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悪魔の尻尾(未完)








夫から電話がかかってきたのは佐和子が夫用の遅い食事を作っている最中だった。

佐和子は鍋の火を緩め受話器を取ると

「ああ佐和子?今日同僚の杉野君と飲んでたんだが遅くなってしまった。杉野君終電終わってしまって彼家が遠いいからうちに泊まってもらう事にしたから頼む」

と夫はそれだけ言い残すと「ガチャ」と受話器をおろしてしまった。佐和子が「あ、ちょっ、待って!」と言った時にはすでに受話器から「ツーツー」と無機質な音しか聞こえてこない。

 

 











佐和子は「もう!」と口を膨らませて怒ったが、もう遅い。しかたなく来客用の準備をすることにした。

佐和子は夫信二と一緒になったのはもう5年前。すでに3歳の子供が居る。

佐和子は夫と出会う前高校時代からつきあってきた男がいたが、夢を追いつづける彼に疲れ、その反動で誠実で実直な信二と一緒になった。毎日文句も言わず朝早く出勤し夜遅くまで残業する夫の姿勢には尊敬しているし不満もない。



が、しかしいかんせん面白みに欠けているのが夫の唯一の難点だった。その点昔の彼は話のバイタリティにあふれいつも佐和子を楽しませてくれた。彼女はふとその当時の事を思い出すことがあった。いけないとは思いつつ・・。

佐和子は隣の部屋で息子陽一が寝付いているのをソッとふすまを明けて確認し。

来客用の座布団を用意した。「あ、そうだ歯ブラシやタオルも居るわね」と独り言を言い、あわただしく部屋を行き来した。



佐和子がほぼ準備を整えて一段落したとき玄関のドアがカチャカチャと音がする。

「あ、帰ってきたわ」と佐和子は玄関の前で待った。ドアが開き赤ら顔の夫と杉野とおぼしき男が立っている。「やぁ、今帰ったぞ佐和子ー」夫は珍しく酔っ払っているようでいきなり偉そうな口をきいた。杉野は「奥さん、こんな夜分遅くにすいません。僕はタクシーで帰るからいいって何度も言ったんですけど・・」と言って本当にすまなそうに手を合わせた。



髪を短かめに揃えたスポーツマンタイプの好青年だ。「あら、いいのよ杉野さんにはいつもお世話になってるって夫からもうかがってますし。さ、あがって」と佐和子は笑顔で促した。(良かったよさそうな人で)佐和子は心の中で少しほっとした。「あなた、ご飯は食べてきたの?」と佐和子が聞く。夫は「飯は食ってきたからいいから酒持ってきて酒」と酔っ払って言う。

「大丈夫なの?」と佐和子が聞くと杉野が「あ、俺はいいです奥さんほんっとぅにいいですから」と佐和子を制した。



佐和子が二人の間で戸惑っていると夫は、そそくさと台所に歩き飲みかけのウィスキー瓶を取ろうとしている。「あなた、わかった私が用意するから座っててと促し」コップや氷の用意をした。すると杉野が佐和子に走り寄り「すいません!じゃ、僕がやりますから・・」と言い「グラスはこれでいいですかね?奥さんも飲まれますよね」と言って手際よく食器棚を開ける。佐和子はちょっと考えてから「そうね。じゃ私もいただこうかしら?」と頷くと「良かった僕らだけで飲んだら僕針のむしろですよ」と言って微笑んだ。(ほんと、いい人そうね。こういう同僚なら私もうまくやっていけそう)と思った。



いつになく饒舌な夫と元々根明な杉野と佐和子の会話は予想以上に楽しいものになった。「いやいや高山(信二と佐和子の姓)こんなかわいい奥さんが居るなんてひとっことも聞いてないよ僕」杉野がお世辞を言う。「何いってるんだ君の奥さんこそえらい美人じゃないか」夫が切り返す。「ふーん、じゃ奥さんとりかえっこしたらいいのにね?」と佐和子は少し皮肉交じりに言った。

杉野は悪びれることなく「あ、いっすね。その案採用っす。ね?高山」とふざけて言った。佐和子は「もうっ奥さんに言っちゃうわよ」と睨んだ。

杉野は肩をすくめた。「杉野はかみさんに頭が上がらないもんな?」と夫がけしかけた。



三人で盛り上がっていた会話が、いつしか夫はうつらうつらとしだし。コタツの横で「ぐーぐー!」といびきをかいて寝てしまった。「あらあらしょうがないわね。あなたこんな所で寝たら風邪ひくわよ、あなた!」と佐和子が夫の肩をゆさぶる。「運びましょう寝室はどこですか?」と杉野が言った。「悪いわね、じゃ手伝ってくださる?」と佐和子が夫の肩を抱き上げる。すると杉野が夫の右腕を自分の肩に廻し軽がると立たせた。「凄い、力があるのね。何かスポーツやってらしたの?」と佐和子は驚きの声で聞いた。



「えぇ、毎週休日はテニスをちょっと」と笑って言った。「だからちょっと日に焼けて見えるのね」と佐和子は納得した。夫は「うむ・・ま、まだ飲めるよ」とボソボソと呟いたが、佐和子と杉野は目を見合わせてクスっと笑い無視して夫を寝室まで引きずって行った。と、佐和子の夫を支えた右腕と杉野の左腕が触れた。

(あ・・・)佐和子は杉野の逞しい腕に、少し男を感じてうつむいた。杉野は別に何も感じてないようだった。佐和子は照れを打ち消すように「今度主人も連れていってくださらない?休みも表に出なくて困ってるの」と杉野に言った。



「仕方ないですよ高山は忙しいから。週末テニスなんかしたら、きっと心臓麻痺起こしますよ」と言いながらベッドに「ヨ!」と夫を持ち上げ寝かせた。

佐和子は丁寧に布団をかけてやる。「いいですね。男はこういうとこに妻の愛情を感じるんですよね」と言った。佐和子は怪訝そうな顔で「ええ?そうなの?」と言って面白そうに笑った。杉野は頷いて「だから僕もたまに布団かけないで寝たフリして妻の愛情を試すんですよ」とおどけて言った。



二人は今に戻りながら「ふーん、で、その美人の奥様にかけてもらうんだ?」と悪戯そうに笑う。「それがね、最近は子供につきっきりで、かけてくれないんです」と寂しそうに杉野は言った。佐和子はコタツに足を入れながら「どうする?杉野さんも、もう寝る?」と聞いた。「あ、いや僕、宵っ張りなんで、もう少しやってていいですか?後片付けはちゃんとやっておきますんで」と杉野は応えた。

「じゃ、私ももう少しお付き合いしちゃおっかな」と言って微笑んだ。



二人の会話は夜更けまで続き打ち解け合った。杉野と奥さんの出会いや夫と自分の出会いの馴れ初めの話や、その前に付き合っていた恋人の話の話までした。

その話でお互い分かり合ったのは前に付き合っていたのは楽しい人でいつも自分を楽しませてくれたこと。そして今の相方は反動で真面目で大人しい人だという事だった。「ま、最終的に結婚するときは自分と正反対の人をお互い求めるって事なのかしら?」佐和子が遠い目をして言う。「でも、僕は奥さんぐらいの人だったら良かったなぁ・・あまり大人しいのもちょっと」と真面目な顔をして言った。



「ま、奥様に言いつけちゃうわよ」と悪戯そうに佐和子が言った。「でも、そうねお互い5年くらい前に出会っていたら違った人生歩んでいたのかしら?」とフっと笑った。その言葉で少し気まずい静けさが訪れる。ストーブの上に乗っている加湿用のヤカンが沸騰し、グツグツという音だけが居間に響いた。と、軽く杉野の素足がコタツの中で佐和子の足先に触れた。二人は黙ってうつむいた。杉野の足が少しづつ佐和子のスネをまさぐる。佐和子の心は(この瞬間的な官能に浸っていたい)という心と(夫や子供が一つ屋根に寝ているのに、今すぐこの不埒な行為を止めねば)という気持ちが攻めぎ合った。



その間にも杉野の足は佐和子のスネを駆け上がりスカートをまくりあげ太腿のあたりをサワサワとまさぐった。その快感が佐和子の理性を少しづつ削っていった。(あぁ・・駄目駄目。今ならまだ間に合うわお互いに家庭があるんだし。今ならお互い黙ってれば・・あ、あ・でも」佐和子は太腿を撫でられる快感で内腿を小刻みに振るわせた。杉野の足は既に内股の付け根まで到達していた。佐和子はこれから自分の一番敏感な部分に与えられるであろう快感に耐えるため、床のコタツ布団を掴んで目をつぶった。



駄目だと思う佐和子の夫子供に対する忠義の心と裏腹に佐和子の腰は更なる快楽を得るためにクネクネと杉野の足の親指を割れ目に迎えようとしていた。

杉野は佐和子を焦らすように割れ目の周りを縁を描くように丸く指で縁取った。

喘ぎ声を挙げられない佐和子は「フーフー」と荒い息を吐き、時折切なげに「ン!ンン・・」とうめき声を挙げた。散々杉野は焦らしたあげく親指でギュっと割れ目に沿って縦に這わせた。たまらず佐和子は「ハァックっ・・クスンクスン・・」と快感に喘ぎ声を挙げられない切なさですすり泣いた。



杉野の指は上下に丁寧に割れ目をなぞり、時折クリトリスをクリクリと刺激した。

佐和子は杉野の指の動きに合わせ「スーハースーハー」と息を吐き、指の快感を味わう。「あ・・このままイケそう・・」佐和子が下半身を痙攣させ始めたときいきならフスマが「ガラ!」と開いた。息子陽一が立っていた。二人はビク!として背筋を伸ばした。そして佐和子は「ど、どうしたの?陽ちゃん」とまだ上気した表情で言った。「ママおしっこ」陽一は言った。



佐和子は引きつり笑いを浮かべると「もうしょうがないわね、さ、いらっしゃい」と言ってトイレに連れて行った。佐和子は下半身の疼きをジンジン感じながら(あぁ、良かったきっと神様が止めてくださったんだわ)と人の道に外れなかった事にホッ胸を撫で下ろした。用を済ませ陽一を床に寝かすと寝息をたてるまで、佐和子は見守った。まもなく陽一は「スースー」と寝息をたてた。

「ありがとね、陽ちゃん」佐和子は息子の頭を撫でてやりながら言った。



居間に戻ると佐和子は平常心を取り戻した表情で「さ、私達も、もう寝ましょう」と言ってお膳の上を片付けようと屈んだ。すると杉野が背後から忍び寄り、佐和子を抱きすくめた。佐和子は「キャ!」と声をあげて伸び上がった。

杉野は抱きすくめたその手で佐和子の胸を揉みしだき「奥さん、僕は・・僕は」と、高揚した声をあげた。興奮しているのか少し声が震えている。杉野は丁寧にゆっくり佐和子の形の良い胸を揉みあげた。「ハァ・・だ、駄目よ・・私達にはお互い家族が居るでしょ?だ・・め・・」しかし言葉に反して身体は快感に純粋に反応した。「あぁ何でこんなに私の身体は馬鹿なの?お願い気持ち良くさせないで、じゃないと。わ、わたし・・」乳房の快感は脆くも佐和子の理性を崩しにかかった。



「フー」っと耳元に息を吹きかけられると佐和子は脆くも前のめりに崩れた。

杉野は仰向けに佐和子を起こし目を見つめた。「奥さん今日だけですから、今日だけ僕のものになってください」杉野はかすれた声で言った。

そう言うと佐和子のスカートに手を伸ばしパンティをするすると伸ばした。

そして佐和子の割れ目に指を入れ既にジットリと湿っているヌメリをこそげ取った。そして杉野の中指と薬指の間で糸を引く佐和子の愛液を見せ「ほら、奥さんだって、もうこんなに・・」と言った。佐和子は「やだ、そんなの見せないで」と恥ずかしがった。



杉野は自分のズボンのジッパーを下ろすと夫のものより格段に大きい一物を取り出した。(やっぱり骨格の良い人はアレも大きいのかしら)佐和子は朦朧とした気持ちの中で思った。佐和子は服を着たままパンティを下ろしただけ、杉野もズボンのジッパーから一物を出しただけで、もし何か物音がした時に対処できるように杉野なりに備えた。杉野が前かがみになり、胸の前まで顔が近付いた。

杉野はセーターを着たままの佐和子の身体を抱き「奥さんいきますよ」と佐和子の目を見つめた。佐和子は応えず目を伏せてコクリと小さく頷いた。



杉野がグイっと腰を入れる佐和子は自分の中にズッズッと潜り込んでくる砲身の刺激で「ウ!ウ!ン!」とうめいた。杉野は佐和子の最奥部を味わうように佐和子の細い腰を抱きグリグリと結合部を押し付け合った。その結合部に溜まった粘液がピチャピチャと卑猥な音をたてた。「ハァハァ奥さんの膣内は、こうなってたんだ・・温かくて優しく僕を包んでくれている・・」杉野は夢うつつで声をあげた。「ウ、ウ。私こんな大きいの入れたの始めてなの。とっても素敵」

もう佐和子の頭に夫や子供が一つ屋根の下に寝ている事など忘れて、両足を杉野の腰に絡み付け自ら自分の膣内に砲身を深く埋めようといざなった。



「ハァ・・いきそうだ・奥さん・・」杉野は苦しそうにうめいた。「う、うん私もイクから待って。もう少し強く突いてみてお願い」佐和子が嘆願した。

「こ、こう?」杉野は逞しい腕で佐和子の腰を抱え上げガン!ガン!と股間にぶつけた。「ア!く・・そう。いけそう、いけそう・・」佐和子の声が大きくなった。杉野は佐和子の喘ぎ声を抑えるため口を重ね舌を捩じ込んだ。

「ぐも、ごもも・・ン、ン、ンー!」佐和子は既に絶頂を迎え快感で下半身をバタつかせた。



杉野は精液を奥へ奥へと誘う痙攣の感触に耐え兼ね、一際強く奥へ砲身を射ち込むと佐和子の口から自分の口を離し「クハ!」と声を上げて快楽の証を佐和子の膣内に吐き出した。今までに味わったことのないような止めど無い射精だった。狭い膣道に行き所をなくした白濁色の生暖かい粘液は密着した結合部から決壊したようにはみ出し佐和子の肛門を流れ落ちた。生暖かい液体が肛門に感じた佐和子は「え、え?ちょ、膣内に出しちゃったの?」と杉野に言った。



「すいません、奥さんのが、あまりに強く締め付けるもんで、つい・・」

杉野は精液を全部吸い取られた疲労感で佐和子の胸に顔を突っ伏したまま言った。「もう、できちゃったらどうするのよ」と杉野の背中を叩くと身体をずらした。結合部から杉野の砲身が抜かれると、コルク栓を抜いたシャンパンのようにゴボゴボと佐和子の膣から精液が溢れ出た。

「あぁ、もうっ大変!シャワーで洗い出さなきゃ・・」佐和子はバスルームに走った。「奥さーん、申し訳ありませーん」眠たい杉野の声が背中から聞こえる。

佐和子は一時の気の迷いで他人と交わった事を猛烈に後悔した。



佐和子はシャワーを浴びながら自分の秘部にそっと触れてみる。

割れ目からまだドボドボと大量の精液が太腿をつたって流れている。

(凄い、スポーツマンってアノ量も多いのかしら・・)夫とのあまりの量の違いに驚きながら佐和子は自分の指に絡みついた精液をしげしげと眺めた。色も少し濃い気がする・・佐和子は妊娠してしまわないか少し心配になった。(計算だと一応大丈夫よね・・)佐和子は指折り危険日の逆算をして一人でコクコクと頷いて納得した。



と、その時バスルームの扉がカチャっという音がした。とっさに佐和子は振り向いた。杉野が裸で立っていた。しかも先ほど力尽きた一物はすっかり生気を取り戻しいきり立っている。「な、何?」佐和子は少し怯えた表情で壁に張り付き胸を隠した。「お、奥さんの裸が見たくて・・」杉野は高揚した顔で言った。歩くたびに杉野の砲身は滑稽に上下に揺れた。

「だ、駄目よ出て行って、ここがどこだか分かってるでしょ?」佐和子は嘆願した。



佐和子の声がバスルームにエコーのようにこだまする。杉野はニコリと笑って「シー!聞こえちゃいますよ」と言って手を指にあてた。

「駄目駄目絶対に駄目出て行ってちょうだいお願いだから」佐和子は首を横に振りながら杉野をたしなめた。杉野は聞く耳を持たず「素敵な体だとても子供を産んだ体とは思えない・・」と言いながら佐和子の肩を抱こうとした。「や、やめて聞こえちゃうから駄目」佐和子は杉野の腕を振り払うと壁の角に立ち後ろを向いてしまった。杉野は背後から佐和子の細い腰を抱きしめた。



そしてグイグイと佐和子のヒップを突き出させようとする。たまらず佐和子はふりむき杉野の顎に手を押し当て体を突き放そうとした。しかし男と女の差、しかもスポーツマンの杉野と細身の佐和子とでは多少拒否した所でほとんど効果があろうはずもなかった。杉野はかまわず片手で佐和子の豊満な胸を揉み、片手でもう片方の乳房を掴むとピンクの乳首に吸い付いた。「あぁ・・・奥さん、素敵だ。何て素敵な身体なんだ」杉野は朦朧とした声をあげた。



チュバチュバと杉野が乳首に吸い付く音がエコーする。たまらず佐和子の腰は切なげに揺れた。そしてゆっくりと杉野は佐和子の下腹部まで丁寧に舐め上げ。両手で割れ目をめくりあげた。佐和子の「ウ、ウーン・・」とうめいた。佐和子の中にまだ溜まっていた杉野の精液がドボドボと流れた。

「凄い、奥さん。僕のがこんなに・・」杉野は嬉しそうに言った。



「や、やめてそんな事言うの」佐和子は目をつぶって恥ずかしそうに言った。「僕が舌で綺麗に舐めとってあげますね?」杉野は佐和子の膣内を観察しながら言った。佐和子はコクっと頷いた。チロチロと舌先を丸めてクリトリスを刺激し、時折内部の奥まで挿入した。佐和子は苦しそうに「クフフン・・」と泣き声を漏らした。そして佐和子の声が外に聞こえるほど頂点に達した時。杉野は立ち上がり「さぁ、奥さん今度は僕を喜ばしてください」と言って佐和子の後頭部を掴み股間に押し付けた。



今、佐和子の面前に杉野の逞しい一物が有る。佐和子はいままで夫の物を口に含んだ事は殆どない。プライドの高い佐和子としては、まずその屈従的ポーズが許せなかった。だから性交をする時でもほとんどが正常位しか

しない後ろからされるなんていうのも、もっての他だった。前につきあっていた彼の時もそれは同じだった。元々、精力が薄い夫は最初は要求したが、あっさり諦め、そのままマンネリ化した性生活を送っていたのだ。



しかしそれがどうだろう。今隣室では夫や子供が眠っているというのに今はむしろ目の前の一物にむしゃぶりつきたい衝動に駆られている。佐和子は、この禁断のタブーを犯しているという淫猥な状況に酔っていた。

「ほら」杉野は佐和子の肉厚な唇に先端をあてがった。上目使いで佐和子は杉野を見つめる(・・・)まだ佐和子はこの屈辱的行為を実行する事に少しためらっていた。



杉野は佐和子の気持ちを悟ったかのように「こういう時は、変なプライドなんか捨てた方が好いんだ」と言って佐和子の頭を優しく撫でた。彼女は杉野の硬い一物を手に取り目を瞑った。そしってそっと口を開け杉野の一物を頬張った。(・・・・)何とも堪らない淫靡な充足感が彼女を包んだ。

佐和子は頬を凹まし丹念に砲身を口内でしごく。「そうだ、上手いぞ奥さん」恍惚とした表情で杉野が言った。佐和子は自分の行為に従順に反応する杉野が嬉しかった。



「ゴポッカプゴポゴポ・・」出し入れが繰り返すたびに厭らしい音が響く。

「お、奥さん先端の裏のほうも舌で舐めてみてください・・」杉野が要求した。「こう?」佐和子は舌先でチロチロと杉野の先端の裏側を刺激した。

「あ、あ、あ、駄目だこのままじゃ出ちゃう・・」杉野は佐和子のオデコを押して自分の砲身を佐和子の口から引き抜いた。「あ、危なく出てしまうとこだった」杉野は自分の口から急に砲身が消えて目が泳ぐ佐和子を見て笑いながら言った。「やっぱり出すのは奥さんの膣内じゃないと」



杉野は佐和子を一度立たせ、浴槽に手をつかせた。そして佐和子の尻タブに手を添える。杉野は同僚の妻が今自分の一物の挿入して尻を差し出しているという状況に目が眩みそうだった。出しっぱなしのシャワーの雫が杉野の背中を叩き続けた。杉野は佐和子の尻の位置に合わせて腰を沈めた。

そしてゆっくりと二度目の挿入を開始した。ヌルヌルと佐和子の肉道が杉野の一物を包み込んだ。そのままズッズッズッと出し入れを開始した。



佐和子は声を押し○し「うっうっう、あう、あう」と杉野に突き抜かれる度に声をあげた。杉野は尻を抱き上げ腰をグルグルとまわして佐和子の中の感触を味わった。「お、奥さんそろそろイキそうです」そう杉野が言った瞬間、すりガラスの向こうに有る洗面所に人が入って来る音がした。杉野は佐和子の腰をかたくだいたまま体が硬直した。



夫信二だった。どうやら歯を磨きに来たらしい。シャコシャコと歯を磨く音が聞こえる。佐和子もそれに気づき体を硬くしている。「あぁ、悪酔いした気持ち悪い・・」と夫の声がする。杉野はその声にビクンと反応し体を反らした。その瞬間緊張のせいで杉野の射精が始まった。ドクンドクンと体を強張らせたまま杉野は佐和子の中に精液を注ぎ込んだ。たまらず佐和子が「あ、あ、う、う・・」とうめいた。



「どうした、お前も悪酔いか?明日悪いけど5時起きだから頼むな」そう言うと「ゴボゴボゴボ・・ぺぇ!」と口を濯ぐ声がした。佐和子は辛うじて「え、えぇ」と応えた。ザーザーとシャワーの音だけが緊張した状況と関係なく響き続けた。



佐和子と杉野の結合部から放出された粘液がぽたぽたと流れ落ちた。

杉野は射精の快楽に従いビクッビクと腰を痙攣させる。

その動きに連動した佐和子の身体も揺れた。

しかし、今現実に有るスリガラス一つ隔てた向こうに夫が居ると言う 事実が二人の心臓の鼓動を高鳴らせた。



じっさい夫がちょっと、こちらを見さえすれば重なり合っている二人の身体を確認することができるだろう。

ドクンドクン・・佐和子の鼓動を佐和子の背中越しに杉野は聞き杉野の胸が当たっている自分の背中から杉野の鼓動を確認できた。

(お願い、これは一時の気の迷いなの。神様このまま夫を気付かせないでください)佐和子は目をギュと瞑って祈った。



ほどなくして、夫は何も気付かずに洗面所を出て行った。

杉野は「ふー」っと強くため息をつき、佐和子の中から砲身を引き抜いた。ひょうしにボタボタと白濁色の液体が佐和子の太腿を流れ落ちた。杉野は「危なかったですね。縮み上がりましたよ」と言って笑いながら縮み上がった自分の一物を強調して見せた。

「もう!笑ってる場合じゃないわよ。だからやだって言ったのに」

小さくかすれた声で佐和子は言った。



「でも、こういうスリリングなSEXって燃えませんか?」

杉野は悪戯そうに笑う。「冗談言ってないで早く身体拭いて着替えて!」佐和子はバスタオルを杉野に手渡した。杉野は濡れた髪を拭いている佐和子のスレンダーだが見事に均整のとれているバスととヒップを名残惜しそうに眺めていた。佐和子はそれに気付き少し照れたように「もう、何見てるのよ早く!」と杉野をけしかけた



二人は服を着替え居間に戻った。佐和子は夫のジャージを杉野に手渡し着替えさせた。「じゃ、信二さんの横で寝てちょうだい」と杉野に指示し佐和子は息子の眠る部屋に入ろうとした。

杉野は佐和子を振り向かせ「このまま関係が終わるの惜しいと思いませんか?」と言って佐和子のおでこにキスをしようとした。

佐和子はそれをかわし、「冗談、ほんっとうにこれっきりの関係ですからっ」と強い口調で返した。



「でも奥さんもあんなに感じてたじゃ・・」と言いかける杉野を遮り「あなたも、家庭が有るんでしょ?お互い忘れましょう」と言って佐和子は子供の居る部屋に入りふすまを閉めた。

杉野は暫くそこでたたずんでいた。



翌朝、何事も無かったように朝を向かえ佐和子は杉野と夫に朝食を作り送り出した。早朝まだ人通りの少ない道に夫と杉野の姿が消えるのを確認すると佐和子は深くため息をついた。

(何であんなことに・・)自分が信じられなかった。

まるで淫夢でも見たのではないか?とすら思える。しかし佐和子の中はまだ杉野の残した痕が、嫌でも現実に引き戻させた。





結局週末まで何事も無く毎日が過ぎた。

夫信二は珍しく週末休みがとれ久々に息子陽一の顔を見ることが出来た。

佐和子は買い物に行くため出かけると言って出て行った。

「久しぶりに陽ちゃんと顔を会わせたんだからコミュニケーションとならいと忘れられちゃうわよ」と佐和子は出かける間際に言った。

いつも気にしていたことだけに信二は不機嫌そうに「判ってるよ」と返事をした。



信二は陽一をキャッチボールにさそい近くの公園まで歩いた。

3歳の陽一に柔らかいゴムボールを渡し軽く投げさせ信二はゴロで転がし返した。「うん、なかなか良い球投げるな」と親馬鹿で感心しながら言うと陽一はやっと笑顔を見せた。

やはりめったに顔を会わせないと父子であれ会話はおぼつかない。

信二はちょっと、いやかなりほっとした。



陽一はおもむろに口を開く「パパ、こないだ連れて来たおじちゃんもう連れて来ちゃ駄目だよ」と言った。

「?」一瞬誰のことだか分からなかったが信二は夜に連れて来た杉野だということに気付き「なんだ陽一起きてたのか?ごめんな。うるさかったか?」と言って謝った。

「ううん、でもあのおじちゃんママをいじめるから嫌い」と陽一は目をクリクリさせながら言って球を投げた



「苛める?いじめてはいないだろう?ちょっとパパ達お酒飲んじゃったからうるさくて苛めてると思っちゃったのかな?」

信二は微笑みながら陽一に近付き頭を撫でた。

「ううん、パパが寝てから、あのおじちゃんママを苛めてた」

陽一がちょっと口を尖らせた言った。

「パパが寝てから?」信二は顔を少し曇らせて言った。



「うん、ママ苦しそうな声出してた。で、おじちゃんの唸る声が聞こえた」

何も知らない陽一は平然と言った。信二の心臓が急にドクドクと強く鼓動をはじめ。異様な興奮を覚えた「ば、ばかな・・」

小さく信二は言った。「その後、たぶん一緒にお風呂入ってたよ」

その言葉で信二は強烈なパンチを浴びたようによろめいた。

(ばかな、ばかなばかな!だって俺はあのとき洗面所に居たじゃないか)

信二は、その時の状況を反芻する。しかし、あのとき俺は浴室を見た訳ではない。



(妻の対応が変だったと言われれば確かに変だったような気がする)

信二の心の中で小さな疑念が確証に変わっていった。

「パパもキャッチボールやらないの?」陽一は少し大きめのグローブの中でゴムボールをぽんぽんと弾きながら言った。

「あ、あぁごめんパパやっぱりちょっと疲れちゃったみたいだ帰ってゲームやろう」信二はやっとの声で言った。

何も知らない陽一は「うん」と言いながら急に暗くなった父の対応に心配そうな顔で信二の顔を覗き込んだ。



信二はそれに気付いて「さ、何のゲームをしよっかなー」と言って息子の心配顔を消そうとした。「でも、さっきのおじちゃんの話ママには言ったら駄目だぞ?」と信二は言った。

「なんで?」と当然陽一は応えた。

「なんでってあのおじちゃんはパパのお友達なんだ、そんな事を言ったらママもお友達も悲しむだろう?」と言って息子を説得した。



「もうママいじめない?」と陽一が聞いた。

信二は「もちろん苛めないし、こないだのも苛めてないんだよ」と言った。

陽一はそれ以上は何も言わなかった。

しかし信二はこの時、自分の妻が寝取られたかもしれない、しかも自分が居たすぐ横で。その気持ちを嫉妬や怒りよりも別の興奮が自分の中に蠢いていることを感じていた。性欲の薄い信二にとって初めての爆発しそうなやるせないような異様な気持ちだった。



それ以来、信二の中に渦巻く青白い炎のような興奮は、彼自身の中で増殖し続けた。佐和子を見る度に杉野の逞しい身体に抱かれ喘ぐ佐和子が浮かび、会社で杉野を見かける度に佐和子の身体にむしゃぶりつく杉野が脳裏に浮かんだ。信二は、その煩悩を打ち消すためにトイレに駆け込み、煩悩の捌け口を吐き出した。



信二は会社のトイレで射精した後、ハァハァと息を荒げながら(どうしたんだ俺はいったい?)吐き出しても吐き出して湧き上がってくる底無しの煩悩に自分自身で驚愕した。

もともと、佐和子が遊び好きの女であれば、それほどの事はなかったのかもしれない。が、佐和子は人一倍そういう浮気じみた男の不潔さを嫌っていたのだ。TV ドラマでの浮気シーンやタレントの浮気話なども眉をひそめて、あからさまに嫌がった。だから信二自身彼女の中にそういう物が存在するという事は有り得ないと認識していた。



そのギャップが信二の心の中に大きな闇を広げていった。

信二は営業の車に乗りお得意先から帰る途中に電気街を走った。

道路は渋滞しており、車はなかなか進まない。

なにげなく信二は、その派手な電気街の看板を見つめていた。

(そういえば、家のPCもそろそろ古くなってきたな、中古でもいいからそろそろ買うか・・)信二は漠然と考えながらノロノロ運転を続けた。

ふと、その時、調査器具一式という文字が目にとまる。



「調査器具ってなんだ?」信二はやっと青になった信号を見てアクセルを踏んだ。信二はしばらく考えてから「あぁ、盗聴器とか探偵がよく使うあれか」とつぶやいた。信二の脳裏にTV番組で盗聴された家を発見し取り除く番組が浮かんだ。どれも狡猾に仕掛けられていた、当事者が疑いを持たなければ永遠に気づく事がないようなものばかりだった。

信二はやっと動き出した車の中で、あることを考えていた。



(妻と杉野は、もう二度と浮気はしないのだろうか・・?)

そう考えながらも既に信二の一物はムクムクと起き上がり異様な興奮を抑えきれなかった。(そう、むしろ俺は心の奥底でそれを期待している?)

自分の沸き立つ性欲の深層心理に信二自身が気づき始めていた。

信二は急にハンドルを切り今来た道を戻りはじめた。



信二は路上パーキングエリアに車を止めると、さっき見た看板の店へ足を速めた。下は普通の電気店・・いや、モジュラージャックなどのコードがぐるぐる巻いてあったり、何のために使うのか分からないプリント基盤などが並んでいたり、ちょっと怪しい感じだ。調査器具は、どうやら上の階らしい。

信二は胸を高鳴らせながら一歩一歩階段を昇った。

二階に上がると雑然とした一階とは違い、整然と調査器具が陳列してあった。

二階には誰も居ない。良く分からず信二は一つ一つ興味深く商品を見て回った。



(コンクリートマイク?)先っぽに医者の聴診器のようなものが付いているそれを興味深そうに手に取り眺めていると、店主が昇ってきた。

「おとなりのアノ声を聴くんですかな?」店主はぶしつけに失礼なことを平気で言った。信二は慌てて商品を置き、横に首を振ると。

「あ、違うの?最近多いんでつい」と言って笑った。

「で、どういうものが欲しいんですかな?心配しなくても本店はプライバシー厳守ですので」と早くも察したような事を言った。



「家にかかってきた電話のやり取りを知りたい」信二はぶっきらぼうに答えた。「あ、奥さんの浮気調査ですか?それなら・・」と早くも良さそうな製品をゴソゴソと店主は探し始めた。

信二は、あっさり言い当てられた事に驚き目を丸くしていると、「あぁ、家の電話の内容を知りたいなんてのは、奥さんの浮気か、娘さんの素行調査ぐらいなんですよ」とシレっとして言った。「あなた、まだ娘さんの素行を気にしなければならない程の年齢には見えないしね」と笑った。



「じゃ、これ。これを電話とジャックの間にかませると、かかって来た時に反応して、こっちのボイスレコーダーに録音するようになってるから。9時間分録音できるから、よっぽどの長電話じゃないかぎり大丈夫」店主は自慢気に言った。「いくら?」信二は単刀直入に聞いた。「これ、最近でたばっかりの優れものなんで本当は8 万なんだけど、お兄さん奥さんに浮気されて可哀想だから、おまけして6万にしてあげるよ」と言った。信二は(チ、余計なお世話だよ)と思ったが渋々財布を開けた。



「あ、5万しか無いや。まけてよ」と、信二は札を数えながら言った。

店主はあっさり了承した。信二は(なんだ、本当はもっとまかるんじゃないか?)と内心思ったが正直、その後の楽しみの方が先に立って。あっさり金を手渡した。店主は「じゃ、ね。後で覗いて見たくなっちゃったりなんかしたら、また相談してね。色々あるから」店主はニヤニヤと厭らしく笑った。



信二はちょっと睨んだが、店主は悪びれることなく「いやね、癖になっちゃう人多いのよ。奥さんを一人旅に出さしてナンパする人雇って、抱かせて覗くなんて酔狂人もいるからね」と凄い事を言ってのけた。

「わ、私はただ妻の浮気を確認したい・・」という言葉を店主は遮り「みーんな最初はそう言うのよね」と少し小ばかにするように言った。

信二はムっとして、さっさと階段を降りた。後ろから「自我に目覚めたら何時でも来てねー」と店主の声がした。応えず表に出た。



結局その日信二は仕事もそこそこに家路に着いた。

「あら、あなた珍しいわね。こんなに早く帰ってくるなんて」と、いつもは子供と自分とは別に夫用の食事を遅く作っていた佐和子は、いそいで夕飯の支度を始めた。

「あぁ、俺先に風呂に入るからいいよ」と信二は言って風呂に入った。実際こんなに早く風呂に入ったのも久しぶりだ。

正直、信二には、家族の団欒をこの後楽しもうなどという気持ちは全くなかった。そう、早く妻子を寝かしつけて電話機に盗聴器を仕掛けることだけが彼の思考を占拠していた。



その後風呂から上がり食事をし、息子や佐和子から何度か話しかけられたのだが、正直何と応えたのか覚えていない。覚えているのはチラチラと時計を見たり、電話を見たりしてた事ぐらいだ。信二は佐和子と信二が寝静まるまで辛抱強く待った。そして、佐和子が子供を寝かしつけ一緒にそのまま寝息を立てたのを確認すると、バックから盗聴器を取り出し接続を開始した。



店主の言っていた通り接続は至って簡単。ものの5分で完了した。

一応、ちゃんと録音されるか確かめるため、自分の携帯から自宅の電話に電話をかけ(もちろんベル音を下げ)ちゃんと会話が録音されるか確かめた。こんなに胸を高鳴らせて一つことに精を出したのはいついらいだろう。そもそも、杉野が妻宛に再び連絡をしてくるのかすら可能性は薄いのに正直自分自身でも(馬鹿みたいだな俺)と、自分の行為に苦笑した。



そう、本当に確証など無いのだ。だが信二はそうせざるを得ない衝動に駆り立てられていた。そう、何も無くてもいい。ただ、妻に秘密で電話の会話の内容を盗聴する。それだけで何ともいえない甘美な性的衝動をくすぐられた。「癖になっちゃう人多いのよ・・」店主の言葉が脳裏によぎった。

(俺は、おかしい、どうかしている)信二は行為が真人間として常軌を逸しつつあることを自覚していた。

(そう、俺は妻の浮気を確認したいんじゃない。妻の心の裏を覗きたいんだ)もう信二は自分の本心を隠せなかった。



翌日、信二は出社し、そしていつもにも増して仕事に精を出し。

そして深夜に帰社した。電話で「遅くなるから先に寝てていい」と妻に、あらかじめ信二は連絡していた。もちろんボイスレコーダーを聴く時、妻が起きているとまずいからだ。帰ってみると部屋中がシンとしていた。スっとふすまを開けると子供と一緒に妻が平和そうな顔をして寝ていた。(こりゃ、浮気なんかしそうにないな)とクスリと笑いながら、いそいそとイヤホンを付け、再生ボタンを押した。



「トルルルトルルル。はい高山です。」「あぁ佐和子?あたしだけど」「あ、お母さん?どうしたの急に」「お父さんの実家からリンゴ送って来たんだけど送るね、うちじゃ食べきれないから」・・・(佐和子の実家からだ・・)信二は何の変哲も無いこの会話ですらほのかに興奮していた。(変態だな俺)自分の股間が既に硬くなりつつあるのに気付き自分でおかしくなった。結局、その日は宅急便の不在通知と、息子の友達の親との世間話だけだった。何とも期待に反してのどかな会話だった。信二は安堵と失望の中途半端な気持ちのまま、寝床についた。(でも、それなりに楽しめたよな)結構満足していた。



結局、信二にのってそれが毎日の楽しみとなり、日課となった。全く何の変哲もない妻の会話を聞き続けて、早くも数ヶ月が過ぎようとしていた。その日は朝から強い雨が降り続けていた。いつもに増して忙しかった信二は一人会社に残り、残業をこなしていた。もう、夜中の二時を回っていた。表に出るとまだ雨は降り続いていた。



ザーザーと疲れた身体に鞭打つように降りしきる雨の中で信二はタクシーが通りがかるのを待った。遠くからタクシーらしき車を発見し手を上げて乗り込む。もはや日課となった盗聴も当初の興奮など全く薄れ、だたの行事と化していた。家に着き、寝静まった家の中で、冷め切った夕飯を温めなおしてからモグモグと不味そうに口を動かした。ただ漠然とボイスレコーダーを取り出し、イヤホンを装着する。

そして、再生ボタンを押した。



「トルルルトルルル・・。」「はい、高山です」「もしもし奥さんですか?」「え?」「僕です杉野です、覚えてらっしゃいますか?」「あ・・」「ちょうど近くまで来てるんですけど折角だから会って話でもしませんか?」

ザーザーと外の雨の音が静かな部屋の中にまで響いていた。



地面を叩き付ける雨音とともに屋根から雫がポタ・・ポタ・・と定期的にベランダの床を落ちた。その音に共鳴するかのように信二の心臓の鼓動も強くなった。

「どういうつもり?お願いだからもうかけて来ないで!」

佐和子の強い口調が耳に響く。

(おや?俺の思った展開と違うな・・)

信二の予想では佐和子は杉野の連絡を待ち焦がれているのだと思い込んでいた。が、本当に待ち焦がれていたのは自分自身であることを信二は気付いていなかった。





「いや、奥さん誤解です、僕はこの間の件で謝りたいと思っているんです」

と杉野が慌ててとりなす。

「謝る必要はないわ。あれは私もうかつだったから。お互い家庭があるんだから、この電話で最後にしましょう」

佐和子はすでに受話器を置きそうな勢いだ。信二は失望した。





「ちょ、待って!それではこっちの気が収まらない。あれ以来高山とも顔が合わせ辛いんです。切らないでください。切ったら直接伺いますよ」

杉野の口調は必○だった。

(いつも大らかなあいつが必○だな・・)

信二はニヤリと笑いながら本心では杉野を応援している自分に戸惑いを覚えた。

(俺は他の男に抱かれる佐和子を見たい・・いや、佐和子に俺への強い愛情があるなら強く拒否すべきだ!)

二人の自分がせめぎ合った。





「来ちゃ駄目!分かりました、こちらから伺いますから場所を教えてください」

佐和子はちょっと怯えた声を出した。それを杉野は察したのか

「いや、本当に誤解なんです。僕も家庭が有りますし、それを壊したいとは思っていません。ただもう一度会って、きちんと謝っておきたいんです」

と、とりなした。

「その気持ちがあるなら二度と連絡してくれない方が一番嬉しいんですけど・・」

と佐和子は不機嫌そうに言った。





(俺は嬉しくない・・)

信二はつれない佐和子の返事にむしろ失望していた。結局杉野は駅前の喫茶店を指名し佐和子と会うことにしたようだ。その後二人が情事に及んだかどうか、そこまではこの会話の中からは分からない。

(あ~!畜生!知りてぇなもう!)

信二は苛ついて頭をバリバリと掻き毟った。





信二は、そぅっとふすまを開け、子供と眠る妻の寝顔を覗き込んだ。最近佐和子は殆ど信二の部屋では寝ないで子供と寝ていた。まぁ、ほとんど深夜まで仕事が及ぶので信二も、その事は了承していた。

(俺が抱かない事で彼女は欲求不満になっているのか?他の男に抱かれてみたいと、ほんの少しでもお前は思っているのか?)

信二は平和そうに眠る佐和子の寝顔を見つめながら問った。暗い寝室を覗く信二の形相は背後から照らされる居間の蛍光灯の光で黒く影になり、目だけがギラギラと異様な光を放っていた。





その日佐和子は杉野の急な連絡で呼び出され、サンダルをつっかけると急いで指定先の喫茶店に向かった。

(どうしよう・・・何と言って断ろう。下手に突っぱねれば逆ギレして、この間の過ちを脅しのネタに使って私の体を要求してくるかもしれない)

佐和子は歩調を速めながらあれこれと思案した。が、実際に会ってみなければ対応のしようがない。佐和子は意を決して気持ちを引き締めた。

(そうよ、なめられてはいけない)





ビルの中二階に有るその喫茶店の名前を確認すると、すぅっと深く深呼吸して自動ドアの前に立った。中では杉野がスポーツ新聞を読んでいた。佐和子に気付くとスポーツマンらしい精悍な笑顔で手を上げて「やぁ」と言った。

(騙されてはいけない、この笑顔もきっと罠よ)

佐和子は、そう決め付け、キッと杉野を睨んだ。

「どういうご用件なのか、手短にお願いしたいんですけど」

佐和子はつっけんどんに言った。





「それに周りの人の目もありますし」

と佐和子が続ける。それを遮るように杉野は

「いやいや、そう構えられては話もできないよ。この間の事はお互いに忘れましょうよ」

と言ってとりなした。

「会わないのが一番忘れられると思うんですけど・・」

佐和子はぶっきらぼうに答えた。

「僕と高山は同期で気も合うし、仕事もお互い助け合ってるんです。それがこの間の件でどうも意識してしまってギクシャクしちゃってるんです」

杉野は頭を書きながら申し訳なさそうに言った。

「で?私にどうしろと?」

佐和子はまだ気を許さない表情で杉野を見た。





「僕は彼とは今後も仲良く付き合っていきたい。それには奥さんと僕がギクシャクしていたら駄目なんですよ。」

「だからその件は私にも間違いがあったと言ってるじゃないですか。」

「いや、だから今後は僕の家族と高山君家族同士で仲良く付き合っていければ、僕の中の罪悪感も消えると思うんです。そうすれば高山ともギクシャクせずに済む。」

「家族同士?」

佐和子は杉野の真意を測りかねて問い返した。



「そう、僕と妻は週末テニスクラブに通っているんですけ、どうですか? 奥さんも高山君誘って一緒に汗を流しませんか?」

杉野はやっと本題を切り出せた開放感でニコっと笑った。

「テ、テニスクラブ?」

杉野から手渡されたチラシを佐和子は見た。

(どうやら、私の体が目的じゃなかったみたいだわ・・)

佐和子は取り越し苦労だった自分を少し責めた。杉野は続けて

「そう、こう言っては何だけど高山は仕事ばっかりで不健康だと思うんですよ。たまには汗を流した方がいいんじゃないかなぁと思って」

と言った。





「あの人やるかしら・・」

佐和子はちょっと戸惑いながらもまんざらでもなかった。元々体を動かすのは嫌いじゃないし、むしろ率先的にやってみたい気持ちだ。

(杉野さんの奥さんと、信二さんも一緒なんだから過ちも起きそうにないし・・)

佐和子は杉野を信じて

「わかったわ、そういう事なら誘ってみる」

と笑顔で答えた。

「いやぁ、やっと笑ってくれた。奥さん笑顔が素敵だから笑ってくれると嬉しいなぁ」

と言って杉野も笑った。





(うん、やっぱり悪い人じゃないみたいだ。あれは本当に間違いだったんだわ)

佐和子は自分を納得させ、杉野にチラシを返した。ふと佐和子の指と杉野の指がふれた。ドキリとして杉野を見たが杉野は別に意識していないようで、上着のポケットの中にチラシをしまい込んでいる。血管の浮いたゴツゴツとした手とワイシャツからのぞくスポーツマン特有の筋張った腕が佐和子の脳裏に浴室で口に含んだ杉野のペニスがよぎった。慌ててそれを打ち消すように

「じゃ、子供置いてきてるからもう行くわね。主人から連絡させるから」

と言って別れた。

(やだもう・・何であんな事を)





佐和子は自分自身の奥底に潜む厭らしさに戸惑った。

(まだドキドキしてる・・)

自分が夫を持つ身であり、子供を育てる身でありながら一人の女であることを佐和子の体自体が示していた。それでもなお佐和子は

(大丈夫、きっと上手くやっていけるわ)

と楽天的に考えていた。翌日信二は、佐和子が起きる前に出勤した。(急用を思い出したから早くでかける)と書き置きを残しておいた。

その日信二は興奮してどうにも寝付けず、まんじりともせぬまま朝を迎えてしまった。表に出るとまだ人影もなく辺りはシンと静まり返っていた。自分の邪念を笑うかのような清々しい朝だ。

信二はその空気を深く吸うと意気揚々と会社に向かった。



朝6時。当然会社には誰も出勤していない。信二はたまった書類を整理しテキパキと仕事にとりかかった。(今日は早く仕事を引けよう・・)信二の頭の中には以前に行った調査器具の店が有った。

(今度は佐和子の居所まで把握しなくてはならない・・)それは完全に夫の浮気調査としての目的ではなく、自分の妻が同僚に抱かれる所を見たい!という切なる願望だった。



あの杉野との会話を聞いて、もはや信二は自我を抑制できなくなっていた。自分が言うのも何だか佐和子はいい女だ。実際に街で待ち合わせすると、今でも男に声をかけられたりする。妻がその事を嬉しそうに「あなた、今私ねナンパされちゃった」と自慢げに言うのを聞くと、ふつふつと嫉妬とは別の欲望が自分の中に渦巻くのを感じていた。

(そうだ、あれと同じだ) 信二は思い出していた。



信二は早々に仕事を片づけ、部長に「今日はちょっと急用が有るので」と許可を貰うと、いそいそと電気街へ向かった。そしてあの店の前へ着く。すると店主が自分を見てニヤっと笑った。信二はもうふてくされることもなく頭を掻きながら照れくさそうに笑った。

「ね、だから言ったでしょ?」

店主はちょっと誇らしげに言った。信二は

「はぁ、まぁ・・」

と曖昧な返事をした。

「ま、上へ上がって話しましょう」

と言って階段を上がった。そしてスタッフルームからパイプ椅子を二つ取り出し一つを信二に渡し座るよう促した。



「覗きたくなっちゃったんでしょ?奥さんが他の男に抱かれるの」

店主はのぞき込むように聞いた。

「はぁ、まぁそのつまり・・そうです・・」

信二はモジモジと照れくさそうに答えた。

「照れるこたぁないよ、ここに来る連中は皆そういう変態ばっかだから。かく言う俺も公園や港でアオカンする連中を盗撮するのが趣味だしね」

と言って信二の肩をポンポンと叩き慰めた。

「と、とにかく妻の居所を常に把握しておきたいんです。できれば声も確認できれば・・」

早速信二が本題を切り出す。

「場所はね、確認できるよ今そういう携帯電話出てるしね、パソコンにつないでそういうサービスしてくれる所が有るから。でも声は難しいなー。車の中でも部屋の中でもとにかく電源が取れないと電池やバッテリーじゃ限界があるからね」

と説明する。

「じゃ、場所だけで良いです」

と信二は答えた。



「うん、まぁ場所を突き止めたらやっぱ自分の目でのぞかにゃね」

と言って悟りきったようにウンウンと自分自身の言葉に頷いた。

「そういうものですか?」

と興味深そうに信二が問い返す。

「あったりまえだよ、想像してみな自分の奥さんが抱かれるのを直に見るんだよ?ま、その興奮を知ったらAVなんか一生見ないね」

信二はワクワクして武者震いをした。店主はパソコンと携帯を持ち出し

「これを奥さんに持たせるんだ、コレ自体が発信器として常にパソコンに情報を発信するから、ほらこっちのパソコンを見ると移動先の地図が詳細に分かる。ほら、ここうちの店でしょ?」

と言って信二を見た。信二は興味深そうに頷いた。



「これ本当は会社が営業に渡して素行を確かめる為に開発されたんだけどね」

と言って肩をすくめた。信二も肩をすくめて

「そりゃたまらないですね」

と言って笑った。妙な居心地の良い連帯感だった。



パソコンは今持っている旧型の物でも大丈夫だという事だったが、妻に経費をごまかす為に新しいパソコンを買ったという事にすることにした。いろいろとその他器具も合わせてしめて40万を越えた為、先に10万払って残りは月賦にした。その日帰宅すると、そわそわとカバンから携帯を取り出し、

「会社のが一つ余ったからお前使えよ」

と言って佐和子に手渡した。佐和子は

「えー?私あんまり使うことないわよ、もったいないんじゃないの?」

と言ってあまり乗り気じゃない。



「いいから、経費は会社持ちなんだから持ってろよ」

と言って強引に手渡した。佐和子はいぶかしげに信二と携帯を交互に見ていたがやがて

「うん、じゃ貰っておくわ」

と言って引き出しにしまった。

「それよりあなた、昨日杉野さんからね一緒にテニスやらない?って誘われたんだけど・・」

と佐和子がきりだした。

(おいおい、いきなり直球だな)

と信二は思いながら

「テニスぅ?杉野と二人でか」

と問い返した。

「何言ってるのよあちらの夫婦と、私達でよっ」

と言って佐和子が信二を睨む。



信二は食べかけていた夕飯をブ!と吹き出した。

(昨日のは、その誘いの電話だったのかー!・・期待して40万払った俺はどうするんだよ・・)

信二はパニックになっていた。

「あなた、仕事も良いけど運動もしないと駄目って杉野さんに言われちゃったわよ」

テニスを厭がってパニクっていると思い込んだ佐和子は脅迫的に信二に言った。

(余計なおせわだ!40万・・)



信二は頭をブルブル振った。するといきなり腕に痛みを感じ「いて!」と思って見ると佐和子が自分の腕をツネりながら

「私やるって決めちゃったから、いいわね?次の土曜日OKだって杉野さんに言っておいて」

と言って手を離した。

(な、何でこんな健康的な展開になってるんだ・・杉野め・・)

信二は杉野を呪った。



結局、信二は承伏せざるを得なくなり、そのまま土曜日を迎えた。

午後二時からの約束ということで信二は会社に行き、そのままクラブへ直行する事にした。とりあえずジャージだけ持って出社した。今日は誰も居ない・・。信二は自分が望まぬ展開になりつつある現在を憂えてほとんど仕事が手につかなかった。ふと電話のベルが鳴った。杉野だった。



「あぁ、高山か?ちょうど良かったうちのかみさん急用で来れなくなってさ、俺だけ行くことになったから」

「あん?お前だけ?じゃ止めようぜ」

「何言ってるんだよ今日はミッチリしごいてやるからな二時に待ってるぞ」

と言ってガチャっと切れた。信二ははき捨てるように「チ!」と舌打ちをした。

(せめてむこうの奥さんのアンダースコート姿だけでも拝めると思ってたのに・・)

信二は失望した。が、次の瞬間信二の頭にあることがひらめいた。

(この場合、俺が急用で行けなくなったらどうなる・・・?)

信二の脳裏に逞しい杉野が華奢な佐和子の背後から手をとりウェストに手を廻しながら教えている姿が浮かんだ。

「これだ!」

信二は手を叩いた。



信二は一時半を時計の針が回るのを待ち、佐和子の携帯に連絡した。

「ごめん!急に得意先からクレームが入って行けなくなった!」

といかにも焦っているような声を出した。

「ちょ、待って!杉野さんは夫婦で来るのに私はどうするのよ」

と佐和子が言った。信二はあえて杉野の奥さんが来れなくなった事を伝えなかった。

「大丈夫、今回は顔見せだけだから俺と杉野夫婦は面識があるんだしいいだろ?」

と信二が諭した。



「いいって・・あなたの運動の為なのに・・」

と佐和子が言いかけたところで

「あ、ごめん!すぐ行かないと駄目なんだ杉野に○○社からのクレームって言えば分かるから」

と言って切った。佐和子が「あ、ちょっと待って」と言った時には既に携帯からは「ツーツー」という音しか聞こえなかった。佐和子は口を膨らませ「もうっ」と言って憤慨した。



時計を見ると既に二時になっていた、前にスポーツカータイプの車が止まるとウインドウが開いて

「やぁ、待ちましたか?」

と精悍な杉野の笑顔がのぞいた。

「いえ、ただ主人が急用で」

と事の成り行きを杉野に説明した。

「○○社かぁ・・やっぱ問題起こすんだよないつもあそこは・・」

と杉野は顔をしかめた。どうやら杉野も知っている問題有りの会社らしい。

「でもまずいな、うちも妻が来ないから」

と言った。



「え、奥様いらっしゃらないの?」

とびっくりして佐和子が問い返す。

「あれ、高山には、さっき言っておいたんだけどな」

と首をひねった。

「もう何も言わないで切るんだから」

と佐和子はまた怒りがぶり返したように口を尖らせた。

「これじゃまるで僕らが夫婦みたいだね」

と杉野はしれっと言った。佐和子も負けずに

「本当ね、たまには違う夫もいいかしら」とふざけていった。



「ま、今日は簡単な素振り程度にしておきましょう。いきなりだと身体こわしちゃいますから」

と軽く佐和子の肩を抱くとクラブの入口に招いた。何人かの子供が中でたむろっていて「杉野先生こんにちはー!」と元気良く挨拶をした。

「まぁ、先生だって」

とちょっとからかうように杉野を見た。



杉野は照れくさそうに

「いや、週末だけちょこっと教えているだけですよ」

と言って笑った。

(学生時代はきっと、もてたんだろうな・・)

杉野の嫌味のないかっこうの良さに少し佐和子もときめいた。ふと、また脳裏にこの間の情事が浮かぶ、杉野は怪訝そうに

「どうしたんです?」

と心配そうに佐和子を見た。佐和子はうつむいて

「いえ・・何でも」

と口ごもった。今目の前にある精悍な男に私は抱かれた・・それがなかなか脳裏から離れなかった。



その時信二は、いそいそと車でテニスクラブへ向かっていた。ノートパソコンで位置を確認する。たしかに佐和子はクラブに到着しているようだ・・・って

(最初から行き場所が分かってるんだったら意味ないじゃないか!)

と自分でつっこんでパソコンを閉じた。

(40万有ったら・・・)

未だに未練たらしく信二は無駄な買い物を呪っていた。

(だからこそ今日は妻が不倫してもらわなければ困る)

と理不尽に考えていた。



社用の車なのですぐバレないように、ちょっと離れた所に置き金網越しにテニスコートを見た。

「うーん、結構いるな・・ええい!ガキはいいんだガキは」

と一人でつぶやいた。

「お!」

と信二はずり落ちかけたメガネを上げると若いピチピチの女性の太股に釘付けになった。既に股間が熱い。走るたびに揺れる太股と胸をしばらく見ていた。たまらず信二は股間をギュっと押さえた。



と、その時見慣れたカップルを発見した。杉野と佐和子だった。ラケットを持って素振りの練習をしている・・。

(ぷ、以外と様になってないな・・)

と佐和子のおぼつかないフォームに信二はクスリと笑った。が、スタイルは良い。後ろにポニーテールにしばると、三才の子供が居るとは思えない若さだ。



信二の想像通り、杉野は佐和子の細い腰に手をあて手首を掴んで素振りの指導をしている。



佐和子は背後からの杉野の吐息を感じ厭らしい気持ちを隠しきれない。その為に腰が揺れてしまい、フォームがおぼつかなかいのだ。



(やだ、どうしよう・・変な気持ちになってきちゃう)

佐和子のヒップは自分の気持ちとは反して杉野の股間のあたりで上下に揺れた。

「お、奥さん・・そんなにしたら起っちゃいますよ・・」

小声で杉野が佐和子に言った。

「ご、ごめんなさい、でも何か体が反応してしまって・・」

佐和子はピッチリめの短パンの尻をクイックイッと杉野の膨らみ始めたペニスに沿って揺れた。



「あ、あ、あ、駄目ですよほんと奥さん、もうちょっと人目の引かないところに行かないと・・あそこで練習をしましょう・・」

杉野は佐和子の手を引いて物置のようなプレハブの裏に入って行った。



オペラグラスで一部始終を見ていた信二は興奮で手元がガクガクと揺れた。

(あれはどう見てもお互いに感じ合っている行為・・)

そして物陰に隠れたという事は、何を意味するのかを察して、既に信二の勃起は爆発しそうだった。



信二は、慌ててプレハブの方に向かう。見ると杉野が背後から佐和子の腰を抱き抱えていた。が、そこからじゃ遠くて良く見えないし、振り向かれたら一貫の終わりだ。信二はもう一回プレハブの表にまわり、そうっとドアを開けてみた。そこはほとんど使われていないらしく埃が降ってきた、古くなったラケットやネットが汚らしく散乱している。信二はそうっと忍び込み、杉野と佐和子が情事に及んでいる側の壁面を見た。小さな小窓が着いている。



幸いそこが少し開いていた。そこから信二は表を覗いてみる。何と目の前に重なり合う二人の体があった。一瞬気付かれたと思ったが、どうやらプレハブ内が真っ暗なので表からは中が見えないようだ。

「さぁ奥さん、ここならいくら押しつけてもいいですよ・・」

杉野が高揚した声で言っている。



「え、えぇ・・」

佐和子は苦しそうにヒップを杉野の股間に押しつけた。

「あー気持ち良い。奥さんこれだけでもイキそうだ」

杉野はめくり上がった佐和子のTシャツの中に手を入れ胸を揉みしだいいる。信二はズボンから自分のペニスを取り出ししごきだした。外からは無邪気にはしゃぐ子供達の声が聞こえた。純粋な子供達の歓声が淫らな二人の行為を更に引き立たせていた。



佐和子はもじもじと杉野の股間にめがけ揺する。その動きに合わせて落ち葉がカサカサと鳴った。杉野はたまらなくなったのか、佐和子のショートパンツを下ろした。佐和子の柔らかそうな尻が木漏れ日に照らされていっそう白く光っている。杉野は前をおろし、ペニスを佐和子の割れ目にあてがおうとした。



それに気づき、やっと佐和子は正気を取り戻したようだ。

「だ、駄目よ杉野さん。私達もう二度と同じ過ちを犯さないって言ったじゃない」

佐和子はそう言うと杉野の股間から自分の尻を離そうとした。が、一度火が点いた男の性欲はそうたやすく止められない。

「お、奥さんここまできてそれはないですよ」

と苦しそうに言って。

佐和子の腰が逃げないようにガッシリと抱えた。



「だ、だめ・・お願い。ゆるして・・」

佐和子がもがいた。しかし、ガッシリした肉体の杉野と華奢な佐和子で力の差が明白だった。杉野は逃げようとする佐和子の腰を強引に引き戻し佐和子の体を金網に押し付けた。

「だ、だめ・・だめ・・」

佐和子が首を振る。だが杉野は聞く耳をもたず自分のペニスを無闇に佐和子の尻に押し付けた。



信二はこの淫夢の万華鏡のような光景に目まいがした。

(妻が最後になって理性を取り戻し、自分に対する貞操を守ろうという気持ちは嬉しかったし、頑張って逃げてほしい気持ちと、いやこのまま最後までいかなければ行き所の無い自分の性欲が爆発しそうだ)

という理性と邪念が交錯した。その間にも杉野はギシギシと佐和子を金網に押し付け、今にも思いを遂げそうだった。



とうとう佐和子は手をかけていた金網から崩れ落ち、地面に上半身が突っ伏してしまった。佐和子のポニーテールは解け髪の毛が乱れている。

杉野は有り余る力で強引に佐和子の尻を引きずり上げた。そして自分のペニスを掴むと、やおら佐和子の割れ目にあてがった。渾身の力で突き抜く。

「あ・・あー!あっ!」

佐和子のかすれた声がプレハブ裏の小さな空間に響いた。



信二は体を乗り出しその瞬間を凝視した。今にも股間が爆発しそうでギュと股間を押えて射精を耐えた。しかしそれにしても何という光景だろう、信二の脳裏に電気屋の店主の言葉が脳裏をよぎった。

(奥さんの寝取られる所なんか覗いたら二度とAVなんか見なくなるよ)

その通りだと信二は思った。



やっと思いを遂げた杉野は佐和子の暖かみに包まれた快感で、

「お、お、おー・・」

と体を反らせ満足そうな声をあげた。

「奥さん、奥さんのあそこは最高ですよ・・」

そう言うと腰を回転させペニスで佐和子の膣の感触を味わった。

佐和子は乱れだ髪をかき上げ

「う、うん私も気持ちいい」

と素直に応えた。



チョップチョップ・・。と粘液が擦れ合う音が信二の耳にも聞こえる。信二は佐和子がもはや理性を失い自ら腰を迎えて杉野の肉棒の感触を味わっている光景に目が眩みそうそうだった。

(やめろ!やめろ!そんな奴の体をむさぼるなんて・・お前は俺の妻じゃないか!)

今自分が飛び出して行って殴ってやろうかとう衝動をかきたてられるが裏腹に信二は自分のペニスに刺激を与え続けた。



杉野は猛り狂った肉食獣のように

「うぉーおぉー・・」

と唸り声をあげ佐和子の尻にパンパン!と突き立てた。

「あぁ、奥さんいきそうだ・・出そうだ・・!」

「だ、駄目!中に出しちゃイヤ!」

佐和子が嘆願する。聞こえているのかいないのか杉野は返事をせず更に強い勢いで佐和子を貫いた。ピシャンピシャン!と音をたてて佐和子の柔らかい尻肉がひしゃげた。

「かっ!あっ!いっぐ、いくいく・・奥さん・・!」

杉野が悶絶の表情を浮かべる。

「いや、駄目、外に!」

佐和子が悲鳴を上げる。



杉野は一際強く突き上げると、砲身を引き抜き二度三度と佐和子の尻の上でペニスをしごいた。すると白濁色の液体がドボドボと佐和子の尻やめくり上がった背中に盛り上がった。

信二はその思いがけない杉野の精液の量に驚愕した。

(俺の三倍は出てる・・)

杉野の精液はブクブクと泡を立て佐和子の太腿を流れ落ちた。杉野はハァハァと荒い息をつき

「奥さんあなたは最高だ・・」

と言って名残り惜しそうに佐和子の尻を撫でた。



そして、佐和子の尻や背中に溜まった自分の精液を指で塗りたくった。それに気づいた佐和子は振り向き

「なにしてるのよ、もうっ」

と上目使いで照れくさそうに杉野の胸を突付いた。杉野は悪戯そうに

「精液はタンパク質だから肌にいいんだよ」

と言って笑った。

「何を言ってるのよ」

と言って佐和子は自分の服装を整え始めた。気づくとプレハブの窓が開いている。杉野はハッとして中を覗いたが幸い誰も居なかった。杉野は気づかなかったがプレハブの床には信二の欲情の痕跡がしっかりと残されていた。



信二は、半ば放心状態の中で杉野と佐和子が何事も無かったかのようにテニスの練習をしているのを見つめていた。二人が笑顔でボールの交換をしている姿は、まるでどちらが本当の夫なのか分からないくらいだ。男という生き物は射精後、最も冷静になるものだ。信二は自分が仕向けた結果を悔いた。そして理不尽を承知で妻を呪った。

(例え、俺が仕向けたにせよ過ちを犯したのは佐和子の不貞だ)

信二の心には青白い復讐の炎が燃え滾っていた。





自分の前の通路を人が何人か通り過ぎても構うことなく信二は妻を奈落の底へ突き落とすような、残酷な展開を思案していた。そんな事とは関係無く野良猫が信二の心をあざ笑うかのように目の前で毛繕いをしている。腹が立った信二はズカズカと猫に歩み寄るとサッと路地裏へ逃げていってしまった。通行人が見ている。ちょっと恥ずかしくなって信二は妻が終わるまで車の中で待つことにした。



佐和子は杉野との最高の情事の爽快感からか体の動きも滑らかになり、空が夕焼けに染まり出す頃にはいっぱしな球を打ち返せるようになっていた。

「いやぁ、奥さん良いセンスしてますよ。学生時代何かやってらしたんですか?」

と杉野が感心して言うと、佐和子は照れくさそうに

「高校生時代にバスケットをちょっと・・」

と答えた。

「なるほど、それでフットワークが良いんですね」

杉野はニッコリと笑い

「そろそろ終わりにしますか?」

と言った。



佐和子はせっかく上手くなり始めてきたところなので名残惜しかったが子供も待っていることだし、

「そうね、今日はどうもありがとう。楽しかったわ」

と素直に礼を言った。気付くと回りにはもう誰もいなくなっていた。

「あら、誰もいないわね。管理人さんに怒られちゃう」

と佐和子が言うと、

「大丈夫。鍵は僕が持ってるから」

と言ってウィンドウブレーカーのポケットから鍵を出し、チャラチャラさせて見せた。夕焼けに染まった佐和子の顔が一層魅力的に見える。杉野は佐和子をもう一度抱きたい衝動に刈られたが、さすがに癖になってお互いの家庭を壊してしまいそうな気がして、その気持ちを打ち消した。



「さ、行きましょう」

と言って軽く佐和子の肩を抱く。

汗でほんのり湿っている佐和子の肩は否応無しに杉野が男であり佐和子が女である事を意識させた。

(このまま抱きすくめて彼女の魅力的な唇に吸い付きたい!)

その思いが杉野の理性の堤防を決壊させそうにしたが、指にギュと力を入れそうになる衝動を辛うじて堪え手を離した。

杉野の異変に気付いた佐和子が「なに?」と不思議そうな顔をしている。



「いや、夕日に染まる奥さんは、一層素敵だと思って・・」

と言って杉野はニヤけた。佐和子は

「なに言ってるのよもう!」

と言って照れた。

(また杉野さんは私を抱きたいと思ってるのかしら?・・)

お互いスポーツで上気した今SEXをしたらさぞかし気持ち良いだろう。

佐和子は今杉野が誘惑してきたら断りきる自身が無かった。

だから(お願い、誘惑しないで・・)と祈った。



どこかで5時を知らせる夕焼け小焼けのメロディが流れる。佐和子と杉野は並んでそのメロディを口ずさんだ。気付くと二人の手と手がお互いに絡み合っていた。まんじりともせぬ信二は遅い二人の帰りをイライラしながら待ち構えていた。が、待てども待てども二人の姿は見えない。待ちきれなくなった信二はとうとう車を飛び出し元来たテニスコートへ向かった。そして金網に張り付いた。重なり合う二人のシルエットが夕日に赤く染まっていた。

杉野はしっかりと妻の体を抱きしめ唇を重ねている。信二は身じろぎもせずその絵に描いたドラマのような情景を見つめていた。



ひとしきり愛を確かめ合った二人は、信二に気付くことも無くクラブハウスに消えて行った。夫にとってこれ以上の悪夢があるだろうか?

信二は自分の性欲を満たすために仕掛けた結果の代償があまりにも大きかった事に今更ながらに気付いた。信二は二人が消えた玄関口を呆然と見つめながら二人が中に消えたままタダでは出てこない事を確信していた。

信二はザックザック・・と砂を重く踏みしめながら入り口に近づいていく。

(見たくない!)

と強力に思う反面、

(それでも確認せずにはいられない)

衝動を抑える事ができなかった。



杉野と佐和子はお互い向かい合いシャワー室に立っている。

杉野は黙って佐和子のシャツをめくり上げ脱がせた・・。

続いてブラをはずす・・。

それに呼応するように佐和子も杉野のシャツを脱がせようとした杉野が大柄なため佐和子はつま先で立ちシャツを脱がせたがよろめいてしまった。杉野はあわてて佐和子の体を支えクスっと笑った。



今度は杉野が佐和子のショートパンツをパンティごと降ろした・・。

こじんまりした茂みが何ともむしゃぶりつきたい衝動に駆られる。

佐和子は杉野を真似るように信二のパンツを降ろすと、力の漲ったペニスが硬いゴムのように反動を付けて飛び出した。

佐和子は小さな声で「キャ・・」と悲鳴をあげた。

佐和子は巨大な杉野の砲身を興味深げに見つめ

「さっきあんなに出したのに・・凄いのね・・」

と驚きの声をあげた。



「この子が早くあなたの中に入りたいって聞かないんだ・・」

と言って軽く砲身をしごいて見せた。そのまま佐和子の手を想定し杉野は目を瞑ってシュッシュッとしごく。

「すぅ・・はぁ・・想像しただけでもでちゃいそうだ・・」

と恍惚の表情を浮かべた・・。男の自慰行為を初めて見た佐和子は思わずゴクっと唾を飲み込んだ。そしてハッと我に返り

「いやだ、入れさせてあげないっ」

と言って前を隠して見せた。



杉野は急に真面目な顔になり

「愛してるよ佐和子・・」

と言った。佐和子は何か言おうとしたが真剣な眼差しに射すくめられて何も言えなくなってしまった。

シャワー室の小窓から入る真っ赤な夕日が二人の裸を照らすと杉野の頑健な肉体と佐和子の女らしい柔らかい肉体が赤と黒の陰影となり、お互いが異性であるという事を強調させた。



たまらなくなった杉野は佐和子を抱きすくめ佐和子の唇を吸った。

佐和子もそれに応えるように杉野の首に手を絡め舌を入れた。

お互いの舌が生き物のように絡み合う。チュパチュパと唾液が絡み付きシャワー室に響いた。佐和子の割れ目は既に杉野のペニスの挿入を期待してジットリと湿っている。

杉野は佐和子の柔らかい太腿を片方抱え上げ、自分のペニスを挿入出来るようにいざなう・・。



佐和子もそれに協力して腰を突き出し杉野の巨大な砲身を迎え入れた。

肉道を巨大なペニスで埋め尽くされた快感で、佐和子は喘ぎ声をあげようとしたが舌が絡み合っていて声にならない。

「んぐっ・・ん、ん、んぅー!」

といううめき声をあげ杉野の背中に爪を立てることで募る快感を辛うじて開放した。



屈強な杉野の肉体は華奢な佐和子の肉体を不安定な体勢でもまるで弄ぶかのように支配した。杉野は夕焼けと上気した体で真っ赤に顔を染めながら佐和子の口内に舌を狂ったように蠢かせ、ペニスをかきまわして膣壁の感触を堪能した。

二人は上の口と下の口の両方でお互いの性を確かめ合った。



杉野はおもむろに口から舌を離し、

「お、お、お・・奥さん。で、出そうだ」

とうめいた。

「な、中に出しちゃ駄目ですか?お、奥さん・・」

杉野はペニスを出し入れしながら苦しそうに言う。佐和子は首をぶるぶると横に振って拒否した。

「な、なかに、中にだしたい・・奥さん・・」

杉野が嘆願する。佐和子はハァハァと荒い息をしんがら眉間に皺を寄せ、また首を振った。

「な、中に!」

「だ、だめ・・」

「中にっ!!」

「中に!!!奥さんっ!!」杉野の腰の動きが一層強くなり射精が間近なのが分かる。



「だ、駄目できちゃう!!」

「中に!!」

「いやっ外に!!」

佐和子は体を突っぱねようとするが、下半身は杉野ががっちり支配しているので外せない。

「やだ、やだやだやだ!!外に出して!」

佐和子は涙ながらに嘆願した。杉野は

「う、うぉー!!」

と吠えながら二度三度と強く最奥部を貫くと砲身を引き抜き佐和子の頭を股間に押し付けた。



「せめて口で受けてください!!」

そう言って杉野は苦しそうにぐいぐいとお互いの粘液でネットリとテカりを帯びているペニスを佐和子の口内にねじ込んだ。

佐和子はそれに従い、根元を手でしごきながら杉野の欲情の証しを口内で受けた。さっき出したばかりのはずの精液は、どこに貯めていたのかと思うほど大量に佐和子の喉元に注ぎ込まれた。佐和子は慌ててゴクゴクと飲み干そうとするが、間に合わずゴホゴホと咳き込んでしまった。

その拍子にだらしなく白い粘液が口元から涎のようにこぼれ落ちた。



杉野は自ら根元をしごきあげ最後の一滴まで佐和子に飲み干させると

「ふぅー・・」

と満足そうな深い息をついた。

そして座り込んだ佐和子の手を取り立たせ

「とっても良かったよ佐和子・・」

そう言って軽く髪を撫でた。佐和子もニッコリ笑い

「私もすっごい気持ち良かった」

と満足そうに言った。そしてシャワーのコックをひねり汗まみれのお互いの体を洗い合った。



一部始終を見ていた信二は、情けなくも寝取られた二人の情事に二度目の射精を果たしいた。

仕方がない・・自分が佐和子にしてやるSEXなど吹き飛ぶような二人の情交を見せ付けられ、佐和子がどっぷりとそれに浸かってしまう気持ちも分からないではなかった。

(だがそれはそれ。裏切った妻と杉野への落とし前はきっちりとつけさせてもらう)



信二の心の中には家族への愛着の部分が閉め出され、これからは実質一人で生きていかなくてはならないという一種の覚悟のようなものが芽生えていた。

信二の姿はポケットに手を突っ込みながら、すっかり暗くなった夜道に消えて言った。





二人がクラブの玄関を出ると、外はすっかり日が暮れていた。

「たぁいへん!早く帰らなきゃ」

佐和子は杉野に

「じゃ、またね」

と言って帰ろうとする。佐和子を自宅まで送ろうと思っていた杉野は慌てて

「あ、送るよ送るよ」

と言って引きとめようとした。だが佐和子は

「いいわ、旦那に嫉妬されちゃう」

とクスっと笑った。2度も抱かせておいて嫉妬もないもんだと思ったが、無理強いするのも変だし杉野は

「そっか、じゃ気をつけて」

と言って手を振った。





杉野は名残惜しそうに佐和子の姿が見えなくなるまで見送った。それとは裏腹に佐和子は一度も振り返る事もなく駅の方角に消えていった。完全に見えなくなったのを確認すると杉野は車に乗り込みテニスコートを後にした。繁華街のネオンの光と対向車線を走る車のヘッドライトで杉野の顔が定期的に光る。杉野はその光の中に佐和子との情交を映し出していた。



佐和子の柔らかな乳房を夢想して手を握ってみる・・それだけでも二度も吐き出した杉野の欲情はふつふつと沸き立った。本音を言えば、彼女を送る車の中で次に抱ける約束を取り付けたかったが見事にすかされてしまった。杉野の心の中に占める佐和子の割合が自分が守り育ててきた家庭の存在を凌駕しつつあった。



杉野は自宅のマンションに到着し、ガチャリとドアを開ける。ほのかにただよう夕げの香りが杉野の鼻をくすぐる。一気にただれたさっきまでの情事が気まずいものに思えてくる・・そして自分だけ立ち入ってはいけないような疎外感を感じた。

妻由紀は夫の帰宅に気付き

「おかえりなさい、今日はごめんなさい行けなくて」

と謝った。



「いや、いいんだ」

と杉野は言った。

「楽しかった?」

由紀は台所に向かいながら聞いた。

「ああ・・まぁ」

と杉野は生返事をした。由紀はそれ以上聞いてこなかった。深く聞かれるとさすがの杉野でもばつが悪いので、こういう時は妻が大人しい性格なのは助かる。クラブのマッチなども由紀は深く追及せずにしまってあったりする。はっきり言って妻が何を考えているのか分からない時が杉野にはあった。



若い時は妻のモデル顔負けのスタイルと美貌を自慢したくてよく友達などの飲み会にも連れて行ったりした。一種のブランド服みたいなもんだったのかもしらない。結婚後も不満も一切言わずによくやってくれているし何か具体的な不満があるわけではなかった。が、やはり杉野が佐和子に惹かれたのは間違いなく由紀の大人しさにあった。



ふいに

「夕食まだ時間かかるけど、お風呂先にする?」

と由紀が言った。

「あ、え?あぁ・・腹が減ってるから待つよ」

と杉野は応えた。由紀は黙って手を動かしている。自然に杉野は妻のエプロン姿を佐和子に置き換えていた。テニスコート裏で渾身の力で責め立てた佐和子の尻と背中の肉が苦しそうに波打つ情景がリアルに甦る。のぼせた顔で杉野は妻の後姿に見入っていた。後ろのソファーでは何も知らない7歳の娘が無邪気に絵を描いている。



おもむろに杉野は立ち上がると妻に近付いた。

由紀は夫の気配に気付き野菜を刻みながら

「なに?」

と言った。

「今晩どうかな?・・何か苛々してるんだ・・」

「どうしたの?」

「いや・・今日高山も来れなくてさ、高山の奥さんをマンツーマンで指導したんだ。人妻の色気にやられたのかな?」

と杉野は悪びれる事も無く言った。妻は口元だけ笑みを洩らし、そしてコクっと頷いた。



そんな両親の夜の営みの密約など知る由もなく娘はまだお絵かきに熱中している。杉野は娘のちょっと前で胡坐をかき、また由紀の後姿に見入っていた。杉野が2度のSEXでも性欲が抑えられないのには訳があった。結局佐和子の膣内で思いを遂げられなかった事が欲求不満となり、ブスブスと不完全燃焼を起こしていたのだ。そのやるせない気持ちを妻に置き換え、思いを遂げようと思った。



杉野は佐和子の顔を想定し、理不尽にも妻を抱こうという企みを持っていた。下半身は気が早くも中出しを想定し立派に膨張している。トランクス姿の杉野の勃起は丸見えで、後ろで絵を描いていた娘が父親の下半身の見慣れない出っ張りが何なのか興味深げに見入っている事に杉野が気付くよしもなかった。





いきなり娘の舞は父親の勃起に

「うわぁパパのここおっきくなってるぅ・・」

と言いながら無邪気に手を伸ばしてきた。

「うぁ!・・こっこら、ま、まいっ」

妄想にふけって隆起しきった急所を娘にまさぐられ、杉野は身をよじった。まだ性に関する予備知識の無い娘は、父の過剰な反応を面白がってさらにサワサワとトランクスの上から砲身を触り続ける



「おぅ、おっ、おっ・・・」

自分の手の動きに合わせ父親がビクビクッと反応するのを舞は嬉々として喜んだ。いつもの杉野なら事も無げに娘をたしなめて終わるのだが、一度家族のタブーを犯し快楽に溺れた杉野の自制心の防波堤は極端に脆いものになっていた。このまま快楽の波に浸っていたいという思いが、娘を止めるという気持ちを侵食していく。舞の無垢な両手は父親の気持ちを察する訳も無く気持ちよさそうに恍惚とした表情を浮かべる実の父親のペニスを慰めつづけた。



舞は

「パパ気持ちいーのぉ?」

クリクリとした眼で興味深そうに父親の表情を見上げている・・。

「う、うん・・あ、いや・・おっお・・」

父親の仕草は舞が父親にしてやる肩揉みの時のそれに酷似していた為、舞は自分の行為が親孝行をしていると大きな勘違いをしていた。



(あぁ・・・出そうだ。出したい・・あ・・)

杉野は官能の波の中で無垢な娘の手の平の中に放精したいという気持ちに駆られた。最初娘を制する為に伸ばされた両手はワタワタと宙を泳ぎ、顔は子煩悩な父親としての表情から女児に悪戯をする変質者のそれに変化していった・・。いきなり杉野は娘を抱き上げると、すっくと立ち上がり由紀に

「やっぱり舞と風呂入ってくる」

と言った。夫の変化に気付かない由紀は

「そう」

と言ったきりまだ台所に向かっている。



生まれたままの姿になった父娘は風呂場に入る。そこで初めて舞はトランクスの中に隠されていたペニスを生で見た。

「おぉ~」

という歓声をあげて感心しながらその得体の知れない下半身の突起物に見入った。青筋を立て時折ピクピクと動く砲身に舞は

「生きてるみたいだねぇ・・」

と素直な感想を洩らした。



「男の子のここを、こうして擦ると気持ちよくなっておっきくなってくるんだ」

杉野はそう言うと自分で砲身をしごいて見せた。舞は目を丸くして父親の表情とペニスを交互に見ている。

「そして最後に先っぽから赤ちゃんを作るミルクが出るんだよ」

と杉野が教える。

「ミルクぅ?・・」

おっしこしか出ないと思っていた舞は驚きの表情を浮かべた。



「そう、見たい?」

と聞くと、すかさず舞はうんうんと頷いた。

「自分でこうして擦っても出るんだけど、女の子にやってもらった方が気持ちよくなるんだ・・。舞ちゃんさっきみたいにやってくれないかな・・」

と杉野は無知な娘を利用し変態行為を要求した。舞は

「うん、いいよ」

とあっけらかんと応え父親のペニスに手を伸ばした。



いたいけな娘の両手に包まれ杉野は恍惚の表情を浮かべる。

「あぁ・・気持ちいい。舞ちゃん上手だなぁ・・」

と父親に褒められると嬉しくなって懸命に父親の砲身を慰めつづけた。まるでイソギンチャクにでも愛撫されているかのような快感と実の娘に慰められているという興奮が既に最高潮に達しつつあった。



舞は父親の表情を観察しながら、より気持ち良さそうな反応をする部分を探っている。どうやら亀頭部の裏に急所がある事をつきとめ、そこを指先でぐるぐると円を描くように刺激した。たまらず杉野は悶絶し

「うっぐ・・おっおっおぉ」

とうめいた。先端からテカリを帯びた粘液がぷっくりと光っている。舞は

「パパぁ、おしっこ出てきてるよぅ」

とクリクリと見上げながら言った。



「あっ、いやっちがっ・・そ、それはオチ○チンが気持ちよくなってきた証拠なんだ・・」

ともがきながら弁明する。既に砲身は射精の予兆でブルブルと小刻みに震え始めている。睾丸も収縮をはじめ精液を送り出すため上がり始めていた。

「あ、あ・・出る出る舞ちゃんミルクも出ちゃうから、お口開けて」

と実の娘に何と口内射精の要求をした。



何も知らない舞はいたいけな口を開け巨大な父親の先端を頬張った。娘の口内の暖かみに包まれ杉野は

「あぁ気持ちいい」

とまるで湯船に浸かったような満足そうな声をあげた。舞は精一杯口を開け父親に誘導される通り根元をしごき続ける。

「あっあでるでる出るからね舞ちゃん全部飲んでね・・」

と父親が無茶な要求をすると舞は見上げながら素直に頷いた。



「うっうぉ~」

と杉野は吼えると射精を開始した。けな気な娘は父親の要求通り、くっくっくっと喉を動かし懸命に偽りのエキスを飲み込んでいる。杉野は吸い込まれる快感に耐えかねぶるぶると下半身を震わせながら娘の頭を抱え込んだ。最後の一滴が出来るまで砲身をしごかせ飲み干させると娘の口から一物を引き抜いた。



舞は

「にっがぁいぃ・・」

と眉間に皺を寄せ父親を責めるように見上げた。口元から抜かれた拍子に溢れた父親の精液がヨーグルトを飲みこぼしたように口の周りにへばり付いている。杉野はそれを手でこそげ取ると娘に見せ

「ほら、これが赤ちゃんを作るミルクだよ。これが女の子のここに入ると赤ちゃんが出来るんだ」

と言って幼い我が子の割れ目をつついた。さっきまで怒っていた表情が変わり舞は興味深げに、おしっこ以外の物が出るんだという事を不思議そうな顔で見ていた。



「舞はまだ子供だから無理だけどね」

と笑いながら娘を抱き上げ湯船に浸からせた。

「おっきくなったら出来るの?」

と舞は不思議そうに聞く。

「うん、ママくらいになったら出来るよ」

と言いながら杉野は娘の口の周りに付いた自分の精液を洗い流してやった。

「そうだ、ママとパパが赤ちゃんを作ってるとこ見てみたい?」

と、いきなりとんでもないことを杉野は聞いた。



舞はうんうんと頷く。

「じゃあね、ちょっと耳貸して」

と言って杉野は舞にゴニョゴニョと耳打ちをした。舞は目をキョロキョロさせながらちょっと興奮気味に聞いている。杉野は娘の耳から口を離すと

「ママにはシーだからね」

と言って口に指を当てた。舞は素直に

「うん、わかったよ」

と言って笑った。風呂から上がった杉野の目は鈍く曇り鬼畜の表情を浮かべていた。



食事の間、舞はチロチロと母親と父親の顔を落ち着き無く見ている。由紀は娘の雰囲気に気付いていない。

「おかわりは?」

と既に空になった茶碗を取ろうとするが舞は首をぷるぷると横に振って

「いらなぁい」

と言った。いつもおかわりをするのに不思議に思った由紀は

「どうしたの?あんまり美味しくなかった?」

と娘の表情をじっと見つめた。



「今日はね、あんましお腹空いてないの、ごちそうさま」

と言うと舞はお行儀良く自分の食器を台所に運んだ。その姿を由紀はちょっと心配そうに見ている。娘の落ち着かない理由を知っている杉野は

「だいじょうぶだよ」

と心配そうな由紀に言った。

「そうかしら・・」

と由紀は言いながら自分の食器と夫の食器も片付けようとする。杉野は

「あ、いいよいいよ舞が自分で運んでるのに僕が運ばないと教育上変だろ?」

と言って自分の物を運んだ。



舞はしばらくすると眠そうな顔をしだし、目を擦りながら

「ママー、眠くなった・・」

と母親に言った。

「あら今日は早いのね・・やっぱりちょっと体調悪いのかしら・・」

とやはりちょっと心配だという表情をする。

「今日は色々と遊んで疲れたんだろ?」

と杉野は心配無いという顔をしている。由紀はちょっと夫を睨んだ。由紀は自分を早く抱きたい為に夫がさっさと娘を寝かしつけようという態度が感じられて少し腹が立った。が、それを口に出さないのが由紀の性格だった。





由紀は寝室に舞を連れて行き、寝静まるまでじっとそこを動かない。じらされてたまらないのは杉野の方で、その間も杉野の妄想の中ではあぁもしようこうもしようと今日のSEXプランを勝手に描いている。下半身は既に充血しいつでも妻を貫ける準備は整っていた。



少し落ち着くため自分でお茶を入れていると、由紀が戻ってきた。杉野は慌ててポットのお湯を途中で止めると

「どうだった?」

と少しは心配しているように努力した。

「うん、多分大丈夫みたい・・」

と由紀は少し安堵の表情を浮かべた。



由紀はテーブルの上を拭こうと布巾を取ると、手ぐすねを引いていた杉野は背後から由紀を抱きすくめた。

「きゃ、ちょっ・・待って!ここじゃ聞こえちゃう」

急な夫の欲情を抑えようと由紀は振り返ると夫の胸を押す。が、楽々と手を払い除けられると唇を奪われた。

「んぐっ!ぐっ・・んっ・・あ、ん」

と声を上げ抵抗していたが、由紀の手は夫を引き離す為から抱きかかえる為のものに変わっていった。



エプロンをまくり上げ、褐色のセーターの中に手を潜り込ませると形の良い乳房が顔を出した。由紀の柔らかい乳房は屈強な杉野の指によって変幻自在に形を変える。指でピンクの乳首を弄ぶと次第に隆起していった。いつしか由紀はハァハァと夫の愛撫に熱い息を洩らすようになっている。杉野は娘の寝室の扉をちらりと見る・・。少しだけ開かれた隙間から先程寝たはずの娘の目だけが覗いていた。



杉野が由紀のスカートを捲り上げると白い太腿が露になる。そこをツツ~っと優しく撫でてやると

「あ、あん!」

と過敏に反応した。

杉野は隙間からのぞく娘の視線を感じながら、ゆっくりゆっくりと由紀のパンティに手をかけた。スルスルと引きずりおろされるパンティ。

舞の視線に母親の下半身が露呈した。

(ママのあそこ、あんなになってる・・)

舞は初めて見る大人の女の下半身を目の当たりにして衝撃を受けた。



縮れ毛の下から覗く湿った割れ目はピンク色に染まりヒクヒクと何かを待っているかのようだ。杉野は舞の視線を少しだけ見ると、その割れ目にそうっと触れる。ハァハァと苦しそうに悶える母親に舞は少し心配になった。

「ママ苦しそう・・・」

父親の責めで母親が苦しんでいるようにも見える。杉野はそんな娘の心配をよそに割れ目に沿って指を這わした。くっちゅ!くっちゅ!ぴちゃじゅぼぉ!・・絶えず溢れ出る由紀の愛液は杉野の指によって泡立ち厭らしい音をたてる。



母親の苦しそうな顔とは反比例して下半身はとても喜んでいるようにも見える。舞は初めてみる大人の性行為に困惑していた。知らず知らずのうちに舞はまだ未成熟な自分の下半身に手を入れ割れ目に指を押し付ける。もじもじしながら両親の行為に見入る舞。杉野は乳首から口を離し、今度は由紀の割れ目に顔を潜り込ませる。

「あ!あ!それはやめて!あなたっ声が出ちゃう!」

一番敏感な部分に舌先を感じ夫の頭を思わず掴んで苦悶の表情を浮かべた。



ぴっちゃぴちゃと音をたてて舐めあげたかと思うと今度はぢゅぢゅぅ~!ぢゅると愛液を吸い取る。由紀は自分の内部が吸い取られるような感覚に

「ひぃ!ややや、やめて、それは!」

と悲鳴を上げた。

(ママのあそこをパパが舐めてる・・)

これは、何か気持ちよさそうな行為だという事はまだ幼い舞にも理解できる。舞の指は知らず知らずのうちに自分の割れ目を愛撫していた。やおら由紀を抱えあげると杉野は自分の膝の上に座らせた。



そして自分の肉棒を妻の割れ目にあてがう。杉野は舞の見ている方を見るとニヤっと笑いながら由紀の割れ目を押し開いた。ぢゅぶぅ・・と音をたてながら膣の内部が露になった。肉ヒダの一つ一つがイソギンチャクのように蠢いている。その淫猥な光景に舞はあてられ

「うぅ・・」

とうめき声をあげながら自分の割れ目に指を突っ込んだ。

(あれ?)

気付くと自分の割れ目が湿っている事に気付く。指を離し自分の目で確かめた。指を左右に開くと粘液がツ~っと糸を引いた。ママと同じだ・・。舞は自分も少し大人になったような気持ちになって少し嬉しくなった。



大きく開かれた割れ目にさっき舞が口に含んだ父親の巨大な肉棒の先端が埋め込まれる。

(どうするんだろう?まさか?・・)

舞はまさかあんなに長くて太い父親のモノが女性の体内に挿入されてしまうのか?という予感に心配になった。にゅぶ・・にゅぶぶぅ・・と舞の予感通りに埋め込まれる肉棒。とうとうそれは根元まで達してしまったようだ。由紀は最奥部を貫かれた拍子に口元から唾液が流れ落ちた。

「はぁん!」

恍惚とした声をあげる母親の顔から舞いもその行為がとても気持ち良いものだという事は理解できる。



ぢゅっぷ!にゅぶぶぅ!ちょぷ!厭らしい音をたてて現れては没し没しては現れる肉棒を目の当たりにして舞は自分の秘部にも同様の刺激を自ら加え慰めた。

「うぅん、ん!ん!・・」

もどかしそうにモジモジしながらちょぷちょぷ!と自慰行為にふける舞。杉野は同僚の妻を夕焼けの中で抱いた記憶を思い出していた。頭の中で自分の妻を佐和子にすりかわっていった。佐和子のの肌。柔らかい胸。適度にしまった尻が記憶に甦ってくる。

(そうだ、テニスコート裏で人知れず貫いた佐和子の尻の柔らかさはたまらなかった!)

興奮しきった杉野は由紀を床に手を着かせ双臀部をガッシリ掴むと、あの時と同様に責め立てた。杉野の引き締まった下腹部と由紀の尻がぶつかりパン!パン!パン!と音をたてて弾む。

「あ!あ!あなたぁ!あ~!」

渾身の責めに耐えかね由紀の上半身は完全に崩れ落ちた。その光景はまるであの時と一緒だった。



(あー何かママ苛められてるみたい・・・どうしよう・・)

ゆっくりと絡み合っていたさっきまでとは違い急に早く厳しい動きになった父親が何か怖い生き物のように舞には見えてくる。そんな娘の気持ちをよそに今まさに杉野は思いを遂げようとしていた。人妻に中出しを拒否されたフラストレーションをぶつけるように妻の尻にしがみつくとグリグリと腰をかきまわし内部の感触を味わう。

「あ~・・うぅ~ん!」

由紀は健気に夫の責めに耐えている。

(あ~・・どうしよう・・助けた方が良いのかなママ・・)

真っ赤な怖い顔で襲い掛かる父親にどうしようか迷う舞。



杉野はもう爆発寸前だった。スパァン!スパァン!と一層強く突き上げると床がギシギシときしむ音がした。

「あ、でる!でる!」

青筋を立てて最後の時を迎えようとする杉野。

(あ~やっぱり助けなきゃ駄目だママぁ)

舞は何も知らずに飛び出そうとしている。だが、杉野は

「うぉ!うっ!」

とくぐもった声を発するとそのまま由紀の尻にしがみつき射精を開始した。頭の中では完全に佐和子に置き換えての射精だった。ドクン!ドクン!と止めどなく続く射精の快感に杉野もただブルブルと下半身を痙攣して耐えるしか手がなかった。

(あ~佐和子!佐和子・・!)

心の中で叫ぶたびに肉棒は既に空になった精液を妻の体に送り込もうとするのだ。



やっと大人しくなった二人を見て舞はヘタり込んでしまった。

(良かった終わったみたい)

杉野はまだ隙間から覗いている舞を確認すると結合したまま由紀を抱え上げた。舞の目の前に二人の結合部が再び露わになる。杉野はゆっくりゆっくり肉棒を引き抜くと塞き止められていた精液がドボドボと由紀の肛門をつたって床に流れ落ちた。

(あ、赤ちゃんを作るミルクだぁ)

舞はさっき自分が飲み込んだ液体が母親の胎内に発射されたのだという事に初めて気付いた。



(そうか・・ここにお父さんの出したミルクを入れると赤ちゃんが・・)

舞は自分のいじっていた下半身から手を離し、しげしげと未成熟な割れ目を眺めていた。何か良く分からないが不思議な気分だった。



その日信二は眠れぬ夜を悶々と過ごした。それはそうだ誰だって自分の妻の浮気現場を、それも情事を目の当たりにすれば眠れようはずがなかった。佐和子は結局帰ってきてもテニスの話も杉野の話もすることはなかった。あれ程自分を誘っていたのにも拘らず「結構楽しかったわよ」の一言も自分が急用でドタキャンした事にも言及しなかった。その一つ一つの行為が自分が仕向けたものであるにもかかわらず信二は佐和子の態度が気に入らなかった。



黙って暗い天上を見上げると昼間、プレハブ裏の草むらで杉野に突き上げられよがる妻の姿と夕日が当たるシャワー室で絡み合う妻の姿が万華鏡のように交錯する。

「あ~!くそっくそ!」

吐き捨てるように唸りながら信二は自分の肉棒をしごき続けた。どうにもいっぺん射精してしまわないと頭がおかしくなりそうだった。



妄想の中で筋肉質な杉野の腕が細い佐和子の腰に巻き付く。杉野はさかった犬のようにヘコヘコと妻の尻を突いている。気持ちよさそうに弛緩する妻の表情と恍惚とした表情で妻の体にむしゃぶりつく杉野・・・。いつしか妄想は杉野が信二自身に置き換わり人妻として佐和子と交わっていた。

「お!お!お!」

信二は放出の予兆でピクピクと体を捩る。妄想の中で屈強な肉体になった信二は佐和子を更に強く貫く。双臀部の肉はタプタプと波打ち髪を乱しながら悶える佐和子。

「お!くぉ~!!」

と吼えると信二の射精が始まった。どぴゅっどぴゅっと噴水のように放出された精液は引力に従いボタボタと信二の下腹部に落下した。



「ふぃ~・・」

と溜息をつくと信二はぶっきらぼうにティッシュをバサッバサッと取り出し、すでに収縮し始まった肉棒と下腹部の精液を拭った。しかし下半身の欲求は収まっても妻を同僚に抱かれた現実が変わる訳もなく目を瞑ると、やはり昼間の情事が脳裏から離れなかった。男は射精後冷酷になる。信二はその冷酷な心で妻と杉野への復讐を考え始めた。できるだけ衝撃的でかつ残酷な結末を迎えるよう思案を巡らす信二。二度有る事は三度有る、佐和子はまた杉野に抱かれるだろう。いや、自分が気づかないそぶりをしてさえいれば常習的に情事を重ねる可能性が高い。そこを巧く突く二人にとって残酷な方法・・・。



あくる日、信二は出社し部長に適当な嘘を言って、またあの電気街へと赴いた。妻と杉野に復讐するにしても、たった一人では心もとない。信二は電気屋の主人にアドバイスを求めようと考えたのだ。休日は人ごみでごった返している町並みも普段の日はそれほどでもないのか今日はやけに人通りが少なかった。信二は誰も見ているはずもないのにキョロキョロと辺りを見渡してから目的の電気屋に入った。



客は誰も居ない。が、何と店員も誰も居ないようだった。

「無用心だな~」

と人のいないレジを眺めながら盗聴器などを売っている二階の調査器具売り場に上がって行った。案の定誰も居ない。信二はとりあえず店主が戻るまで待つ事にした。壁際に置いてあるパイプ椅子を取り出しどっかと腰をかける。そしてコンクリートマイクのコードを興味深そうにくるくると物珍しそうに手繰り寄せていると、階段をカツカツと上がってくる音がする。



信二が振り向くと店主が立っていた。

「おー!あんたか久しぶり!」

店主は愛想よく笑った。信二も

「ど、どうも・・」

と頭を軽く下げる。

「どう?奥さんの浮気現場のぞけた?」

店主はいつもの調子でストレートに聴いてくる。

「いや、まぁのぞけるにはのぞけたんですが・・」

とちょっと不満そうな信二を見て

「何だよ、のぞけたんなら本望だろ?」

「チン○起っちゃって眠れなかったってか?」

からかうように店主は笑った。

「ええ、興奮はしました、今までになく。おっしゃるようにチン○も起ちっぱなしです」

素直に応えると、店主は嬉しそうに、そうだろそうだろというようにコクコクと頷いた。



「でもでも自分で仕向けて言うのも何ですが悔しいんです!」

信二は吐き出すように言った。

「分かるよ~!分かる分かる!」

「タブーだからこそ腹立たしくもあり、タブをー犯した姿をのぞくからこそ日常得られる事のない興奮を味わえるんだよな。深い深い・・」

と店主は一人で自分の言った言葉に自己陶酔している。

「でも俺、このままだと頭がおかしくなりそうなんです!」

信二はやるせない心を店主に告白した。



「復讐したいのかい?」

さすが店主、その道のプロだけあって信二の目的をピタリと言い当てた。信二は真剣な眼差しで頷く。

「じゃ~若いあんちゃんでも雇って二人を暴行でもさしちゃうか?」

いきなり凄い事を言う店主に信二はたじろぎ

「い、いや、犯罪はちょっと・・」

と別な作戦を頼む。

「相手の奴は妻子持ちなのかい?」

「ええ」

「夫婦円満なの?」

「はい、一応子煩悩な父親として相手の奥さんも今でも信じてると思います」

「あんた奥さんの事知ってるんだ?」

「はい」



杉野は何度か信二が休日出勤してた時に奥さんを連れてきた事があった。はっきり言って相当良い女だ。佐和子も街で今でも声をかけられたりするが杉野の妻レベルだと声もかけられないだろう。当然金持やモデルクラスの良い男が付いてるに決まってると諦めてしまうぐらい。いや、あくまで信二の想像だが。店主はその表情から察したのか

「いい女なんだ?」

とニヤついた顔で言った。

「はい、かなり」

信二は素直に答える。

「じゃ、話は早いや。彼女にバラしちゃえ!」

店主が結論を言った。



「あんたと一緒に浮気現場をのぞかせれば良いんだよ」

「良い女が苦悩する表情!くぅ~興奮するぜ!」

店主は恍惚とした表情を浮かべる。

「で、でもどうやって呼び出せば・・」

信二はちょっと自信なさそうに聞く。

「うん、まぁ必ず浮気するという確証が得られないうちは言わない方が良いな」

「とりあえず、あんたの奥さんと相手の男の行動パターンを完全に把握してからの方が良い」

「ボロ出すと感づかれてせっかくのチャンスが台無しになりかねないからな」

店主は腕組みをしながら思案を巡らす。信二の心に再び暗黒の欲望の渦がとぐろを巻き始めたのを自覚していた。あの美しい杉野の妻由紀がどんな表情を見せるのか想像するだけでも甘美な欲望が沸々と湧き上がるのだった。





そうこうしている内に再び杉野とのテニスクラブへ行く土曜日がやってきた。信二は間違っても誘われないよう疲れて寝ている振りをする。佐和子はそっと、襖を開き

「じゃ、行ってくるわね」

と言って信二の顔を覗き込む。信二は

「う~ん・・」

と言って眩しそうな振りをした。





「陽一は母さんの所に預けて行くから」

と小声で言う。信二はうざったそうにウンウンと頷いてみせた。襖が再び閉められ暗闇が訪れる。



(果たして妻はどういう顔をしていたんだろう?)

逆光になって表情がつかめなかった。うっすらだが服装はいつもとそう変わらないラフな格好のようだった。信二の心に妻が再び

(過ちを犯してほしい)

という心と

(いや、ここで踏み止まれば許してやってもいい)

という気持ちが交錯する。

信二はモソモソと起きだすと、顔を洗い、寝巻きのままでかったるそうに冷め切った朝食にかかったラップをペリペリとはがした。

「まずい・・」

ボソっとつぶやく。これから行われるかもしれない妻の情事の可能性に信二の舌は乾ききり味覚が麻痺しているのが自分でも分かる。



そもそもテニスクラブへ行くようになったきっかけは信二の健康を考えての事だったはず。が、その当事者を差し置いて出かけるという事は

(やはり浮気は繰り返される)

という気持ちを確信めいたものにしていった。信二は子供の撮影用に買ったビデオカメラを取り出すとバックにしまい込いこんだ。ドアの鍵をかけ空を見上げると信二の心を嘲笑うように晴れ渡っている。近所の奥さんがゴミを捨てて戻ってきたのか階段を上がって来た。

「おはようございます」

笑顔で挨拶されたが信二は伏目がちに

「どうも・・」

というと逃げるように出て行った。



車を走らせ目的地に近付くにつれ信二の鼓動は早くなった。今の信二には晴れた空も賑わう町並みもブロンズのようにくすんで見える。

(近付きたくない!でも見なくてはいけない!)

信二の心が鬩ぎ合う。気付くと自分の下半身が硬くなっている事に気付く。信二はコートの傍の駐車場に車を置くと、勃起を隠すように前をギュっと押し込んだ。コートが近付いて来る。遠めに妻と杉野らしき姿を見つけた。が、直視できない。信二は俯き加減でヒタヒタと歩いた。



もうこれ以上近付けないくらいフェンスに近付くと思い切って目を上げた。信二がいつ買ったのかも知らない白いテニスウェアに紺のスコート姿で妻は杉野と楽しそうにコートを走っている。アップに髪を上げた佐和子とスポーツマンの杉野はとても良く似合っている。対比した自分の惨めさも相まって、嫉妬と憎悪の気持ちがムクムクと顔をもたげる。

(俺は家庭の為に日々仕事に追われてるのにお前はそれか!)

半ば自分が仕組んだ事だとは言え理屈ではなく腹が立った。ふと、ボールがフェンスを越して飛んできた。

「すいませーん取ってくださーい!」

と子供がやって来る。

(やばい!)

と思った信二は、そそくさとボールを投げ返すと物陰に隠れオペラグラスを取り出した。



「奥さん大分上手くなりましたねー」

と杉野が褒めると

「いやいや教える人が上手だから」

と佐和子はおどけて見せた。

「でも、もうちょっと手首を返した方が良いかな」

杉野がアドバイスする。

「こう?」

佐和子は指示通りにやって見せる。

「うん、ちょっと違うこう・・」

杉野が手振りでやってみせるが、 上手くいかないので近付いた。



そして佐和子の背後にまわると手を取り

「こう、分かる?こうです。」

と振って見せる。

「なるほど、こうね?」

佐和子は自分の力でラケットを振ってみた。オペラグラスで覗いている信二の手は、二人の身体がピッタリと寄り添うと汗でぐっしょりと濡れている。信二がその手をズボンの脇でゴシゴシと拭うと

「くそ!あいつ何ぴったりくっ付いてんだ!」

と呟く。そして

「あ?」

とまた二人の方を凝視した。



佐和子の背後にぴったりと寄り添うと、彼女の汗とシャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。杉野は彼女から離れようにも離れられなくなってしまった。必要以上に佐和子の手を掴みながら素振りを続ける杉野。もう片方の手は彼女の腰を引き寄せ更に身体を密着させていった。

「す、杉野さん?」

佐和子も杉野の欲情に気付き身体を離そうとする。

「お、奥さん僕は・・僕は・・」

高揚した声で杉野は言うと既に膨張した下半身を彼女のヒップに擦り付けた。



強く擦り付けられた拍子にスコートは捲くり上げられアンダースコートが露になってしまっている。杉野は周囲も気にせず官能的な腰使いで佐和子のヒップに求愛行為を続けた。

「あ!や、駄目よ。ほら、みんなが見てる・・」

佐和子はモジモジと身体をよじらせ周囲の目を窺った。まだ気付かれてはいない。佐和子は身体を反転させると杉野の顎に手を当て

「わ、私今日はそういうつもりで来たんじゃありませんから!」

と言って睨んだ。



杉野はやるせなさそうに

「でも奥さんだって高山を連れて来なかったって事はそれを期待して来たんじゃないんですか?」

と言って佐和子に詰め寄った。

「そ、そんな。主人は今日も疲れて来れないって言うから・・」

佐和子は詭弁を言ったが、夫を誘わずに来た事実は自分自身には隠し様も無かった。

(信二さんを誘わなかったのは疲れてそうだったから?)

自分自身に問いかけるが、杉野の言うように全く不埒な気持ちが無かったかと問われると自身が無い。



杉野は佐和子の気持ちを見透かしたように

「ほら、やっぱり少しはそういう事を期待して来たんでしょ?」

と言って佐和子の目を覗き込む。

「え、えぇ・・いや、そんな事は無いわ!私はただテニスを」

佐和子が言いかけるのを杉野は遮り

「奥さん、僕も家庭が嫌いな訳じゃない。娘も可愛いし妻も愛している。ここはお互い割り切りませんか?それはそれ、これはこれで」

と明確な浮気の要求をして来た。

「・・・・・・」

佐和子は杉野の真剣な眼差しに明確な拒否をする事ができず。思わず目を伏せてしまった。

(落ちた!)

杉野は内心確信し、口元だけニヤリと笑った。二人の会話を他所に隣のコートではおばちゃん同士が、

「あ、またやっちゃったごめんなさーい!」

と言いながら下手なテニスを楽しんでいる。



信二は

「ちっ!」

と舌打ちした。先程まで密着していた二人の身体か離れ再びテニスを始めた様子を見て自分が期待していたのとは違う展開に、煮え切らないもどかしさを感じていた。何よりも膨張した下半身が「どうしてくれるんだ!?」と言わんばかりに脈打っている。

(佐和子の拒絶で杉野は素直に諦めたのだろうか?)

身体が離れても二人は暫く話し込んでいたようだが、今は何事も無かったようにコートを駆け回っている。



既に陽は傾き始め信二の居る方向からコートが西日で目映く光って見える。信二はまぶしそうに光の中に投影される二人を眺めているしか術は無かった。定期的に響く「ポーン!ポーン!」という球の音が寝不足の信二には催眠術のように睡魔が襲う。思わず信二は

「ふぁ~あ・・」

と深くあくびをせずにはいられなかった。緊張の後の失望も手伝って信二はとりあえず二人が帰るまで車で待つ事にした。小一時間も眠っただろうか?信二が起きると既に陽は沈みかけすっかり空は赤く染まっている。



「やばい!」

信二はどんドン!とドアを開けるとコートに走った。信二の脳裏にこの間の夕焼け空の下の二人がよぎる。が、既にコートには人影は無く。クラブの建物に近付き扉を開こうとすると既に鍵がかかっており、ガチャ!ガチャ!と無機質な音だけが虚しく響いた。

「今日は何もせずに帰ったのかな?」

信二はつぶやいた。安堵と落胆の複雑な気持ちが信二自身を冷静にさせ、自分がしていた行為が、やけに虚しいものに思えてくる。



車に戻ると信二はノートPCを取り出し追跡システムを稼動させる。佐和子に持たせた発信機付き携帯電話が、彼女の居場所を明確に知らせた。

「ん?」

信二は怪訝そうな声をあげる。帰宅方向と違う場所へ向かっているようだった。どうやら繁華街へ向かっているらしい。

「メシでも二人で喰いに行ったか?」

信二がつぶやく。が、佐和子は子供と信二の食事の支度はするはずであり、その前に自分だけ食事をするという事はちょっと考えにくい。



信二は急に胸騒ぎを覚え、車のエンジンをかける。キキキー!と急旋回する車が猛烈な勢いで通り過ぎるのを買い物帰りのおばちゃんが驚いて見ていた。が、そんな事をかまっていられない。信二は気だけが急いて前傾姿勢をとり、アクセルを踏み込んだ。

(佐和子!どこだ?何処に行こうとしているんだ?お前は!)

心の中で叫ぶ。紅葉した街路樹が凄い勢いで行き過ぎた。10分もすると、さっきまで妻が居たらしい繁華街へたどり着いた。そこで車を脇に寄せ。もういっぺんPCをたちあげる。どうやら、そう遠くはないようだ。信二は妻が居る方向へゆっくりと車を走らせ追跡を再開する。



繁華街を少し抜けた通りに出ると信二は愕然とした。既に暗くなった中にホテルの呼び込みネオンが羅列し妖しい光を放っている。このラブホテル街のどれかに二人は入った・・。紛れも無い現実に信二は興奮し目まいがしてヨロめく。どうやらそれらしいホテルを突き止め信二は漠然と情事に励んでいるかもしれないホテルから漏れる光を眺めていた。そして携帯を取り出すと調査器具屋に電話した。





佐和子と杉野はラブホテルのエレベーターに乗り込んでいた。ラブホテル。そのあからさまにソレを目的とした場所に来たという現実が佐和子自身が一時の気の迷いではなく、自主的にその行為に及ぶというもはや言い訳ができず引き返せない所まで来たという事を意味する。ここまで来て佐和子は罪悪の念に駆られはじめた。

(今頃夫はどうしているんだろうか?横になりながらTVでも観ているのだろうか?)

(息子は、私の帰りを待っているかもしれない・・)

誰よりも家庭を大事にしてきた自分が今ここに夫の同僚と来ている。まるで悪い淫夢でも見てるかのような錯覚を覚えた。



それを察したのか杉野は軽く肩を抱いた。俯き加減の佐和子を見つめる杉野。大丈夫というようにそのまま優しく肩をさすった。佐和子は少しだけ気が紛れたのか口元で「くすっ」と笑って見せる。背後からのぞくポニーテールに上げたうなじが堪らなく愛しくなり思わず杉野は口を付けた。と、そのまま唇で首筋を愛撫する。

「あ!う・・あん!」

思わず喘ぐ佐和子。そのまま杉野は背後から手を回し乳房を揉みしだいた。

「は!はぅ・・あっ!」

喘ぐ佐和子の声がエレベーターに響く。すると「チーン!」と音が鳴りエレベーターが目的の階に着いた事を告げた。



部屋に着くまでの短い廊下で佐和子はそれでもまだ息子陽一の笑顔が吹っ切れない。夫も毎日の残業で疲れているのに。反面自分はこの体たらくだ。杉野は部屋のドアをガチャリと開けるとベットが妖しい薄明かりに照らし出される。

(逃げよう!逃げられる。今ならまだ後戻りできる!)

佐和子がようやく自制心を取り戻した時に杉野は佐和子をガッシリと抱きすくめ唇に吸い付いてきた。身を硬くする佐和子の口内に杉野は強引に舌先を捩じ込んでくる。

「あくっ、ん!んぐ・・」

欲情と理性の狭間で佐和子は喘いだ。

(あなた!・・陽ちゃん・・ごめん、わたし・・)

もはやこの淫らな現実から逃れられないことを悟り硬直した佐和子の身体は弛緩し、杉野のザラついた舌に自らの舌を絡めていった。



最初は小さく弱い佐和子の舌の返信だったが、徐々に自分に返って来る反応が大きくなっていく事に強い興奮を覚える杉野。チロチロと可愛く反応する佐和子の舌に貪るように絡めた。たった一週間だったが、どれ程この時を待ち望んだだろうか。杉野は妻との営みでは決して得られないこの快楽の虜になっている。佐和子を強く抱き寄せながら柔らかい尻肉をまさぐる杉野。そのままスカートをたくし上げ、太腿から秘部近くまでも優しくまさぐる。秘部近くになるにつれ佐和子の身体が反り返る反応を楽しんだ。





小さく小さく秘部に近付き、直前で止めて焦らす杉野。太腿の付け根あたりで割れ目の周りに円を描くように指先でスーっと撫でる。





「あ!あぅ・・あん!」

遠のいたり近付いたり焦らす指の誘惑に囚われる佐和子。無意識に佐和子は自分の一番敏感な部分に杉野の指先を迎えようともじもじと腰を振って反応する。機が熟したと見るや杉野はストッキング越しに中指を割れ目に突き刺した。

「はう!」

奇声と共に仰け反る佐和子。杉野はそのまま、ぐいぐいと指を衝き抜いた。



情け容赦なく更にぐぐっと貫く。

「あ!、や!、そそんなにしたら!」

佐和子は眉間に皺を寄せて苦しそうに指の攻撃に耐えた。

「一週間だ!一週間あなたのここを待ち焦がれていたんだ!」

本心を白状する杉野。そのまま強引にパンティを引き下ろそうとするとさすがに佐和子が杉野を制した。

「ま待って。シャワーを浴びさせて」

杉野の手を押さえながら、佐和子は言った。



「僕はこのままでも平気だけど・・」

名残惜しそうに手を戻しながら杉野は言った。

「駄目よ、汗臭いから」

言いながら佐和子はコートを脱ぎ壁に掛けた。

「僕は佐和子の汗の臭い好きだよ。全然平気」

真面目な顔をして杉野は言う。

「ばか」

佐和子は笑いながらポニーテールにしていた髪を解いた。



佐和子が白いガウンを持つと、そのまま浴室に消えていった。擦りガラス越しに佐和子の着替える姿が見える。ブラウスを脱ぎ、佐和子の肌の色が映し出された。そして背中に手を回しブラを外すと形の良い膨らみがガラス越しにも分かる。杉野がこんなに興奮を覚えるのは妻を始めて自分のアパートに連れ込んだ時以来だろう。今すぐ自分も浴室に飛び込んで佐和子の身体に貪りつきたい気持ちに駆られるが、ここでがっつくと女という生き物は引いてしまう事がママある。杉野は経験から辛うじて自制する事にした。



佐和子はシャワーを浴びながら昼間流した汗を洗い落とした。じんじんと疼く秘部に思わず指を当てる。

(ここに、夫以外のペニスが入る)

そう思いながら指を軽く差し込むとニュブゥ・・・っと割れ目は自らの指を迎え入れた。

(まるでお仲をすかした子供みたい、こんなに涎垂らして)

指に絡みついた愛液を自分の事なのに呆れて見つめる佐和子。ふと、息子の顔が浮かぶ。佐和子は振り払うように頭を振るとシャワーの勢いを強くした。



佐和子はバスルームから出てきた。白いガウンから覗く胸の谷間に一瞬見入る杉野。

「杉野さんも入ってらっしゃいよ」

佐和子が促す。

「ああ・・」

杉野は立ち上がる。とバスルームに入る途中で振り向き

「杉野じゃなくって明(あきら)と呼んでくれないかな」

と言った。

「あら、そう言えば下の名前知らなかったわ、ごめんなさいア・キ・ラさん」

と言って佐和子は微笑んだ。そのままバスルームに消える杉野。

(明さん、か。)

杉野はまんざらでもない表情で汗を洗い流した。



杉野の下半身は完全に膨張し猛り狂っている。20cmはあろうかという剛棒は果たしてガラス越しの佐和子に見えているのだろうか?

(こいつが佐和子の中に没する・・)

その気持ちに共鳴するように肉棒はビンビン!と上下に動いた。

(彼女の中に出せ!)

自分の一物がそう言っている様な幻想に囚われる。

(無茶言うな、俺も彼女も家庭が大事なんだ、これは遊びだ!スポーツなんだ!)

杉野は一物を諭すように言い聞かせる。

(それが望みじゃなかったのか?気持ち良いぞ~!彼女の中に放出すれば)

杉野の本能は家庭を守るよりもむしろより多くの種をばら撒こうと、脳により甘美な誘惑をしてきた。



佐和子のあの柔らかな身体を抱き、溜め込んだ欲情の証しを放出する。元々男の性交はそれを最終到達点としており、例え避妊具を着けて中出ししてもそれは仮初めの快楽でしかないのだ。神が与えた最高の快楽は例え望まない妊娠の可能性があっても中出しでしか得る事はできない。

(元々タブーを犯してるんじゃないか!出してしまえ!)

本能は悪魔のように囁く。

(でも、いや・・しかし・・)

葛藤する杉野。杉野の妄想は佐和子の膣壁に包まれ蠢き淫らに光る愛液が映し出された。



杉野は朦朧とした表情でバスルームから出てきた。佐和子は、どうにも恥ずかしそうに、はにかみ笑いをしている。

「やぁ、お待たせ」

と言って杉野は佐和子の隣に横になった。

「ガウン脱いだ方が良いのかしら?」

佐和子は照れくさそうに言った。

「あぁ、じゃ僕も脱いじゃおうかな」

と言ってガウンを脱ぐ杉野。筋肉質な身体が佐和子の目前に露わになる。佐和子もぎこちなくスルスルと脱いだ。均整のとれた柔らかいラインが女性らしさを強調する。杉野は伏し目がちに恥らう佐和子を強く抱き寄せた。



杉野は柔らかな佐和子の肉体に覆いかぶさった。仰向けになっても型崩れしない彼女の乳房が小さく揺れる。

(中に出して・・)

彼女の女性らしい身体がそう言っているような幻聴が聞こえる。杉野は佐和子と唇を合わせると彼女の方から積極的に舌を入れてきた。

「ちゅぷ・・ちゃっぷ、ぷりゅ・・」

絡まる唾液が卑猥な音をたてる。杉野にとって佐和子が家庭への葛藤を打ち破り自分への情交を選んだ事が堪らなく嬉しく、またそれが男としての性を燃え上がらせた。



口を離し、佐和子の左胸を掴むと舌先で乳輪をペロリと舐める。

「はぁ・・」

ため息にも似た喘ぎ声を出す佐和子。そのまま乳首を口に含むと甘く噛んだ。

「あ!や!・・」

頭を左右に振り佐和子は悶えた。

「ちゅぱっちゅぷっぷっぷ!」

杉野は思いっきり乳首を吸い込む。ゴムのように伸びきる佐和子の乳首。佐和子はシーツを掴み、その責め苦に耐えた。完全に伸びきると「ちゅぽん!」という音と共に乳首が口から離れ「ぷるるん!」と小さく揺れた。



開放された乳首は薄明かりに照らされ唾液でヌメヌメと光っている。杉野によって与えられた刺激で見る見る隆起していく乳首。そういった彼女の発情の証しが素直な興奮を杉野に与える。杉野がもう一度圧し掛かろうとすると佐和子が

「痛っ・・」

と何かに反応した。見ると膨張しきった杉野の一物が彼女の下腹部にゴリゴリと当たっていたらしい。

「ご、ごめん痛かった」

すまなそうに謝る杉野。

「ううん、大丈夫」

と言って佐和子は少し目を開け微笑した。



痛みの張本人である杉野の肉棒が佐和子の目に入る。

「凄いのね。主人のとはち・・・」

と言いかけハッと黙る佐和子。

(馬鹿!こんな時に)

思い出した事を佐和子は後悔した。

「高山のとは何?」

杉野が聞き返す。

「もうっ意地悪」

口を尖らせ佐和子は少し涙ぐんでいるようだった。

「ごめん、お互い週末だけ恋人同士なんだ今だけは家族を忘れよう」

杉野が優しく佐和子の頭を撫でた。佐和子は上目使いで小さく頷く。

「でも、本当にこんなに大きなのって初めて」

あらわな巨根を佐和子は感心して見つめた。



「キスして」

杉野が悪戯そうに一物を突き出して言う。

「え?」

突然のフェラの要求に戸惑う佐和子。以前にも佐和子は自宅で杉野の一物を口に含んだ事があったが、あの時はアルコールが入っていた。佐和子はしらふでこの行為に及んだ事がなかった。基本的に屈辱的な奉仕は性分に合わない。

「いいだろ?さぁ・・」

杉野は佐和子の肉厚な唇に先端をあてがう。見ると、既に先端は、ぷっくりと先走った液を分泌している。佐和子は瞬間的に「チュ」っと先端にキスをした。

「はいした」

にこっと悪戯そうに笑う佐和子。



先走った粘液が佐和子の唇との間にツーっと糸を引く。

「それだけ?」

切なそうな顔で佐和子を見つめる杉野。

「駄目なの?」

佐和子が笑いながら問い返す。

「もっとディープなのをお願いします」

杉野は切実な顔で哀願する。

「え~?しょうがないな~」

と言って佐和子は杉野の一物を手にとった。口を開き、ゆっくりと口に含んでいく・・。佐和子は口内に砲身を納めながら

「こんなのが本当にあたしの中に入るのかしら?」

改めてその大きさに驚きながら思った。



杉野は同僚の妻の暖かみに包まれ恍惚とした表情を浮かべる。

「ぢゅぶぅ・・・ぢゅるるる・・」

佐和子の口内でしごかれ、快感を彼女の頭を抱えて必○に耐える杉野。

「うっ!あ~!奥さん凄い!」

杉野は呻いた。杉野の苦悶する表情を見て満足そうな顔を見せる佐和子。髪をかき上げると手でしごきながら先端をチロチロと舐め上げる。屈辱的に思えていたこれまでがまるで嘘のように丁寧に奉仕する佐和子。



(駄目だ、このままでは果ててしまう)

杉野は佐和子の身体を楽々と支配すると体制を入れ替え杉野の顔近くに佐和子を跨がせた。必然的に佐和子の陰部が杉野の目の前に位置された。佐和子のそれは、じっとりと湿り気をおび潤滑液をたっぷり分泌している。杉野の挿入を待ち侘び歓迎するようにヒクヒクと陰唇が蠢く。

(早く入れて!たっぷりとあなたの種を注ぎ込んで!)

再び杉野の耳に誘惑の幻聴が聞こえてきた。



一瞬で体位を入れ替えられ、その意図を図りかね戸惑う佐和子。しかし杉野の一物は体位が変わっても目の前にそそり立っている。既に一匹の雌と化した佐和子は無意識にもう一度それを口内に収めた。と、急に佐和子の陰部に生暖かい感触が伝わる。

「あん!や!え?なに?」

見ると杉野が佐和子の大事な部分にむしゃぶりついている。舌で掻き回され初めて受ける快感に佐和子はクネクネと腰を振った。性戯に未熟な佐和子にもようやく、この体位の意味するところを理解した。



佐和子も杉野の性器を頬張ると、お互いの性の違いを確かめ合う。ふと見るとベッドの背面にある大きな鏡に自分の淫らな姿が映っている。無意味に大きな鏡がこの為だったのだと初めて気付く。薄明かりでオレンジ色に染まる佐和子が恍惚とした表情で性器をくわえている姿が映っている。

(鏡に映っているこの淫乱女はだれ?)

自分に問いかける佐和子。

(これが私?髪を乱し性戯に狂っているこれが・・)

毎日息子を愛し、主人に尽くしてきたこれまでと全く違う姿に我がことながら信じられない。が、何故かそれとは裏腹に、ねっとりと杉野の肉棒に舌を絡めてしまう佐和子。



同時にチラチラとどうしても鏡を見てしまう。自分自身の行為を見ていると催眠のように徐々に自我の崩壊に陥ってしまいそうだ・・。佐和子は拍車をかけ「ぐぽっ!ぐぽっ!」と音をさせて杉野の性器をしごきあげる。杉野はブクブクと泡立ちながら間歇的に飛沫く佐和子の愛液を「じゅぶぶぅ~!」と吸い上げた。もうすっかり佐和子のそれは杉野の挿入を受け入れる準備が整っている。



杉野は佐和子を仰向けに寝かせるとライトスタンドの下に有る避妊具を一瞥する。杉野の下で目を瞑り挿入を待つ佐和子。ふくよかな胸がふるふると小刻みに震えている。彼女の女らしい曲線が杉野の雄としての本能を目覚めさせていった。そのままゆっくり腰を入れていく杉野。佐和子は自分の割れ目に杉野の丸っこい先端を感じ、挿入を受け入れるように腰を軽く迎えた。ず・・ずず・・ずずず・・生身の砲身が少しずつ佐和子の中に没していく。



肉道を満たしていく杉野の存在に肩を震わせて耐る佐和子。

「あっ!くぅんっ!・・」

半開きの唇から満足げな声が漏れた。杉野は佐和子の脚を開かせ結合部を覗き込む。人妻の割れ目が自分の砲身を、しっとりと咥え込んでいる。堪らなくなった杉野はそのまま、ずーん・・と腰を入れた。先端が、こつん!と佐和子の子宮口に到達した感触が伝わる。

「か!あ・・明さん・・とうとう私たち・・」

佐和子が歓喜の声を挙げた。



そのままグリグリと根元まで押し付ける杉野。佐和子の性器を縁取る柔らかい陰毛と杉野の剛毛がチリチリと擦り合う。佐和子は子宮を突き上げられる衝撃に指を噛んで耐えた。ふと頭の上の鏡が気になり薄目で見上げる佐和子。筋肉質な男が自分に圧し掛かり下半身を完全に支配してる。

「あきらさん!・・もっときて・・」

佐和子は朦朧とした意識の中で杉野の背中に爪を立て、肩を甘く噛んだ。



更に佐和子は脚を杉野の腰に絡めると、もっともっと!というように膣内に呼び込む。

(夫を欺き他の男と寝ている・・でも気持ち良い・・)

佐和子の雌としての本能が完全に理性を凌駕していた。ず・・・ずん!ずぬぬ・・ずん!少しずつ出し入れを開始する杉野。今の杉野にとって佐和子は性を受け入れる器にしか映らない。タプタプと揺れる乳房、下腹部の柔肉が杉野にとっては、(中に来て!たっぷり出して!)と脳に訴えかけていく。



そうとは知らない佐和子は杉野の身体にしがみつき、ねっとりと舌を絡ませていく。腹奥で感じる疼きに佐和子は目に薄っすらと涙を浮かべている。杉野の厚い胸板に苦しそうに押し潰される佐和子の胸。ちょぷ!ちょぷ!と上の口からも下の口からも厭らしい音が響いた。



その頃、ホテルの下では夫が復讐の密談をしている事など勿論二人が知る由もない。信二は冷めた目つきで窓から漏れるホテルの明かりを一つ一つ追いながら携帯で話続けている。最後にホテル名を告げる信二。携帯を切るとアスファルトにぽつぽつと雨が落ちている。見上げると先程まで月が出ていた空は一転曇り信二の顔にも大粒の雨があたった。あっという間にアスファルトは埃臭を出しながら真っ黒に染まっていく。信二は足早に車に戻るとまだ情事にふける二人を置いてそこを立ち去って行った。





帰路を急ぐ信二の運転する車に大粒の雨が叩きつける。ワイパーが定期的に左右に動く向こうを信二は漠然と見ていた。





(杉野と佐和子の不倫を杉野の妻が知ったらどうなるだろうか?)

苦悩する美しい杉野の妻を想像する信二。透き通るような白い肌。モデルのようにスラリと伸びた手足。黒目の大きな瞳。信二はその一つ一つを思い出していた。



できれば最高の環境を用意してあげたい。ホテルに入る現場を押さえるだけではなく二人が情事にふける様を直に見せられたら彼女はどんな表情を浮かべるだろうか?想像するだけでも信二の股間は熱くなった。



佐和子は杉野が自分を貫く度に引き締まる腹筋を朦朧とした意識の中で眺めていた。じゅっぷ!ぬぶぶぅ・・・ちゃっぷ!二人が分泌し合った粘液で結合部から湿った音が響く。杉野は先端ぎりぎりまで引き抜くとヌメヌメと光りながら砲身が露わになった。蠢く肉ひだに絡みつかれた快感で杉野の砲身は小刻みに痙攣している。



発射が間近なのが自分でも分かる。佐和子の下腹部を見る杉野。ふるふると小さく震える柔肉の下に内蔵された彼女の子宮に放精したい衝動が杉野の理性を制御不能に陥れていく。

「奥さん・・・出しますよ」

佐和子の耳元で小さく囁く杉野。

「え?」

佐和子はよく聞き取れなかったらしく聞き返した。

「もう出ます!奥さん!」

「あ!え?ちょ外に出してく・・あん!」

佐和子が言いかけると杉野は渾身の力で佐和子を貫いた。子宮口に受けた大きな衝撃にたまらず仰け反る佐和子。



「中に!出すよ佐和子!」

明確な中出し要求に佐和子は慌てて杉野の身体を引き離そうとする。

「あ!やめて!できちゃうから!」

泣きべそで佐和子は抗うが屈強な二の腕で支配されている下半身はびくとも動かない。

「駄目だ!中で出す!」

杉野は吠えるとグリグリと腰をかき回しながら子宮を突き上げた。

「やだやだやだ!外に!お願い!」

哀願する佐和子をよそに杉野は既に腰を痙攣させ射精の準備に取り掛かっている。佐和子は目じりに涙を浮かべながら杉野の背中をぱたぱた!と叩いた。



「でる!でる!うぉ!!」

くぐもった声と共に佐和子の中に欲情のエキスを注ぎ込む杉野。

「え!あ!?あ~!」

子宮口で杉野の暖かみを感じた佐和子は泣きながら首を左右に振った。杉野は佐和子の柔らかな身体にしがみつきながら最後の一滴まで精液を注ぎ込む。

「佐和子!佐和子!」

叫べば叫ぶほど杉野の砲身は精液を吐き出そうと痙攣した。



「やぁ・・・いやぁ・・」

無残にも杉野の体液を自分の胎内に受け絶望の声をあげる佐和子。彼女の頬を涙がつたい流れ落ちた。その声をよそに杉野は射精の快楽に従いビクン!ビクン!と身体を痙攣させている。全てを出し切るとそのままドサ!っと柔らかな佐和子の身体の上に崩れ落ちた。



佐和子は鏡の方を見上げると雄と雌の情交の痕がしっかりと映し出されている。薄暗いオレンジの補助照明に照らし出される二人の身体は硬さと柔らかさが見事に絡み合い二人が夫婦であったならこれ程美しい絵はないだろう。佐和子の身体が杉野の精を受けるのは必然のようにすら思えてくる。が、現実の人間社会に生きる二人にはジャングルやサバンナに棲む獣のような訳にはいかない。タブーを犯した代償は当然のように受けなくてはならないのだ。特に受胎の可能性がある佐和子にとって深刻な問題だった。



「どうしてくれるのよ、もぅ!。本気じゃないって言ったじゃない!」

佐和子が責めるように言った。まだ下半身には小さくなりはじめた杉野の砲身が挿入されたままだ。杉野はかったるそうにゴロリと横に転がると、ずるり・・と佐和子の割れ目から杉野の一物が引き抜かれる。

「ごぼ!ごぽぽぽっ!・・」

と泡立ちながら白濁色の体液がシーツに流れ落ちた。どれ程溜め込んでいたのだろう?シーツの上のそれは小山のように見る見る盛り上がる。佐和子の肉ヒダは佐和子の気持ちをよそに、その体液をを逃すまいとまだ内側に取り込もうとヒクついている。



「佐和子は血液型何型?」

いきなり杉野は突拍子もないことを聞いてきた。

「O型だけど何で?」

意図を測りかね聞き返す佐和子。

「よかった俺もO型なんだ」

そう言うと佐和子の肩を愛おしそうに抱き寄せる。

「何がよかったのよもう!」

口をとがらせて苛々したように佐和子は聞き返した。



「きみもO僕もO。生まれてくる子供に何の矛盾も生じないじゃないか」

杉野はゴソゴソと傍らにあったタバコを取り出すと火をつけ美味そうに吸い込んだ。

「?どういうこと?」

杉野の言葉に困惑し聞き返す佐和子。

「君は近いうちに高山に抱かれれば良い。兄弟がそろそろ欲しいとか言えば君たちは夫婦なんだから問題ないだろ?」

「だから?」

ここまで言われれば佐和子も杉野の残酷な真意は理解できる。が、それでも彼の口から全てを聞き出さずにはいられなかった。



「歯がゆいな、要するに高山の子として僕の子を生めば済むって事だよ」

そう言うと杉野は「ふー」っとタバコの煙を吐き出した。喚起の悪い部屋が見る見る白く濁っていく・・。

「ひどい!バレたらあなただってタダじゃ済まないのに!・・」

怒る佐和子だが杉野は

「君がそのつもりなら僕も覚悟を決めるさ・・」

と言うと再び佐和子に覆いかぶさってきた。



「いっや!やめて!」

強引に抱こうとする杉野を払い退けようするが簡単に組み伏せられてしまった。佐和子は後ろ向きにされると尻を抱え上げられ無造作に再び力を漲らせた砲身を埋め込まれる。

「む!ぐぅ・・」

枕を抱えながら苦しそうに悶える佐和子。

「あ!・・あん!・・あ!あ!」

鏡の中の佐和子は獣のように犯され弄ばれていく・・。

「ほら、見てごらん。佐和子の割れ目がこんなに美味しそうに僕のを・・」

抱えあげられ足を広げさせられると一物を根元まで飲み込んでいるのが見える。

「や!・・・見せないで!そんなの!」



佐和子は弄ばれる杉野の腕の中で彼の言葉を実行するしかないと諦めていった。それがこの先も連れ添う夫を永遠に裏切る悪魔の選択肢だと悟りながら。



「ただいま」

帰宅した杉野は何事も無かったように言った。

「おかえりなさい」

由紀が返事をする。普通なら「遅かったのね」の一言ぐらいありそうなものだが由紀はそういった追求を一切したことがなかった。そういう意味では妻は杉野にとって都合の良い女だ。由紀は黙って食事の用意をし始めた。TVをつけ漠然と野球中継を見入る杉野。が、全く試合展開など興味はなかった。杉野の脳裏に(佐和子が妊娠してしまったら?)という淡い不安がよぎる。



佐和子の手前ああは言ったが、こうして我が家に帰ればさすがの杉野も冷静になる。出すものを出してしまえば、あれほど執着した中出しも(何であんな馬鹿のことをしたんだ?)と思えてくる。まぁ、男の性欲というものはそんなもんだという事も杉野はよく分かっていた。自分が築き上げてきた家庭。それが今自分が犯した小さなミステイクで脆弱なものになっている事に気付く。大人しい妻のことだ浮気までなら許してくれるだろう。もちろん誠意ある謝罪があってのことだが。が、同僚の妻を妊娠させたとあれば、さしもの妻も黙ってはいまい。杉野の心が(どうにもなれ!)という自暴自棄な気持ちと、(守れるものなら守りたい!)という気持ちの中で揺れ動く。



同時刻、ちょうど佐和子も帰宅していた。息子陽一を預けていた親元から引き取り一緒に帰ってきた。

「ごめ~ん!遅くなっちゃった。今すぐ支度するわね」

夫の同僚の精を受けた事など無かったかのように普通に振舞う佐和子。

「あぁ、まぁゆっくりで良いよ。あんまり腹減ってないし」

TVを見ながらぶっきらぼうに応える信二。

「あれ?ちょっと怒ってる?」

佐和子が機嫌を伺うように夫の顔を覗き込む。

「べつに」

やはり仏頂面な信二に

「やっぱり怒ってるじゃない。ごめんね~。あ・な・た」

と佐和子が機嫌をとる。



「杉野とのテニスが楽しすぎて遅くなっちゃったんだろ?」

嫉妬心を隠し切れず信二が思わず本音を洩らした。信二は佐和子の表情を見逃すまいと妻の表情を窺う。一瞬ヒキつる佐和子。が、即取り成すように

「や、やぁね!妬いてるのあなた」

と言って笑いながら信二の背中を軽く叩く。が、信二は佐和子のその一瞬の引きつった表情を見逃さなかった。

(まぁいいさ。この代償は払ってもらうからな)

心の底で呟く信二。



夫の突っ込みに内心たじろぐ佐和子。

(やだ。もしかしてばれてる?)

笑いながらも夫の表情を窺う佐和子。が、元々夫はそれほど愛想が良い男ではなくいつもと同じと言えば同じようにも見えた。

(だ、大丈夫よね?)

佐和子は自分で自分を納得させた。ふと、ベッドでの杉野の言葉がよぎる。

(近いうちに夫に抱かれ夫の精を受ければ辻褄が合う)

そんなに都合がよく行くとは思えないが、とりあえず今はそれしか逃れる術はないようにも思え、それにすがり付きたい気持ちだった。



が、ここ数ヶ月佐和子は夫に抱かれていない。

ここで自分が「抱いてください」といきなり言ったらギラギラしているみたいで逆に引かれてしまいそうだ。思案を巡らす佐和子。

「そういえば、あなたもう直ぐ結婚記念日ね」

佐和子が強引に話を振る。

「あ?そうだっけ?」

相変わらず素っ気無い信二。

「ねぇ、あなた。たまには美味しい所に食べに行きましょうよ」

猫なで声で佐和子は甘ったれるように杉野の背中に纏わり着く。



「どうしたんだよ急に。陽一も居るんだし無理だろ」

信二が佐和子の提案をあっさり却下した。

(杉野に抱かれた罪滅ぼしのつもりか?)

佐和子の態度を図りかねる信二。

「もう何年も記念日なんてやってないじゃない。何でだめなのよ?」

口を尖らせ拗ねる佐和子。佐和子としてはここで諦める訳にはいかなかった。

「どっかの夜景の綺麗なホテルでさ。ね?ね~行きましょうよ」

「毎日毎日家事ばっかりじゃ、つまんないわよ。腐っちゃうわよ私」

佐和子に肩を揺らされ信二の頭がガクガクと前後に振れる。

「あ~分かった分かった!好きにしろよ。でも段取りはお前やれよ」

信二は珍しい妻の執拗な頼みにとうとう屈してしまった。信二としては杉野との浮気を気付かない振りをしているという弱みもありあんまり頑固に断ると逆に不振に思われるのもまずいと思った。



水曜日。今日は妻と食事の約束をした日だ。正直気が進まないが仕方がない。信二は上司に早めに帰る事を伝え、外回りに出た。彼女が罪滅ぼしに誘ったのか、それとも他の理由があるのか。が、そんな事はどうでも良い事だった。むしろ信二にとっては、ここで妻が杉野との浮気を止めてしまう事が心配だ。せっかくの目論見がパァになってしまう。それだけは勘弁してほしかった。



得意先から帰る途中、また例の電気街へ向かう。路上パーキングに車を止めると調査器具屋へ歩く信二。まだ何の目的も達してもいないのにこの胸の高鳴りは遠足へ行く子供のそれに似ている。思わず足を速める信二。目的の看板の前に立つと深く深呼吸をし中へ入る。相変わらず空いている。いったいこれで採算が取れているのか疑問だ。が、まぁそんな事はどうでも良い。信二は店主を探す。見ると近所の同業者だろうか?店の制服を着ている同年代の男と談笑しているようだ。



信二に気づくと

「よう!」

と手をあげた。小さくお辞儀をする信二。同業者は

「それじゃ」

と店主に挨拶をすると自分の店に帰っていった。

「よし!じゃ作戦会議だな」

店主はおもむろに信二の背中を押して二階へ上がるように促した。それに従い先に階段を上がる信二。上がると店主は何時もと同じようにパイプ椅子を取り出しドッカと腰をかけた。

「とにかく奥さんと相手が何処で情事に及ぶか。それが明確に分からないと話になんないんだよ」

いきなりきりだす店主。



「そこでだ」

と店主は言うと何やら奥の棚にある箱をガサゴソと取り出した。

「これを奥さんの携帯の中に装着するんだ。やり方は今から教えるから」

そう言うと信二の前に箱を置いた。見ると携帯用のプリント基板とスピーカーのようなものが入っている。

「何ですか?これは」

意味も分からず不思議そうに聞く信二。

「これを奥さんの携帯に取り付けると、奥さんが誰かに連絡した場合。または誰かから連絡があった場合に、自動的に会話をこっちの携帯番号に送信して聞けるようになってるんだ」



「こっちの携帯は受信専用。だからこっちの携帯からは向こうに話はできない」

そう言って店主は新しい携帯を渡した。

「なるほど。これで行き先を明確に突き止めろと?」

意味を理解し頼もしげにその機材を見つめる信二。

「会う日時、場所、ホテル名それをなるべく早く知りたい」

店主は、そう言いながら設置方法の実践して見せる。

「知らせてからどうするんです?」

それを見ながら聞き返す信二。



「ホテルを突き止めたら、それからはこっち仕事だ。40万用意しな」

店主がいきなり金の要求をしてきた。

「よ、40万ですか?何に使うんです?」

信二は思わず驚きの声をあげる。

「オーナーに金を渡して二人が特定の部屋に入るように誘導するんだ。そしてその部屋を覗けるように盗撮ビデオカメラを設置する。」

信二は自分の思い描いていた通りの作戦に目をキラキラさせながら店主を見つめる。

「いい!凄くいい!」

そう言うと店主の両手をつかみ上下に揺さぶった。

「分かった分かった!そう喜んでもらえると俺も作戦の練り甲斐があるよ!」

と言いながら揺さぶられたあたまがガクガク揺れる。





正直、100万と言われても信二は金を惜しまなかっただろう。仕事だけが取り柄の信二が見つけた初めてのやり甲斐だった。

「相手の例の美人の奥さんには予め連絡して後をつけるんだな」

店主が最後のアドバイスをする。



「初めっから浮気だとは言わない方が良いよ。相談したい事があるって言ってホテルの最寄で待ち合わせるんだ。衝撃が大きければ大きいほど崩れ落ちる相手の奥さんが、あんたに堕ちる可能性も高くなる」



「え?」

店主の意図を理解できず聞き返す信二。

「ばっか!仕返しするんだろ?こっちも寝取るってやんなきゃ何の為の仕返しだよ」

「寝取るって・・・」

あのモデル顔負けの杉野の妻が自分に抱かれるなんて事は思いもよらない事だった。

(俺が・・・あの杉野の奥さんを・・・)

信二は心の中で何度も復唱した。

「グッドラック!」

店主が信二の肩を叩き親指を立てて見せた。呆けた表情で弱々しく信二も親指を立てた。



夕方、とりあえず仕事を早く引けた信二は約束のホテルへと急ぐ。何やかやで仕事が長引き時間がぎりぎりになってしまった。港近くの某ホテルへ着いたがどうやら間に合ったようだ。佐和子はまだ来ていないようだ。時計を確認し辺りを見回す信二。外人や格好よく着飾った男女が行き交っている。

(どうも居心地悪いな・・・)

信二は場違いな疎外感を感じていた。ふと見ると右前方に、ひと際目立つ美女が立っている。黒いフォーマルなドレスを着ている彼女は、人を待っているのか退屈そうに灯が入り出した港の向こうの高層ビルを眺めている。ぼーっと見つめる信二。肩まで伸びた黒髪が海風になびきかき上げる彼女。



(すげぇな。やっぱこういう所は女の質も違うわ)

信二はすっかり彼女のとりこになり腕組みをしながら関心している。往来する男達の何人かが、やはり彼女が気になるらしくわざとらしく近回りして彼女の顔を確認している。

(あぁいう女を横にはべらしたら、鼻が高いだろうなぁ畜生~)

そう思いながら信二はふと杉野の妻を思い出していた。

(彼女なら、あの女にも引けをとらないだろう)

変に対抗意識を燃やし、もう一度たたずむ女の方を見る信二。あまり凝視する信二に気付いたのか、彼女がこっちに振り向いた。



(やばい!)

即、目を逸らす信二。だが彼女はまだこっちを見ているようだ。

(おいおい、見てただけで因縁つけられるんじゃないだろうな?)

信二は目を合わさず体をこわばらせて相手の視線が反れるのを待った。が、一向に反れる気配がない。それどころか腰に手を当てまだこっちを見ているようだ。それどころかツカツカとこっちに歩み寄って来る。

(何だよぉ見てただけだろぉ?不細工な俺じゃ見られただけでも汚れるってか?)

必○で気付かない振りをし、そっぽを向く信二。が、もう1メートル圏内に彼女は近付いている。

(絶体絶命だ)

信二はかんねんして彼女の方に振り向く。



(ごめんなさい)

そう言おうとして信二が彼女を見ると、

「あなた!来てるなら言ってよ!もぉ~」

聞き覚えの有る声がする。

「へ?」

素っ頓狂な声をあげて彼女を凝視しる信二。・・・・・・・佐和子だった。

「あれっ!あれぇ?佐和子だったのか!全っ然分からなかった!」

驚きの声をあげる信二。元々素材が良いのは知っていたが、我が妻の事ながら、まともに着飾ればこれ程の美貌の持ち主だったとは思わなかった。

(女はこれが有るから恐いよなぁ・・・)

繁々と妻を見つめる信二。

「なによぉ」

あまりに見つめられて恥ずかしそうにモジモジする佐和子。夜の街の明かりに反射しピアスが光る。信二は思わず見とれてしまった。

「いや、馬子にも衣装だと思ってさ」

照れ隠しに思わず失言する信二。

「いててて!」

怒った佐和子が夫の足を踏みつけた。



「さ、行きましょ」

佐和子はそう言うと夫の手を取りホテルへ入った。

「あっいて!」

ギクシャクと途中の階段でコケそうになる信二。

(これじゃまるで囚われの宇宙人だな)

あまりのアンバランスさに信二は少し悲しくなった。



港の夜景が見えるホテルのスカイラウンジで食事をとる二人。佐和子はワイングラスを片手に外を見ている。信二は果たして目の前の女が自分の妻なのかと思うほど映えていた。家事や育児に付きっ切りにさせていた自分に若干の自責の念を感じる信二。

「そう言えば全然子供が生まれてからどっか連れてった事なかったな」

信二がつい本音を洩らす。が、信二は妻の誘いが杉野との残酷な策略だという事にまだ気付いていない。佐和子にとっては夫の偽りの子種を受ける為の一世一代の賭けなのだ。

「そうよぉ、初めてよぉ。もっと奥さんを大事にしてねっ」

上目遣いで信二を見る佐和子。口元がワインでしっとり濡れている。

「ごくっ」

その唇の動きに思わず唾を飲み込む信二。



ふと信二の脳裏にテニスコート裏で杉野に抱かれていた佐和子がよぎる。

(しかし、前は俺の同僚に抱かれた。それは許せない)

幾分冷静になる信二。佐和子はそんな夫の心を見透かしたのか否か、口元についたワインをぺろりと舐める。その舌先の動きが妙に艶めかしい。信二は再びいつになく妖しい魅力を放つ妻に溺れそうになる。

「ねぇ、今日はこれからどうするの?」

濡れた瞳で夫を見つめる佐和子。

「ど、どうって?」

吸い寄せられそうになりながら、どぎまぎと問い返す信二。

「このホテル部屋空いてるって」

佐和子は、ちょっと悪戯そうに言った。



「あ、空いてるってお前。陽一はどうするんだよ?」

思わぬ妻の誘惑に動揺を隠せない信二。

(待て待て!これは何かおかしい!何かある!)

理性の信二が自制を促す。

「大丈夫よ陽ちゃんは母さんが見てくれてるんだからぁ」

ちょっと悲しそうな顔で信二を見つめる佐和子。こういう顔に男は弱い。

「だ、だけど・・・高いんだろぉ?こういうとこって」

思わず無粋なことを言う信二。ハッと気付くと佐和子が泣きべそをかいている。

「いいわよもう!帰るわよぉ私は家事をやってれば良いんでしょ?どうせ」

そう言うと席を立ってしまった。

「あ、ちょちょっと待って」

慌てて後を追う信二。

(どうする?この場を諌めるには要求を呑むしかない)

信二は葛藤する。



支払いを済ませ信二はエレベーターに乗ろうとしている妻を追いかけた。どうにか閉まるまでには間に合った。荒い息をしながら信二は妻を見る。

少し間を置き

「ごめんね無理言っちゃって、何か急に我がまま言いたくなっちゃったの」

ちょっと後悔したのかすまなそうに謝る佐和子に信二はホッとした。

「いや、良いんだ。確かに俺も今までお前に構わなすぎたよな」

とりあえず場が治まったことを良しとする信二。

「ううん。あなた仕事でいつも大変だもん」

妻にかいがいしい事を言われ、つい同僚とのあやまちの事を忘れそうになる信二。

(とりあえず仕切りなおしだ。今後の作戦のこともある。ここはやり過ごそう)

何とか妻の妖しい魅力から逃れる事が先決だと理性が信二に言い聞かせる。



妻の方を見ると胸元から豊かな胸の谷間が見えている。信二は必○に目を逸らそうとする・・が、悲しい男の本能には勝てない。

ついついそっちに目が行ってしまう。気付くと佐和子がそんな信二の表情を見ている。

「ちょっと開きすぎてるかしらこれ?」

少し胸の部分を開いてみせる。

「あ、いや。良いんじゃないかな。うん」

慌てて目を逸らす信二。豊かな胸・・揉み心地の良さそうな胸・・・そもそも佐和子は自分の妻。揉む権利が自分にはある。いや、この魅力的な女を抱く権利が自分にはあるのだ。信二の心の中の悪魔が少しずつ信二の理性を侵食していった。



エレベーターが開き二人はとりあえずホテルの外に出た。街はすっかり暗くなっている。アルコールで上気した体が熱い。信二は海風を深く吸い込んだ。見ると佐和子も海を見ながら大きく伸びをしている。夜風が佐和子の服を吹き抜け彼女の均整のとれた肉体が強調された。ごくっと唾を飲み込む信二。どうにも取り込まれてしまいそうな佐和子の艶っぽさに信二は動揺を禁じえない。今妻を抱いたからと言って、これからの自分の作戦に大きな支障が起きるだろうか?信二は既に自分の欲望を満たすための言い訳を自分でしている事に気付いていない。

「あ~いい気持ち!あなたちょっと歩きましょうよ」

佐和子が一人でテクテクと歩き出した。



信二は灯に集まる虫のように佐和子の後に続いて歩く。ホテルの先の道は華やかなそこまでの街とは違い一変して船の積み下ろし用の運送会社が港に並列して続いている。時折走る大型トラックと遠くで荷を積んでいるらしいフォークリフトの音だけが聞こえるだけだ。街灯もまばらでかなり薄暗くただ大型貨物船とコンテナの影だけが夜の中に不気味にそびえている。

「お、おい!どこまで行くんだよ!」

信二はちょっと心配になって声をかけた。

「ほら!あそこ!あそこ!」

と佐和子が指をさす。信二がつられてそっちを見ると、お台場の観覧車が派手な光を放って輝いている。どうやら佐和子はそれをなるべく近いところで見たいという事らしい。だがしばらくすると道は行き止まりになってしまった。この先は工場の所有地らしい。だが佐和子は諦めない。何と鉄柵の横にある人一人やっと通れるような隙間からスルスルと通り抜けて入っていってしまった。



「お、おい!やばいって!関係者に見つかったら・・・」

信二が慌てて止めるが、佐和子は全く意に介していないようだ。

「だいじょうぶよ。早く早く!」

と手招きしている。信二は深く溜息をつくと

「しょうがねぇなぁ・・・」

と言って佐和子の後に続いた。工場を恐る恐る通り抜ける二人。窓からは夜勤の従業員が何人か残っているらしく明かりが灯っている。

「何だかわくわくしてくるわね」

悪戯そうな顔で佐和子が言った。

「好きだねぇお前も・・・」

だが信二もまんざらでもなかった。工場を過ぎると急に視界が開けた。目の前が小さな湾になっている。そこに何席かの貨物船が停泊しているようだ。貨物船の一つはまだ中に人が残っているのか小さな明かりが一つ灯っている。見つかったら明らかに自分達は不審者だ。二人はじっと船に人影がないか様子を窺った。



どうやら大丈夫らしい。二人は湾のこそこそと歩いた。とりあえず一番観覧車が良く見える位置を探すと、佐和子がズリズリと

運送用の木枠を運んできた。

「何するんだよ?そんなの」

腰に手をあて呆れて言う信二。

「何って座るのよ椅子よい・す」

と言って木枠をハンカチでパンパン叩いている。

「はい、できた。座って」

と言ってかけろと促す佐和子。とりあえず言う通りに座る信二。

「綺麗ね~」

うっとりと遠くを見つめる佐和子。

「あぁ・・・」

生返事をする信二。信二はどうしても佐和子の胸の谷間が気になってしまう。薄暗い街灯でも白く映える佐和子の肌・・・。くびれた腰・・・。思わず肩に手をまわしたくなってしまう。いや、待て!亭主の俺が肩に手をまわして何が悪い?



自問自答する信二。それを見透かしたのか佐和子が信二を見た。

「なに?」

信二を見つめている。

「いや」

とっさに目を逸らす信二。見透かされたようで萎縮してしまう。

「キスしよっか」

いきなり佐和子が信二に言った。

「へぇ?」

いきなりの妻の誘惑に間抜けな返事をする信二。

「キスしましょうよ。ね?」

更に誘惑を繰り返す佐和子。艶めかしい唇が信二の目から離れない。佐和子は信二に寄り掛りながら目を瞑り魅惑的な唇を信二の顔に近付けてきた。





佐和子にとっては夫の子種を受ける最後のチャンスだ。自ら信二の背中に手を回し唇に吸い付いく。

(ごめんねあなた。私達の家庭を守るにはこれしかないの)

積極的に信二の口内に舌を差し入れ魅惑的に蠢かす佐和子。





堪らなくなった信二は思わず気になっていた胸の谷間に手を突っ込んでいく・・・。柔らかい・・・。久しぶりに揉む妻の豊かな乳房の感触を朦朧と味わう信二。妻の積極的な誘惑の意味を皮肉にも自分が練った策略で知ることになろうとはこの時の信二には分かりようがなかった。ボーウ!・・・・船の汽笛の音が響く・・・。佐和子はゆっくりと夫を押し倒していった。



とうとう仰向けになってしまった信二の上に跨る佐和子。次第に指先が夫の股間に近付いていく・・・。明かりの点いている船の方から人の話し声がした。佐和子は夫の唇を貪りながらじっとそちらを注視する。

(お願い、邪魔しないで)

神に祈る佐和子。問題ないと見るや佐和子はズボンの上から夫の股間を弄り始めた・・・。ゆっくりゆっくり刺激を続ける佐和子。既に信二のそこは充分に高ぶっているようだ。片方だけドレスから出ている佐和子の乳房をペロペロと舐める信二。もはや理性が飛び妻の肉体の虜になってしまっているようだ。



自分の乳房に吸い付いている夫を愛しそうに眺める佐和子。佐和子はゆっくりとジッパーを下ろし漲る夫の一物を取り出した。ドレスの裾をたくし上げスルスルとパンティを脱ぐ。白い太腿が薄明かりに照らされ艶めかしさを一層強調している。佐和子は信二のそれを自分のそこにあてがうと静かに

「乗って良い?」

と聞いた。

「うん、乗って・・・」

と小さく頷く信二。佐和子は夫の肩に手を着き、ゆっくり、ゆっくりと身を沈めていった。

(入った・・・!)

後は射精を膣内で受ければいいだけだ。これで杉野の子を孕んだとしても矛盾はなくなる・・・はず・・・多分。



「あ!ぐ!ぐぅ~!」

妻の肉壁に挟まれ苦悶の表情を浮かべる信二。佐和子は信二の体液を得ようと肉棒を絞り上げる。肛門を締め内側に取り込むように上下にグラインドすると抜く時に中身が飛び出そうなぐらい陰唇が信二の一物を絞り上げた。堪らなくなった信二の下半身は既にぶるぶると痙攣を始めている。

「中で出していいわよ。あなた」

耳元で囁く佐和子。

(な、中で?それは大丈夫な日という事か?それとも・・・)

苦悶しながらも妻の真意を疑う信二。



うっすらと目を開けると、たわわな乳房がはだけた胸元からぷるんぷるんと揺れている・・・。

(くそ!出したい・・・いや、だが・・・しかし・・・)

男の本能とこれからの策略への障害と成り得る疑念の中で信二は苦しんだ。揺れる夫の心を察してか、佐和子は信二の腕を掴むと自分のくびれた腰にあてがう。

「たっぷり出して!いっぱい気持ち良くなって良いから」

と言いながら尚一層きつく締め付ける。

「ほら!」

ぎゅぅ・・・・。

「ほ~ら!・・・」

ぎゅぎゅぅ・・・。

悪魔のような快楽の刺激に信二は陥落するしかない事を朦朧とした意識の中で悟っていった。



ドクン!

「あ!」

ドク!

「あ~!」

ドク・・・ドクドク・・・。

絶望の声をあげながら子種を吐き出す信二。佐和子は一滴も逃すまいと膝に力を入れ根元まで胎内に飲み込もうと必○だ。

「あん!あなた嬉しい・・・きてる~私の中にあなたのが・・・いっぱい・・・」

佐和子は夫の体に倒れこみながら歓びの声をあげた。

「これで赤ちゃんができちゃうかも・・・ふふ・・・」

佐和子が小声で笑う。

(な、なに?子供・・・?)

その言葉の意味が判らぬまま信二は最後の一滴まで佐和子の胎内に快楽のエキスを注ぎ続けた。



帰宅すると佐和子はすぐにシャワーを浴び陽一と寝てしまった。信二との情交の後やけに上機嫌だったのが気にかかる。まるで心に溜まったモヤモヤが取り去られたように清々しい表情だった。

(赤ちゃんができちゃうかも・・・)

この言葉が妙に引っかかる・・・。どういう意味だ?陽一に兄弟が欲しいという話はこれまで無かった。疑心暗鬼になりながら信二は昼間受け取った盗聴用のパーツを箱から取り出した。そろり・・・そろり・・・と妻のバックを取りに行く信二。幸いそれはキッチンの椅子の上に無造作に置いてある。音をたてないように静かにバックを空けると信二が渡した携帯がちゃんと入っている。



信二はそれを取り出すと工具を持って自室に篭った。

「ブーン!」

宅配ピザのバイクと思われる音が外から響く。気の小さい信二はガタッ!と飛び上がってしまった。

「な…何だおどかすなよ…」

独り言を言いながら苦笑いをする信二。気を落ち着けながら店主の言う通り携帯を分解し、パーツの取り付けにかかる。取り付けながらまだ信二は今日の佐和子の異変について考えていた。まて佐和子が妊娠したら杉野との関係はどうなるんだろうか?さすがの杉野でも妊娠した妻と情事を重ねるとは思えない。ってことは佐和子はそうする事で杉野と決別しようとしているとも思える。しかしここに来て何故?二人は同意の下ラブホテルにまで行った仲だ。そこで何かがあったんだろうか・・・。

「おっと!」

取り付けようとしていたネジが床に落ちてしまった。



信二は慌ててコロコロ転がるネジを拾い上げた。いけない集中集中・・・。自分に言い聞かせる信二。しかし・・・しかしだ。佐和子がそう決意したなら今俺がしているこれは何なんだ?そう思うと急にアホらしく思えてきた。椅子によりかかり漠然と天上の蛍光灯を見つめる信二。あ・・・小虫が飛んでいる・・・。いやそんな事はどうでも良い。そもそもこの計画の目的は何だっけ?信二は根本的な事に考え出していた。蛍光灯に杉野の妻の美貌が浮かんだ・・・。そうだ彼女の苦悶する表情を拝むんだっけ!目的を取り戻すと再び取り付けにかかる。佐和子がもう杉野と関係しないならしないでも良い。ただ微々たるその可能性に賭ける行為そのものが信二の甘美な妄想を駆り立てやりがいを見出していた。



「よし!できた!」

装着を終わり大きく伸びをする信二。一応自分の携帯から妻の携帯にかけ、もう一つの携帯に返送されるか確認した。大丈夫だ確かにシステムは稼動している。後は天命を待つのみだ。受信専用携帯を頼もしそうに見つめる信二。杉野の妻はどういう反応をするのだろうか?怒る顔を悲しむ顔も思いつかない。佐和子とは違いそういう意味での感情表現が希薄に思える。いやそれもあの美貌あっての事なのかもしれないが。読めないからこそ興味深くもある。寝支度をしベッドにゴロンと横になりながら悶々となかなか寝付けなかった。



夫を送り出した佐和子は、爽快な朝を迎えていた。やっと心の重しが取れた気分だ。とは言え100%気分が晴れたというわけではない。夫を裏切ったという気持ちと、もし妊娠していたら自分がどちらの子を孕んでいるのかという事も気がかりだった。もし杉野の子を孕んでいたとしたら夫は知らずにその子を育てる事になる。それは佐和子自身にも針のムシロだろう。おろすという手段も有る。しかし専業主婦である自分が夫に知られずにおろせるものなのかいまいち自信が無かったのだ。佐和子が自分の家庭を壊さない一番危険を伴わない選択肢が杉野の子でも夫の子でも産むという選択肢だった。



それによって自分が罪の意識に駆られる分には耐えられると思っていた。とりあえず夫の子種を受けたことで佐和子の策略は達成した事になる。後の事は後で考えよう。そう思いながら佐和子は洗濯物を干しつつ青く晴れ渡った空を見上げた。綺麗な空だ。今まで自分のしてきた事が無かった事のように思えてくる。しかし私は何でこんな事をしてしまったんだろう?自分でも信じられない気持ちだった。ふと杉野の面影が脳裏を過ぎる。逞しい肉体、女心を擽る性格、激しいSEX・・・。普通の家庭の普通の妻だった自分を雌に豹変させてしまう魅力が確かに杉野には有った。鏡の前でした獣のようなSEXが佐和子の脳裏から離れない。オレンジ色の補助照明に照らされ喘ぐ自分と圧し掛かる筋肉質な男・・。気づくと左手の指がぎゅっと自分の大事な部分を押し付けていた・・。



「やだ・・・」恥じらいならが息子の方を見る佐和子。何も知らずに陽一は玩具で遊んでいるようだ。まぁ陽一に佐和子の仕草の意味が判ろうはずもないのだが・・。杉野の体の虜になってしまった佐和子はまだ下半身の疼きが治まらない。この期に及んで何を考えているんだろう?と思うのだが本能の佐和子は、じっとりと濡れた割れ目にその証拠をしっかりと現していた。堪らず内股でトイレに駆け込む佐和子。パンティを下ろすと中指をぎゅっと割れ目に突き入れた・・・。ハァハァ・・う~ん・・・。仰け反りながら満足げな声をあげる佐和子。そのままテニスコートでバックから責められた自分を思い出し、指の出し入れを繰り返す・・・。ハァハァ・・あ!・・あん・・。外では小鳥が鳴く爽やかな朝から自慰行為にふける自分に呆れながらもどんどん堕ちていく自分を抑え切れない。



トゥルルル!トゥルルル!ふと外で携帯が鳴る音がした。佐和子はびくっと手を引っ込め慌てて携帯の方へ走る。

「はい高山ですが」

佐和子が携帯に向かって言った。

「やぁ・・」

受話器の外から聞き覚えのある声がする。杉野だった。

「あ!・・・」

佐和子はさっきまで杉野を思い出し自慰していた手前恥ずかしくて次の言葉が出ない。

「君の事を思い出すと堪らなくて・・今トイレで出してきちゃったハハ」

杉野が照れながら告白する。奇しくも自分と同じ行為をしていた事で佐和子の心は喜びを隠せない。

「やだ・・・あなたいつもそんな事ばかり考えてるのね」

言いながらも自分で声が上ずっているのが分かる。

「今日3時頃早く会社引けそうなんだ。会えないかな」

杉野が言う。

「会って何するの?」

佐和子は分かりきった事を聞いた。



「それはホテルで決めよう。この間のホテルに3時いいね?」

図々しくも杉野は佐和子の同意を得る前に勝手に決め付けている。

「・・・・・」

すぐに返事をするのも悔しいのでしばらく焦らす佐和子。

しかし間に耐えられず

「・・・今度は避妊してくれるのよね?」

佐和子が聞く。

「何だやる気満々なんじゃないかアハハ」

と杉野があっけらかんと笑った。

「もういい!切るから!」

見透かされた佐和子は赤面して怒鳴る。

「分かった!今度は中には出さないよ勿論。俺も後悔してるんだ」

今度は杉野が必○に取り成す。

「君とは長くセックスフレンドでいたいからね」

そう言うと佐和子の返事を待たず

「じゃ、そういう事で」

と切ってしまった。

「何?もう!」

と腰に手を当て怒る佐和子。やっぱり行かない!・・・。明らかに自分でもおかしい、ここで歯止めをかけねば。そう思いながら息子の方を見ていた。



信二は会社の階段の踊り場で受信専用携帯を黙って聞いていた。杉野は営業先からかけていたんだろうか?社内には見当たらない。いや、そんな事はどうでもいい。

「今日の3時だと?間に合うかな・・」

信二は焦りながら調査器具店に携帯からかける。出てくれ~!頼む!心の中で祈る信二。ガチャ!

「はい○○店です!」

店主の声がする。やった!

「あの僕です!例の件で電話したんですけど!」

焦りながらいきなり本題を切り出す信二。

「お~あんたか。元気だった?」

相変わらずのん気な声で応える店主。

「今日の3時なんです、場所は前回と同じホテルなんです!」

焦る気持ちを抑えきれず早口にまくし立てる信二。

「あ~ん?3時ぃ?平日じゃね~か。好きだねぇあんたの奥さんも」

店主が呆れた声で言った。



「そんな事より間に合うんですか?合わないんですか?」

信二にはそっちの方が重要だった。

「平日だろ?まだ時間はあるホテルも平日なら押え易いし撮影用具のセットもそんなに時間かからないから大丈夫だよ」

「それにあのホテルのオーナーは知ってる仲だしね」

と心強い返答が帰ってきた。

「知り合い?ほ、本当っすか?本当・・・うぅ・・・」

信二は感動で思わず涙ぐむ。

「おいおい・・泣いてんのか?感動屋さんだなハハハ」

店主が笑っている。何とでも言ってくれ。俺は今猛烈に感動している。で・・・俺は何をすれば良いんだっけ?感動で肝心な事を忘れてしまった。

「で、俺は何をすれば?」

と店主に聞いた。

「馬鹿!相手の奥さんに連絡するんだろうが!急げ!」

どやしつけられてしまった。そうだ!それも有ったんだ!一番大事な事を忘れるなんて仕事では冷静な俺が何てことだ・・・。



「盗撮観覧部屋の番号は後で連絡するから、あんたは奥さんと会ったらその部屋に入れば良いだけ。OK?」

「OK!OK!じゃ、また!」

と言って携帯を切った。切った携帯で杉野の自宅にかける・・・。トゥルルルトゥルルル!・・・出ろよ~!出ろよ~!じっとりと汗ばんだこぶしをぎゅっと握る信二。見てろよ杉野!佐和子!俺の復習はこれからだ!やっと巡ってきた復讐のチャンスに信二は闘志を燃やしていた。



ガチャ!

「はいすぎのですぅ・・・」

受話器の向こうから女の子の声がした。えぇい!娘はいい娘は!拍子抜けするような幼い声に苛立ちを感じながら信二は

「あ、お嬢ちゃんかな?ママいる?」

と自分を抑えながら杉野の娘をなだめるように聞いた。

「うん!いるよぉ!」

元気よく返事をする舞。

「じゃ、ちょっと変わってくれる?僕パパの会社の友達なんだ」

優しく頼む信二。良かった。とりあえず居てくれる事でホッとした。

「ママーママー!会社の人から、お電話ぁ~!」

受話器の向こうで声がする。





続いてパタパタとスリッパが床を叩く音がした。

「はい!お電話変わりました」

透き通るような声の杉野の妻の声がする。急激に高まる信二の鼓動・・・。ドクドクと高鳴り口から心臓が飛び出そうだ。信二は乾いた口を潤すように一度唾を飲み込んだ。



「あの・・・もしもし?」

間を不振に思ったのか妻由紀の声がする。

「あ!と・・・突然すいません。あの杉野君の同僚の高山と申しますが!」

慌てて返事を返す信二。落ち着け・・・落ち着け・・・。自分に言い聞かす。

「あ!あ~!。その説はどうも・・・主人がいつもお世話になっております」

やっと相手が誰だか分かり由紀の明るい声が返ってきた。それで信二も若干落ち着きを取り戻す。

「あの・・杉野君の事でちょっとご相談したい事が・・・」

信二はわざと含みを持たすように話を切り出した。

「あ・・あの、主人が会社で何か?」

由紀が心配そうな声を出す。

「いや、会社じゃないんですが・・・電話じゃちょっと・・・奥さん出てこれませんか?」

心持ち重い雰囲気で信二が言った。



「あ、あの?どういう事なんですか?」

由紀の声は明らかに不安を伴った声に変わる。

「いや、あのここではちょっと・・・2時半に○○駅の前で待ち合わせる事できませんか?」

ここで本題を言っては最終目的は果たせない。由紀に直に現場を見せた方がショックは大きいだろう。

「わ・・分かりました。二時半ですね?あのちょっとでも教えていただけません?」

不安そうな由紀は少しでも話の趣旨を知っておきたいようだ。

「僕にも関わる事なんで。すいません、会ってからにしてください」

信二はきっぱり断った。

「分かりました。必ず行きますので。それじゃぁ」

由紀は仕方なく納得する。



ガチャ!と切れ、不安そうな顔で由紀は娘の方を見ながら溜息をついた・・。何だろう?高山さんの口調では深刻な話のようだった。きっとあまり良い話ではないような気がする。それに高山さんにも関係するって・・・。でも会社には関係ない・・。よもや自分の夫と高山の妻が情事を重ねていようとは思いもよらない由紀にはさっぱり相談の内容が思いつかなかった。

「まま~!どうしたん~?」

と舞が怪訝そうな顔で覗き込む。

「ううん、何でもないのよ」

由紀は不安を悟られまいとわざとらしく笑顔を作り娘の頭を撫でた。



2 時半に待ち合わせ場所に着くよう調査器具屋の店主に借りた遮光フィルムの貼られてある車で向かう信二。間もなく駅に着いた。腕時計で時間を確かめる信二。 2時15分・・・。やはり気が急いているのだろうか?きっかりのつもりでも早く着いてしまった。車の中から駅周辺を見渡す信二。子供が走り回る中、一人だけスラリとした背格好の女が立っている。居た・・・!。ジーンズ姿の割とラフな格好だが黒髪をなびかせたその姿はやはり、周りの奥様方とは格の違いを感じざるを得ない。



信二は車を近くまで走らせると小さくクラクションを鳴らした。ハッとした表情で彼女がこちらを見ている。しかし美人だ・・・。この女を落とすのはちょっと荷が重いな・・・。まぁ彼女の苦悩する表情を拝めるだけでもよしとしよう。信二はウィンドウを降ろすと

「ど、どうも・・」

と小さく会釈した。由紀も軽く頭を下げる。

「とりあえす乗ってください」

同乗するよう促す信二。由紀は黙ってドアを開け助手席に乗り込んだ。信二はどうやって話を切り出したらいいか分からすとりあえず車を走らせる。待ちきれなくなった由紀は

「あの・・・どういう話なんでしょうか?」

黒く潤んだような大きな瞳で不安そうに信二を見つめた。そのあまりの美貌に信二が次の言葉が中々出てこない。

くそ!・・・。なんか言え何か・・・。

「あ・・・えっと、とりあえず現場に行ってから話しましょう」

「現場?・・・あの、主人の話なんですよね?」

待ちきれないという感じで由紀が信二に詰め寄る。



「すいません。僕も混乱していてどう説明していいか分からないんです」

由紀の目を見ているとあがってしまうので信二は前を見つめながら言った。

「混乱って・・・あの・・主人が高山さんにご迷惑を?」

だーかーらー現場に行ってから言ってるだろ?と内心思うがもちろん言えない。由紀はもじもじと膝の上を手でさすりながら落ち着かない。信二が喋りそうもないので仕方なく外を見る。行き交う車の往来を見つめながらどうか大した話ではありませんようにと祈るような気持ちだ。信号待ちをしていると散歩中の犬が暢気に道端で糞をしようとしている。慌てて主人がビニールとシャベルを取り出した。思わずくすっと由紀が笑った。

「杉野君の浮気の話なんです・・・」

気持ちが和んだ刹那にいきなり切り出され

「はぁ?」

ととぼけた声を由紀があげた。



「杉野君の浮気の話です」

全く同じ言葉を返す信二。

「う・・浮気?主人が?あの・・えっと・・・えぇ?」

想定外の方向からパンチが飛んできて面食らう由紀。物静かで感情的な動揺を見せなかった由紀の横顔が明らかに戸惑いの表情を浮かべている。眉間にしわを寄せながら何とか理性を取り戻そうとしている由紀の美貌を見て信二は満足そうな表情を浮かべた。

「え、でも何で高山さんがその事をご存知なんですか?証拠はあるんですか?単なる思い過ごしじゃ・・・」

大人しい杉野の妻も動揺すると饒舌になるようだ。矢継ぎ早に質問を浴びせかける由紀の素行を内心信二は得意な気持ちだった。

「相手は僕の妻なんですよ・・・」

わざとらしく深刻な表情で告白する信二。

「・・・・・・」

さすがの由紀も思わず絶句してしまう。



パタンと背もたれに倒れると放心したように前を見つめたまま動かなくなった。

「とりあえず現場を突き止めたので奥さんと相談しようかと・・・すいません」

やっと自分が上位に立てたような気持ちになり信二の口調が滑らかになりだした。

「いえ・・」

そう言ったきり由紀は車の揺れにまかせたまま放心している。その眼差しに見覚えのある歓楽街が目に入った。由紀が夫とテニスの帰りによく寄った街だった。ここで買い物をして帰る事がよくあった。

そうか・・・テニスの時なのね・・・。

どうやら信二が言っている事は本当かもしれないという絶望的観測が由紀を重たく覆った。歓楽街を抜けるとこれまた見覚えのあるラブホテル街が目に入った。

そう、夫と付き合いだした頃はよくここのホテルをよく使ったっけ・・・。

何だかまだ本人の浮気を目の当たりにしたわけでもないのに悲しい気持ちになり思わず涙ぐむ由紀。



その手を信二がぎゅっと握りしめる。ハッとして由紀は信二の方を見つめた。

「分かりますよ・・・その気持ち・・・」

信二は前を向いたまま無機質な声で言った。

そうか・・・高山さんも裏切られたのよね・・・可哀想に・・。

作為的な仕掛けとも知らず信二の策略を妄信し由紀はその白く細い手を夫の同僚に任せた。いけるかもしれない・・・信二は厭らしい気持ちを隠しつつ美しい人妻の手をさすり味わった。あくまで表情は深刻さを崩さず。信二は目的のホテルの少し手前で車を止めると二人が現れるのを待った。

見たくない!でも見なければいけない!

待つ間、由紀の二つの気持ちが鬩ぎ合う。



少し早めに到着した信二と由紀はお互いの妻と夫が現れるのを暫く待った。白昼でもまばらにカップルが大して恥らう事も無くホテルに消えていく様を漠然と眺めている信二。

「意外とこんな時間でも使う人いるんですねぇ」

と呆れるように信二は言った。

「はぁ・・・」

由紀はうつむき加減で生返事をする。

「あの・・・」

何か言いたそうに由紀は信二を見た。

「何ですか?」

信二も由紀の方を見る・・・。

「あの、私もう大丈夫ですから・・・あの、手ぇもういいですから・・」

由紀がばつが悪そうに自分の手を握り続ける信二の手を押し戻した。

「あ!す、すいません・・・俺そんなつもりじゃ・・・」

実は下心ありありだが、わざと恐縮して見せる。

「分かってます」

静かな声で由紀は小さく微笑んだ。



前方から見覚えのある女の姿が信二の目に入る。長年連れ添った相方だ。遠目からでもすぐ分かった。さすがに日の落ちる前こういう所に来るのは気が咎めるのか佐和子は心持ち顔を伏せながら歩き、時折あたりを気にしているようだ。由紀は佐和子とは面識がなく、車の前を通り過ぎても気付かない。

「妻です」

信二は顎で今通り過ぎた女を指した。由紀は、ハッとしてその女を見ている。

「綺麗な奥様ですね・・・」

「こんな時にお世辞言うの変ですよ」

思わず吹き出す信二。

「それもそうですね」

由紀も肩をすくめて笑う。悲しい笑顔だ。

「あ!・・・」

由紀の動きが固まる。信二がその視線の先を追うとどうやら杉野らしき男がこちらに歩いて来る・・・。佐和子の方に小さく手を上げ挨拶すると佐和子もそれに応え手を上げた。決定的瞬間だ。硬直した由紀は身じろぎもせずホテルに消えていく二人を見送っている。小刻みに体が震えているようにも見えた。



本当に心配になった信二は

「奥さん大丈夫ですか?落ち着いて・・・」

そう言ってなだめるように肩を叩く。

「え・・・えぇ、大丈夫です・・・でも、これからどうしましょう?・・・」

途方に暮れた由紀は潤んだ瞳で信二を見つめた。濡れた瞳と艶っぽい唇に思わず抱き寄せたくなる衝動を抑え、信二は

「さ、僕達も入りましょう」

そう言うとホテルの駐車場に車で乗り込んだ。

「中に入ってどうすんですか?部屋に乗り込むんですか?」

由紀は心配そうな顔で信二の袖を引っ張った。

「まさか、離婚するにしても何にしても証拠は必要でしょ?その為の準備をしたんで奥さんを呼んだんですよ。さ、降りて」

言うと先に車を降りる信二。

「離婚?離婚するつもりなんですか?私まだそんな・・・」

この期に及んでまだ杉野への愛情を捨てきれないのか由紀は信二の後を追いながら食い下がる。



「復縁するにしても本音を知らないと話にならないでしょ?」

そう言いながら信二は

「予約してある高山です」

とフロントのおばちゃんに告げる。おばちゃんは、あぁ、という表情をして部屋のキーを手渡した。エレベーターに乗り込むと落ち着かない表情の由紀の横顔をちらっと覗き込む信二。気弱になった美女ほど魅力的なものは無い。信二は何としてでもこの女をモノにしたいという欲望に駆られた。やがて目的の階に着くと部屋のキーを開ける。そこには盗撮用モニターが3台でんと構えて設置してあった。凄いな・・・あのオヤジ・・・。自ら望みながら半ば呆れ気味にセッティングされた覗き部屋を信二は見回した。





由紀は状況がよく飲み込めていないらしく

「な、何なんですか?この部屋」

と訝しげに信二に聞いてきた。





「このモニターに二人の部屋が映る仕掛けなんですよ」

信二は事も無げに答える。

「電源入れますよいいですか?」

同意を求める信二。

「えっ・・・」

躊躇する由紀。電源を入れてしまえば、二人の情交をいきなり目の当たりにしなければならない。見なかった事にしてやり過ごす事も今でもできる・・・。しかし由紀の葛藤を他所に信二は同意を待たずモニターの電源を入れた。

「あ!」

ちょっと待ってと由紀は言いたかったが間に合わず、無情にも部屋の全貌が映し出される。

「ううっ・・・」

回避できない現実を直視し由紀がうめき声をあげた。



モニター越しに夫が自分ではない女の背後から抱きすくめ官能的な手つきで胸を揉みしだいている・・・。蛇に睨まれたように固まり、由紀は動けなくなってしまった。視線を逸らしたいと思うが何故か逸らすことができない。

やめて!やめて!やめて!・・・・!。

悪夢のような状況に心の中で叫ぶ由紀。しかし苦悶の表情を浮かべながらも由紀は決してモニターから視線を逸らす事はなかった。

「あれ?音が小さいな・・・」

追い討ちをかけるように信二はリモコンを取り出し音量を上げにかかった。

「ぁ!ぁぁ!ぁ!あ!ああ!」

小さなあえぎ声からいきなり大音量が部屋に響き渡る。



「一週間も待てないよ佐和子、二日に一回は会いたいな・・・」

妻が見ているとも知らず図々しい言葉を発する杉野。信二は横目で由紀の表情を窺うようにのぞき見る・・・。悲しみと怒り憎悪が混じった複雑な顔つきで画面を見続ける由紀に信二は第一の目的を達した満足感を得ていた。

「ハァハァハァ...だ、駄目よ。主人にばれちゃう・・」

応える佐和子。杉野はブラウスの下から手を潜り込ませ佐和子の乳房を直に揉みしだく。片方の手は佐和子のくびれた腰にあて自分の股間を密着させた。



「高山にはもう抱かれたのかい?」

杉野が聞いた。その言葉の意味が分からず信二は少し身を乗り出す。そう言っている間にも杉野は佐和子のスカートを脱がせにかかり肉付きの良い太腿が露になっていった。

「えぇ・・・でも避妊はしてよね・・できてるか分からないし、できててもどっちの子か分からないんだから・・あ!・・あぁ・・・」

佐和子の言葉をにわかに飲み込めず食い入るように信二は画面を見つめた。

「な・・・に・・・?」

漠然とだがその言葉の奥に残酷な意味を嗅ぎ取り信二の表情に少しずつ狂気を帯びていく・・・。



「た・・・高山さん?」

凍り付いていく信二の表情に心配そうに声をかける由紀。

「できてたら絶対俺の子だよ。だってあいつ種薄そうだし・・・」

そう言いながら杉野は佐和子の上半身も上手に脱がせていった。どっちの子?杉野の子?・・・その言葉と昨日の佐和子が強引に自分の子種を欲しがった理由が結び付いていく・・・。ジグソーパズルのようにピースが一つ一つ埋まっていき、やがて一つの絵が出来上がっていった。佐和子は杉野の子を俺に育てさせるつもりだった・・・。佐和子と杉野の残酷な謀に気付き信二の表情は見る見る青ざめていった。そんな事など露とも知らず佐和子は大事な部分に貪りつく杉野の責めでよがり声をあげている。腰をくねくねと捩じらせながら。



信二は、がばっ!と立ち上がるとセッティングの為に使われたと思われる工具箱を開けドライバーを取り出した。そして身を翻すとドアの方へ走る。

「まって!駄目!高山さん!?」

漠然とだが信二の怒りの意味を察した由紀が追いかけた。怒るのは無理もない。いくら何でもそれはあんまりだ。自分の夫のした信二への仕打ちに同情の余地はない。だからこそ由紀は信二を止めなければと思った。激高した信二は冷静さを失い鍵がかかっている事を忘れドアのノブを無意味にガチャガチャ!と開けようとしている。おかげで由紀は何とか信二に追いすがる事ができた。

「駄目だってば!高山さん?落ち着いてお願い!」

何とかなだめようとする由紀。



「どいてくれ!」

信二が由紀を突き倒した。

「キャァ!」

しりもちを着いて倒れる由紀。どうしよう?このままでは最悪の事態を招いてしまう・・・。その思いを嘲け笑うように佐和子は今まさに夫の上に跨り肉棒を自分の割れ目に飲み込もうしている。信二がドアの鍵がかかっている事に気付き開けようとした刹那、由紀は信二に抱きつくと唇を重ねていった。



ぎりぎり切羽詰った状況から由紀は咄嗟の判断で信二の体に縋り付く。それには流石の信二も度肝を抜かれたようで一瞬たじろいでしまった。とにかく由紀はその場の状況を収めるため信二の毒気が完全に抜けるまで唇を離さない構えだ。信二の首に腕を絡めると濃厚に舌先を捩じ込んでいく由紀。

「ん・・・!んぐ・・・」

信二は何が起こったのか一瞬パニック状態に陥り、宙に浮いた手を突き放す為に使うのか抱き抱える為に使うのか判断ができない。信二の心に怒りと美女自らが求愛してくれた興奮が交錯する。



信二はそのまま脱力するとその場にへたりこんでしまった。その拍子に由紀は信二の体に馬乗りになるような形で覆いかぶさる。唇を合わせながら信二の目に怒気が去った事を確認する由紀。そして馬乗りになりになった体勢のままゆっくり唇を離していく・・・。

「あ・・の・・・落ち着きました?」

糸を引く唾液を手で拭いながら由紀が心配そうに聞いた。

「う・・・うん・・・」

由紀を見上げながら頷く信二。

「あ!・・・あん!・・・アキラさん!凄い!・・・」

しかし、献身的な由紀の慰めも背後の3台のモニターが台無しにしてく。電気屋のオヤジのはからいが完全に逆効果になった形だ。



枕元に設置された小型カメラが杉野の上に跨る佐和子の結合部をモロに捉え、現われては没す肉棒を鮮明に捉えている。修羅場の二人をよそに佐和子は自らの尻を振りながら満足そうに杉野の肉棒をしっぽりと咥え込んでいた。信二の目に再び怒気が戻るのにそう時間はかからない。みるみる信二の顔が紅潮していくのを見た由紀は

「見ちゃ駄目!」

と、怒鳴ると自分の胸元に信二の頭を抱え込んだ。そして丁度目の前にあったコンセントコードを強引に引っこ抜く。

「何も見ないで、何も聞かないで・・」

由紀は子供をあやすように信二の頭を撫で落ち着かせようとした。



しばらくの静寂が訪れる部屋・・・。3台のモニターは何の為に有ったのかすらもはや今の信二には判らないだろう。由紀は信二を抱き抱えながら呆然と小窓から少し入る外の明かりを見ていた。やがて由紀に縋り付くようにまわされた信二の手が、さわさわと官能的な動きに変わっている事に気付く。どう対処したらいいのか戸惑う由紀・・。拒絶することは簡単だ。しかしこの状況下で信二の求愛を自分まで拒絶してしまえば彼がどういう行動に移るのか分からない。そして同病相哀れむではないが彼の事が随分不憫に思えている事も確かだった。信二の手がジーンズ越しにくびれたウェストや尻と弄る事を由紀は甘んじて受け入れる・・。信二の息が次第に熱くなっていっき由紀のベルトを外しにかかる・・。しかしガチャガチャとおぼつかない様子でなかなか外すことができないようだ。見かねて自ら外してやる由紀。それに気付き信二は由紀の顔を見上げた。



夫の同僚に身を委ねながら、さっきモニターに映し出された二人を思い出す由紀。憎悪と悲しみが交錯する中、仄かに湧き出す淫靡な興奮が小さな波となって由紀の心を覆った。それを打ち消そうとするがどうしてもあの映像が脳裏から離れない・・・。果たして夫は今自分が同僚にされている行為を自分と同じように見せられたらどう思うだろうか?覗く興奮・・・覗かれる興奮・・・。自分が犯した過ちの為、怒るに怒れず悶々と高山に抱かれる自分を覗き続ける夫を想像するにつけ、由紀はこの妄想を実行しない手は無いと思うようになっていった。



例え咎められても自分には大義名分が有る。相手は自分を責められる立場には無いのだ・・・。そう思うと興奮を抑えきれず、さっき佐和子がしていたように下半身を弄ぶ高山の舌戯に大きく喘ぎ声をあげていった。夫が覗いている事を想像しながら・・・。由紀の膣内から溢れ出る愛欲のエキスを自分の舌戯の功績だと思い込み犬のように秘部を舐めまわす信二。もうすっかりそこは湿り気を帯び雄を迎え入れる態勢は整っているようだ・・・。真っ白な由紀の肌が微かに赤みを帯び額の奥に透けて見える血管が浮き立っている。まぎれもなく自分が求めていた美女が興奮の証しを示している事で信二は男としての自信を取り戻していった・・・。



決意し自分の興奮の証しを取り出す信二。高山の顔が目の前に来た事で自分の中に彼のモノが入るのだという事を感じ取る由紀。嫌悪感は無い。これは、これから行おうとする夫への制裁の予行演習なのだ。少し体を仰け反らせて信二のモノを胎内に取り込みやすいように誘う由紀。

ズ・・・ズズ・・

ゆっくりゆっくりと夫ではない肉棒が自分の胎内に侵入している事を由紀は感じ取っていた。

「あ・・・あぁ・・・た、高山さん・・・」

由紀はいつにない興奮を覚えながら信二の肉棒を迎え入れていく・・。そう、実行したあかつきには夫と高山の妻の視線が自分を捕らえているだろう事を想像しながらだ。由紀の手はおもむろに先程引き抜いたコンセントに伸び再び電源を入れようとしている・・・。



臨場感が欲しい・・・。夫と高山の妻の情交を見て感じる気持ちがそのまま次は相手が感じる事になるのだ。由紀は信二の動きでなかなか上手くコンセントを差し込めない・・・。信二の動きに合わせてガタガタと手が揺れてしまい差込口とズレてしまう・・。

「ん~!」

と小さく体を伸ばすとグイと手元に力をいれコンセントを差し込んだ。接続に成功すると由紀は下半身を信二に支配されつつ頭上のモニターを見上げる・・・。再びそこには、ぐいぐいと互いの性器を押し付けならが恍惚とした表情をしている二人が映し出された。



恍惚とした表情で由紀との結合部を眺める信二。今まで切望していた由紀の秘部に自分のものが挿入されている。信二はそれが現実のものか確かめるように、自分の一物をかきまわしまとわりつく肉ヒダの感触を味わった。自分の腰の回転に呼応するように由紀の下腹につく柔らかい肉がふるふると苦しげに震えている・・。その下腹の動きで自分の一物がどのあたりを抉っているのか確認できた。妻以外の膣内に自分の一物が包まれている快感。それも誰もが羨むような美女が自分に身を任せてくれている・・。由紀の上品な縮れ毛が信二の剛毛と絡みつき、その下ではうっすらと結合部を確認する事ができた。粘り気をおびた結合部はぴちゃぴちゃと淫猥な音をたて粘液が糸を引いている。

中にしたい・・・!。

男の本能が信二の頭に囁きかける。



はたして今彼女の中に自分が放出したとして誰が自分を咎めるだろうか?

杉野よお前にも同じ苦しみを味合わせてやろうか?

奇しくも由紀とは趣旨が若干違うが、信二にもあやまちを犯した二人に同じ苦しみを味合わせてみたいという欲求が沸々とわきあがっていく。血管が透けて見えるような真っ白な由紀の下腹を見るにつけ、たとえ由紀本人が咎めだてしても自分は後悔しないだろうという核心めいた気持ちが信二を支配した。

「あう!・・・あん!・・・・あぁ~・・・」

突然の大音響が部屋に響き渡る。見るとモニター画面いっぱいに妻の顔が映し出されていた。



中出し寸前の急な音響で一瞬射精を忘れてしまう信二。しばし腰の動きを止め、モニターを眺める・・・。どうやら枕元に設置された小型カメラの目の前に佐和子の顔があるらしくそれで顔がアップになっているようだ。苦悶の表情を浮かべ妻は杉野の猛攻を耐えているようだ・・・。顔の角度で体全体が映し出されていなくても体位は予測できた。佐和子は四つん這いになり杉野に尻を捧げているのだ。佐和子の吐息がカメラにかかり、息が吹きかけられる度にモニターが白く濁っていく・・。由紀がせっかく身を捧げたにも関わらず、再び信二に復讐の炎が燃え上がった。



「奥さん四つん這いになってくれませんか」

ふいに要求され朦朧とした表情で信二を見る由紀・・。しかしその要求の意味するところは由紀にも理解できた。夫と同じ体位で私を責め立てたいのだ。だが、復讐として夫にも自分の行為を見せ付ける事に小さな興奮を覚えていた由紀に信二の要求は異存の無いところだった。由紀は黒い髪をかき上げながら手を床に着き尻を信二に捧げた・・・。青い血管が薄っすらと這っているのが分かるぐらいの白い尻だ。形も申し分ない。信二はジーンズごしにしわの寄らない尻ををさっきまで舐めるように見ていた。肉がたっぷり付き、しかも決してたるんではいない・・・。思わず信二は両の親指で彼女の双臀部を押し開いた。にゅぶぅ・・・。という湿った音をたて秘部が左右に押し開かれる・・・。恥ずかしそうなピンクの内部が露になっていった。



丁度由紀の対面に佐和子の顔がモニターいっぱいに映し出されいる。杉野が後背位で佐和子を抱く自分と杉野の妻を同じ姿勢で抱こうとしている信二が向かい合う形だ。必然的に信二は対抗心をかきたてられずにはいられないくなった。黒髪乱れる由紀の尻にしがみつくと、ぐっと腰を入れにかかる。

ず・・・ずずず・・・。

信二が仰け反り腰を入れるに連れ信二のそれは再び暖かみに包まれていった。信二が最奥部を貫くと由紀の尻から背中にかけての柔らかい肉が小刻みに波打った。

杉野!見ろ!今お前の自慢の妻もあられもない格好で俺に抱かれているぞ!

内心思いながら信二は誇張するように由紀の尻をもたげモニターを睨んだ。



画面上の佐和子は快楽に溺れ口元からはだらしなく唾液を垂らしている。トロンとした眼差しの佐和子は熱い息を洩らし定期的に吐息によって白く曇り、曇っては再び佐和子の顔が露になった。自分を裏切り、あまつさえ杉野の子すら育てさせようとした妻の顔を画面いっぱいに見るにつけ信二の表情が狂気を帯びていく。下半身を支配されながら快楽にふけるモニターの二人を眺める由紀は画面上の二人がまるで自分のような錯覚を感じていた。そう、モニターの二人も今自分がしている行為も全く同じ。お互いに夫を変えただけでシチュエーションは何ら差異が無いのだ。



あぁ・・・自分も同じように相手に見せつける事ができたらいったい自分はどんな興奮を覚えるのだろう?

そう思うと由紀の腰は急におぼつかなくなり、ゆらゆらと左右に切なく揺れはじめた。元々由紀は積極的な性への探求をする事に罪悪感を感じる傾向にある。自分から求めたり気持ち良いと思う事はふしだらで、そういう事は無教養な女が求めるものだと感じていた・・。しかしその防波堤が高く硬いほど決壊した時の衝撃は大きいものらしい。由紀のどちらかと言えば無表情な顔立ちは今やモニターの佐和子の表情と酷似し、うっとりと信二のモノを求めている。新たな性への喜びを得た事と禁断の扉を開いた冒険心で由紀の肉道は欲情の蜜が絶え間なく溢れ出ていった。



モニターに向かい誇張するように由紀を責めたてる信二だが、悲しいかなモニターの二人には信二の行為など見えようはずもなく我が妻はまるで自分を無視するかのように背徳行為に溺れている。

あれが芸能人の浮気話などを軽蔑の目で見ていた妻なのだろうか?

自分が培ってきた家庭など微塵も顧みる様子も見えない妻を見るにつけ無性に今自分がしている行為自体がいったい何の為のものだったか・・・せっかく手に入れた人妻の体もやけに虚しいものに思えてくる。急激に力の衰える由紀への責めにもかかわらず、由紀のそこは信二の子種を見返りに欲し愛液をふんだんに絡めてきた。



「た・・・高山さん?」

由紀が半ば不満そうに信二を振り返る。とうとう動きをとめ虚ろな表情でモニターに見入る信二。

「ど・・・どうしたんですか?もうしないんですか?」

せっかく盛り上がってきた由紀にとっては、こんな中途半端なところで終わらせられては堪らない。信二を促すようにくいくいと恥を忍んで腰を揺すってみる。とにかく下半身が疼いて仕方がないのだ。

「もういいです、すいませんでした」

信二は名残惜しげに糸を引く一物を引き抜くとトランクスを上げてしまった。

「すいませんでしたなんでそんな・・・」

微かに怒気に満ちた表情で信二を見つめる由紀。秘部からは二人の分泌液がてらてらと照明にてらされ光っている。



「先にあやまちを犯したのはあっちなんですから、私達は何も悪くなんか無いです。罪悪感を感じる必要なんてない」

下半身をさらけ出したまま白く長い足をたたみ横座りで信二を諭す由紀。

「じゃ由紀さんも俺の子産んでくれますか?」

信二が半ば自嘲気味に由紀を見て笑う。

「え?そ・・・それは・・・」

さすがにそれは・・・。だが質問の意図するところは理解できる。要するに夫に同じ苦しみを味合わせてくれるのか?という事だ。私が高山さんの子供を宿したと分かったら夫はどんな顔をするだろうか?それはそれで興味があるが勿論そんな無責任な事はできない。



「でも、こういうのはどうですか?私達が今している行為を、夫や高山さんの奥様に見せつける事はできると思うんです。」

復讐だけではない別の欲求が普段物静かなはずの由紀の心に渦巻いていく。

「見せつける・・・見せつけてどうするんです?」

みもふたもない返答だが脱力した今の信二の素直な心境だ。

「だって悔しいじゃないですか!私・・・このままじゃ夫を許せない!」

ほのかな覗かれたい願望もあり切実な表情で信二を見つめる由紀。信二はしばし由紀を見つめた・・・。しかし美しい・・・佐和子の事はともかくこれだけの美貌の妻を裏切る杉野を許すことはできない。勿論作為的に自分に杉野の子を育てさせようとした事はもっと許しがたい。まぁいい。後はどうなれ信二は由紀の意思を酌んでその計画に乗ってもいいかという気持ちになっていった。



「分かりました」

信二はふっと微笑むと肩をすくめてみせた。

「よかった!頑張りましょうね。すっごく妬ませてやりましょう」

大人しい由紀がこれだけ張り切っている。それだけでも協力してやる価値はありそうだ。まぁ妻を寝取られ孕まされた鬱な話も少しはそれでまぎれるかもしれない。信二がズボンを上げようとすると、由紀が信じの手をとり

「ねぇ・・・本当にこんな中途半端で終わらしちゃうんですか?ちょっと酷いんじゃないですか?・・・」

と言いながら上目使いで信二を恨めしそうに見つめる由紀。










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