆れ果てていたのです。



取り返しのつかない事をしてしまった。



そう思いました。






結婚以来、一度たりと主人を裏切った事の無かった私。



その私が・・まさか・・?






訳がわからないままに家に帰り着いておりました。