俺が姉貴への恋心を自覚したのは、高1の時だった。



姉貴は当時大学1年。



高校まで女子校だったせいか、家に男を連れ込むことはもちろん、彼氏の存在すら感じさせない人だった。



それが大学に入って交際相手ができたらしく、休日にはいかにもデートという感じでお洒落して出掛けたり、男が運転する車で深夜に帰宅したこともあった。



姉貴は弟の俺から見ても結構な美人(鶴田真由系)だし、スタイルも性格も良かったから、かなりモテたはず。



週末にボーイフレンドと出歩くのも、ごく普通の大学生活といえばそうだ。






しかし、俺は不満だった。



小さい頃から仲が良くて、夕食後はいつも2人、ソファーに並んで座りテレビを観るのが日課だった。



週末もよく姉弟で買い物に出掛けたり、映画を見に行ったりした。



小学校までは風呂も一緒に入ってた。



中学になると、あまりの仲睦まじさに友達から、「お前、シスコンか?」とからかわれたりしたが、気にしなかった。



むしろ美人の姉貴が誇りだった。






腕を組んで(姉貴が俺の腕にぶら下がる格好で)繁華街を歩きながら・・・。






「姉貴さあ、一緒に歩くなら、弟よか格好いい彼氏が良かったんじゃねえの?」






「そういうことは、あんたが彼女作ってから言いなさい」






なんて話したり。





それだけで幸せだった。






そんな日々も、姉貴の大学進学を機に一変した。



別に仲違いしたわけじゃないが、姉貴はサークルやコンパ・・・。



そして恐らくデートで帰りが不規則だし、俺も部活で忙しかった。



2人が家で一緒にいる機会はめっきり減り、2人で出掛けることは、完全になくなった。






俺はものすごく寂しかった。



単なる喪失感じゃない。



姉貴が別の男と一緒にいる・・・。



そう考えるだけで、嫉妬心というか焦燥感というか、とにかく苦しかった。



ようやく俺も、この感情が家族愛なんてものじゃなく、恋心だと自覚したわけだ。






俺と過ごす時間が減ったことは、姉貴も気にしていたらしい。



たまに家で顔を合わすと、妙に優しく話し掛けてくれた。



それが逆に辛くて、馬鹿な俺は変によそよそしく対応したものだ。



どこか冷たい俺の態度に、悲しげな表情を見せる姉貴。



それを見て自分を責め、また傷つく俺だった。






決定的な変化が訪れたのは高2の夏だ。



日曜日だったが、俺は部活で昼から学校へ行った。



姉貴は友達とドライブに行くと朝から外出していた。



いつもよりバッチリと化粧し、お洒落な服装。



見送る後ろ姿がドキッとするほど眩しかった。






練習が終わり、俺は先輩2人(ともに♂)に連れられ駅裏のラーメン屋へ行った。



休日の部活後は、よく先輩や後輩と食事に行ったが、このエリアは初めてだ。



パチンコ屋やピンサロの看板が並ぶ裏道に学生服姿の3人組は、いかにも不釣合いだった。






「このヘルスさあ、前に一度行ったことあんだよ」






「マジっスか?高校生でも行けるんスか?」






「ば~か、私服に決まってんだろ」






食事を終え、馬鹿な会話を交わしながら駅方向へ向かいかけた時、前を通りがかったラブホテルからカップルが腕を組んで出てきた。



姉貴だった。



隣は知らない男だったが若い学生風。



サークルか何かで知り合った彼氏なのだろう。






決定的瞬間を目撃した俺は固まった。



情けないことに震えていた。



全身から汗が吹き出た。



異変に気付いた先輩が、「どうした?」と声を掛けてくれたが言葉が出なかった。



目の前にいるカップルの片割れが俺の姉だとは、先輩たちも気付かなかったようだが。



姉貴も俺に気付いた。



俺の姿を確認すると、さあっと顔色が変わり、男の手を引くと逃げるように立ち去った。



俺はその場に立ち尽くしていた。






「どうした?ラーメン食って気分悪くなったか?」






先輩の言葉が虚ろに響く。



我に返った俺は、足元に落ちた着替え入りのスポーツバッグを慌てて拾うと、「すんません!俺、体調悪いんで帰ります」と言い残し走り出した。



先輩2人は、わけが分からんという表情で俺を見送った。






家に戻ると、姉貴はまだ帰宅していなかった。



俺はお袋に、「気分が悪いから夕飯はいらない」と言い残し、部屋に篭った。



頭の中はパニック状態だ。



冷蔵庫から持ち出した缶ビールを何本も空けた。



飲みながら、なぜか涙がぽろぽろこぼれる。



酒に弱い俺だが、この日はどれだけ飲んでも気分が悪くなるだけで、酔えやしない。






『姉貴、好きだ。好きだ。好きだ』






何度も頭の中で繰り返した。



姉貴に対する自分の想いが、狂おしいまでに大きいものだと、このとき初めて知った。



心配したお袋が様子を見に来たが、部屋に入れなかった。



電灯も点けず、真っ暗な部屋の床に膝を抱えて座って、ひたすら泣いた。



いや、泣こうと思ったわけじゃないが、涙が勝手に次から次へと流れ出てくる。






姉貴が帰宅したのは深夜だった。



お袋に様子が変だと聞いたのだろう。



すぐ部屋に来た。






「雄一(俺)、どうしたの?開けなさい」






俺は何も答えなかった。



姉貴の声を聞くことも辛かった。



姉はしばらく部屋の前にいたようだが、諦めたのか、やがて引き揚げた。






何時間経ったろう。



辛くても生理現象は止められない。



俺はそっと部屋を抜け出しトイレに行った。



日付はとうに変わり、家の中は静まり返っている。



尿を吐き出すと少しだけ落ち着いた。



さすがにパニックは収まったが、悲しさと寂しさは募る一方だった。






部屋に戻ると姉貴がいた。



白いパジャマ姿。



化粧は落としていたが、それでもぞくっとするほど綺麗だった。






姉貴「なんだ、まだ着替えてなかったんだ」






俺「入るなよ」






俺の言葉にまた悲しい表情を見せるが、それでも部屋に入ってきた姉貴を追い出すことはできなかった。






姉貴「今日さ、変なとこ見られちゃったね」






再び部屋の中央でうずくまった俺の前に姉貴が座る。



俺は何も言わなかった。



いや、言えなかった。






姉貴「健全な青少年には少し刺激が強かったかな」






姉貴なりに冗談めかして言ったつもりらしい。



もちろん場が和むはずもない。






姉貴「ねえ雄一、何か言ってよ」






そう言われて初めて俺は顔を上げた。






俺「別に・・・」






姉貴「だったら何むくれてんのよ」






姉貴は泣きそうな顔だ。



だが俺の心は麻痺していた。






俺「別に・・・姉貴が誰と何しようと俺は何も言えないんだよな。子供じゃないんだし」






震えた涙声が自分でも情けなかった。



姉貴は俺に近づくと、両肩に手を置いた。






姉貴「なあに?お姉ちゃんにヤキモチ焼いてんの?」






努めて明るく話し掛ける姉貴の声も、心なしか震えている。



俺はもう一度顔を上げた。






俺「うるせえよ。姉貴はあの軽薄男と乳繰り合ってりゃいいだろ」






そう言うつもりだったが、姉貴の目を見ると途中で言葉が詰まった。



涙と鼻水が次から次へと溢れ出てきた。






姉貴「どうしたのよ。泣いたりして・・・」






そう言う姉貴の瞳も潤んでいる。






俺「姉貴、好きだ」






自然にこの言葉が出た。






「えっ?」という表情の姉貴を俺は思わず抱き締めていた。






俺「好きなんだ。だから・・・嫌なんだ。姉貴が他の男となんて・・・俺、耐えられなくて」






最後の方は涙声で、自分でも何を言ってるか分からなかった。






姉貴「馬鹿ね・・・」






姉貴は優しく抱き返し、俺の頭を撫でた。






俺「どうしようもないくらい好きだ。だから辛くて・・・」






俺の言葉を遮るように、柔らかい感触が唇を覆った。



俺にとってはファーストキスだった。



最初はソフトに、次第に濃く。



柔らかい舌が俺の口に侵入する。



俺も夢中で舌を差し入れた。



舌と舌が絡まり合い、唾液が入り混じる。



俺は気が遠くなりそうになりながら、姉貴に覆いかぶさる。



床に倒れこんだ2人。



パジャマの上から乳房を掴んだ。



大きくて柔らかい。



俺は夢中で揉みしだきながら、姉貴の両脚の間に膝を差し込む。



もちろん俺は童貞だったが、本能のままに手足が動いた。






姉貴「いや・・・ダメよ」






姉貴が小さな声を上げるが、強く抵抗する素振りは見せない。



俺は姉貴の唇を吸いながらパジャマのボタンを外す。



白く形の良い乳房が露わになると、俺は無我夢中でむしゃぶりついた。






姉貴「ダメっ、雄一・・・ね?」






姉貴を抱き締めた俺の手は、そのまま背中から腰へと下がり、両手で尻を掴む。



なんて柔らかいんだ。



感触に感動した。






姉貴「雄一、待って!」






姉貴の語気が少し鋭くなった。



俺はようやく我に返った。



組み敷かれた姉貴は涙目になって震えていた。



パジャマの前を肌蹴、露わになった乳房から腰のライン。



これまで見たどんなヌードモデルより美しく、扇情的だった。



俺はと言えば、猛烈な罪悪感に襲われていた。



世界一愛する女性を俺は力で陵辱しようとしたのだ。






俺「姉貴、ごめん・・・俺、何てことを・・・」






俺はうろたえながら体を離した。



姉は起き上がってパジャマを直したが、表情は優しいままだった。






姉貴「雄一、ありがとう。あんたの気持ち・・・嬉しいわ」






俺「姉ちゃん、ごめん。でも・・・好きなんだ」






子供のころ使っていた「姉ちゃん」という言葉が、自然に出た。



姉貴の頬を一筋の涙が伝い落ちた。






姉貴「雄一が思い切って告白してくれたんだもん。私も素直にならなきゃね」






俺は言葉の意味を理解できないまま姉貴を見つめる。






姉貴「ねえ、雄一。・・・むこう向いててくれるかな?」






姉貴が何をしようとしているのか、馬鹿な俺にも察しはついた。



俺が座ったまま後ろを向くと、姉貴は立ち上がり部屋の電灯を豆球に切り替えた。



薄暗い闇が辺りを包む。



期待で心臓が爆発しそうな俺の背後で、衣擦れの音が響く。



やがて俺の横に姉貴のパジャマの上、そしてズボンが無造作に放り投げられた。



そして白く小さな布・・・姉貴のパンティーが、そっと置かれた。






姉貴「私ね・・・怖かったんだ。このまま雄一のこと・・・姉弟なのに。この気持ちが抑えられなくなるのが怖かったの」






涙声だった。



俺の後ろから両肩にそっと手を添える。






姉貴「忘れなきゃと思って、他の男の人ともお付き合いしたけど・・・ダメだった」






姉貴が両膝をつき、肩から覆いかぶさるように抱きすくめる。



俺の背中に柔らかな乳房が当たっているのが分かった。



俺の股間は、さっきからマックスの状態だ。



自然と呼吸が荒くなる。






姉貴「もう・・・後戻りできないよ」






姉貴の細い腕が後ろから俺の首に絡みつく。






俺「姉ちゃん・・・好きだ」






姉貴「雄一・・・」






姉の腕に力がこもる。



息苦しいほどの幸せに包まれながら、意識がすっと遠のいた。