私は胸が大きいです。



小学校4年生で85のEカップで、スクール水着がキツく、水泳の授業が嫌いになりました。



クラスの男子からは「ウシ子」とか「爆乳」とか言われてからかわれ、女子からは「男に媚びている」みたいな白い目で見られて、学校に行くのが嫌でした。






クラスの男子の中でも、「エロ元」というあだ名の男子は特にひどくて、私の胸を触ろうとするのです。



(本当は吉元ヒロキなんですけど、私の胸を触ろうとするので、エロ元なんです)



他の男子はエロ元が触ろうとするのを止めてくれましたし、担任の先生も注意してくれましたけど、エロ元はめげません。



とにかく私の胸を触ろうとするのです。






放課後の図書室で私が課題図書を1人で読んでいた時にエロ元が来て、執拗に私の胸を触ろうとしました。






「なんで触りたいのよ!」と私が怒ると、「わかんねぇよ!でも触りたいんだよ!」と、逆ギレです。






私は怒り越えて呆れてしまいました。






「わかったわよ。一回だけ触らせてあげるけど、誰かに言ったら★すかんね」






そう言って、エロ元の前に立ちました。






(一回だけならいいや。エロ元の相手するの疲れるし)








そう思っていると、エロ元は後退りして、「バカバカ!」とだけ言うと、走って逃げたんです。



胸を触られなくて、ほっとする気持ちはありませんでした。



むしろ、明日からもエロ元の相手をするのかと思うと憂鬱でした。






でも、次の日からエロ元が胸を触ろうとしてこなくなりました。



それどころか、私に近づいてもきませんでした。



私はほっとしましたが、クラスの男子からの「ウシ子」呼ばわりがなくなったわけではありませんし、「エロ元」も「エロ元」のあだ名のままで小学校を卒業しました。






中学校の時には95のHカップまで胸が大きくなりました。



中学校、高校と男子の視線を集める自分の胸が私は嫌でした。



(いいな・・・)と思う男子が現れても、その人が私の胸を見ているだけで、(胸だけかい!)と思い、気持ちが冷めました。



高校生の時に2人ほどにコクられましたが、(どうせ胸目当てでしょ!!)と相手にしませんでした。






大学生になり、友達に彼氏ができたりすると、(いいな、彼氏欲しいな)と思ったりもしましたが、友達が彼氏のことを愚痴るのを聞くと、(やっぱり彼氏なんていらないや)と思ったりしました。



今思えば呑気に生きてたなと思います。






去年の1月、突然父から、「実は会社の経営が上手くいかなくて借金だらけだ。あと1年で卒業なのはわかっているが学費が出せない。バイトして学費を稼ぐか、大学を辞めるかしてくれ」と言われました。






父は小さいながらも貿易会社の社長。



私は社長の娘として、22歳になるまで一度も働いたことがありませんでした。



どうしていいかわからず友達に相談すると、「とりあえずバイトの面接を受けてみたら?」と言われて、バイトの探し方からアポの取り方、面接の受け方まで友達に教わりました。






「あと1年で卒業する学生をバイトに取ってくれる所はないと思うよ」






友達にはそう言われましたが、友達の言う通りでした。



面接すら受けられない所が多かったです。






「アヤ、おっぱい大きいから、キャバとか行ったら?」






友達にそう言われましたが、男性に胸をジロジロと見られるのは嫌でした。



でも大学に行くには働かないといけませんし、大学を辞めても働かなければいけません。



結局、私はキャバクラの面接を受けることにしました。



面接に行ったキャバクラは時給3000円と一番時給が高いお店でした。






「うちはお触りアリだけど大丈夫?」






店長さんにそう言われました。






(男に触られるの!?)






「ムリです」






面接はそれで終わりました。






「時給が高い所はそんなものよ」と友達には言われました。






私は時給が少しくらい安くてもいいかと思って、『時給1500円からスタート。ヤル気次第で随時昇給』というお店の面接に行きました。



そのお店の店長さんは「エロ元」でした。



私はすぐには気づかなかったのですが、エロ元はすぐに気がついたそうです。






「店長としてはぜひ雇いたい。でも、個人的には働いて欲しくない」






エロ元はキャバの裏側や色んなことを教えてくれました。



でも、私も働かないと学費が払えません。



エロ元に事情を話すと、「わかった。5日後に連絡する。それまで他の面接とかに行かずに待っていてくれ」と言われました。






5日後、エロ元に高そうな中華料理に連れて行かれました。



しかも席は個室でした。






「これ貸してやるよ」






エロ元は私に2年分の学費を渡そうとしました。






「卒業したら返せよ」






意味がわかりません。






(エロ元がなぜ?)






「別にアヤが好きだったとか、初恋だったとか、そんなんじゃねぇから」






エロ元は笑ってそう言いました。






「あ、あと体目当てでもねぇよ」






「じゃあ、なによ?」






「俺、アヤにはキャバに来て欲しくねぇんだよ」






エロ元は結構苦労したみたいで、高校を中退して、今の会社の社長さんに拾われたそうです。






「キャバだけじゃなく色んなもの見て来てさ、アヤはキャバでボロボロになるタイプだと思う。俺、同級生がボロボロになるの見たくないんだ」






「でも、このお金は受け取れないよ」






「勘違いするなよ。貸すんだからな。必ず返してもらうんだからな」






私はエロ元から借りることにしました。



困っていたのもありますが、なんとなくエロ元が信用できる人だと思ったからです。



それから月に一度くらい、エロ元と食事に行くようになりました。



考えてみれば、生まれて初めて2人っきりで食事をした男性はエロ元です。



昔なら、「ありえない!!」とショック★したかも(笑)



でも、今のエロ元は私よりも大人で、ちょっとカッコイイかなって思います。






(このまま、エロ元と付き合うのかな)って思い出した今年の2月。



私は父から借金取りに売られました。



父には5千万という借金があり、どうにもできず、私を売ることにしたのです。



借金取りのオモチャにされるのか風俗に売られるのかはわかりませんが、処女をどっかの脂ギッシュなオヤジに奪われると思うと★にたい気分でした。






(どうせなら・・・)






私はエロ元に会って事情を話して、エロ元に抱いてもらうことにしました。



私の事情を聞くと、「俺が帰るまでここにいろ」と言い残して出て行きました。



エロ元のワンルームマンションに1人残されて、どうしたものかと思いましたが、とりあえず大人しくエロ元を待ちました。






2日後、エロ元は帰って来ると、「もう心配いらねぇ。家に帰れよ」と言いました。



それに対して私は、「ハラ減った~」と答えました。



エロ元、大爆笑。






私は焼肉屋に連れて行かれて、食べながら、エロ元からこの2日間のことを聞きました。



父の借金は父が振り出した手形が回り回って、エロ元が店長をしているキャバのグループ企業の金融屋さんの手に入ったのだそうです。



私の父に会いに行ったエロ元はそういう事情を知って、キャバの社長に直談判。



ついにはグループのトップの社長さんに会ったそうです。






「目の前で手形破ってくれて、お前のこと大切にしろだってさ。彼女でもないのにな」






(彼女じゃないんだ・・・)






私は意図的に避けてきた質問をしました。






「エロ元、彼女いんの?」



「いたら、お前と焼肉食ってねぇよー」






「ふーん、じゃあ溜まったらどうしてるの?」



「お前焼肉食いながらする話じゃねぇだろう」






「どうしてるのよ?」



「俺は女にモテるんだよ。彼女はいなくても女に不自由はねぇの」






(だろうなあ、エロ元カッコイイもん)






焼肉を食べながらお酒を飲んでいたせいもありますが・・・。






「やっぱ初めてはアンタに決めた」



「はー?なに言ってるの?」






「私の処女、アンタにあげちゃう」



「いらねえよ!!ってか、お前酔ってるだろ」






「触りたかったおっぱい、触っていいんだよ」



「触りたくねぇよ!!肉食え、肉!!」






結局、私が無理やりエロ元をラブホに連れこみました。



生まれて初めて入ったラブホにはしゃぐ私。



なぜか落ちこんでいるエロ元。



とりあえずシャワーは別々に浴びました。



私が先にシャワーを浴びて、バスタオルを巻いて、ベッドの中でエロ元を待ちました。



待っている間、どんどん緊張してきて、友達から聞いた話が頭の中でぐるぐる回った。






「初めては痛い。気持ちよくない」



「彼氏はエッチが下手くそ」



「エッチは気持ちよくない」






結論を言うと・・・。






「初めてのエッチは痛くなかった」



「気持ちよかった」



「エロ元はエッチが上手い」






エロ元が最初でよかったと思う。



それから一週間して、エロ元に呼び出された。






「アヤ、好きだ。付き合ってくれ」






私はその日から、エロ元をヒロキと呼んでいる。