かかしの刑
一時間目が終わり
僕と大石は四面楚歌の状態だった。
僕は下半身パンツ一枚
大石は落書きされた顔
教室にいるとクラスの女子に笑われ 廊下に出ると下級生達や先生に笑われ最悪の状況だった。
結局トイレ以外には教室の外へ出ていかず、真鍋と三人で一緒に過ごしていた。
そうこうするうちに
二時間目の数学の授業が始まった。
僕らの担任で数学担当の福島元子先生は開口一番
『今日は抜き打ちで小テストをします』と言いプリントを配り始めた。
『えー 今から10分以内で回答すること! 採点して最下位の者は例によって罰を受けてもらいます』の一言に
みんな必○で問題に取り組んだ。
10分後
『はい!そこまで!各自、用紙を先生のところまで持ってきなさい』と手を叩いて促した。
クラス全員が緊張した面持ちで
採点結果を待った。
数分経って
先生が教卓の横に立ち
『皆さん、本当によく頑張ってます。日頃の努力が理解できますよ』
その言葉にクラス全員
安堵の表情に戻った。
しかし 次に先生の発した言葉に
僕はショックを受けた。
『そうやってクラス全員頑張っているのに関わらず、一人だけ信じられないような点を取った人がいます!』
クラスは騒然となった。
『篠原くん あなたの事です!!
さぁ
椅子を持って前へ出てらっしゃい!』
僕は言われたように椅子を持って教壇へ行く。
椅子を持って教壇に行くということは
また立たされるということに違いない。
先生は、項垂れる僕の顔を見ながら『今朝ホームルームで宣言したわね。覚えてる?』
僕は仕方なく頷いた。
『はい!じゃあ制服脱いでパンツ一枚になりなさい』
しぶしぶと先生の指示に従い
僕は上半身を全部脱いだ。
『靴下は履いてていいわよ』
結局パンツ一枚に靴下だけの情けない格好で教壇の上に立たされ
女子全員の嘲笑を嫌というほど浴び顔が真っ赤になる。
先生は
『じゃ、椅子の上で立ってもらいましょうか』と冷笑しながら言った。
教壇の椅子の上にパンツ一枚の格好で立ち クラス全員の晒し者になる。 みんなの顔が嫌でも僕に注目する。
隣同士でヒソヒソと話す女子
指差しながら笑う女子
机の上にうつ伏せになって笑う女子
様々な光景を
僕は上から見下ろす形になって見ていた。
それだけで充分辱しめを受けているのに
先生は更に追加の罰を与えた。
『篠原くん、まだこんなものじゃ済まさないわよ。今日は特別に「かかしの刑」を用意してますからね』
僕は『えっ?かかしの刑?』と先生に聞いてしまった。
『そう あなたには二時間目の授業の間そこで、かかしになってもらいます』
そう言うと先生は『あなたたち 手伝って』と前の席の女子二人を指名した。
そうして黒板横に置いてある一メートルの竹定規を手に取ると
『腕を水平に伸ばしなさい!』と命じた。
僕が手を伸ばすと
先生は背後から伸ばした両腕に定規を添え、先程の女子二人に
『そのまま、定規を抑えててね』と言い、今度は定規を左右の手首のところでガムテープで固定した。
こうして僕は左右に水平に両腕を強制的に伸ばした形になったのである。
『うーん いい格好ね よし!じゃ後ろの掃除用具入れからバケツ二つ持ってきて』と女子に命じた
ブリキのバケツが用意され
先生は僕の左右の手首に一つずつ引っかけた。
身動き出来ない僕に
さらに先生は用意していた『反省中』と書かれたプラカードを首からかけると今度は僕の頭の上に黒板消しを載せた
クラス全員、大爆笑が起こった。
顔から火が出るほど恥ずかしいお仕置きだった。
『なかなかお似合いね じゃそのままの格好で反省なさい!
それと頭の上の黒板消し落としたりしたら今度はパンツも脱がしますよ。精神統一しないと大変なことになるわね』と笑いながら言った。
そして30点と赤文字で書かれた僕の答案用紙を全員の前で見せつけながら
『いい? こんな点を取ると篠原くんみたいな罰をうけるんですよ』と公開した。
クラスの大爆笑を収めるかのように先生は手を叩くと
『はいはい!静かにして
授業はじめますよ』と言った。
僕は 時おりクスクスと笑う女子の視線が合わぬよううつむいていた。
先生は黒板の方を向き板書きしている。
黒板消しを落とさぬよう必○で頑張っている僕に思いがけないことが起こった。
何と最前列の女子二人が交互に定規でつつきはじめたのである。
それも先生にばれないように…
『止めろ』と声を出す訳にもいかず姿勢を崩さぬよう抵抗したが
努力の甲斐もなく
黒板消しは落ちてしまった。
『先生っ』
次の瞬間 一人の女子が声を上げた。
『何ですか?』
先生が黒板から振り返ると
『篠原くんが黒板消し落としました』と告げた。
あぁ 何ていうことだ
自分が落とした訳でもないのに…
でもクラスの女子ボスの宮田こずえの目が『本当のこと言ったらリンチだよ』と言わんばかりに睨み付けている。
先生は僕の前に腕組みをしたまま立ち
『あらあら 先生の言い付け守れなかったのね』とニコニコしながら言う。
僕は無言のままうつむいていた。
『仕方ないね 約束だからね』と前屈みになって先生は僕のパンツを足首まで下げた。
今日一番の大爆笑が起こる!!
惨めさで涙が出てきた。
再び黒板消しを頭に載せられ下半身露出したまま立たされる。
そうして授業の終盤近く
僕は『もうすぐ終わる』と自分に言い聞かせ恥ずかしさを紛らわしていた時…
またもや窮地に陥る
先生は教科書を教卓に置き
『今日少し暑くない?』と言い『窓側の席の人、廊下側の窓全部空けて。空気の入れ換えしましょ』と命じた。
このまま定時に授業終わらないと開放された教室が丸見えになる。先に授業が終わった他のクラスの生徒や先生たちに笑い者になるのは目に見えている。
お願いです!!福島先生
早く授業終えてくださいと
心のうちで願っていたが
無駄に終わった。
授業のチャイムが鳴り
なおも授業を続ける福島先生
そうして一年、二年のクラスは休み時間になり廊下がざわつきはじめた。
『なに〜あれ』
『キャハハハ 素っ裸で立たされる〜』と下級生の歓声が上がり窓から見られてしまった。
やっと福島先生が授業終了を告げる。
その時…
廊下からの二人の女の先生が両クラスの授業を終え
僕の教室へ入ってきた。
一年担任の吉田美枝子先生と社会担当の小倉保恵先生だった。
小倉先生は腹を抱え笑い
吉田先生は『あらぁ〜いい格好ねぇ』と僕の前に来て、素っ裸の僕をしげしげと観察している。
『何で、こんなお仕置き受けてるの?』と小倉先生に聞かれ
恥ずかして無言の僕に
『さぁ 早く言いなさい!!何で罰を受けてるのか せっかく他の先生方が見にきてくださったのに』と福島先生に叱咤された。
僕は『はい! 小倉先生、僕は数学の』と言いかけると
吉田先生は『あれ、私には言えないの?』と追い打ちをかけた。
『は、はい 小倉先生、吉田先生
僕は数学のテストで』と言い直すと
またもや吉田先生が耳に手を当て
『えっ 聞こえないわ 小倉先生、聞こえてます?』
『小さい声だから聞こえないよ』
と二人に責められ
『もっと大きな声で先生方に判るようにおっしゃい!』と福島先生になおも叱咤された。
『小倉先生、吉田先生、僕は数学のテストで最下位の点数だったので福島先生に罰を受けてます』とやっとの思いで答えた。
『そう?何点だったの?』
『30点です』
『30点?それじゃ罰を受けて当然よね』と責められた
おまけに『クラスの女子の前で素っ裸にされて恥ずかしいわね。
体育の岩崎先生にも見てもらおっか?もっと恥ずかしいお仕置きしていただけるかもよフフフ』
と吉田先生に笑われた
そうして
福島先生は
『あぁ そう言えば次の三時間目小倉先生の授業でしたわね。
どうしましょうか?この子?』と小倉先生に聞いた。
『あら 福島先生、後を引き継ぐっていうことなの?私が?』
『ええ 先生にお任せしますわ』
『そうねぇ〜本人も反省してることだし…』
小倉先生の
その言葉で、この恥ずかしいお仕置きから解放されると思った。
だが、吉田先生の横やりが入った
『福島先生、今日この子って初めての罰なんですか?』
万事休すである。
『いえ、朝のホームルームでも立たせたんだけど』と福島先生
『えー二回目?じゃあ反省できてないってことじゃない』と意地悪そうな表情で吉田先生の一言
『そうなんだぁ〜じゃあ仕方ないわね。もう少しこのままで反省してもらうしかないわね』と小倉先生は結論を出した。
『そういうことだから、篠原くん 小倉先生の指示に従いなさい』
福島先生がそういうと
小倉先生は
『三時間目が始まって私がよろしいと言うまで、そのままで反省なさい』と付け加えた。
『ちゃんと真面目に反省するのよ』と福島先生に帰り間際に言われ三人の先生は職員室へ向かった。
僕は かかしの刑を受けたまま
みんなの晒し者で立たされていた。
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