部活で人気を得るためには上手くなければいけない。



僕は必★に練習してコンクールのメンバーに選出された。



メンバーは音楽室で合奏練習の参加が許され、先輩たちにも認知される。






数日で合奏にもなれて、きょろきょろと先輩たちの観察を始めた。



いつもぼんやりと運動場を見つめるパーカッションの先輩が目に留まった。



西日が先輩を照らし、少し脱色した髪の毛をオレンジに染め、頬の産毛がベールのように光を反射した。






(きれいだな・・・)






僕はぼんやりと見惚れてしまった。






「大沢さん、また外見てる」






隣で吹いている先輩が僕の視線に気づいた。






「あの子は変わってるから、ケン君関わっちゃだめだよ」






「僕は・・・別に・・・」






しどろもどろになりながら合奏に集中した。





楽器を片付ける時、さりげなく大沢先輩とタイミングを合わせた。



先輩は制服のリボンも名札も外し、スカート丈を伸ばし、少し不良な格好をしていた。






「ケン君だっけ、よろしくね」






突然の会話に僕は舞い上がった。






「あの、その、お疲れ様です」






チャンスを逃したくないので一緒に帰ることに決めた。



帰り道はたった15分だ。



先輩と僕は小学校が違うため、途中から方向が違うのだ。



僕は勇気を出して、いつもどこを見ているのか尋ねてみた。






「少し向こうに給水塔があるでしょ?」






運動場から見えるキノコ雲を思わせるタワーだ。



周囲が公園になっている。






「昔、あの公園で家族で花火したんだ~。昔ね・・・」






「花火、好きなんですか?」






「お父さんが火をつけて、大きいのをドンドンって」






先輩は薄っすらと頬にえくぼを作った。



また笑顔に見惚れて沈黙が続いた。






「こら!」






先輩の声で我に返る。






「会話が止まると嫌われちゃうよ。まあいいけどね」






いつの間にか別れ道で、くすっと笑って先輩は信号を1人で走って渡っていってしまった。






僕は寝ても覚めても先輩のことを考えた。



先輩をネタにはできなかった。



なぜか罪悪感が膨らむからだ。



必★に一緒に帰る努力をした。



好みのタイプは国広富之、中ランが好き、お昼はパン・・・という他愛のない話から、僕のオナニー回数、他の先輩のエッチな噂といった下ネタも話した。






「家に帰るの・・・嫌になっちゃうんだよね」






先輩は寂しそうにつぶやいた。






「それって・・・」






「違うよ、家が嫌なの。純粋に」






僕の淡い期待を先輩は笑顔で打ち消した。






「家が嫌いなんすか?」






「子供にはわからないよ」






先輩は俯いて信号を渡っていった。



いつも不思議な影を背負う後ろ姿だった。






夏休みに入って、部活の練習はますます厳しくなった。



そして恒例の合宿が始まった。



男子は教室、女子は柔道場で寝泊まりする。



厳しいオナ禁合宿でもある。



夢精が恐怖だった。



夜になり一息ついた時、部長が男子部屋に飛び込んできた。






「大沢さん知らない?」






夕食から行方不明なのだ。



深夜徘徊で補導・・・、部員はそれを恐れていた。






「早く見つけないと。先生にも言おう」






先輩達は、「ヤンキーだから」「変わり者だから」と大沢先輩の陰口を始めた。






「僕、外を見て来ます」






僕は先輩がどこにいるかわかっていた。



給水塔だ。



僕は走った。



なんだか嬉しかった。



公園のベンチにジャージ姿の大沢先輩が座っていた。






「あは、ばれたね」






屈託のない笑顔だった。



足元に線香花火が落ちていた。






「すぐわかりました」






「だよね~、ケンがわかるだろうって出てきたし」






「花火、したかったんですか?それならみんなで・・・」






「特別なんだよ。ここはお父さんが格好良かった場所だから」






僕の言葉を塞ぐように先輩は話し出した。






「お父さん、★んじゃってね・・・うちに新しいのが来てるの」






突然のシリアスな話に僕は狼狽した。



どんな顔で聞けばいいのか、聞いたらなんてコメントすればいいのか、僕は子供過ぎて、まだ上手くやれる自信がなかった。






「お母さん、勝手なんだよね。舞い上がっちゃって」






先輩は頭を僕の肩に預けてきた。



Vネックの体操服の胸元に視線が行く。



ブラの透き間に褐色の乳輪が覗く。



もそもそと音を立てて僕は勃起してしまった。






「もう!」






先輩はそれを見て笑った。



怒られずに済んでほっとした。






「新型もさあ、私を見て勃ってんだよ」






先輩は新しい父親をZガンダムのように呼んだ。






「お風呂覗いたり、引き出しを漁られたり・・・」






僕は憤った。



チンコも憤っている。



先輩は深くため息をついた。






「ケンも新型も一緒か・・・」






意地悪く先輩は笑う。



僕は真っ赤な顔で勃起したままプレゼンテーションを始めた。






「わかった、わかった」






先輩は機関銃のように自己弁護する僕の口を手で塞いだ。



そして頬にキスしてくれた。






「先週、新型のを握らされたんだ・・・」






そう言って先輩は僕のチンコを撫でた。






「ケンも触って欲しい?」






素直に頷いた。



先輩は僕のジャージを脱がしてくれた。






「色が違うね・・・」






じっくりと先輩に観察された。



雑な触り方が少し痛かった。






「精子見せて」






そう言うと先輩は乱暴にしごきだした。



秒★で僕は射精した。



先輩は手に付いた精子を振り払っていた。






「変な匂いするね、イカとは違うけど」






足で地面に飛び散った精子に砂をかけた。






「ケン、私とセックスしたい?」






「したい・・・です」






「私だからしたい?私だけ?」






「僕、大沢先輩が好きです」






「一生、私だけを好きでいられる?」






僕は頷いて嘘をついた。



クラスにも好きな子がいる。






「コンクール終わったら・・・しよ?」






僕は先輩を抱き締めてキスをした。



学校への帰り道、先輩はおニャン子クラブの歌を歌った。






「セーラー服で処女を捨てるんだ~。脱がしていいよ」






もう一度キスをした。



学校で大目玉を食らい、僕達は合宿生活に戻った。



コンクールは惜しくも代表に選ばれず、地区大会で夏は終わった。






先輩と僕は約束を果たせなかった。



新しい父親のイタズラはエスカレートして、先輩の素行はますます悪くなっていった。



受験という理由で2人の関係はフェードアウトした。



受験という詭弁でクラスの女の子に僕は夢中になった。






お別れも言えないまま先輩は卒業した。