吉田が目の前で何か言っていた。



頭がボーっとして判らなかったが、どうやらホテルの部屋らしい。






「佐々木さん、お目覚めですか?」






吉田が言った。






「美沙子さんとどのような関係かは存じませんが、おふたりはお知り会いですよね。おふたりが初対面だと挨拶されてた後に、黒田氏から偶然おふたりが一緒にタクシーから降りるところ見たということを聞きましたので、もしかして今日は面白いことになるのかなと思っていました」






ようやく状況が呑み込めてきた。






「おふたりが恋人か夫婦かはわかりませんが、それなりのご関係じゃないかと思って起こした次第です」






ベッドの上には美沙子が横たわっていて、3人とマスターが笑いながらこっちを見ていた。



美沙子に意識はない様子だ。



まだ頭がクラクラしている。



しゃべろうとしたが、口にはガムテープが貼られていて何も言えない。



手首と足首にもガムテープが巻かれ、ホテルの椅子に縛り付けられていた。






「大丈夫ですよ。美沙子さんはぐっすり眠っていますから。あなたのガムテープも終わったら外しておきます。それから、私たちからはおふたりには二度とコンタクトしませんから安心してください。あなたが美沙子さんを犯す計画に乗っていたこともしゃべりません。念のため、おふたりの免許証から住所は控えさせて頂きましたので変な気は起こさないように」






「・・・」






「薬が効いていますから、またすぐに眠くなりますけど、起きていられるだけ頑張って美沙子さんを見守ってあげてくださいね。じゃ、始めますね」






吉田は他の男達に合図を送り、男達が美沙子の周りを取り囲んだ。



シティホテルのダブルベッドで、その光景は展開されていた。



佐藤がブラウスを脱がしながら、「さっきは第二ボタンまでだったけどねー」とはしゃいでいた。



スカートを脱がせているのは黒田だった。



フロントホックブラの前が開かれ、美沙子の胸が露出したところで、「おー」と声があがった。



マスターが右の胸に、佐藤が左の胸にしゃぶりついた。






しばらくして、「それでは」と言いながら、河野がパンティを下ろしにかかった。



乱暴な扱いではなかったのがせめての幸いだったが、時間が止まってスローモーションを見ているようだった。






「やめてくれー」と叫びたかったが声が出せない。






あろうことか股間ははち切れんばかりに勃起していた。



美沙子の足が両側に開かれ、マスターが美沙子の股間に顔を突っ込んだ。



薬のせいか絶望感なのかはわからないが、気が遠くなっていった。






・・・ホテルのモーニングコールで起こされた。



何が何だか分からない。



頭がガンガンする。



横には全裸の美沙子が寝ていた。



部屋には他の誰もいなかった。






「おい。大丈夫か?」






美沙子を揺さぶった。



美沙子がゆっくりと目を開いた。






「うー。頭が重い」



「大丈夫か?おい」






「何か身体中が痛い。何か変」



「大丈夫か?」






「あれ?あたし、昨日どうしたっけ?」



「何も覚えていないのか?」






「乾杯してトイレに行って帰ってきたら、あなたが寝ちゃって、それから・・・それから先、覚えてない・・・でも、何か変」






彼女は部屋を見回し、ハンドバッグを手に取り中を調べた。






「別におかしなところはないわね。でも何か変な感じ。頭も重いし、身体痛いし。何か変なことした?」






(本当に覚えていないのか?覚えていないのであれば、絶対に言わないほうがいい)






「起きたら、美沙子が寝ちゃってたから、ここまで担いで来た。寝てる間に食っちゃうのも悪くないかと思ってしちゃったけど、美沙子が全然起きなくて・・・」






俺は嘘をつくしかなかった。



情けなかった。



幸いなことに、やつらからはそれ以降、本当に連絡はなかった。



この事件から半年くらいで美沙子とは別れたが、たぶん美沙子は真相に気づいてはいないと思う(そう信じたい)。






あの夜のあの情景は一生目に焼き付いているだろう。



その度に美沙子にすまないと思う自分と、あの情景を思い出して萌える自分がいる。






P.S.



ホテルをチェックアウトする際、財布を出そうと上着の内ポケットを探った時、ポラロイド写真が一枚入っていた。



そこには美沙子の全裸が写っていた。