親しい間柄だからこそ話せることっていうのは、あるものだと思う。






私は今年で54歳になる。



子供は2人いるが、2人とももう就職しており、無事に自立させることができた。



高卒で就職した私は、それからずっと同じ会社で働いてきた。



今の生活には不満はそれほどない。



ただ子供たちがいなくなったからこそ、夫婦2人だけの時間が重苦しく感じるときもある。



それで週に1度程度だが、親しい職場の同僚『岸本』と飲みに行くことにしていた。



岸本も結婚して子供もいる。



まだ子供は大学生だそうで、遊び呆けているらしく、このままで就職できるのかと心配しているそうだ。






いつもお互いの愚痴を聞きあって、美味い酒を飲んで帰宅する。



それが、その日はなぜか過去の性行為の話になった。



いつもよりピッチの早かった岸本がいきなり、「増田、お前の童貞卒業はいつだった?」と聞いてきたのだ。






その手の話を他人とすることは、あまりなかった。



たぶん私が少し堅そうに見えるからじゃないかと思う。



だが別に隠すほどのことでもない。



幸い飲んでいた店は半個室というか1席ずつ区切ってあったため、他人の目も気にならない。



それで、いざ話そうと思ったときに、初体験のことを思い出したのだ。



今まで、どうしてか忘れてしまっていた記憶を。






私の初体験は、ちょうど18歳になったばかりの頃だった。



その年は少し冷え込んでいて、10月生まれの私は誕生日のあとすぐに風邪を引いてしまった。



勤め始めて生活も不規則になっていたため、気温の変化に体調がやられてしまったのだ。






私が住んでいたのは小さな村だった。



住人は100人もいなかったのではないだろうか。



その村では、ある習慣があった。



女の子供がいる家で、その子がそこそこ大きくなった頃に、突然村の人に赤飯が配られるのだ。



女の子とその親から赤飯をもらうと、うちの母親はそのたびに、「おめでとう。頑張るのよ」と、女の子にも声をかけていた。



するとその両親は、「ありがとうございます。どうぞよろしく」と言って帰って行くのだ。






私はその頃、どうして赤飯が配られるのか考えたこともなかった。



育ち盛りでいつも腹が減っていたし、赤飯は贅沢品だったから、もらえると嬉しかったのを覚えている。



だが今考えてみると、あの頃赤飯を持ってやってきた女の子はみんな12~14歳頃だったのではないかと思う。



とにかく小学生ではなく、中学生くらいだった。






私が18歳になって数日経ったある晩。



私が仕事から帰宅すると居間で両親が待っていた。






(2人揃って待っているなんて、いったいどうしたのだろう?)






不思議に思って尋ねると・・・。






「あんたの部屋で、お隣の久美ちゃんが待っているから。食事を早く済ませて、汗を流して、きちんと歯も磨いて部屋に行きなさい」






静かにそう言われた。






お隣とは両親たちが仲が良く、久美ちゃんと私もそれなりに面識があった。



しかし久美ちゃんは私より2つ年下だったこともあって、久美ちゃんが中学に上がった頃から、あまり話をしなくなった。



年上ということで意識されていたのだと思う。






(どうして久美ちゃんが待っているのか?)






それがとても気になったが、とても尋ねられる雰囲気ではなかった。



親たちは真顔で、ただそれだけ言うと2人で共用の寝室にこもってしまったのだ。



仕方なく、私は言われた通り食事を済ませて台所に食器を片付けると、さっと風呂に入り、歯磨きをした。



風呂上がりに歯磨きをするのは私にとっては当然といえば当然だったので、なぜわざわざ「歯も磨いて」と言われたのか判らなかった。






部屋に行ってみると、久美ちゃんが座布団の上できちんと正座をして待っていた。



親が出したのであろう湯飲みと、まだ青いミカンがたくさん入った木の器が机に置いてあったが、まったく手をつけた形跡がなかった。






(お茶も飲まずに待っていたのか。こんな時間に、一体どういう用件なのだろう?)






そう思って敷きっぱなしだった布団の上に座り・・・。






「喉、乾いてないのか?何か用なら、お茶でも飲んで、それから話してみてもいいと思う。俺はまだ眠たくないし、時間を気にする必要はない」






そんなことを話したような気がする。



だが久美ちゃんは黙ったまま私が座っている布団の上にくると、私に向き合うように座った。



そして口を開いた。






「増田のお兄さん、私の処女を奪って。この村のしきたりで、生理が来たら村の男性、誰かに抱かれなくちゃいけないの・・・」






「いや、でも久美ちゃんはまだ中学生だし・・・」






「自分で選んだ相手に拒否されたら他の人に抱かれなきゃいけないの。だったら私、よく知っている増田のお兄さんが一番安心できると思うから」






緊張もしていただろうし、何よりも怖かったんだと思う。



いきなり親にそんなことを言われて、たぶん途方に暮れて私のところに来たんだろう。



私はそんな村のしきたりなんて聞いたことがなかったけれど、私は1人っ子で、女の兄妹がいなかったから知る由もなかったのだ。



それに、考えてみれば赤飯を持ってくる女の子たちの年齢的にも、初潮が来たという合図だったのだろう。






「本当に俺でいいんだね」






そんな風に確認したら、久美ちゃんは震えながら頷いた。



だから、そっと肩を抱いて唇を合わせた。



ストーブで温かく乾燥した室内でお茶も飲まずに待っていたせいか、久美ちゃんの唇はカサカサしていた。



何度も唇を合わせて・・・、それから久美ちゃんの服を脱がせた。



キスをしながら脱がせるとか、そういったスマートさは持ち合わせていなかった。



こっちも童貞だったのだから仕方がないと思う。






丸い襟のついたブラウスのボタンを外すと、真っ白な胸が露出した。



そのてっぺんにある乳首が緊張でか、すでにぷくりと勃ちあがっていた。



いつだったか、「遊んでいない女の乳首はピンク色」とか聞いたことがあったけれど、久美ちゃんの乳首は薄い茶色だった。



そして、その先は赤味がかった茶色だった。






自分が初めてだから・・・。



それだけではなく久美ちゃんの緊張も伝わってきて、胸が大きく鳴っていた。



緊張しているのに、久美ちゃんのそこから目が離せない。



私は吸い寄せられるように久美ちゃんの乳首を吸った。



固いのかと思っていたけれど、舌の先で触れるとプリッとした弾力がある程度で、全体的には柔らかいものだと初めて知った。



胸全体も手のひらで揉んでみたが、まだまだ成長しきっていないということもあって、乳腺の周りに脂肪があまりついていなかった。



久美ちゃんが華奢だったことも関係があるのだろう。



薄い皮膚越しの乳腺が大きなしこりのような感触で、まざまざと感じられた。



脂肪はないけれど肌自体はとても柔らかく、いつまでも触っていたいと思った。






「パンティーも脱がせるよ」






私に胸を弄られて初めての感覚にぎゅっと目を瞑っていた久美ちゃんが、薄っすらと目を開けて、「はい・・・」と言った。



そして自ら膝立ちになって下着を下ろし、足からすぽんと抜いてしまった。



露わになったそこは、初潮がきて終わったばかりというのに、ふっくらと膨らんで薄く毛が生えていた。






「解さないといけないから、寝転んで楽にして」






今思えば、なんて無茶な要求だったんだろう。



楽になんて、できるはずがない。



それでも久美ちゃんは頷いて横たわり、足を恐る恐る開いた。



足の間を見てみると、乳首よりもさらに少し濃い色をしたビラビラが片方だけはみ出していた。



触ってみると久美ちゃんが、「ん・・・っ!」と声を漏らして足を震わせた。



指であそこを開いてみると、中は濃いピンク。



人間の体の中はきっとこんな色なのだろう。



そう思った。






自分の指を唾液で濡らし、ゆっくりと穴に挿入した。



久美ちゃんの足が突っ張って、異物感に耐えていることが伝わってくる。



少しでも楽にしてあげたいけれど、どうすれば女の子が気持ちがいいのかなんて知らなかったから、とにかく優しくキスをしながら指を動かした。






久美ちゃんの体のこわばりが解けてきたので、「そろそろ、大丈夫かな?」と聞いた。



久美ちゃんは、「よろしくお願いします」と言っていた。



あのときは緊張していたからなんとも思わなかったけれど、今思えば、処女を奪おうとしている相手に「よろしく」だなんておかしな話だ。



むしろ童貞を卒業させてもらうのだから、「よろしく」というのはこちらの方だったはずだ。






もうすでに勃起していた陰茎を久美ちゃんのあそこの穴にあてがった。



そのまま先だけを浅く出入りさせて、一番大きい亀頭部分にしっかりと久美ちゃんの愛液を絡ませてから、ゆっくりと全体を挿入した。



久美ちゃんは指の背を唇にあてて、「ふーっ・・・ふーっ・・・」と荒い息を吐いていたけれど、全体が入ったと伝えると、「よかった・・・」と安心したようだった。






「痛くはない?大丈夫?」






「思っていたよりは痛くなかった」






涙を浮かべているくせに、そう強がる久美ちゃんが可愛くて、もう少し動かずにいるつもりが、すぐに動き出してしまった。






「あっ・・・く、ぅう・・・ん、んっ!」






時おり苦悶の表情を浮かべる久美ちゃん。



そりゃそうだ、初めてで気持ちがいいはずなんてない。



それなのに当時の私は、もう久美ちゃんの肉の穴の感触に夢中になって腰を振りまくっていた。



腰を打ち付けたときに肉と肉が当たる音がするくらい激しく突いた。



最後には久美ちゃんはすすり泣きながら、「もう無理・・・もうやめて・・・」と言って逃げようとしていたが、「あと少しっ・・・あと少しだからっ」と、逃げようとする腰を押さえつけて体重を乗せて思い切り突きまくった。



久美ちゃんは苦しそうな声を漏らしていたけれど、防衛本能で体の中が傷つくのを防ぐためなのか、あそこはドロドロに濡れていた。



最初はきつくて痛いくらいだったのが緩んで、程よく馴染んできて、小さい頃からお隣に住んでいて、成長過程をずっと見続けていた妹のような女の子の最奥に射精した。






「お、終わったの・・・?」






男が射精をしている瞬間の感覚は女の人にはわかるものなのだろうか?



アダルトDVDなどでは「熱い」なんて言っているが、男からしてみると女の人の肉の穴の中のほうが温かいと思う。



つまり、射精されて熱いだなんて、ただの演技なのではないかと思う。






私がずるっと陰茎を抜いたのを見て、「私、処女じゃなくなったんだ」って、少しびっくりしたような顔で、そう言った。



最終的に自分の欲求に任せて激しくしてしまったことに罪悪感を感じながら、「終わったよ。お疲れ様」って、髪を撫でてあげたのを覚えている。






それからしばらく色々と話した。



裸のままで。



久美ちゃんは、部活の試合で大きな体育館を訪れたときに会った他校の男子生徒が好きだと言った。






そして、「処女じゃないって知られたら軽い女の子だって思われる・・・嫌われる・・・」と泣いていた。






でも処女っていうのは、「それじゃあ返すよ」と言って返せるものではない。



当たり前のことだ。



奪ってしまったものは、どうしようもない。



久美ちゃんの涙を見て、自分が奪ったものの重さを知って、すごく胸が痛んだ。






まだ温かかった風呂のお湯を桶に汲んできてタオルを濡らし、久美ちゃんの体を綺麗に拭いてあげた。



それからまた服を着て、久美ちゃんは家に帰っていった。






翌朝、私が起き出してみると、親たちは食卓で何事もなかったかのように「おはよう」と言った。



まるで「昨夜のことは私たちは何も知らない。だから聞くな」とでも言うかのようだった。






結局あれからしばらくして気まずくなって家を出てしまった。



職場近くの安くて狭い部屋を借りての暮らしだったが、1人で忙しく過ごすうちに、あの日の記憶は薄れてしまっていたのだ。






酒を飲みながら、一部始終を隠すことなく岸本に伝えた。



岸本とは入社直後から一緒にいるわけではないから、出身を詳しく話したことはない。



そんなこともあってか、「いやいや、田舎だからってそんな風習ないだろう。何かの小説の話だろう、それ」と、笑い飛ばされてしまった。






週に1度のこの飲み会。



妻には、「岸本と飲んでくる」と伝えてある。



だがいつもより少し遅くなってしまった。



玄関の鍵を開けてドアを開けると、その音でリビングから妻が出てきて、「おかえりなさい。今日は何か盛り上がる話でもあったの?遅かったけれど」と言ってきた。






「昔の話をしていたら、すっかり遅くなってしまった。心配かけたな」






そう声をかけて、すぐに風呂に入った。



私は妻と出会って結婚して、子供にも恵まれ、今こうしてそれなりの生活を送っている。



だが久美ちゃんはあの後、いったいどうしたのだろう。



結婚はしたのか、子供はいるのか、幸せにしているのか。



親に聞けばわかるかもしれないが、久美ちゃんの話題を出すことは私と両親の間でタブーのようになってしまっていたから、これから先もきっと知ることはないのだと思う。