慌てたというよりは、何気にごめんなさいといった感じの母。



1分もしないうちに、またドアが開けられる。






「おみやげ買ってきたよ!」






嬉しそうにおみやげの入った袋を見せつける。



頼むからデリカシーってもんを持ってくれよ!



にこやかな母とは対照的に、ベッドの下に手を入れたまま時間の止まる僕。



あまりに情けなくて涙が出そうだった。



ティッシュを捨てる暇もなかった。



慌ててジーパンのベルトを締めていると、母がベッドの上のティッシュを摘んで僕の目の前でひらひらさせる。



右手にはおみやげの入った袋。



左手には目的をなくした哀れなティッシュ。



すごく悪戯っぽい目を向けながら無邪気な笑み。



可愛らしく首を傾げて・・・。






「元気でいいね」






だって。



開放的な家族はいいけれど、開放しすぎだって!



どうせなら違うところを開放してくれよ!



丸めたティッシュが山になっているゴミ箱を見て、「最近はティッシュも高くて、ばかにならないのよ」なんぞと、のたまってくる。






そういう年頃なんだから仕方ないじゃん!



母が許してくれれば、このティッシュは減るのか?



それとも増えるのか?






下の様子が気になって、開けっぱなしになっているドアに目を向けていると、「パパ、打ちっ放しに行っちゃったよ」と楽しそうに笑う。



どうやら母を玄関先に降ろして、父はそのままゴルフの打ちっ放しに行ったらしい。



とりあえず、父がいないことがわかってほっとため息。



父に気付かれでもしたら目も当てられない。






「一緒に食べよ」






母がおみやげの入った袋を机の上に広げていく。



買ってきてくれたのは、美味しそうなタイ焼き。



まだ湯気が出ていて温かかそうだった。






「はい」と、母がひとつ摘んで僕にくれる。






2人仲良くベッドに並んで食す。



甘い舌触りと、いつにも増して鼻の中に飛び込んでくる甘い香りに頭がクラクラ。






父のために念入りに化粧をしていった母。



いつものあどけない表情とは打ってかわって、ひどく大人びた顔。



大きく開いた胸元に、きらりと光るネックレス。



いつもは光り物をほとんど身につけない彼女。



父のために着飾る姿は、微笑ましいというよりも、ちょっぴり憎らしい。



僕のために化粧をさせたい。



僕のためにネックレスをつけさせたい。



僕のために着飾らせて、その服を恥ずかしげに脱いでいくところをじっくり眺めたい。






中途半端に待ったがかかって、まだうずうずと疼いている僕のバカチン。



そんなことを考えてたら、すぐに硬くなった。



身体の変化がはっきりとわかるジーパン。



母が気付いて、とてつもなく悪戯っぽい瞳。



じゃあ悪戯してよ!



許してくれそうで許してくれない母。



小出しにしては、いつまでも淡い期待を抱かせる。



お尻の下はふかふかのベッド。



すぐ隣には、欲しくてならない小さな身体。






「変なことしたらだめよ」






じっと横顔を見つめていたら、すかさず投げられた牽制球。



エスパーですか?



きちんと背筋を伸ばして、壁の方を向きながら母はひたすら口をモグモグ。



襲われるとわかっているのに、足繁く通ってくる僕の部屋。



たぶん僕のことを嫌いじゃない。



自分の子供だから?



それだけじゃないってわかってる。



でも無理やり奪う勇気もない。



誰よりも大事で大切にしたい人。



無邪気であどけなくて、とてつもなく可愛らしい母。



苦しむ姿だけは絶対に見たくない。






知らず知らずのうちに漏れるため息。



何度か繰り返していたら、とんとんと肩を叩かれる。



振り向くと、いきなり近づいてきた母の顔。



押しつけられた柔らかい唇。



だいぶ慣れてきたね。



キスだけは普通に許してくれるようになった。



舌を入れたら、送り込まれてきた柔らかいもの。



口の中に広がっていく上品な甘さ。






『これがしたかったわけ?』






小悪魔のような瞳が見つめてくる。






(やっぱ、だめだ)






抱き締めて押し倒した。






「こら」






口では怒りながら素直に横になってくれる彼女。



思いっきり乗っかって貪るように唇を奪いにかかった。



もう半分くらい野獣。



当たり前のように手はスカートの中へ。






「だめだってば・・・」






さすがに太ももをきつく閉めてくる。



構わず、そのまま手を股間に。



お出かけのために穿いていたストッキング。



ざらざらとした感触の上からぐいと股の間を手で押すと、すごく硬い感じ。






「生理だって言ったでしょ・・・」






なんだかすぐには破れそうもない絶対防御体勢に一気に熱が引いていく。



それでも諦めきれない僕。



甘えるように胸に顔を埋めてぐずぐず。



股間では情けないご主人様に怒り狂ってる僕のバカチン。



本当に狂い★にしそう。



哀れむように母の手が僕の頭の上に。






「我慢できないの・・・?」






そっと撫でながら優しい声。






(我慢できるはずがないでしょ!)






気持ちを伝えるように身体を重ね続けた。



すごく柔らかい身体。



守ってやりたくなるほど細くて華奢な肢体。



日は傾いて、部屋の中はどんどん薄暗くなっていく。



そのまま母の身体の上で甘え続けた。



どうやってこの状態に決着をつけようか?



そればかりを考えた。



頭の中に浮かんでくるのは、絶対に叶うはずのない妄想ばかり。






先に動いたのは母。



静かに僕の胸を押してくる。



諦めて母の身体から下りた。



やっぱり僕は意気地がない。



ものも言わず母が身体を起こしていく。



手の甲で顔を覆いながら仰向けになっていると、耳元で囁かれた甘い声。






「今日だけよ・・・」






何を言ったのか判らなかった。



カチャカチャとベルトを外す音。



きつめのボタンが外されて、そのあとに続くジッパーの下がる音。



熱いモノに触れてきた冷たい指。



急にお腹のあたりが重くなり、得も言われぬ開放感。



すぐに、ヌルリとしたものに包まれた。






(うわ・・・)






目を細めなければ何も見えないほどに薄暗い部屋の中。



聞こえてきたのは、母の苦しげな息遣いと、いやらしい音だけ。



目は閉じていた。



開けば、すぐにでも夢は終わる。



そんな気がしてならなかった。



濡れた唇が、ずっと根本の方まで下りていく。



股間に押しつけられる母の顔。



大きなモノは、怖いくらいに喉の奥。



こむら返りになりそうになるほど、足を突っ張らせた。



何度も繰り返される同じ動き。



我慢なんて出来るはずもなかった。



なんの前触れもなく母の口の中へ。



唇を締めて母が受け止めてくれる。



まるで壊れた蛇口状態。



思う存分吐き出したあとにやってきたのは、途方もない罪悪感。



嬉しかったけど、それよりも怖かった。



口に咥えたまま、母がポンポンとお腹のあたりを叩いてくる。






見れば、何かを求めるような手つき。






(ああ、ティッシュね)






枕元の箱を掴んで母の手に。



勢いよく4、5枚抜いて、口元に当てていく。



こぼさぬように器用に唇が離される。



ティッシュを広げて、その中に吐き出す。



足りないらしくて、また2、3枚抜いていく。



丁寧に口を拭いながら、「ああ、びっくりした」と、小さな声で呟く。






(そんなに多かった?)






暗い部屋の中に見えるのは彼女の影だけ。



床の上にお尻をつけて、ぺたりと座り込んでいる。



顔はこっちを見ているようだけど、どんな表情をしているのかわからない。



何を言えばいいのかも判らなかった。



気付いたように、またティッシュを抜いて、濡れたバカチンを拭ってくれる。



ふうっ、と大きなため息。



ゆっくりと身体を起こして母を見つめた。



暗がりの中に、はっきりとわかる大きな目。



母もじっと僕を見つめている。






(どうして何も言わないのさ?)






何か言ってもらいたかった。






「生理が終わるのは、いつ?」






先に仕掛けたのは僕。



すぐに欲しがる性懲りもない性格。






「もう、ちょっと・・・」






あやふやだけど、ちゃんと答えてくれる。






「終わったら何する気?」






声の質が変わる。






「すごくいやらしいこと」






誤魔化すように、おどけて言ってみた。






「ばか・・・」






よくは見えないけれど、笑ってくれたみたい。






「絶対に無理よ」






母はため息をつきながら、窓の方に顔を向けてしまう。



もう一度大きなため息を吐いて静かに立ち上がった。






「そろそろご飯作らなくちゃ」






乱れた裾を気にする仕草。



腕を掴んで引き寄せた。



なんの抵抗も見せずに素直に腕の中に入ってくる。



顎を掴んで唇を重ねた。



どこにも行かせたくない。



乱暴に舌を絡めると、ちゃんと受け止めてくれる。



夢中で吸って絡めた。



もう絶対に離せない。



胸を掴みにいくと、その腕を優しく掴まれる。






「もう、だめよ・・・」






するりと逃げていく小さな身体。



そのまま部屋から出て行こうとして、母が入り口のところで立ち止まる。






「無理だけど・・・楽しみにしてる・・・」






暗くてよく判らなかった表情。



僕も楽しみにしてる。



階段を下りていく足音を聞きながらベッドに横になった。






プライベートレッスン6日目終了。



焦らないのは、わかっているから。



いずれ彼女は僕のもの。



はっきりと確信した。






<続く>