人生で初めて彼女が出来た。



今でもたまに会う小学校からの友人達にも、「お前は絶対彼女が出来ない。20歳の誕生日の日に俺らが金を出し合うから、ソープランドに行って童貞を捨てろ」と言われてていた自分が、20歳を迎える1週間前に人生初の彼女が出来た。






友人達の言うように、自分でも彼女が作れるとは夢にも思わなかった。



ブサイクで、その上髭が濃く、朝剃っても昼前には顎当たりが青くなってくる。



そして女性の前に行くと全く会話が弾まないし、何を話せばいいのかさえ思いつかない。



大学に入学しても、周りは浮かれた雰囲気なのに、私だけ1人ポツンと1人ぼっち。



当然ながらサークルにも勧誘されず、暗く1人ぼっちの大学生活を送っていた。






たまの気晴らしは、「ソープランドを奢ってやる」と言ってくれる友人達と会うことぐらい。



その友達も以前は、「お前、小学校の時はあんなに明るかったのに、何でそんな根暗キャラになったんだよ」と訝しげに訪ねてきて、憂鬱になった時もある。



しかし、今では完全に根暗キャラをネタキャラ化して彼らと会い、お酒を飲みに行くのは楽しい一時である。






大学にもいまいち馴染めず、家では妹に煙たがられ、家にずっといると妹がうるさいので、バイトをして時間を潰そうと考えたのである。



しかしバイトも、面接で全て落とされてしまう。



面接の時にも目を見て話せず、下を向いてボソボソと話してしまうからだろうと分かっているが、治せない。



バイト面接に明け暮れるも、ことごとく落とされて肩を落としての帰り道、商店街を歩いていると壁に貼られているチラシが目についた。






『ウエイター募集』






チラシの頭上を眺めると、『スナック林檎』と看板が出ている。



私は藁にもすがる気持ちで扉をノックした。






「すみません、あの、表のウエイター募集を見たんですけど・・・」






私は伏し目がちに声を出す。






「あらー、あんたウエイターしたいの?若さそうだけど何歳?」






割腹のいい、母親よりも年上っぽい女性がカウンターから顔を出してきた。






「19歳です・・・」






「あー、未成年だめよー」






「あ、でも2週間後には20歳になります」






私はポケットから財布を取り出し学生証を見せる。






「あらー大学生かい、こんなところでウエイターしようって変わってるねー」






女性は学生証を手に取り、珍しそうに見ている。






「本当に再来週で20歳なんだね。じゃあ20歳までは見習いってことで給料はちょっと少なくなるけどいいかい?」






面接もなく、いきなり採用されてしまったので私は驚いた。






「あのー面接的なことはいいでんすか?あのーちょっと人見知りで自信ないんですけどぉ」






「ガアハハハ、可愛い坊やだね。大丈夫だよ。ウエイターの仕事は、酒を運んだり、片付けたり、ちょっと力仕事もしてもらうかもしれないけど基本雑用だから。目立ちすぎる子よりも、あんたぐらいのがいいんだよ」






「そ・・・そうですか」






「そうそう。私がこのスナックのママで愛子って名前なんだけど、愛子ママって呼んでね」






「はい、わかりました」






「じゃあさっそく今日から働くかい?」






「は・・・はい」






まさか今日から働けるとは思っていなかったが、どうせ早く帰宅しても妹に煙たがられるので働くことにした。






「じゃあこれに着替えて」と渡された古びれたタキシード。



私はトイレにそれを持って着替えようとすると愛子ママに呼び止められる。






「あんた年頃の娘じゃないんだから、トイレで着替えるとかしないで、ここでちゃっちゃと着替えちゃいなさいよ」






「は、はぃ」






私がTシャツとジーパンを脱いでパンツ一丁になってタキシードを着ようとすると、後ろでチャリンと音が鳴って扉が開いた。






「おはようー愛子ママー、あれーパンツ一丁でこの坊や、何しての?」






「今日からウエイターで入ったんだよ。こっちが美由紀ね。ほら、あんたも挨拶しなさい」






私はパンツ一丁でタキシードを持ったまま美由紀という女性に頭を下げて挨拶する。



美由紀は40歳前後だろうが、自分の母よりも若干若い気がする。



そんな事を考えながら古ぼけたタキシードに着替えた。






「開店まであと1時間ぐらいあるから、まぁちょっとゆっくりしてなよ」






少し緊張も解れてきたので立ったまま店内を見渡す。



見事に場末のスナックといった感じで、店内はカウンターとテーブル席が三席あり、こぢんまりとした空間。



ここで本当にちゃんと働けるのだろうかと不安に思いながらも気を引き締める。



ここが駄目なら、もうどこに行っても駄目だ。



背筋をピンと伸ばし、やる気に燃えている私を愛子ママと美由紀が不思議そうに見つめている。






「あんた、突っ立ってないで掃除して頂戴」






愛子ママに言われ、すぐさまスナック内の掃除を始める。



箒で床を掃き始めると部屋の隅に埃が溜まっているのが目につき、できる限り丁寧に掃除をする。






「あらー坊や、やけに熱心に掃除してるのねー」






開店まで手持ち無沙汰な美由紀さんが近寄ってきて、私のお尻を触ってくる。



私は驚き、美由紀さんを見つめると、スナックのママが笑い出す。






「美由紀、ウブな坊やにイタズラするんじゃないよ。鳩が豆鉄砲くらったような顔してるじゃないの」






「お尻をちょっと撫でただけよー。あんた、どんだけ女性に免疫ないのよ」






お尻触られている私が、なぜさらに馬鹿されてしまうのか。



そりゃ誰だってお尻触られたらびっくりしますよと思いながらも、初めて女性にお尻を触られた興奮でちょっと勃起してしまった。



母親と大差ない年のスナック勤めのおばさんで勃起してしまう自分・・・。



複雑な思いを感じながら、また掃除の続きをしようとしていると中年の男性客が入ってきた。






「あらー、うーさん、今日は早いのねー」






「おう、ちょっと早く現場が上がったからな」






うーさんと呼ばれる中年の男がカウンター席に座ると、愛子ママがすかさずビールをグラスに注ぐ。






「ありがとよ」






うーさんはグラスに入ったビールを一気にの飲み干すと、チラっとこちらを見つめてくる。






「誰だい?この若いの」






「今日から入った新人なんですよ」






「そうかい、ちょっとお前、こっちへ来い」






いかつい顔をして作業服を着ているうーさんにビビリながらも恐る恐る近づくと、金玉を握られ、ウッと身を屈めてしまう。






「もう、うーさんまたやってるのー。若い男の子を見たらすぐに金玉握るんだからー」






美由紀さんは悶絶している私に寄りかかりながら、「大丈夫?」と耳元で囁いてくる。



私は「ハイ」と頷くと、美由紀のつけているキツい香水の匂いが漂ってきた。



しかし嫌な匂いというわけではない。



昔通っていた習字の塾の先生と同じ匂いがする。



私が初めて女性を意識した高梨先生。



腕を持って習字を教えてくれる時にぷ~んと香水の匂いがして、当時は子供ながらに落ち着きがなくなってしまった。



美由紀さんは高梨先生と同じ匂いがする。



呆然と美由紀さんを見つめると、うーさんが笑いながら肩を叩いてきた。






「いやー若いのー悪かったなー。でも金玉握るのは挨拶みたいなもんだからな。よしママ、こいつにビール出してやって、俺が奢るよ」






「仕事中にビールなんていいんですか?」






私が心配そうに尋ねると、ママに呆れられてしまう。






「あんたねー、水商売は、お客にお酒勧められたら飲むのも仕事なんだよ」






「はぁ、じゃあご馳走になります・・・」






私は頭を下げ、手渡されたグラスにビールが注がれるとちびちびと飲んだ。






「アハッハハ、お客じゃないんだからそんなちびちび飲んでどうすんのよ。一気に飲まないと駄目よ」






美由紀が私の腰に手を回しながら、またアドバイスをくれる。






「おい、美由紀ー。おめえも若い男のがいいのかよ?いぶし銀の俺のがいいだろ?」






「もう、うーさんったら私に妬いてくれるのぉ。いつも私に冷たいのにぃ、うふふふ」






美由紀さんは私から離れ、うーさんの隣に座る。






「若い者には負けたくないだけだよ。おい小僧、飲み比べだ」






「いいよ、飲み比べやっちゃいな。仕事はちょっとずつ覚えていきゃいいから、まずはお店に慣れる為にも、うーさんと飲み比べしなさい」






滅茶苦茶なことを言われるが、反論出来るわけもなく、ビールを飲み干す度にグラスにビールが注がれる。



次第に体が熱くなり、シャツの第一ボタンを開け、体を見ると真っ赤になっている。



視界もぼやけてきて、こりゃやばいぞと逃げるように立ち上がり、テーブル席のソファに倒れ込んでしまう。



声が遠のいて気を失い、気づいた時には店内は真っ暗になっていた。



起き上がろうとすると頭がガンガンし、酒がだいぶ残っていて頭がクラクラする。






「大丈夫?」






カウンターの奥から声が聞こえてきて、目を凝らしていると、美由紀さんが水が入ったグラスを持って近づいてくる。






「飲んで?」






出されたグラスを持とうとするも、フラフラでグラスを倒しそうになってしまう。






「飲ませてあげる」






いきなり美由紀さんの顔が近づいてきて、唇が重なり合う。



美由紀さんの口から水はこぼれ、私の口に入ってくる。






「美味しい?」






私はこの官能的な行為に勃起してしまった。



すかさず美由紀さんの手がズボンの上に伸びてきた。






「もっとお水飲みたい?」






ズボンの上からペニスを握りながら、また口に水を含みながら唇をあわせてくる。



美由紀さんに口移しされて口から少し水がこぼれる。



顎に水滴がつくと美由紀さんは舌を出し、顎についた水滴を舐めて、そのまま首筋まで舐め手くれる。






「美由紀さん、ぅぅぅ・・・こんな事していいんですかぁ?」






お酒が全然抜けてなくてフラフラになりながらも、会ったばかりの女性、それも母親と年齢がそう大差さない熟女と初体験をしてしまうのに抵抗を感じていた。






「うふふ、もうウブなんだから。可愛い坊やねー」






美由紀さんは私のペニスをズボンの上から握りながら首周りを舐める。






「でも・・・付き合ってもない女性とこんな事するなんて・・・」






「じゃあ私と付き合う?付き合っちゃいましょうよー。私もちょうど今フリーだしー」






「でも・・・年の差が・・・」






「好きになったら年齢なんて関係ないでしょ。じゃあ私に惚れさせてあげるわ」






美由紀さんは私の洋服を脱がし裸にすると、乳首を舐め始めた。



こんなにも乳首を舐められるのが気持ちいいなんて。



乳首を舐められ悶絶すると美由紀さんは嬉しそうに、さらに私の乳首をチューチュー吸い、舌で私の乳首を弄ぶ。



快感で何も考えられなくなる。



美由紀さんは乳首についた涎を手で拭き取り、ベッチョリとついた唾液を勃起したペニスに擦りつけて手コキをする。






「気持ちいいででしょ?どんどん私のこと好きになってー。好きになってくれたら、もっと色々やってあげるよー」






「は・・・はい」






「私のこと、好き?」






私は黙ると、美由紀さんも動きをピタリとやめる。






(もっと欲しい、もっとやって欲しい)






「美由紀さん、好きです」






欲望に負けて呟いてしまう自分。



すると美由紀さん自分の唇をペロリと舐め、そして私のペニスを咥えてくれた。






(これが夢にまで見たフェラチオなのか・・・)






自分のペニスを咥えている美由紀さんの顔を見ようと頭を上げると、目が合ってしまった。






<続く>