時間は瞬く間に過ぎ、夕方になりました。






理恵は白いノースリーブのシャツと、膝上までのオリーブ色のスカートに着替えて、部屋から出て来ました。



僕と週末デートするときに、いつも着ていた服です。



結婚後、落ち着いた色合いの服装をするようになった理恵ですが、その白い肌とセクシーなボディラインはますます色っぽさに磨きがかかり、男性の目を引きつけるのには十分過ぎるものです。



そんな身体を、理恵は僕に見せつけています。






「どう?」






夫である僕以外の男に会う為に着た服の感想を、夫である僕に求めてきたのです。






「あ、ああ・・・綺麗だよ・・・」






そう言うしか無かった自分に興奮する僕。






「ふふ、ありがとう」






ノースリーブのシャツに包まれた豊かな乳房が、理恵の歩調に合わせて上下に揺れます。






この身体が他の男のものになった事実。



そして、これからまた他の男のものになる事実。



昨日までの夫婦関係からは考えられない事でした。






「じゃあ、行ってくるから」






そう言うと、理恵はハンドバッグを掴み、玄関へと歩き始めました。



そんな理恵の後ろ姿を見送る夫・・・。



堪らない気持ちがこみ上げて来ます。






「待って!」






僕は思わず、理恵の後ろ姿に声をかけました。






「え?」






理恵が振り向きます。






「あの・・・もう、こんな事止めよう・・・謝るから。俺が悪かったから・・・。理恵の後ろ姿見送るなんて・・・辛くて、出来ないよ」






僕は顔を顰めながら言いました。



しかし、理恵は僕が苦しそうな表情をすればするほど嬉しそうでした。






理恵「ふーん、でも約束しちゃったから仕方ないでしょ?諦めてね。もともとあなたが悪いんだから」






僕「ああ・・・」






理恵「あ、約束の時間に遅れちゃう。じゃあいってきまーす」






理恵は僕が次の言葉をかける前に、玄関から出て行きました。



そこには、閉じられた後のドアを呆然と見つめる僕が立っているだけでした。






時刻は夜9時。



理恵が出ていってからの数時間は、僕にとってとてつもなく長い時間に感じました。



室内が異様に静かに感じます。



時計の秒針の音だけが聴こえます。



僕は椅子に腰掛け、テーブルの上で両手を組み、色んな想像を巡らせていました。



今ごろ理恵は・・・と想像するだけで居ても立ってもいられない気分になります。






まだどこかで食事でもしているのだろうか。



それとも、そろそろ男の部屋に入ったのだろうか。



それとも、既に男と・・・。






苦しい嫉妬の時間は続きます。






しかし、同時に激しく興奮もしているのでした。



あのノースリーブのシャツとスカート、そして下着が僕以外の男によって脱がされるのです。



僕は、そんな妻を制止することも出来ずに送り出してしまったのです。






もう、男の前で一糸纏わぬ姿になってしまっているのだろうか。



もしかしたら明るい室内で、隅々まで鑑賞されているかもしれない。



もしかしたら僕より立派な男自身を、理恵のあの可愛い唇で慰めているかもしれない。



もしかしたら既に男自身を、理恵の淫らな女自身と交錯させているかもしれない。



もしかしたら・・・。






目の前に携帯電話があります。



迷った挙げ句、それを手に取りました。



理恵の番号を表示し、発信ボタンを押します。



理恵に電話をかけることでこんなに緊張するのは久しぶりです。






呼び出し音が鳴ります。






1回、2回・・・。






心臓が激しく打っているのが自分でも分かります。






実の夫なのに、どうして妻に電話をかけることで、こんなにドキドキする必要があるのでしょうか。



頭では分かっていても、体は緊張したままの僕。



ベルが4回鳴ったところで、ブツッという音がしました。






ツー、ツー、ツー・・・。






電話が切れました。






留守電に繋がるのでも、電波が届かない所にいるのでもありませんでした。



彼女自身が、僕からのコールを切断したのです。






何故なんだ・・・。



男と既にいい状態になっているからなのか・・・。



もう肉体的に結びついている最中だからなのか・・・。






電話をかけたことは、苦しい想像にますます拍車をかけるだけの結果に終わってしまいました。



眠るどころか目はますます冴えて来ています。



時刻はもう深夜2時。



僕はテーブルの上で両手を組んだ姿勢のままでした。



この時間にもなれば、もう一戦くらいは交えた後であっても不思議ではありません。






激しい嫉妬と、興奮。



ズボンに包まれた僕のペニスは、苦しそうに勃起しています。



いつもは僕の勃起を優しく、そして淫らに鎮めてくれる理恵。



しかし、そんな理恵は今日はいません。



僕以外の男の勃起を鎮めているのです。



どんな想像よりも強烈な、現実として・・・。






もう僕は我慢出来なくなり、遂にズボンとパンツを下ろしました。



脈打つペニスを右手で握りしめます。



今の理恵を想像して自分自身を慰めることは、理恵の浮気を完全に認めてしまうような気がして、出来なかったのです。



しかし、僕は禁断の性欲に負けてしまいました。



右手を、ゆっくりと前後に動かします。



ほとんど毎晩、理恵と身体を重ねていただけに、自ら慰めるのは本当に久しぶりです。



夫が自ら慰めているというのに、妻は別の男のペニスを楽しんでいるのだろうか。



そう考えると一層激しく興奮し、右手の動きも早くなります。



現在の理恵を想像しながらの自慰は、信じられないくらいの快感を僕に与えてくれます。



苦しいのに、ドキドキする。



そんな複雑な気持ちが、僕にこれほどまでの快感を与えてくれているのでしょう。






理恵はもう二回目を楽しんでいるのだろうか・・・。



いや、既に三回目かも知れない・・・。



僕のペニスでは味わえなかった快感を貪っているのだろう・・・。



僕の知らない男の前で・・・大股を開きながら・・・!



理恵・・・!






「・・・!」






快感で朦朧としていた意識が、次第にはっきりとしてきます。



フローリングの床に、僕がたった今射出したばかりの精液が大量に付着しています。



精液は床に縦長く付着していて、射精時の勢いがいかに凄かったかがよく分かります。



僕は実の妻が、僕の知らない男のペニスを大股を広げて受け入れ、腰を動かしているというほぼ現実に近いと思われる想像をしながら、自慰で果ててしまったのです。



夫としてのある一線を越えてしまったような気がしました。



虚しい余韻に浸りながら、自分自身がどんな世界に踏み出してしまったのか、冷静に考えます。






「理恵・・・」






理恵のことを考えると、再びペニスは正直に勃起を始めようとしていました。



そんなペニスを、僕は正直に握りしめました。



もう、後戻りは出来ないと実感しました。






理恵が帰って来たのは、正午過ぎてからでした。






「おかえり・・・」






僕は玄関まで迎えに出ました。



ズボンの前ははち切れそうなほど膨張しています。



理恵はそんな僕の股間を見ると、クスクスと笑いました。






僕達は、黙ったまま椅子に座ります。



まだ理恵は、帰って来てから一言も喋っていません。



理恵の服装は、もちろん昨夜出ていった時と同じものです。



しかし彼女が身に付けている全ての衣類が、外出先で一度は脱がされた筈です。






(今まで、どこでどうやって過ごしていたのだろうか)






一睡もせずにその想像だけをしていたにも関わらず、本人を目の前にすると再び興奮が呼び覚まされます。



理恵はまだ黙ったまま、妖しく微笑んでいます。



沈黙に耐えられなくなった僕が、ついに口を開きました。






「あの・・・」






すると理恵は、僕が何を聞きたいのか全て分かっているという表情で、ハンドバッグから封筒を取り出し、テーブルの上に置きました。



僕は訳が分からないまま、封筒に手を伸ばします。



中には十枚ほど、写真が入っていました。






僕は思わず「あっ!」と叫んでしまいました。






その写真には、理恵と浮気相手との一部始終が写っていたのです。






「孝史君がデジカメで撮ったの」






理恵が帰って来てから初めて、口を開きました。






「あなたに見せてあげてって」






写真用の光沢紙にカラープリンタで印刷されたものでした。



本物の写真と全く区別がつかないくらい鮮明に印刷されています。






理恵と浮気相手が唇を重ねている写真・・・。



前から撮られた理恵の全身ヌード写真・・・。



後ろから撮られた理恵の全身ヌード写真・・・。



僕よりはるかに大きい浮気相手のペニスに、理恵がキスしている写真・・・。



理恵がその亀頭を口に含んでいる写真・・・。



理恵がその根元までを口に含んでいる写真・・・。



理恵の性器が大きく写し出されている写真・・・。



正常位でのハメ撮り写真・・・。



後背位でのハメ撮り写真・・・。



騎乗位でのハメ撮り写真・・・。






僕は、脳が痺れるような感覚を味わっていました。






たった2回の浮気で、もう浮気相手にこんな写真を撮らせるまでの関係に発展しているのです。



どれだけ濃密な時間を過ごしていたかが分かります。



そして、理恵がかなり乗り気であることも十分伝わって来ます。






そんな現実を画像として突きつけられたからには、もう理恵の口からの説明は一切必要ありませんでした。



理恵は、写真を見て狼狽している僕の表情を見ながら、相変わらず妖しく微笑んでいます。



どの写真も、アダルト雑誌やインターネットではよく見かける構図のものばかりで、何も特別なことをしている訳ではありません。



しかし、この写っている女性は、紛れもなく僕の妻である理恵なのです。



理恵が、昨夜家を出てから、帰って来るまでの間に実際に浮気相手としてきたことなのです。






僕が家で一人、自慰をしていた頃、妻である理恵は浮気相手のペニスを口に頬張り、様々な体位でセックスをしていたのです。



僕のズボンの前は、破れるのではないかというくらいに激しく勃起しています。






「怒ってるの?」






理恵が口を開きます。






「そんな訳ないよね。興奮しちゃってるんだもんね?」






やはり全てお見通しです。



僕は、もう自分の気持ちに正直に言いました。






「興奮・・・してるよ・・・」






そう言って立ち上がり、ズボンのチャックを下げて、カチカチに硬直しているペニスを妻の前に露呈しました。






「あはは。何やってんの?」






理恵は冷たく笑います。






「孝史君のと比べると、ちっちゃいよね?」






勃起したペニスがびくんと大きく上下に動きました。



浮気相手のペニスと比べられて、敗北したことに興奮したからです。






「ほらほら、これもっとよく見てよ」






理恵はまるで小悪魔のような妖しい笑みを浮かべながら、浮気相手のペニスにキスしている写真を僕の目の前に翳します。






「あああ・・・」






愛おしそうに大きなペニスにキスしている理恵が写っています。






「すっごく硬かったんだから」






浮気をする前までの理恵とは違っていました。



僕が屈辱を感じるのを見て、喜んでいるようです。



しかし、そんな理恵に僕は今まで以上に興奮していたのです。






「夜2回して、起きてからまた2回したの」






(僕が自分で慰めている間に、4回も・・・!)






性交回数が理恵からどんどん引き離されている情けないペニスを露呈していることが、ますます恥ずかしくなります。






「興奮するよ・・・」






僕のペニスからは我慢汁が溢れ出していました。






「あなたってそんなにMだったっけ?」






理恵が笑いながら言います。



言われてみれば、確かに理恵が浮気を始めてから、僕はその屈辱に興奮するマゾになってしまったようです。



そしてそれに比例して、理恵はみるみるうちにサドになっていくような気がします。



僕達の心の奥で眠っていたものが、浮気がきっかけでそれぞれ呼び覚まされたのでしょう。






理恵「あのね、孝史君と決めたんだけど・・・」






僕「な・・何?」






ごくりと唾を飲み込みます。






理恵「雄治さん、これからは私が“いいよ”って言った時しか精子出しちゃダメっ!」






僕「そんな・・!」






理恵「あはは。何て顔してんの?Mだから嬉しいんでしょ?」






僕の知らない所で、僕の体のことを、実の妻と浮気相手に勝手に決められてしまったのです。



何という情けない夫でしょうか・・・。



しかし、理恵の言ったとおり、そんな情けない自分に興奮してしまっていたのです。






僕「嬉しいよ・・・理恵・・・妻と知らない男にオナニーを管理されて・・・。興奮してしまっているんだ・・・」






理恵「やっぱりねー」






思った通りというように、理恵はクスクスと笑います。






理恵「じゃあ、決まりね」






僕「う、うん・・・」






これで僕は、実の妻が浮気相手とセックスしている時も、自分で慰めることすら出来なくなってしまいました。






理恵「さっそく明日、孝史君に報告しなくちゃ」






僕「あ、明日も会うのか!?」






理恵「うん。何か言いたいことでもあるの?」






理恵が冷たくそう言います。






「な、ないよ・・・」






僕はそう答えるしかありません。






「でしょうねぇ。私が浮気すると興奮しちゃうんだもんねぇ?」






僕達の夫婦関係は、ますます予想もしていなかった方向に動き出していました。






<続く>