俺は男兄弟で育ったせいか、小さい頃から従妹の智ちゃんが来るのが楽しみだった。



智ちゃんが俺の家に遊びに来るのは盆と正月。



自転車で二人乗りしたり、海に遊びに行ったり、田舎の楽しい所を案内して一生懸命喜ばせようとしていた。



智ちゃんは少し体が弱く、喧嘩ばかりしていた兄と違って、気を遣うことができるのがとても嬉しかったのを覚えている。






俺が中3の時、中1だった智ちゃんから、「あきちゃん(俺)、あたしのお兄ちゃんになって欲しいわあ。あたし・・・あきちゃんみたいな人と結婚したい」という言葉を聞いて、当時惚れていた女の子のことが頭から消えていったこともあった。



智ちゃんの風呂場でのシルエットに興奮を覚えたり、後ろから抱きついてくる智ちゃんの膨らみかけた胸にドキドキしていた。



そう、僕は智ちゃんが大好きだった・・・。






その後、俺は硬派のスポーツ部に入ったためか女というものにさほど興味がなくなり、ひたすら体を鍛えることに熱中していたため智ちゃんと話す機会も減っていってしまった。



あの頃の気持ちはいつしか忘れてしまっていた。



大学に入り、俺は田舎から都会に出ていった。



スポーツに興味を覚えなくなり、それなりの平凡な日々を過ごしていた。






ある日、俺は当時惰性で付き合ってた彼女と映画を観ていた。



あまり有名ではなかったが、サスペンスものだったと思う。



映画を観終わって帰る途中、俺は一人の女の子に釘付けになった。






「智ちゃん・・・?」






彼女は男連れでこの映画を観に来ていた。



数年間会っていなかった彼女は美しかった。



化粧を覚え、大学生となって一人暮らしを始めた大人の女性になっていた。






「あきちゃん・・・」






彼女も僕に気付いた。



俺は胸の高まりを抑えられなかった。






「久しぶり・・・」






「ほんまやなあ。3年ぶりかなあ・・・」






とりとめのないことを話した後、連絡先を交換し、その日は別れた。



何かドキドキしていた。



幼い頃の恋心が甦ってきていた。






(従妹にこんな事を思うなんて・・・)と思ったが、どうしようもなかった。






次の日、俺は早速連絡した。



どのくらい喋っただろう。



4時間くらい話したかもしれない。



小さい頃の話、喋らなくなった頃の話、都会に出て少し戸惑っている話・・・。






「あきちゃんが喋ってくれんようになって、あたしすごく寂しかったんやで」






俺の心で何かが溶けていくようだった。



何とも言えない気持ちのいい感覚が俺を襲ってきた。






「今度、一度会おう」






電話の最後に大きな声で言った。



ちょっとビックリしたようだったが、彼女は快く了解してくれた。



嬉しかった。



ドキドキしていた。



色んな事を話してしまっていた。






「やっぱりあきちゃんは優しいなあ」






こんなことを言ってくれる彼女に俺は舞い上がっていた。



ほとんど強引に何度も会ってくれるように頼んだ。



彼氏との交際を止めさせようとした。



彼女も少し戸惑っていたが、次第に俺との時間を増やしていってくれ、彼氏とも疎遠になったようだった。



俺も付き合っていた人とはキッパリ別れた。



向こうも「あっそ」という感じだったからお互い本気じゃなかったと思う。






その年の終わり、俺は彼女を夜景の綺麗な所に連れて行った。






「今日、あそこのホテルに泊まっていかへんか?」






心臓の音が聞こえそうなくらいドキドキしていた。






「あきちゃんがどうしてもって言うならいいよ。あきちゃんはだいぶ疲れてるもんね」






少し考えてから彼女はそう言った。



俺はその日のために作っておいたクレジットカードを使って、彼女を連れて洒落たホテルへ入って行った。






「疲れたやろ?」






「あきちゃんこそ疲れたんちゃう?従妹のあたしにこんなに色々してくれて申し訳ないわあ」






にっこり笑って彼女が言った。



俺は少しくつろいだ後、肩に手をかけた。



彼女が一瞬ピクッと動いた。



また話を続けた。



何を喋ったのか覚えていない。



どうでもいいことだったと思う。



しばらくして会話が途絶えた・・・。






「あきちゃん、あかん・・・」






キスをしようとした俺を彼女は遮った。






「うちら従妹なんやから・・・」






俺にはもう聞こえなかった。



彼女の上着を脱がし、胸を弄りだした。






「あきちゃん、こんなことしたらあかん・・・」






俺はブラジャーを外し、乳首を吸い出した。






「あっ・・・ああっ・・・あかん・・・やめて・・・」






スカートを脱がせ、下着も取った。



彼女の裸は美しかった。






「好きやったんや・・・」






「そんなん・・・あかん・・・お願い・・・」






俺は彼女の秘部を舐めだした。



薄っすらとした茂みは濡れ始めていた。






「んっ・・・うん・・・あかんて・・・」






抵抗が弱まってきた。



俺は長い長いキスをした。






「好きやったんや・・・」



「あたしも・・・けど、うちら従妹なんやで・・・」






「関係ないよ」



「あきちゃん・・・」






「・・・」






俺は彼女の中に俺のモノを入れた。






「あっ・・・痛い・・・」






彼女は初めてだった。



俺はゆっくりと腰を動かした。






「ごめん・・・けど好きなんや・・・」






「あっ・・・ああっ・・・あ・・・あたしも好き・・・」






俺は彼女の中で果てた。



避妊はしてなかった。



子供ができたとしても、その方がむしろいいとさえ考えていた。






「あきちゃん・・・」






「ごめんな・・・けど本気なんや・・・」






「あたし・・・嬉しいよ・・・。嬉しいけど・・・受け入れられない・・・ごめん」






想像はしていた。



こうなる可能性も。



けど、そうならないと心のどこかで思っていた。



いや信じたかった。






「あたしは・・・あきちゃんのことお兄ちゃんやと思ってる・・・。今日の事は・・・なかったことにしよ・・・。お願い・・・」






智ちゃんは泣いていた。



俺は黙ってまた長いキスをした。






「俺は・・・諦めへんよ。俺にとったら智ちゃんは妹であり、恋人なんや。俺は絶対、後悔せーへん。今日の事は忘れへん」






「・・・」






朝までずっと黙っていた。



どちらともなく寝てしまっていた。



抱き合いながら寝ていた。






彼女は翌日から電話に出なくなった。



連絡が取れないまま引っ越しもしてしまった。



俺は呆然としていた。



今の状況を受け入れられなかった。



しばらくして手紙が届いた。






『あたしも大好きです。小さい時から優しいあきちゃんが大好きでした。けどやめよ。うちらは従妹なんやから・・・。あの日もあきちゃんはすごく優しくて、泣いてしまいました。あたしも忘れへんよ。けど、ごめんね』






最後の『ごめんね』がなければ俺は探しに行ったかもしれない。



けど、この『ごめんね』は俺を絶望に陥れた。



もうダメだと思った。






7年後に俺は親戚の法事で智ちゃんに出会えた。






「久しぶり!元気やった?」






明るい彼女の対応が嬉しかった。



彼女は一児の母になっていた。



相変わらず彼女は美しかった。



二児の父となった俺に、何とも言えない感情が再び襲ってきた。



もちろん今の妻と子供達のことはとても愛してるし、生活にも満足しているからバカなことをすることも無いと思う。



それでも・・・、俺は未だに彼女を忘れられずにいたりする。