俺が20歳を過ぎた頃の、今でも心苦しい出来事。



後悔しても後悔しても償いきれない傷の話です。






真理と出会ったのは女友達を介して。



最初はただの友達だった。



みんなで一緒にゲーセン行ったり夜の海へ出掛けたり。



ただただ純粋に楽しかった。






ある夜のこと。



いつものように海まで遊びに行った帰り。



真理は疲れて後部座席で眠ってしまった。



運転しているのは男友達の啓介。



助手席には女友達の栄子。



俺は後部座席で真理の寝顔を見ていた。






(いつもは元気いっぱいの真理なのに、眠ってしまうと可愛いもんだ)






そう思いながらも、自分の中にわずかに湧いてきている淡い感情にはまだ気づかなかった。



窮屈そうに後部シートに横たわる彼女は純真そのもの。



150cmあるかないかくらいの小さな体には似合わぬ胸の膨らみを携えている。



腰より少し上くらいの長い髪。





真理はいつもこの髪を自慢気にひるがえす。



正直美人とは言えないが、幼さを残した白い顔は誰にでも好印象を与えていた。



今日この時までは彼女を強く意識したことはなかったのだが、初めて彼女の寝顔を見て、(可愛い・・・)、素直にそう思った。






前の座席の二人を少し気にしながら真理の頭をそっと持ち上げ、自分の片膝を割り込ませた。



ハーフパンツを穿いている俺の素足にはらりと真理の髪がかかる。



ドキッとした。



優しく、そう、できるだけ優しく真理の黒い髪を撫でてみた。



柔らかい。



不思議と幸せな気持ちになれた。



ずっと優しく髪を撫でていたい。



そんなことを思っているとふいに真理が動いた。






(びくっ)






後ろめたいことは何もしていないのだが、今の自分の不思議な感情を悟られたかのように動揺した。



だが彼女はまた静かな寝息を立てだした。



ほっと安堵感。



その時、真理がぽつりと口を開いた。






「倫くん・・・」






(えっ!?俺を呼んだ?)






しかし彼女は変わらず静かな寝息を立てている。






「寝言か・・・」






真理を見つめる俺に啓介から野次が飛んだ。






「いたずらするんじゃありませんよー」






思わずムキになる。






「誰がするかよ!」






「でも何かえっちぃ雰囲気ー」






栄子からも。






「疲れてるっぽいから膝貸してるだけだよ」






少しスネ気味に言ってみる。



前部座席から冷やかすような笑い。






「でも・・・可愛いよな・・・好き・・・かも」






呟くように言ったその言葉は前の二人の耳には入らなかったようだ。



そのまま何事もなくその夜は過ぎていった。






それから日々は流れ、俺は新しいバイトを探していた。



それまではコンビニで深夜働いていたのだが、どうもあれはダレる。



暇にならず、それでいて高収入な楽なバイトはないものか・・・。



なんとはなしに求人誌を見ていた俺の目に飛び込んできたものは、『月給40万~バイト可』の文字。



ホストクラブの従業員募集だった。



お袋似の女顔で性別を間違われることも多かった俺は、(いっちょやってみっか!)と奮起。



早速電話して面接に。






晴れて採用された俺は、その日のうちに先輩に基本的な接待を叩き込まれた。



深夜1時開店のその店は、水商売や風俗の女達がターゲット。



憂さ晴らしに来るわけだ。



新規は一万で飲み放題だが、指名がつくと座席料込みで三万二千円。



そこへドリンクやフード料金がかかる。



その街でもかなりの高級店。



必然的にマナーや接待術が問われる。



なんとか慣れようと藻掻いている俺に、真理から久しぶりに連絡が入った。






「ひまーひまー遊んでー」






真理は専門学校生。



夏休みに入った為、時間を持て余しているらしい。



基本的に仕事は夜だけなので昼間は俺も空いている。



それからしばらく、毎日のように昼間は真理と遊ぶ日々が続いた。






そんなある日のこと。



真理が何気ない会話の中突然言った。






「私たち付き合ってるみたいだね♪」






(ずっきゅーーーーーーーーーーーっん!?)






焦った。



あまりのさりげない爆弾に鼓動が速くなる。






(ち、チャンス?今しかない!!)






そう思った俺は真理におずおずと口を開いた。






「つ・・・付き合ってみる?」






情けないホストである。



しかしその時の俺には精一杯。






「・・・いいよ♪」






(よっしゃーーーーーーーーーーーーーー!!)






こうして俺は真理と付き合うことになった。



付き合い始めて二週間くらいして、真理が俺の家へ遊びに来ることになった。



普段から女友達の家に外泊することが多い真理は外泊許可をもらってきた。



俺と真理は最初、ビデオを観たり格闘ゲームなんかしたりして騒いでいた。






そのうちだんだんお互いの口数が少なくなり、俺は自然と真理にキスしていた。



真理が目を閉じて体を預けてくる。



俺はあの夜のように優しく、そう、できるだけ優しく真理の黒い髪を撫でた。



髪を撫でながらそっと胸に手を伸ばし、包むように握った。






「あ・・・?」






真理が小さく息が漏れた。



しばらく胸を片手で弄ぶ。






「ふっ・・・んっ・・・はぁ」






耐えるような吐息。



時折大きく息をつく真理。






「両手あげて」






そう言って俺は彼女のシャツを脱がせた。



黄色地に黄緑のチェックのブラジャー。



まるで中学生のような下着に包まれているにも関わらず、そこからは女の匂いが発せられ、俺は思わず後ろから抱きついて強く揉みまくってしまった。






「や・・・ぁ・・・んっちょっと痛い・・・」






「あ!ごめんな」






我に返って優しく両方の胸を撫でた。



ブラの上から手を差し込み乳首を探る。






「きゃ!」






突如体がびくんと波打ち、硬直する真理。






「んん・・・ぅん・・・んぁ・・・」






懸命にこらえようとする真理が可愛かった。



髪をかきあげ、首筋や耳に唇を這わす。






「・・あぁーーーー!だ、だめ・・・耳だめぇ・・・ふあっ!!」






思わず息が漏れて大きく喘ぐ真理。



片手で胸、唇で耳を苛めつつ、もう一方の手を下に伸ばした。



スカートの中に手を入れ、下着に手が触れた瞬間、突然真理が暴れだした。






「やぁ!!・・・怖い」






「真理・・・初めて?」






俯いたまま小さく頷く真理。



俺は真理にそっとキスすると自分の服を脱いだ。



優しく声を掛けながら真理のスカートをとり、お互いほぼ全裸の状態で彼女を抱き締めた。






「大好きだよ・・・」






素直な気持ちだった。



心から真理を愛おしいと思った。



俺はそのまましばらく真理に話をした。



深夜のコンビニバイトを辞めたこと、ホストを始めたこと、でもそれはプロの女相手のビジネスであること、好きなのは真理一人であること。



ずっと黙ったまま真理は聞いていた。



最後まで聞き終えると、しばらくして真理は言った。






「好きだから信じる、嫌だけど信じる」






ぎゅうっと真理を抱き締めてキスをした。



長い長いキスをした。



離れると真理の唇が小さく吐息をついた。



再び真理の唇に重ね、舌を差し込む。



顔を真っ赤にしながらも不器用に応答してきた。






ちゅぷっ・・・ちゅぱっ・・・ちゅるっ・・・はぁ・・・はぁ・・・ちゅぷっ!






俺の部屋に真理と舌を絡め合う音が響く。



少しずつ手をパンティーの中に入れてみた。






「あぁっ!!!!!!」






驚くほど濡れた真理の膣口を覆うように手のひらで揉みほぐす。



一方で乳首の先端を口に含み、逆の乳首も指で転がす。






「あぁーー!!・・・んむぅ・・・はぁっ!!!」






真理はもうこらえきれずに声を漏らす。



指の先端を膣に軽く差し込みながらクリトリスを皮の上から擦る。






「んぁっ!!やぁーーーーーーーーーーっっっ!!!!」






真理の体がビクビクっと震える。



軽くイッてしまったのかもしれない。



放心している真理の足を持ち上げ、足の指から太ももの付け根まで丁寧に舐めあげる。



ゆっくりと。



時折激しく。



ビクッ、ビクッと体を震わせる真理。



俺は起き上がり両足を開かせ、花弁を舌でなぞってみた。






「!?」






再びビクンッとする真理。



花弁に沿って舐めあげ、膣口に舌をねじ込む。






「や・・・だ・・・そんなと・・・こ・・・ぁあああああっ!!!」






処女だけあって少しきつめの匂いがした。



でも嫌な匂いじゃなかった。



むしろ征服欲を高めるような、大事なものを今から奪ってしまう、そんなしょっぱい味だった。



愛液と唾液でベトベトに濡れた真理の膣はヒクヒクして少し膣口を開いていた。






「入れるよ?」






問いかけると肩で息をしながら小さく頷く彼女。



俺は膣口にモノを当てると少しずつ体を埋めていった。






「んっ・・・!!んんーーーーーーー!!!!痛っ!!痛い!!!!」






途中までは十分に濡れていたおかげもあり抵抗なく埋没したのだが、4分の1くらいのところで抵抗感。






「少しずつ時間かけてするから」






そう彼女に告げ、ゆっくりとゆっくりと小さくピストンしながら突き進む。



結局一時間半かけてモノは完全に収まった。






「はぁ・・・はぁ・・・」






涙目の真理の髪を優しく、優しく撫でる。






「頑張ったね」






そう真理に言った途端、彼女は涙をポロポロ流し始めた。






「・・・大好きだよ」






「俺も大好きだよ・・・」






真理をしっかり抱き締めながらゆっくりとピストンを続けた。






「出すよ」






「うん」






俺は真理の奥深くまで挿し放出した。






それから真理とは何事もなく、平穏に日々は過ぎていた。



俺は真理を大事に大事に大切にしていた。



だが・・・。






ホスト業は最初は楽だと思っていた。



女の相手をして酒を飲んでいればいいだけだと。



だがそれは間違いだった。



ホストで稼ぐためには指名をたくさん取らねばならない。






先輩に習い、風俗店に行く。



だが部屋では何もしない。



本当に何もしない。



しちゃだめ。



懸命に時間いっぱい使ってお店に遊びに来てくれるよう口説く。



もちろん自腹で払う。



週3回くらい誘いに行く。



かなりの出費。






また、街で女の子に声を掛ける、いわゆるキャッチも欠かせない。



好みの女の子に声を掛けているようでは上に上がれない。



可愛くない、暇そうな、かつお水・風俗っぽい女の子を狙って声を掛ける必要がある。






俺が愛しているのは真理だけ。



だからどんなに見栄えしない子でもおばさんでも、客として、ビジネスとして声を掛けてた。






その成果があって、入店半年後には30人近いホストの中、上から6番目にいた。



童顔好みのおばちゃんに投資しいていただいた結果だ。



だが、俺より下位のやつが明らかに俺より金を持っている。



これはどういう事なのだろう・・・。






ナンバー2の先輩からある日呼ばれた。






「お前は◯◯さん(投資していただいたおばちゃん)があったからここまで来た。だが運だけじゃずっとやっていけないだろうな。ホストの本職を覚えろ」






そう言われてもピンとこなかった。



本職って・・・?



話を聞いて愕然とした。






街で女子大生やOLなど若い子を口説いて本気で惚れさせる。



離れられなくなった後、『店に借金が出来て辞められない。この借金を返したら足洗ってお前と暮らす』、こんなベタベタ話で金を作らせるというのだ。



当然、学生やOLにしょっちゅう店に来る経済力はない。






そこで“未収”というのを使わせる。



いわゆるツケ。



女の子が気がついた時には膨大な額。



風俗に落ちるしかない、という罠。



実際風俗嬢の3割くらいはこうして落ちていったケースが多い。






青いと言われようが、甘いと言われようが俺には無理だった。



好きなのは真理だけ。



本気で他の女を惚れさせるなんて出来なかった。



成績もボロボロになり、◯◯さんも他の店のホストに投資を変え、俺はノルマも達成できずに罰金で本当に店に借金が溜まっていった。






俺は真理に毎日、店での出来事や客の話を全部話していた。



真理に隠し事はしたくなかった。



だから先輩から聞いた“本職”の話も、店への借金の話も真理は全部知っていた。



真理はだんだん塞ぎ込むようになっていった。






ある日、真理は突然俺にとんでもないことを打ち明けた。






「私、風俗やる」






★ぬほど驚いた。



付き合いだしてからも純真で、今でも俺の裸に恥ずかしがるような真理が・・・。






「バカ言ってんじゃねー!!何考えてんだ!?」






「倫くんが他の女の子を本気で惚れさせなきゃいけないくらいなら、私が稼いでお店の借金返す!そしたら二人でやり直そうよ。ちゃんとした仕事で」






「だけど・・・だけど・・・!!!!」






どっちもできない。



どっちもできない・・・。



その夜一晩中話し合った結果、真理が俺の店の紹介で風俗店に入ることになった。



俺はバカです。






最初はヘルスのはずだった。



真理が他の男のモノを咥えるだけでもおぞましいのに。



なのにお店の社長(やくざ)が、「稼ぐんならソープだよ。ヘルスじゃ何年経っても貯まらねえよ」などと話し出し、強引にソープに決定してしまいました。



俺も真理も、もう怖くてその場では逆らえなかったのです。






そのまま彼の経営するソープに連れて行かれました。



研修を行うと言うのです。



俺は店の前で待っているつもりでした。



なのに社長は俺に、「中に入れ」という。



しょうがなく一緒に入りました。



そこで地獄が待っているとも知らずに・・・。






俺はしばらく事務室で待たされ、ほどなくそこの店員に呼ばれました。






「この部屋に入れ」






そう言われ、俺が足を踏み入れた先には真理がいました。



バスローブを着せられた真理。






(恐らくあの下には何も着けていないんだろう・・・)






嫌な感じが頭をよぎる。






「じゃあ始めるぞ」






そう言って社長は自ら服を脱ぎ始めた。






「っちょ、ちょっと彼は・・・!?」






真理が戸惑う。






「倫、見とけ。ホストになるってのはこういうことだ」






俺はもう頭が真っ白になり、体も言うことを効かなかった。



社長は全裸になると真理のローブを剥ぎ取り顔を抱え込むようにキスをした。






「い゛や・・・む・・・ぶ・・・や・・だーーーーー!・・・む・・・」






俺の真理が大好きな真理が目の前で男に唇を奪われている。



真理の可愛い小さな舌が、汚らわしい舌に弄ばれている・・・。



真理の目から涙が溢れ出し体を伝っている。






「おぉー!形のいい胸してるねー!!人気出るよー!」






ヤツは正面から両手で真理の胸を揉み、チロチロと舌先で乳首を転がす。






「んっ・・・ぐっ・・・うっ!・・・んんぅ」






真理は懸命にこらえている様子。



真理は俺の方には絶対に目を向けようとしない。



だがヤツの指が真理の膣口を捉えた時・・・。






「あぁっ!!」






真理の口が大きく開いた。



そのまま真理の声が途絶えることはありませんでした。






「あっ!!あ・・・あぁ・・・んぁあ!!・・・うんっ!!!」






ヤツの指が真理の膣を犯している間、俺は何も出来ず、ただじっと見ていた。






「やぁーーーーー!!!!やだぁぁあああああああ!!!!!」






はっと我に返るとヤツが真理をマットに寝かせ、その上に馬乗りになっていた。



俺よりも大きいモノが真理の膣に添えられていた。






「ぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」






真理の悲鳴の大きさとヤツの腰の進みが比例していた。



クチュッという音と共にモノは完全に真理の膣に飲み込まれていた。



M字型に真理の足を抱え、ゆっくりと深く突いていました。






「う゛・・・やんっあっ!!・・・あぁ・・・」






真理の抵抗が弱くなっていくのと同時に俺の中で俺の心が弱っていきました。






「あっ!・・・あっ!!・・・あっ!!・・・あぁっ!!!!」






真理は四つん這いの格好で後ろからされていました。



ヤツは真理の白いお尻を両手で掴み激しく腰を前後しています。






パシッ・・・パシッ・・・パシッ・・・パシッ・・・。



・・・くちゃ・・・くちょ・・・くちゅ・・・くちゃっ・・。






肌がぶつかる音と粘膜の粘る音が交互に部屋に響きます。



何時間・・・いや数十分・・・ひょっとしたら数分のことだったかもしれませんが、俺にとってこの音は永遠に終わらないような気がしていました。



真理を再び仰向けに寝かせると、体をクの字に曲げるような形で突き始めました。






「あぁっ!!あん!・・・あん!!・・・あんっ!!!うぅんっ!!・・・はっ!・・・あぁ・・あぁ・・・きもち・・あんっ!・・・いいっ!!・・・あっ!」






真理は完全に快楽に身を委ねてしまっていました。



気がつくと俺はボロボロと涙を流していました。



拳をぎゅっと握って。



でも動けない。



視線も逸らせない。






「イク・・・ぞっ!」






ヤツは真理の肩をしっかり抱くと自分の方へぐっと引き寄せました。






「ぁっ!!・・・あ・・・あ・・・」






肩を引き寄せられ首だけが後ろに反り返っていました。



真理は膣からモノを抜かれた時、小さく「ぁっ!」と漏らし、ぐったりしていました。



どうやらゴムはちゃんとつけていたようで、ヤツが立ち上がりそれを外した時に少しこぼれたのが見えました。



それは真理の黒い長い髪に掛かり、美しいコントラストを描いていました。






「俺・・・帰ります」






真理にバスローブを着せ、肩に担ぐように車まで運びました。



ヤツは何も言いませんでした。



車の中で俺と真理はお互いにずっと、「ごめんね・・・ごめんね・・・」と繰り返すだけだった。






(まずい、泣きそうになってきた・・・)






結局、これは研修でもなんでもなく、俺への試練ってやつだった。



店の上位のホストはみんな通った道だそうで・・・。






俺は親父にすべてを話し、金を借りてホスト業から足を洗いました。



親父には何度も殴られたけど、この時ほど効いたことはなかったです。



染みました。



俺と真理は別れました。



お互い好きだという気持ちは変わらないつもりだったのですが、どこか心が別の所へ行ってしまったかのようにギクシャクしてしまい・・・。






今は俺も、もう30前。



地道に働いて平凡に暮らしてます。



もう十年近く前の出来事・・・。



でも・・・。






優しく、そう、優しく真理の髪を撫でてあげることはもう二度とできません。