あれは5年前くらい、前職に勤めていたときの話です。



その日は部の飲み会があり、相変わらず若手な俺たちは先輩社員のいい餌食だった。



1次会が終わり一般職の2人を含め、先輩社員と同僚と10名弱で次の店に向かった。



次の店では、一般職の1人、K(茶髪、辺見エミリ似、23歳)の隣に偶然座ることとなり、仕事の話や彼の話などしていた。






Kは先輩社員と付き合っており、その彼は以前、俺と同じ部署にいたが、都内の別の支店に転勤となった。



そのときはまだ別に何の意識もしていなかった。



というか、むしろ舌足らずな話し方で、俺(25歳)の2コ下なのに馬鹿っぽいなーと思うくらいだった。






ごくごく普通の穏やかな2次会も終わり、自宅(寮)に帰ろうとしたところ、自宅通いのKだけは終電に乗れず、なぜか正反対の寮方面の電車に乗った。



寮には付き合ってる先輩社員もいるわけで、もちろん外部者は入寮禁止だが、まぁ翌日は土曜だし、管理人も見てないだろうということで乗ったのだろう。



ふと気づくと、寮通いの人間は俺だけ。



しょうがないからKと一緒に寮に向かうこととなった。






俺も面倒なので、「Tさん(先輩)に電話してみたら?」と早く先輩に引き取らせようと促した。






K「うん。してみるー」






相変わらず、すっとぼけたような返事だ。






俺「繋がった?」






K「繋がらなーい」






俺「家電(固定電話)にしてみた?」






K「うんー」






あーったく、また合コンかよ。



合コン好きで有名だったので容易に予想できた。






K「合コンだろうねー」






(は?あなたは知ってるんですか?彼の合コン好きを)






呆れるというか、いい加減手綱を引けよと。






俺「わかんないけど、いないんじゃしょうがない。近所に友達とかいる?Tさんいないんじゃ厳しいよねー」






K「◯◯君のところで待たせてもらってもいい?」






俺「まぁ、いいけど」






つーか俺の金曜日はこれでなくなったな、と思った。



正直ここまで、どちらかというと被害者だなと思ってた。



周囲に寮の人間がいないことを確認して、部屋に入った。






俺「とりあえずどうしようか?軽く飲む?」






K「うん。なんかあるの?」






俺「下の自販機にビールがあるな。あとは近所に買いに行くか。でも、それだと面倒だね。ビール買ってくるよ」






K「うん。待ってるー」






俺「あ、もし着替えるならこれ貸すよ」






ジャージを貸した。



1階の自販機に向かい、Tさんの不在確認票を見ると案の定不在だ。



あの人のことだから戻らねーだろうなー、と思った瞬間。






(ってことは、もしや・・・)






ちょっとワクワクした。



500mlのスーパードライを5、6本買いながら。



とりあえず俺は風呂に入ろうかなと計画を立てた。






俺「買って来たー、俺、着替えがてら風呂入ってくる」






共同風呂のため、部屋にはない。






K「はーい。じゃぁ戻ったら飲もうねー」






すっとぼけてると思ったそのしゃべり方も、可愛らしく思えてくるから不思議だ。






俺「まぁたいしたものはないけど、布団でゴロゴロしてていいからねー」






そもそも寮の部屋は机とベッドくらいしかない。



6畳間程度の広さだ。



俺は風呂に向かい、とりあえず体を洗い、さっさと上がった。



部屋に戻るとKはジャージとTシャツに着替えていた。



オレンジ色のブラが薄っすら透けていた。






俺「ごめん。女性はお風呂入れないけど、トイレとかタオル頭に被っていけば大丈夫だと思うよ。まぁ、飲もう!」






ビールを開けた。



飲みながら、酔いに任せて普段は聞けないようなことを聞いてみた。






俺「Tさんといつ頃から付き合い始めたの?つーか全然気づかなかった」






K「うーん、同期で飲むようになってからだから1年前かなー」






俺「Tさんと飲むとさー、いつもKさんの下ネタ話なんだよねー」






俺ははっきり言ってTさんが嫌いだったため、別に告げ口とかではなく脚色とかもなく、そのまんまの状態を話した。






K「えーーーーどんなー?」






俺「なんでもアナルに指入れたとか、部屋につれて来てバケツをトイレ代わりにしてそれを眺めたとか・・・。うーん、『普段は澄ましてるけど、Kさんってアレなんだなー』ってみんなで話してた。ホントなの?ってホントでもそうなんて言わないよねー(笑)」






K「あいつのそういうところがムカつくんだよねー。でもバケツは、ここって部外者は入れないから部屋でしたんだよ。でも見てた」






俺「あの人、そっち系の趣味あるっぽいからねー。でもこれ以上は悪いから、話題を変えよう」






K「実は、Tとはもうどうしようか悩んでんのよねー」






どうしようって?



別れんの?



あれ?なんか変な展開になってきたぞ?



つーか、喜ばしい展開では!!!






俺「へ、どうしてまた?」






K「なんていうかデートしてても、最初の頃は色々出かけたんだけど、今だと何してると思う?」






俺「うーん、ラブホに篭ってんの?」






K「それならまだいいよー。パチンコとか漫画喫茶だよ?で、休日ほとんどそこで過ごして、『金ないからホテル代出して』とか言って、1回くらいエッチして終わりだよ?最悪ー」






俺「Kさんはどうしたいの?」






K「エッチもしたいけど、やっぱ昼間はどっか出かけたいなー」






俺「じゃぁさ。今度デートしようよ。普通の昼間のさ。どう?」






K「えー、だって◯◯君、彼女さんいるじゃないー。先輩だし悪いよー」






そう、そんな俺も同じ社内の別部署の女と付き合っていたのだ。






俺「まぁいいじゃん。そんなのさー。俺じゃだめかなー?」






K「そんなことはないけどさー・・・どうしようかなー(笑)」






なんだ、その(笑)は?



OKなのかNGなのか?



まぁダメ元だし、適当だし、どっちでもういのだが・・・。






俺「まぁ、それはおいて置いてビール飲もうよ。俺ビール大好きー」






K「ホント◯◯君って飲むよね。ちょっと眠くなってきた」






そう言うとKは横になりだした。



あら、もう終了か?



俺はテレビをつけて、適当な会話をしていた。






すると・・・。






K「明日早く出ないと見つかるし、用事あるからもう寝ない?」






俺「そうなんだ。も少し話したかったなー」






心にもないことを言う俺。






俺「じゃぁ電気消すね。ベッド一つしかないからベッドで寝てよ。俺は下に布団敷いて寝るから」






K「えー、悪いよー」






俺「いいからいいから」






布団に入ってしばらくして・・・。






K「◯◯くん、良かったらベッドに寝たら?」






俺「えー、いいよ。大丈夫」






またしても心にもないことを言う俺。






K「何もしないならいいよ?入んなよ」






俺「そう?じゃぁ入ろうかな」






遠慮なく布団に入った。



この状況で何もしないわけがない。






<続く>