
これは僕と幼馴染の女の子のお話。
僕には幼馴染のユキって子がいた。
僕の住んでいる地元は割と都心から離れた山間部で、バス亭まで30分くらいかかる典型的な田舎町。
僕とユキはお隣さんで、と言っても30メートルくらいは離れているんだけど、俗に言う幼馴染ってやつ。
ユキは色白で、いつも髪をツインテールに結んでいた。
ちょっと活発な女の子だったけど、小学校ではクッキーを焼いて持ってきたりして、割と女の子らしいところもあった。
対して僕は典型的な悪ガキで、いつも先生に怒られてばかりだった。
僕とユキはいつも一緒に登校していて、帰る時も一緒ってのが何となく習慣だった。
僕達は別々に好きな子がいて、と言っても小学生だったから、付き合うとかそんなんじゃなかったけど、お互いに打ち明けあっては、茶化しあってふざけてた。
そんなちょっと仲の良い小学生だった。
ただ、中学に上がる時に僕は受験して私立の中学校に通うようになり、ユキはそのまま地元の中学に行くようになった。
ちょっと寂しかったけど、僕もユキも新しい学生生活が始まって、お互いに会うこともなくなった。
僕は高校に入ってから彼女が出来たし、すっかりユキのことは忘れてた。
僕が再びユキと会ったのは、大学1年の夏休み。
地元の男友達(S)から久しぶりに電話がかかって来た。
「T(僕ね)、久しぶりに夏祭りに行かないか?小学校の時のメンバーが集まってるぞ」
僕は暇だったし、懐かしい友達の顔が見たくて二つ返事でOKした。
夜7時、地元の広場に懐かしい顔ぶれが集まった。
そこに久しぶりに見るユキの姿があった。
なんていうか、僕は腰が抜けそうになった。
昔の面影は残っていたものの、ユキは凄い良い女になってた。
紺色の浴衣を着ていて、相変わらず肌は白い。
ちょっとぽっちゃりとした顔付きに、昔と変わらないクルっとした目。
ちょっと年齢よりは下に見えるけど、普通に可愛いと思った。
思わず人見知りしちゃったよ。
だってこんなに可愛くなってるとは思わないだろ。
髪を後ろで髪留めで上げていて、白いうなじが何とも色っぽい。
というか浴衣は女の子の可愛さを倍増するアイテムだと思った。
久しぶりにユキと会ったっていうのに、何だか僕は歯切れが悪い。
ユキは、「Tちゃん、背が伸びたね。昔は同じくらいだったのにね」って嬉しそうに話し掛けてくるけど・・・。
僕は、「そりゃ伸びなかったら怖いよ」とか、なんかぶっきらぼうになっちゃってさ。
まあ女の子に久しぶりに“ちゃん付け”されたら、僕じゃなくても照れると思うけど。
「でも本当に久しぶりだね。元気にしてた?」
「まあね」
「Tちゃん、最近何してるの?」
「別に・・・」
こんな感じです。
正直、ユキが話す時に僕の顔を覗き込むように話してくるので、何だか照れくさくて、どこかのツッパリみたいになってました。
ユキが話す時のこの癖、直ってなかったんだなあ、昔は何とも思わなかったんだけど。
勝手にツッパリモードに入ってる僕をお構いなしにユキは引っ張っていきます。
本当は地元の仲間6人で集まってたんだけど、いつの間にか幼馴染コンビになってました。
夏祭りと言っても、そんな大きなものじゃなくて、出店が6つか7つある程度。
でもユキは嬉しそうにはしゃいでいて、そんなユキを見ていて、素直に可愛いなって思いました。
それから1時間後、たこやきを買って椅子に並んで食べている頃には、徐々に僕の無駄なツッパリモードもなくなって、お互いの近況について話すようになってました。
ユキは現在、美術系の大学に通っていること。
彼氏がいないってことも、ここで知りました。
僕は平然と聞きながら、心の中で(キター!)とか思ってました。
僕には2ヶ月前まで彼女がいたことを話すと、「えっ、Tちゃんって彼女いたんだ!」とビックリしてました。
その後、昔の思い出話をしてました。
「お前さ、昔よくボンバーマンやったの覚えてる?」
「あ~、懐かしいね。よくやったねー」
「お前、めっちゃ弱かったじゃん」
「だってTちゃんが手加減しないんだもん。持ち主なら普通するよっ」
「甘い甘い、幼馴染には手加減しないのだ」
「あ~何だか久しぶりにボンバーマンがやりたくなってきたぁ」
「やるか?まだあるぞ」
「ほんとに~?やろっかぁ!」
意外な展開でした。
というか、また心の中でキター!と叫んでましたよ。
「あ、じゃあSちゃん達も呼ぼっか?」
「でも、コントローラーが2つしかないぜ?」(←必★)
「そっか、じゃあSちゃん達に言ってくる」
「待て待て、別に言わなくても良いじゃん」(←超必★)
「そう?じゃあ行こっか」
危なかったです。
S達に言ったら、100%ついて来るでしょうから。
コントローラなんて交代で使えば良いだけしね・・・。
夏祭りの広場から家までは7分くらい、僕の家は増築した一戸建てで、いわゆる離れってやつ。
と言っても廊下は繋がっているんだけど、玄関を通らずに部屋に行けるから色んな意味で便利。
昔はこんなのなくて、ユキが家に遊びに来たときはいつもリビングで遊んでました。
「お邪魔しま~す」
「どうぞどうぞ」
心なしかユキが緊張しているように見える。
でも、もっと緊張してるのは僕。
正直、右手と右足が同時に出てたかもしれない。
昔と違って自分だけの個室。
でも昔と違うのは、2人とも子供じゃないってこと。
幼馴染だろうと、やっぱり部屋に2人っきりになると、ちょっと意識して気まずい雰囲気になる。
何とか打開しようと、僕が張り切って、「何か飲むだろ?飲み物取って来るよ」と言った瞬間、パソコンの足の角に小指を思いっきりぶつけました。
うずくまる僕。
一瞬、「Tちゃん、大丈夫?」って言った後、大笑いするユキ。
一転して空気は打ち解け、和やかムードに。
そこからボンバーマン大会が始まりました。
僕の持ってきたビールを飲みながら熱戦が始まりました。
と言っても僕が手加減してるからなんだけど。
気が付くと1時間半も経っていて、辺りにはビールの空き缶が7本。
こんなに飲んでたっけ・・・。
ユキを見ると、耳と首の付け根辺りが赤くなっていて、めちゃめちゃ色っぽい。
ただでさえ浴衣着てるのに、それは反則だろ・・・。
と言うか、またユキのことを意識し始めちゃって、僕はボンバーマンどころじゃなくなってしまいました。
そこで、無理を承知でユキにふっかけてみました。
「ねえ、ユキ」
「ん?」
「次の勝負で賭けしない?」
「賭け?」
「そう、負けた方が勝った方の言うことを何でも聞くの」
「いいよ~、面白そう!」
ユキは僕がさっきまで手加減してたことを知りません。
一瞬でユキのキャラを爆弾で挟み撃ちにして片付けてやりました。
「へっへ~、俺の勝ち」
「えー、何かずるかったなあ、今の」
膨れるユキ。
「じゃあ命令するよ~」
「はーい」
この時点で空いた缶ビールは8本。
お酒強いわけじゃないんで、結構きてました。
なんで勢いで、「じゃあユキが俺にキスをする~」って言っちゃったんです。
昔なら、「バ~カ」てランドセルで殴られてたんで、怒られるかなって思ったら、「え・・・」って顔を赤くしてるんです。
こうなりゃ勢いだって思って、ユキを抱き寄せました。
「ほんとにするの・・・?」
上気して言うユキを見ていたら、たまらなく愛しくなって、「ユキ、可愛くなったね」なんて言ってしまいました。
そしたらちょっとビックリした顔をした後、ニッコリと笑って、「ありがと」と言いました。
「でも、キスはダ・・・」
僕は素早くユキを抱き寄せてキスをしました。
ちょっと強引だったんで、歯がカチって当たっちゃいました。
と言っても軽く唇を合わせた程度だったけど。
お互いに沈黙。
でも僕はキスしたら歯止めが利かなくなって、思わずユキをぎゅっと抱き締めました。
「あっ」
ユキの髪の毛から甘い匂いがしてきました。
「ちょっと、Tちゃん・・・」
もうこの時点で僕はエロエロモード180%ロイヤルでした。
お互いの鼓動がバクバク言っているのがわかります。
<続く>
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