セックスのとき、乳房に針を刺してする人たちがいるらしい。



それは思春期に興味本位で見たSM雑誌の挿絵の光景。



妄想か現実か判らなかったが、大人になってそれを実際に見ることとなった。






それは俺がEDになり、妻(恵美)とのエッチが長いこと途絶えたままになっていたから、ズリネタ欲しさにネット上を漁った結果でもある。



ネットでは危険を避けるかのように皮膚を浅く刺している画像も多かったが、明らかに針先が乳房の中心に届いているものもあり、特撮かも知れないと思った。






その後、ネットで紹介されるSMはエスカレートし、ついに膨らみの根元から長い針を向こう側や乳頭へ突き通す場面が動画で観られるようになった。



ここに至って、世の中には女の乳房へ針を貫通させることのできる幸せ者がいて、ギャラのためかも知れないが、それを承諾できる女たちもいることを確信したのである。



そして性交で針を使う人たちがいることを疑う余地は無くなった。






『針プレイやってる記事もあるし、育児の済んだ女性では不可能ではないみたいだな』



『AVの世界とは言え、若いのに乳房を針で犯されている女も結構多いな』






そういったネット情報が、長いセックスレスに悩む俺に、“告白”という勇気をもたらしたのだ。



告白前にはいくつもその手の記事やネットの画像を示して、準備も念入りに行なった。



恵美は嫌な素振りを見せながらも、女性が乳房の中を針で弄られて喘ぐ衝撃的な場面をいくつも見せられ、観念したのだろう。






「お前の乳腺を針で愛したい」






その告白に戸惑いながらも恵美は、「少しだけなら」と答えてくれた。





このままでは夫婦生活の破綻は見えていたし、彼女自身不安と期待が入り混じった複雑な気持ちで承諾したのだと思う。






後日、消毒用エタノールや適切な針を探しに2人で街へと出かけた。



細くて長いキルティング用マチ針・・・。



これだと思って目で促す。



コクンと首で合図する恵美。



針をレジに運び、支払いするときの恵美の心境を思うと勃起しそうになった。



EDとは言っても妻に勃起しないだけで、オナニーでは何ら問題はないのだ。






その夜、針の煮沸消毒などプレイの段取り中にも痛いほど勃起した。



そしていよいよ乳房の消毒。



恵美はその時、目を閉じた。



煮沸消毒の済んだマチ針をピンセットで取り出し、頭のビーズを摘んで先端を彼女の乳輪の外側に当てる。



初めて女の乳房に針を入れる瞬間は、興奮のあまり手が震え、あろうことか夢精のように精液がズルズルと流れ出てきた。






躊躇うより、思い切って刺した方が針の痛みは少ないそうだ。



恵美は少し痛がったが、やや強く刺すとプツッという感触があって、程なく5ミリほど入った。



そこで膨らみの芯を狙って・・・深く・・・入れ始める。



針先は何の抵抗もなくスルスルと嘘のように入っていった。



数秒後、頭のビーズが皮膚に到達し、5センチもあるキルト針はその長さの全部が埋まっていた。



指で妻の膣を探ると、彼女はすでに激しく濡らしている。



俺の指が膣に移ったことで、恵美が怪訝そうに聞いてきた。






「針は、もう刺さったの?」






目を閉じたままの恵美には痛いどころか、針の侵入がまるで判らなかったようだ。



乳房の中は意外にも鈍感なんだと知る。



だから針を好む人たちもいるわけだと思った。






「針は全部入ったよ」






俺の言葉に、ようやく目を開けて乳房を確認する妻。



ビーズの位置を見て、「あぁ・・」という嗚咽が漏れた。



同時に恵美の膣がジュルジュルと音を立てるほどに収縮するのがわかった。



そして、その膣の強烈な圧力を緩和させるかのように白い足が大きく開く。






今まで一度だって自分からこんなに大きく開いたことはなかったのに。



あぁ、妻がこれほどまでに男を欲しがっている・・・。



俺が昔からずっと求めていたのは恵美のこんな姿だったのだ。



涙が溢れそうになった。






あれから2年が過ぎ、針は百本入りのセットが半分ほどになった。



今では生理後の初エッチは恵美の方から、「今夜は・・・針?」と求められるほど日常的な行為となっている。



恵美はマチ針が入ったままの乳房をゆっくりと揉まれるのも好きなようだ。



俺の方はと言えば、SMをしなくても勃起できるようになった。



乳房へ針を入れる時、時折指先にプチプチという感触がある。



彼女にもそれはわかるらしい。



何度目かのプレイのとき、そのことを恵美から聞かれた。






「それは乳管が切れた時の感触だ。お前の乳腺はもうダメになったんだよ」






「・・・」






「一部でも乳管が癒着すると、中でミルクが腐るから切開しなくちゃならない。そしたら傷口が開くから、母乳を搾り採るなんてできないだろ?お前の乳房から母乳を出すことは、もうできないんだ」






彼女は小さく「うん」と頷いた。



それは諦めと、乳房をセックスのためだけに使える許しを受けた喜びが混在した複雑な表情だった。



プチッと感じるたびに恵美はビクッと反応し、嗚咽が漏れる。



男の手によって自分の乳房の中が壊されていく。



夫に女の一番大切な器官を捧げる喜び。



いや、自分の身体とは言え、“健康な女の乳腺を破壊する”という背徳的な行為に立ち会える喜びかもしれない。



あるいは願いが叶って喜ぶ俺の姿を見られる幸せか。



心地良いだけでは説明できない乳房への針。



彼女もそれを言葉では表せないだろう。






しばらく乳房の中を弄られると、恵美はぐっしょり濡らして挿入を求めてくる。



重なり合って俺の手が針から離れると、彼女はビーズを摘み、今度は自分でもゆっくりと弄り始めるのだ。



やがて昂揚し、途中からは俺のピストン運動に合わせて、サクッ、サクッ・・・とリズミカルに乳腺を突くようになる。



数年前、ネットで観た光景そのままに。






思えば俺の長年に亘るEDは、恵美が性交の喜びに目覚め、幸せな夫婦生活を取り戻すために必要な修行の期間だったのだ。