１年くらい前の話です。
年に３、４回くらいしか飲みに行かない友人が突然、「飲まないか」と言ってきた。
私、健介、３７歳、バツイチ。
友人は信二、３７歳、既婚、子供なし。
信二は前の会社の同期で、当時はよく飲みに行っていました。
私は８年働いて退職して別の会社へ行ったのですが、友人はそのまま働き、今では係長。
「その後どうなんだ？」
信二と世間話から今の現状報告をし合い、その後、信二が私に彼女が出来たか聞いてきた。
「彼女か？すぐにはそうそう見つからないよ。離婚の原因が俺にあるのは会社ではみんなが知っているからな」
前妻とは５年の結婚生活で俺が浮気をしたせいで別れた。
別れる半年くらい前から妻は気付いていたらしい。
当時は妻も仕事をしていて経済力があったため、浮気が確実となると妻の方から離婚を言い出した。
「そうか、まだ彼女が出来ないか。まさか一生独身で通すなんて考えていないんだろ？」
「まあな、いい女が見つかったらな。それより由美ちゃんは元気なのか？子供は？」
由美ちゃんとは信二の奥さんで、俺達より２つ下だから３５歳。
小柄ながらでスタイルのいい清楚美人で、２年前に初めて会った時はショートカットで、キレイ系と言うよりは可愛い系。
信二が付き合っていた頃に紹介してもらい、ちょうど私も前妻と付き合っていた時だったので、よく４人で飲みに行っていて、お互いの結婚式にも呼んだ仲だった。
「ああ・・・元気だ。でも、子供はまだだがな」
「そうか。でも、信二のところはいいよな。由美ちゃんが結婚と同時に家に中に入ってくれて。俺のところはあいつが仕事熱心ですれ違いも多かったし、俺が浮気をしてしまったから」
そんな話をして夜遅くまで飲んでいた。
しかし１週間後、また呼び出されてまた飲んだ。
話は私の女性観だった。
どんな女性が好みなのかとか、もし結婚をするとしたらどんな生活をしたいとか。
そんなことを１週間おきに３回も呼び出され飲んでいるうちに、つい私も酔った勢いで・・・。
「由美ちゃんなら言うことないんだけれどな。可愛いしキレイだし、信二はいいよな、帰ったらあんないい奥さんが待っているんだからな」
と、言ってしまった。
「この間、由美と話したんだけれど、由美もお前のことを気にしていたぞ。今度うちで飲むか？」
友人の奥さんにまで心配してもらって、少し惨めな気持ちもあったが、あの由美ちゃんに会えるとあって元気を取り戻した。
翌週の週末、私は由美ちゃんに花束を買って信二のマンションへ向かいました。
前妻には一度も買ったことがない花束・・・。
もし何度かプレゼントでもしたら離婚なんて言わなかったかもしれないと思いつつ、他の女性なら気が回る自分のことを恨めしく思った。
「ありがとう。花束なんて貰うの久しぶりだわ」
由美ちゃんはとても喜んでくれました。
女性がサプライズに弱いって本当だったんですね。
２年ぶりにあった由美ちゃんは人妻になっても清楚なままで、白のブラウスに茶色のフレアースカートという飾り気のない恰好でもキレイでした。
「さあさあ座って。まずは乾杯ね。健介さん、今晩はどんどん飲んで食べてね。泊まっていけるんでしょ？」
信二からは食事には呼ばれたけれど、泊まるまでは聞いていなかったので用意はしてこなかった。
「あっ、俺言わなかったかな。まあいいじゃないか。どうせ明日は休みなんだろ。着替えは新しいものがあるし、パジャマだったら俺の物があるから」
そう言われて嬉しくなった。
キッチンのテーブルにはたくさんの料理が並び、どれも美味しそう。
由美ちゃんは、今の私の生活ぶりを聞きたそうな顔をしていましたが、気を使ってか口には出しませんでした。
きっと信二からある程度は聞いていたのでしょう。
私も「子供はまだ？」と聞きたかったのですが、３５歳になった女性にそんなことも聞けず、たぶん病院に行って不妊治療でもしているんだろうと思いました。
積もる話や世間話をして、その夜はたくさんの食事とお酒を頂きました。
「健介さん、ここに着替えとパジャマを置いておきますね」
そう脱衣場で声を掛けられた時はびっくりしましたが、なんだか人の奥さんに、「あなた、ここへ着替えを置いておきますね」と言われたような気がして嬉しかったんです。
客間には真新しいシーツに包まれた布団が用意してありました。
私は久しぶりに会った由美ちゃんの笑顔を思い出してなかなか寝付けませんでした。
信二たちの寝室はリビングを隔てた向こう側で、１時間もすると由美ちゃんの声らしきものが聞こえてきました。
小さな声であまりよく聞こえませんでしたが・・・。
「あなた、ダメ、健介さんが来ているのよ。ああ・・・だめ」
静かになった部屋に、あの由美ちゃんの喘ぎ声・・・。
もっと聞きたくて客間の襖を少しだけ開けると、よりはっきりと聞こえてくるんです。
本当なら客間を出て寝室の前まで行って聞きたかったのですが、さすがにそれは出来ませんでした。
「ああ・・・凄い、あなたこんなの久しぶりだわ、いい、いいわ」
はっきりと聞こえてきます。
まるで私がいないと思っているのか、私がすでに眠っていると思っているのか、それとも私に聞かせているのか・・・。
由美ちゃんの喘ぎ声はしばらく続いていましたが、私は由美ちゃんの乱れている姿を想像しながら眠りに就いたのです。
あれから１ヶ月ほどして、また週末に信二の家で飲もうと誘われました。
その時は仕事を終え、駅で信二と待ち合わせをして一緒に家に行くことになっていたのです。
その時に信二から、「話がある」と切り出されました。
信二の話では、由美ちゃんとのセックスもマンネリになり、スワッピングか３Ｐでもしないかと切り出したそうです。
当然、由美ちゃんは猛反対。
半年ほど何度も話をした結果、「相手は自分で決める」と由美ちゃんが言い出したそうです。
そして、その相手というのが私で、信二が急に飲まないかと言ってきたり、家に招かれたのも、由美ちゃんが今の私を見てみたいと言ったからだと分かりました。
「健介さえ良かったら由美を抱いてくれないか」
「お前、本気で言っているのか？」
「ああ・・・本気だ。お前、前に言っていたよな。由美なら言うことがないんだがって」
「そりゃ言ったけれど、あれは酒の席のことで・・・」
「じゃあダメか・・・。だったら由美に言って誰か他の男を・・・」
「おいおい、待てよ。他の男って言うなら俺が」
「えっ、いいのか？実は今夜、由美もそのつもりで用意をしているんだ」
「信二、本当にお前はそれでいいのか？」
「ああ・・・その代わり、途中から俺も参加するか見せてもらうかもしれないが、それはその時のことで、もしそれでも良かったら」
「それはいいけど、本当に由美ちゃんも了解しているんだよな？ドッキリだったら怒るぞ」
「それは大丈夫だ。由美がお前を指名したんだから」
「じゃあ由美ちゃんを抱く前に、俺と由美ちゃんと２人だけで風呂に入らせてくれないか。風呂では何もしない。ただ由美ちゃんの意志を聞いておきたいんだ。それに妻と離婚をしてから風俗には行ったが、素人は久しぶりだから勃起するかどうか・・・」
「ああ・・・分かった、由美に話してみる」
そんな話をしながら信二の家に着きました。
「あなた、お帰りなさい。健介さん、こんばんは。さあ中に入ってください」
「あ、ありがとう、お、お邪魔します」
出迎えてくれた由美ちゃんの顔をまともに見れませんでした。
女性ってこんな時には堂々としているんですね。
いつも通りの由美ちゃんを見て、本当に俺のことを指名して、抱かれてもいいと思っているのか不安になってきました。
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