俺の家の向かいに住む、幼馴染の理恵ちゃん。



物心ついたときからずっと恋してたと思う。



保育園の頃は毎朝一緒に通ってた。



屈託無く、「光雄くんのお嫁さんになるー」なんて言われて嬉しかった記憶もある。






小学校に上がると、照れ臭さとか同級生のからかいで一緒に居づらくなった。



それでも帰宅後は一緒に宿題やったり遊んだりはした。



高学年に上がると学校では一層接することがなくなった。






そんなある日の放課後、クラスの女子達が恋バナで好きな男子の教え合いしてたのか、帰ろうとしていた俺はクラスメートに呼び止められた。






「理恵ちゃん、光雄くんのこと好きだって」






照れた理恵ちゃんが必★に取り繕う。



周りの男子もニヤニヤ見ている。



それが嫌で、俺は冷たいセリフを吐いた。



なんて言ったか忘れたが、「俺は別になんとも思ってない」的な冷たい言葉。






この日から理恵ちゃんは一切俺に接しなくなった。



何度、正直に話そうと思ったか。



でも言えなかった。



想いを伝える勇気がなかった。



家の窓から外を見れば、すぐ前に理恵ちゃんの部屋があるのに。






中学の3年間は、会話すらなかった。



なんであのとき、冷たい言葉が出たのだろう。



嬉しかったくせに・・・。






高校は別々だったので会うのは朝と夕方だけ。



部活に打ち込む理恵ちゃんは朝練で早く出ていたので、ほとんど顔も合わせることもなかった。



ある朝、家を出たら理恵ちゃんも出るところだった。



お互い気付いたのに言葉が出ない。



なんで「おはよう」の一言が出ないんだろう。



固まる俺を見て、理恵ちゃんが口を開いた。






「おはよう♪」






この一言で俺の金縛りが解けた。



長年の呪いも解けた気がした。



まだ挨拶止まりだが、この日から普通に接することができるようになった。



ただ問題なのは、“初恋”として理恵ちゃんを想っていたのが、“性的な妄想”に変わってしまったこと。



理恵ちゃんと行為をしたくてたまらなくなった。



悪友の家で見た裏ビデオで、その思いはさらに強まった。



朝起きて一発、夜寝る前に一発。






挨拶だけから普通に会話もできるようにまで関係は回復したが、あの日のセリフを謝れないままだった。



友達兼幼馴染から抜け出せないまま、お互い高校を卒業した。



卒業式から1週間後くらいに、なんと理恵ちゃんが俺を誘ってくれた。



新車を買ったので一緒に出かけよう、と。



俺も免許は取れたが経済的な理由で車はおあずけだった。



羨ましかったが、それよりも理恵ちゃんとドライブというシチュが嬉しかった。






無駄に過ごした中・高の計6年。



ここで取り返せるのだろうか。



良からぬ妄想と冷静を保とうとする理性で、大っきくなったり小っちゃくなったり。



他愛のない話をしながら街をプラプラ。



デートと言うより、本当にただのドライブだった。



だんだん日も暮れ、暗くなってきた。



何もないまま帰宅なのだろうか。






「そろそろ帰らない?」






なんて言われてガックリした。






「疲れたから光雄くん運転代わって」






くん付けで呼ばれてドキっとする。



運転席に座り、ちょっとふざけて言ってみた。






「俺が運転したらどこ行くかわかんねーよ?」






結構勇気がいるもんだ。






ちょっと間を置いて、「・・・おまかせします」と返事された。






もう俺の頭には“ラブホ”しか浮かばなかった。



幸い財布には十分金はある。



しかし、一つ問題があった。



入り方がわからない。



ラブホは諦めて、素直に海にでも行こうか。



それでもやはり大っきくなったり小っちゃくなったりだった。






幼い頃に親に連れられて行った海浜公園に着いた。



ここ数年で整備されたのか、昔の面影もなくキレイになっていた。



車を降り、2人で少し歩いた。



手を握る勇気はもちろんなかった。



周りには何組かのカップルがいる。



俺も仲間入りできるかな?



理恵ちゃんは周りを見渡すと、そそくさと車に戻った。






「なんで戻ったの?もう帰るの?」






俺の問いに・・・。






「なんだか・・・急に恥ずかしくなった・・・」






「俺は一緒にいると恥ずかしい男なのか?」






ガックリした。






「ちっ、違うよっ!」






「無理しなくていいよ」






「他の人達見たら、なんだか・・・その・・・」






「俺らも堂々とすればいいじゃん」






「・・・だってぇ・・・あたしら別に付き合ってるわけじゃないし・・・」






俺が理恵ちゃんを女として意識してるように、理恵ちゃんも俺を意識してるってことだと勝手に解釈した。






「じゃあ・・・俺が恋人だったら平気なの?」






この言葉に一番勇気を振りしぼった。



無言で照れながら俺を見つめる理恵ちゃん。



何気ない表情でクールを装っているが、本当は心臓バクバクだ。






「光雄くんはあたしのこと別に・・・」






理恵ちゃんはあの時の俺の言葉をずっと重く捉えていたようだった。



先に俺から言うべきだなと思った。






「あの時はみんなの前だから言えなかった。本当は嬉しかった」






なぜかスラスラ喋れた。



それが逆に必★に言い訳してるみたいだった。






「ずっと謝りたかったんだ。遅くなったけど・・・ごめん」






言葉に困ってるのか、理恵ちゃんは俺をじっと見つめていた。






「ずっと・・・小さい頃からずっと好きだったんだから・・・素直に言えば良かった」






なぜだろう、勇気が必要なはずの言葉が次々と出てくる。






「理恵ちゃんは・・・あの時のまま、俺のこと想っててくれてるのかな?」






俯きながら、照れながら、理恵ちゃんは小さく、「・・・うん」と頷いた。



さっきは躊躇したのに、いとも簡単に手を握る俺。



手と手で伝わる温もり、理恵ちゃんの想い、照れてパニクる寸前ぽい笑顔。



なんかすべてが満足した。



小さい頃はいつも一緒だったんだ。



俺の言葉一つで時間を無駄にしたんだ。



でも今、またすぐ横に居てくれてる。



毎日毎晩、妄想で理恵ちゃんを汚してきたことを思い出すと、“手を握る”で止めようと思った。



ラブホに行きたいとか考えてた俺はバカみたいだ。






「そろそろ帰ろうか?」






もう真っ暗だ。






「もうちょっと・・・一緒にいたい」






車から降りて、外灯と月明かりの下を歩く。



今度はちゃんと手は繋いで。



ベンチに座り、月を見つめる2人。



会話は浮かばなかった。






「寒くなってきたね」






沈黙を破るように理恵ちゃんが言った。






「うん、ちょっと寒いね」






さりげなく肩に手をまわす俺。



理恵ちゃんはそのままもたれ掛かってきたので、そっと抱き寄せた。






うじうじしてた過去の俺よ。



どうだ、今、理恵ちゃんとこんなんなってますぜ?






理恵ちゃんの温もり・・・香水かな、甘い匂い・・・無我夢中で嗅いだ。






「ちょっと!光雄くん!匂い嗅ぎすぎ!」






怒られてしまった。



どうも激しい鼻息音だったらしい。



フガーフガー。



誤魔化すように両手で俺の胸に抱き締めた。






「あったかい・・・」






「理恵ちゃんもあったかいよ」






一言だけ発したあと、お互い目が合った。



たぶん理恵ちゃんも、その先のことを考えてると踏んで、スッと顔を近づけてそのまま流れるようにキスした。



やはり覚悟はあったらしく、抵抗せずに5秒くらい唇を合わせてくれた。



温かさと柔らかさで脳が痺れて、とても長い時間に感じた。



しかしファーストキスに、さっきまで落ち着いていたアレが目覚めやがった。



気付かれぬようチンポジを修正後、車に戻った。






座席に座った途端、理恵ちゃんからキスしてくれた。



おかげでまたチンポジがずれたが当然直せない。



俺の唇に理恵ちゃんの唇が半開きな感触が伝わったので、そっと舌を伸ばすと、すぐに理恵ちゃんの舌と遭遇できた。



まさか2回目のキスがディープキスになろうとは思いも寄らなかったが、滑らかな舌、絡まる唾液、我慢汁・・・。



俺の股間に冷たさが伝わってきた。






<続く>