俺は中途採用だから、会社の女上司といえども11歳も年下。
やはりこの会社に10年務めるだけあって、確かに仕事はできる。
でもこの女上司、すこぶる嫌われており、俺も嫌いだった。
とにかくいちいち細かいし、言い方もきつい。
さらにバツ2の子持ち。
結婚は2度してて、1度目は★別で、次に再婚した旦那がパチンコとかギャンブル好きで別れたという。
全然お金を入れなくて、困っていたところ今の会社に拾われたという。
男で懲りているから、余計にきつくなるのかも。
俺としては、とにかく近づき難い存在だった。
9月の中旬に他社との懇親会があって、そこに俺と女上司が列席した。
俺はなんでかと言うと、相手の会社の会計責任者(女性)と学生時代に友達だったというだけのことで参加。
友達って言ったって、そんなに詳しくは知らないんだよ。
相手が俺を知っているという報告があって、そう言えばそんな奴がいたなぁと思ったくらいの関係。
祝賀会の後に懇親会。
俺は専務に言われた通りの挨拶をし、和やかな歓談。
俺はあちらこちらに挨拶を兼ねて回っていたわけだ。
しばらくその筋の人とその筋に関して話を進めていた。
そうしたら、酒臭ぇぞ・・・隣・・・。
お、女上司がきつい目で見てる。
少し出来上がってる。
こえぇ・・・なんか。
女上司「俺さん、意外と社交的じゃん」
きつい口調の女上司。
別にそんなつもりも何もないんだけど、とにかくお礼の言葉とか・・・あちこちにかけないと。
女上司「私には一度もそういう挨拶したことないよね」
まずい・・・女上司。
酔ってるの?酔ってるんだよねぇ・・・。
何飲んでんだかすごい酒臭い。
酒が強いのか弱いのかも、わからない。
一度も一緒に飲んだことがないから。
女上司「俺さん、最高らよ、うちの会社に来て正解らね」
呂律が回ってない。
顔はシラフなのに・・・。
いや、むしろ青くなってる。
ははぁ~ん・・・職場の皆がこの女上司と出かけるのを避けてるのは、こういうことか。
俺は何となく即座に理解した。
端から見ると普通なんだけど、かなり頭はイッちゃってる。
酒癖の悪い女上司だ。
彼女のお守りは俺かよ。
とても大きな会場だったから、逆に二人きりになると、なんだか妖しい雰囲気になってしまう。
人混みに紛れると、二人だけの世界を作ってしまうという魔力がはびこる。
俺は酒は好きだが、酔っぱらいは苦手だ。
それでも女上司ということで、無碍にもできない。
「お水、飲みますか?ちょっと」と俺は丁寧に聞いたんだよ。
そうしたら、「酒ならいいんだけろね」と言いやがる。
完全に目が据わってる。
顔も青いし。
シラフのようで、やばくなってる。
会社に連れて帰ることはないが、家まで送りたくはない状態の酔い方だから、俺の判断で、ここは懇親会場を後にしようと思った。
俺「さて、そろそろ、行きますか」
女上司「まらら(まだだ)。もう少し居よぉ」
30歳の女がこうだからな。
しっかりしてくれよ。
俺は確かに部下だけど、人生経験は積んでるつもり。
女上司でも、まだまだ小娘だぜって、俺に絡んでくるなよ状態。
手に持ってるグラスを取り上げ、テーブルに置いたら、「何をするんら」と女上司は俺を睨みつけるわけだ。
俺、嫌だよ、こういうの。
仕事じゃないし。
ふざけてる。
だいたい俺が専務から言われたことは、祝賀会の出席、懇親会の挨拶、各種団体への挨拶など。
女上司のお守りは含まれていない。
仕事だぜ、懇親会と言えども。
たぶん専務は確信犯だろう。
女上司は一応俺には一目置いて、きつい言葉を掛けないではいるが、視線が気に入らない。
身長158センチ、体重43キロ、ペチャパイ。
顔は・・・今で言うと安藤美姫を整えた感じかな。
端から見てると普通に映ってるけど、話している内容は、へべれけ。
なんかおかしくなってしまった。
薄笑いを浮かべていたら、「何笑ってんのよ」とクダを巻いてくる。
ホントに酔ってんのかよ?
わざと?
呂律が回らないというか、酔ってない時から滑舌が悪いしゃべり方なんだよね。
可愛いとは思わないが、なんか面白い。
女上司「はぁぁぁ、俺さん、さぁ、本性を見せなさい」
やっぱ、酔っていやがる。
こういう言葉は吐いたことないもんな。
俺「いつもの通りですよ、私は」
女上司「本性は、エッチなんでしょうが」
完全にイッちゃってる。
そうだよ、エッチだよ、俺は。
だが、女上司をどうこうしようなんて思ってねぇよ、マジに。
俺が年上ってことだけで、甘えてんじゃねぇぜ。
心の中で葛藤していた。
そしたら、こんなに人が多いところで、腕にしがみついてきた。
隣で寿司を食っていた男が、チラッとこちらを見て、また視線を戻した。
俺「まずいですよ、ここでは」
俺は冷静に女上司の耳元で囁いた。
すると、「なに、口説いてるのよ」って。
バーロォォォーーーー、全然聞いてねぇ。
何モンだ、こいつ。
俺「そろそろ出ましょうよ、ここを」
俺はまずいと思って、この場を出ようとした。
そうしたら、「出て、どこに連れて行くつもり?」と言い出した。
女上司、会社では気張っているけど、ホントは寂しがり屋か?
保育園には子供(双子)もいるわけだろ?
案の定、時計の針は19時を回っていた。
俺「一緒に迎えに行きますから」
女上司「誰をよ?」
俺「あなたの子供です」
その言葉で女上司は、はっと気がついたように我に返った。
離婚してから、気張ってないと社会に舐められると思ってたんだろうな。
急に借りてきた猫みたいに大人しくなって、二人で会場を出た。
まだまだ残暑で、秋が近いといっても夏の夜の様相。
女上司は外に出るとスーツを脱いだ。
俺も背広を脱いだ。
京プラを出ると、前には都議会議事堂。
真っ暗。
「タクシー、タクシー」と女上司はそんなことを言ってる。
で、タクシーに乗って・・・光ヶ丘?
ちょっと待てよ、地下鉄で行こうぜ。
勝手に乗り込んじゃって、行き先言ってんの。
しょうがねぇなぁ・・・。
光ヶ丘まで付き合う羽目になった。
俺は世田谷なのによ。
タクシーの中で、ずっと俺の肩により掛かって恋人気分。
ルームミラーに映る運転手の視線が気になって、参ったよ。
見てはいないんだろうけど、何となく見られているような・・・。
俺より11歳年下なんだよな、そう言えば。
一回り近く違う。
若くはないが、それなりの女の香り。
だから俺も満更でもない気分。
光ヶ丘まで、ずっと俺に寄り添って黙ったままだった。
そして保育園の前に到着。
俺が金払うの?
深夜料金じゃねぇよなぁ・・・。
高ぇよ。
給料安いのに。
専務、どうにかしてくれ。
デニーズで吐くほど食える金額じゃねぇか。
俺も男だし、黙って払ったよ・・・とほほ。
どうだ、俺は優しいだろ。
しかも、なんで俺もお迎えに付き合わされてんのよ?
見たら結構可愛いじゃねぇか、双子。
「おいで」って、つい言ってしまった。
同じ顔をした娘二人。
こんな娘を二人残して、親父は★にきれなかったろうよ。
俺が一人抱っこして、もう一人は女上司が抱っこ。
この近くに家があるという。
・・・全然近くじゃねぇじゃん。
かなり歩かされたよ、革靴では痛いし。
この距離を歩かせてんの?毎日。
まだ4歳だろ?もうすぐ5歳って言うけど。
う、腕と腰が痺れてきた・・・。
女は逞しい。
酒飲んでクダ巻いていたのによ。
颯爽と歩いていやがる。
体力あるよなぁ・・・。
そのうち家に着いた、一軒家かぁ・・・。
三階建てで結構新しい。
俺「じゃ、私は、これで帰りますんで」
女上司「お茶でも飲んでいって・・・」
しおらしい女上司。
何を俺に求める?
娘二人が見上げてる。
俺はにっこり二人に微笑んで、「じゃ、御馳走になろうかな」とか言ってる。
部屋には別に何もなくてスッキリとしている。
無駄がないというのかな。
子供がいる家庭というのは、もっと散らかっていて、モノが乱雑になっているかと思っていた。
女上司の性格が出ているというか、なんというか。
娘二人は別にクズることもなくて、ビデオを見ながらご飯を待っている。
20時過ぎているにも関わらず、よく待っているものだ。
保育園では食事(夕食)が出ないのか?
どうなってんの?
すさまじい早さで夕食完了。
お、俺の分もいいの?
女上司「懇親会では、あまり食べられなかったでしょ?」
・・・あぁ・・・確かにあなたのお陰で腹ペコです。
女上司「昔、中華屋で働いていたから・・・」
話を聞きながら、こいつ結構苦労人なんだなと思いつつ食べ始めると、ほぅ・・・美味いじゃん。
子供達もバクバク食べてる。
そのうち夕食終わって、そんなこんなで風呂。
流れ的に「入れてあげるよ」と、初めて会ったというのに娘二人が俺に懐いてる。
全自動の風呂。
ボタンを押すだけで、沸き上がると音楽が流れんの。
女上司「じゃ、パパに入れてもらってね」
そう言われてしまい、パパってなんだよと俺は焦ったが、どうやら娘には男の人が来ると、「パパ」と言っているらしい。
風呂は結構大きめ、大人一人、子供二人が入っても別に問題なし。
いつもママと入っていると言う。
完全に家族になってるよなと思いつつ、昔、娘を入れた経験で、問題なくことは済んだ。
その後、居間でくつろいでいると、女上司は子供を寝かせると言うので寝室へ。
手際よくパジャマを着せたり頭を乾かしたり歯磨きしたり・・・。
すげぇよ・・・血液型Aじゃねぇの?
・・・やっぱりAでした。
用意してくれたシャツはたぶん前の旦那の。
シャツの下の方にイニシャルがペンで書いてあった。
どうして俺に貸してくれる?
何も言わずに、どうして俺も着ているんだろ。
いつの間にか背広はきちんと整えられて掛けてある。
その横に仏壇。
★別した旦那か・・・。
娘がそっくりだよ。
その視線を感じてか、女上司が俺の向かいに腰掛けて、「事故でね、助手席に乗っててね」と言う。
俺は別に返す言葉なんかない。
慰めの言葉も見つからない。
詳しく聞こうともしない。
時計の針は22時を回ってる。
帰らなくちゃ・・・。
立ち上がって背広に手を掛けると、女上司がそばに寄ってきて、俺の背中に抱きついてきた。
俺はフリーズ・・・。
女上司もフリーズ。
俺の背中で静かに息をしていた。
臍の辺りに回した手が震えてる。
しばらくその体勢でいた。
俺は向きを変えて改めて抱き寄せると、女上司は恥ずかしそうに視線を落としていた。
だから俺は仏壇の写真を伏せた。
それが何を意味するのかを女上司は即座に悟ったんだろうな。
離婚した旦那は別として、★別した旦那の方には心の中で、「すまない」と言ったよ。
ただ、女上司も女であることを捨てた訳じゃない。
まだまだという意味で、離婚した旦那を迎え入れたわけだし、子育てをしているとは言え、やはり一人で寝間にいるというのも淋しかろう。
★別した旦那への忠誠心もいいが、俺はやはり女であることを優先して欲しいような・・・、と勝手に思って抱き寄せている。
会社で気丈に振る舞う姿は微塵もなく、ただ静かに何かを待つ女としての生命体があるだけ。
11歳年上の男と30歳を迎えた女が、呼吸を揃えながら、言葉もなく抱き合っている。
若い頃の激しいくちづけなどなく、大人の男と女がゆっくりと、そして滑るようにベッドへ流れていく。
居間の隣の寝室。
女上司は、いつもここで一人淋しく夜を迎えていたのか・・・。
その隣には子供部屋、ドアが少しだけ開いている。
娘達の寝息が聞こえそうな・・・。
全く言葉もなく、スローモーションでベッドに二人で腰掛ける。
およそ5年前、★別した旦那と、営みの末に授かった双子。
その営みの再現をここで行おうとしている。
女上司をゆっくりベッドに倒すと、初めて暗闇を破る少女のように体を強ばらせる。
俺は女という生き物をこれほど愛おしく感じたことはなかった。
胸の前に閉じた腕を開かせて、手を握りあって、唇を重ねた。
拒むこともなくすんなりと受け入れる女上司。
顎から首筋へキスを繰り返し、微かに香る女の肌の匂いを受け取る。
女上司は吐く息を整えようと必★で、軽く細い声を★しながら女への悦楽を得ようと小さく体を震わせた。
白いブラウスのボタンを外し、それほど大きくはない胸をブラジャーの上から口で刺激する。
俺の目の前には細い首筋が見えてて、息づく生命体が喉を鳴らしながら快感を得始める。
片方ずつブラウスの袖を脱がせ、背中に手を回し、ブラジャーのホックを取る。
上半身が露わになり、薄暗い照明に女の体が浮き彫りになる。
俺もシャツを脱ぎ捨て、女上司の上に重なる。
くちづけを繰り返しながら、スカートのホックを外す。
女上司は腰を自ら浮かせ、脱がせやすいようにしてくれる。
体が火照り、汗が滲み出る。
女の汗の匂い。
古来から変わらないメスの香り。
スカートを脱がせ、ストッキングに手を忍ばせる。
爪が引っかからないように丁寧に丸める。
俺はパンツ一枚になり、女上司もパンティ一枚になる。
きつく抱き締めると、声を★しながら体をよじらせる。
女がメスに変わっていく過程。
これほど愛おしい瞬間はない。
唇、顎、首筋、乳房、下乳、腹、臍、下腹部・・・と口で刺激していくと、女上司は細い声を混じらせた荒い息を吐き始めた。
女としての快感の前奏曲。