大学3年の夏、バイト先にキラ星のように輝く美人がいた。






体育系の大学で新体操をしていたが、親の都合で中退、主に高校生や中学生の大会のエキジビジョンや、ダンス教室のコーチなんかをしながら生活してるセミプロだってことだった。



背は160cmくらい、いつもポニーテールでニコニコと元気パッチリでそれでいて切れ長の目、やや濃い目で真っすぐな眉薄めで形のいい唇、当時彼女がいなかった俺には眩しすぎる人だった。



長い夏休みも終わりの頃、世間話くらいは照れずに出来るようになってた俺のところに彼女が来て「今日終ったら相談したいことがあるんだけど、都合どう?」と。



それまでの数週間の断片的なおしゃべりから、彼女が付き合ってる男のことだと察して内心穏やかではなかったけど、反面彼女と二人きりになれると思って嬉しかったのは確かかな。






で、バイト後待ち合わせて彼女の指定の店に行って最初は楽しく飲んでたんだけど、だんだん酔いが回っていよいよ本題へ。



なんの事はない、彼氏に振られたこと、未だにすごく好きであることこの店はその彼といつも来てた思い出いっぱいの店であること。



まぁよくあるパターンで(・・と言えるのは今だからかな、当時は必★だったんだと思う)



相槌マシーンと化して話を聞いてあげるのに全力投球、反面切なさ山盛りの俺だったわけです。






店を出る頃にはこれもお約束の“彼女泥酔”財布の中身を気にしつつ、彼女のアパートまでタクシーで送って着いたのはいいけど今度は起きてくれない。



やっとの思いでタクシーから降しそこでまた途方にくれた。






(どうすりゃいいんだ!このまま置いて行けないし、かと言って俺が彼女の部屋に上がるのか?絶対普通じゃいられなくなるぞ??)






散々悩んだけどこのままこうしてても仕方がないので、彼女の耳元に大声で(・・・て言っても近所に迷惑にならない程度にだけど)



「悪いけどカバン開けてカギ探すよ!おーい!ちゃんと断ったよー」とやってドキドキしながら憧れの人のカバンを物色、見つけた鍵をポケットに入れ彼女をおんぶしてアパートの階段を上がり、やっとの思いで彼女を部屋に入れた。






この間、彼女のオッパイが背中にムギュ~してるし、ドアを開けたらなんか凄いいい匂いがするしで、もう頭の中は真っピンク。



すんでのところで狼に変身しそうになったけど・・・。



(実際「こうなったら普通はやるよな」と自分に言い聞かせてもいた)



だけど、ここで寝てる彼女に手を出したら、今日の俺の“いい人っぷり”が台無しになる。






(あーあ、俺ってすげーお人良し、殆んどバカだ)






溜息まじりに自分を抑えこんで、彼女のジーパンのベルトを緩め(このときお腹の素肌に触ってまた決意が揺らぎかける)、毛布をかけ、目覚ましを探して明日のバイトに遅れない時間にセット再び耳元に「鍵は外からドアのポストに入れるよ~」と怒鳴って(それでも全然起きない)



もう後ろ髪引かれまくりで靴を履き始めたそのとき・・・。



空耳かと思えるほどの声で「帰らないで・・・」






キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!!!



急いで靴を脱いで彼女のもとへ・・・寝てる・・・。






「でも、でも、俺は確かに聞いたんだ!帰らないでって聞いたんだ!」と無理やり納得。






そーっと彼女の美しい寝顔にキスをしたのです。



高鳴る鼓動、それだけでカチコチの股間。



最初は頬に、やや於いて唇に。



驚いたことに寝ていた筈の彼女がほんの少し目を開けその表情は弱々しかったけど、俺の首に手を回してゆっくりと自分からキスを返してくれたのです。



もう止まりません、激しくキスしながらブラウスのボタンを外し、ブラの下に手を入れ、ジーパンの中にも進入ジーパンのファスナーを降ろすときなんか興奮ではち切れそう。



薄いピンクのレースのパンツの中は何とパイパン。






憧れの人あの人が、俺に身体を委ねて吐息を漏らしている。



こんな幸せがあっていいのだろうか。



俺はクーラーを点けるのも忘れて夢中で舐め、吸い、転がし彼女を愛した。



彼女が俺に身体を開いてくれたことが、信頼してくれたことがたまらなく嬉しかった。






「もう我慢できない!入れたい!」






・・・と思って身体を起こすと、彼女がやけに大人しい、確かにさっきまで苦しげな声を漏らして筈なのに???






寝てました。



すやすやと幸せそうに・・・。






「俺がヘタだから・・・」






一気に下がるテンション・・・。



ひょっとして俺と振られた彼氏を勘違いしてるのか??



だとしたら俺は身を引くべきじゃないのか?



交錯する思考、ジキルとハイドのせめぎあい。






でも目の前の彼女の美しい体にはやはり抗いようもなく、21歳のやり盛りの俺は一度はオーケーされたんだと、憧れの彼女の中にペニスを挿入したのです。



罪悪感と戦いながら(実は反応しない彼女に悲しくなって一回は萎えた)、腰を振り、胸を掴み唇を吸い、「あの女とやってるんだ」と自分を奮い立たせなんとかお腹に射精。



正直あまり達成感はなく、射精の快感も鋭くはなくむしろ罪悪感のほう強かった。






しばし茫然としたあと、彼女のお腹の精子をきれいにして、パンツと椅子にかけてあった短パンを履かせ、起きない彼女にTシャツを着せてそっと彼女の部屋を出たのでした。



外は薄っすらと明るく、電車も走ってる時間だった。



憧れの女性を抱いたという高揚感は微塵もなく、フワフワとおぼつかない足取りで帰宅。






「俺は他の男に惚れてる女を、しかも酔って寝てる間に抱いたんだ」という後ろめたさと、さっきまでの淫靡な光景とがフラッシュバックしてちょっと複雑でイヤ~な気分だった。






その日のバイトは正直行きたくなかったけど、逃げたらだめだと思いなおして出勤。



彼女どう出るかとビビってたら(ほぼ100%軽蔑されてると思ってた)、コンビニの袋にジュースを2~3本入れて彼女が歩いてくる。






まごつく俺に躊躇なく近づいてきて・・・。






「昨日はありがとう!目覚ましまでかけてくれたんだね、二日酔いじゃないかと思って、これ、飲んでね!」






昨日の泥酔がウソのように破顔一笑、ピッと右手をあげ、ポニーテールを揺らしてくるりと背中を向けて離れていく。






俺のこと怒ってないのかな?



昨日のことは覚えて無いの?



俺のこと、ちょっとは好きなんでしょ?






聞きたいことが頭を駆け回って戸惑う俺。






来たときと変わらずしっかりとした足取りで歩いていく彼女。



俺を気遣ってくれて嬉しい反面、一点の陰りも見せない彼女の笑顔が「昨日のことは忘れてね」との明確なメッセージなんだって気づいてしまい・・・。



多分、半泣きの顔で彼女を見ていた俺。






あんなに美しい女性とはその後も出会うことなく、10年後に結婚子供二人にも恵まれ、美人ではないけど明るく家庭を守ってくれてる素敵なかみさんと4人、ささやかな幸せを感じてる今の俺です。






AV顔負けのハードなセックスの話じゃなくて拍子抜けだった人はごめん。



彼女とはそれっきり話すこともなく夏は終わり、バイトは解散(プールの監視員だったのです、彼女は受付けのお姉さん)。



あの夜のことをどう思ってたのか知るチャンスは失われてしまいました。






叶うならもう一度会いたいと思うこともあるけど、かみさんに悪いし、このまま思い出の淵に静かに留めるのが、やはり一番なんだと思う次第です。