まだ新入社員だった時の話。
就職氷河期を乗り越え、俺は第一志望の会社にどうにか就職できた。
しかし、研修を終えて配属されたのは、一番の不人気の部署だった。
俺は凹んだが、持ち前の体育会系の明るさと体力でなんとか切り抜け、仕事にも慣れ始めた。
半年の試用期間も無事にこなし、本採用の辞令を受け取った翌週に1泊2日で慰安旅行が催された。
人数は定かでないが、部の総員は35名で、男女比は3:2くらいだったと思う。
大型バスで揺られながらホテルに到着すると、宴会部長で司会担当のT係長に余興の確認をされた。
そしてT係長から「恭子には気をつけろよ」と意味不明のアドバイスを受け、温泉に向かった。
部長の音頭で宴会がはじまった。
T係長の軽妙なトークと用意されたネタで徐々に場が和みはじめる。
そして俺の出番がやってきた。
俺はサンバを踊りながら瓶ビール一気飲みを披露した。
当初は2本の予定だったが急遽3本に変更され、案の定3本目の途中で泡が逆流し、意に反して爆笑を誘った。
出番の終わった俺は、少し休憩してから上役から順番に酌をして回った。
残すは末席に座る女性3人。
2年先輩でぽっちゃりしていて笑うと顔がなくなる美樹先輩。
高卒入社で6年目。
背が高く、キツそうな顔立ち、スレンダーで色白の恭子先輩。
そして同期でコネ入社、顔とスタイルは抜群ながら、常識が欠けている香織。
このとき、俺は酒には少し自信があったが、すでに酔いはじめていた。
美樹先輩は酒が弱いらしくビールを舐めるように飲んでいたが、恭子先輩は「私の酒が飲めないって言うのか!」と酒乱ぶりを遺憾なく発揮していた。
T係長の助言はこのことだったと思っていた。
酔いながら2週目の酌をしていると、「S!こっちに来い!」と恭子先輩にマイクで叫ばれた。
部長をはじめ他のみんなは知らんぷり。
T係長は、『S、さっさと行け』と目配せをしてきた。
俺は貧乏くじを引いたと覚悟を決め、恭子先輩の横に行き、相手を務めていた。
宴会が終わり、それぞれ別行動となり、俺は部屋に戻った。
かなり酔ってダウン寸前だった俺は布団に潜り込んでいた。
すると、そこに恭子先輩が乱入してきた。
「男の部屋で飲めるか!ウチの部屋で飲み直すぞ!」
女の部屋には美樹先輩と香織もいたが、あまりに恭子先輩がうるさいのでどこかに行ってしまった。
この辺りから記憶が途切れ途切れ・・・。
恭子先輩は2人だけなると先程までの男口調から急にやさしい口調に変化し、甘えた声で話してきた。
背が高くて声が低いので、よくニューハーフに間違えられる。
キツそうな顔立ちから、よく怒っていると勘違いされる。
胸がないから、女の魅力がないと思われてる。
そんな愚痴を言い、とうとう泣き出してしまった。
俺は睡魔と闘いながら恭子先輩の両肩に手を置き、「そんな事ないです。恭子先輩は魅力的です」などと返していた。
俺はいつの間にか眠ってしまったらしく、恭子先輩を抱き締めた形で目が覚めた。
見ると恭子先輩は全裸だった。
俺も同じく全裸・・・。
もちろん俺にはヤッた記憶はない。
恭子先輩の身体の下にある左手をゆっくりと抜き、自分の体を確認した。
明らかに生でして、後処理もしないでそのまま眠ったようであった。
布団から這い出てトイレに向かい、鏡を見て愕然とした。
首筋から胸元にかけて、いくつものキスマークがくっきり。
鏡を前にして動揺していると、後ろから気配がした。
「あんなに激しいの、私、初めてだった。もう1回しよ」
振り向くと、ねっとりとしつこいキスをされた。
ものすごく酒臭いキスだったが、俺のチンポは臨戦体勢へと向かっていた。
そのまま布団へなだれ込み、2回戦目へ突入。
(どうにでもなれ!)
半ばやけくそ気味であったが、挿入しようとした時に、「あ、ゴムは?」と一瞬だけ理性を取り戻した。
「さっきも生で中出しだったから一緒じゃん」
そう言われ、そのまま生ハメして、結局中出ししてしまった。
その後、シャワーを借り、自分の部屋へ戻ると時刻は午前4時だった。
翌日は2日酔いで、みんなの視線が痛かった。
『Sは恭子に喰われた』
明らかに、そんな雰囲気だった。
T係長からも、「なんで俺の忠告を聞かないかなー」と不満げな顔で無視された。
旅行2日目、俺はほとんど下を向いて過ごした。
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