私、50歳過ぎてるんですけど

「キレイ？　ありがとう。私、50歳過ぎてるんですけど」



年齢を言ったら退散するかと思ったんですが、「とてもそんな風に見えません」「40歳って言っても通用しますよ」「奇跡の50代ですね」なんてお世辞のオンパレード。



「あらお上手ね」



お酒が入っていたこともあり気分が良くなって、「じゃあ一杯くらいなら…」と彼に付いて行きました。



もしも彼が怖い人だったら大変なことになっていたかも知れませんが、幸い普通の会社員で案内された店も普通のショットバー。



つまり、何の悪巧みもなく私を本気でナンパ（変な表現ですね）しようとしていたわけです。



バーで彼は私を熱心に口説こうとしていました。



「一目惚れなんてドラマとかの世界だけかと思ってましたけど、女性を一目見てこんなにドキドキしたのは初めてです」



「そんな情熱的な言葉は私みたいなおばさんには勿体ないですよ」



私は照れ臭くなってニヤけてしまうのをごまかすために、グラスに何度も手を伸ばしました。





それがいけませんでした。



深酒は正常な思考力を奪います。



わかっているつもりでしたが、やっぱり浮かれていたんでしょうね。



まんまと近場のホテルに連れ込まれてしまいました。



一生の不覚です。



記憶があやふやですが、彼とセックスしてしまったことだけは間違いありません。



年甲斐もなく乱れて、彼に後ろからされながら「おち〇ぽ」なんて日常で絶対使わない言葉を大声で言ったような…。



彼が意外と紳士できちんと避妊具を使ってくれたのがせめてもの救いです。



彼には改めて「付き合ってください」と言われましたが、丁重にお断りしました。



せめて思い出に下着が欲しいと頼まれたのであげてしまいましたが、それだけです。



若い皆様方はこの時期お気を付けください。



私みたいなおばさんでもこんな恥ずかしい目に遭ってしまったんですから…。