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大事なものは大事にしろ 2









「そんなことになったら、嫉妬と後悔で倦怠期なんて一発で吹っ飛びますよ。

もう絶対に相手を離さない、もう絶対に相手以外には触らせない。余計に夫婦仲が固まりますよ」




「で、でも、私、ユウくん以外の赤ちゃんなんて、産みたくないよ……」

「避妊なら大丈夫ですよ。アフターピルを持ってますから、後でお渡しします。

僕はそういう方面にもコネがあって、それだから、あんなに高い信頼度をつけて貰ってるんです」

 智香は少し考え込む様子を見せたが、入口に押し当てられている逞しいものを物欲しそうに眺めた後、

意を決したように友一に視線を寄越した。

「あのね、ユウくん……私、ユウくんがいいなら、いいよ」

 決断は友一に委ねられた。サトウも智香も、期待するように、圧力をかけるように、友一を注視している。

 駄目押しにサトウが言った。

「どうせやるなら、徹底的にやりましょうよ。

中途半端じゃ、中途半端なことにしかならなくて、却ってギクシャクしちゃいますよ」

 その言葉が決定打となったわけではない。ただ、結論自体はその論法と酷く似ていた。

 ゴムをつけた上での挿入も、中出し前提の生挿入も、挿入という点、一線を超えたという意味では変わらない。

ならば、どうせならば行き着くところまで行った方が、せめて性的興奮くらいは満たせるだろう。これが結論だった。

 友一は無言で頷いた。

「じゃあ、入れちゃいますよ。奥さん、僕のは大きいですから、力抜いてくださいね」

 友一の気が変わる前に済ませてしまおうという魂胆か、サトウは押し当てたものをゆっくりと沈めていった。

毛深い裂け目を押し拡げて、子供の腕のような凶器が潜り込んでいく。

「あっ、くぅっ……!」

 智香が苦しげに表情を歪める。

「奥さん、大丈夫? 痛い? ゆっくりするから、怖がらないでね」

 覆い被さったサトウが、優しく頬を撫で、キスを繰り返し、優しい言葉をかける。

その間も腰は進むが、少し進んでは少し戻る、という具合で細心の注意を払っている。

 友一はその光景を眺めながら、非常に嫌な連想をしてしまい、慌ててそれを打ち消そうとした。

その連想とは、彼が智香の処女を受け取った時のことだった。

あの時も、丁度、あんな風に痛がる智香をなだめながら進んだものだった。

 ただし、あの時とこの時には大きな違いがいくつもある。今の智香は処女ではないし、

あの時とは違って、声と表情には苦痛以外の甘い快感の色も混ざっている。

抱いている男の方も童貞ではなく、非常に手慣れている。

そして何より、そこにいるのは友一ではない。それが何よりも口惜しかった。

 やがて二人の下腹部が密着した。

 友一は何か取り返しのつかないことが起こってしまったような感覚に襲われながら、

裸で絡み合う二人がキスを交わすのを眺めていた。

 キスの雨を降らせながらサトウが甘く囁く。

「ほら、奥さん、全部入りましたよ」

「入った……の?」

「全部入りましたよ。どうです、生のチンポは?」

「凄く……熱い……それに、すべすべしてる……」

 熱に浮かされたような声と表情で智香が答える。

「旦那さんのと比べてどうですか」

 智香は答えず、窺うように友一を見た。言ってもよいかどうか、目で問いかけているのだ。

 友一はもう腹を括っている。歯を食い縛りながら頷いた。

 智香が喘ぎながら言う。

「凄く、大きくて……硬くて……何だか、お腹が破裂しちゃいそう……」

「大丈夫ですよ。最初は優しく動きますから。

さあ、手と足を僕に絡めて、しっかり掴まって、旦那さんのより大きい生チンポを楽しんで……」

 智香が言われた通りに手足を絡めてしっかり抱きつくと、サトウはキスを繰り返しながら、体全体を揺するように動き出した。

ベッドがゆっくりと軋み、組み敷かれた智香が苦しげに息を吐き出す。

 だが、智香の苦しそうな息遣いも、すぐに甘く穏やかなものに変わっていった。

サトウが少しずつ動きを大きくしていくにつれ、甘い声も大きくなっていく。

 腰を円運動させながらサトウが友一の方を向いた。

「キジマさん、奥さんのオマンコ、最高じゃないですか。締まりはいいし、汁気も程々だし……

生入れしたことないなんて勿体無いですね」

「や、やだ、そんなこと言わないで……ユウくんが、見てるのに……!」




「本当、名器ですよ、このオマンコ。でも、いくら名器でも磨かなきゃ宝の持ち腐れですからね。

今日はキジマさんの代わりに、僕が徹底的に磨いてあげますね」

 そう笑い、サトウは腰の動きを円運動から前後運動に変えていった。

結合部から聞こえる水音が大きくなり、それと共に智香の押し○した喘ぎも艶を帯びていく。

 友一は最愛の妻が巨大なもので体の中を掻き混ぜられている様子を茫然と見つめていた。

妻の性器の具合を評価されるなどという屈辱を受けても、現実感がなさ過ぎて、咄嗟に対応ができなかった。

 サトウが腰の動きを大きくした。もう普通の性交とほとんど変わらない動きだ。

「奥さん、大分慣れてきましたね。もう痛くないでしょう」

「うん、あっ、い、痛くっ、あぁんっ、な、ないよっ……」

「むしろ気持ち良い?」

「ぁっ、ひっ……き、気持ち、良いよぉ……」

「旦那さんとどっちが?」

「い、言えないぃっ、そんなの、言えないよぉっ……!」

「そうですか。じゃあ、今は言わなくていいですよ。それより、旦那さんと言えば……

キジマさん、繋がってるところ、みたいですよね」

 先に反応したのは智香だった。

「駄目、駄目駄目駄目ェっ! そんな酷いの、嫌ァ……!」

「奥さん、奥さんだけが気持ち良くなってちゃ、旦那さんが可哀想でしょ。

旦那さんは奥さんが僕のチンポでヒイヒイ言ってるのを見て気持ち良くなってるんだから、

奥さんも協力してあげなきゃ……ほら、見て、旦那さん、チンポ弄ってますよ」

 言われて友一は、いつの間にか、自分が股間のものを扱いていることに気づいた。

それはここ数年では見られないほどに力強く、結婚前、まだ十代だった頃のように力強くそそり立っていた。

「ユ、ユウくん……あんなに……興奮、してるんだ……私が、サトウくんと、エッチしてるの、見て……」

 智香が驚愕と失望の入り混じった眼差しを友一の顔と股間に注ぐ。

 ペニスから手を離した友一が弁解の言葉を述べる前にサトウが言った。

「だから、繋がってるところ、見て貰いましょうよ」

 そのまま上体を起こし、結合部が友一に見えやすいように微妙に体の向きを変えた。

 智香が両手で顔を覆った。

「い、嫌ァっ、ユウくん、見ないでぇっ!」

「そんなこと言ってますけど、奥さんのオマンコ、ぎゅうぎゅう締めてきますよ。見られて興奮してるんじゃないですか」

 繋がっている部分が友一の前で露わになった。

「見てくださいよ、キジマさん。奥さんのオマンコ、涎垂らして僕のチンポ美味しそうに食べてますよ」

 思わず友一は、妻とサトウの生々しい結合部分を注視してしまった。

 濃く生い茂った草叢の中に黒々とした太い肉の棒が突き立ち、出入りを繰り返している。

棒が動くたびに智香の体が震えて甘い声が上がる。

引き抜かれてくる竿には白く濁って泡立った愛液が纏わりつき、押し込まれていくと粘液が掻き混ぜられる水っぽい音が響く。

太い棒が綺麗な筋を無惨に押し拡げ、抜き差しのたびに内側に収まっていた肉を引き摺り出し、形を歪めている。

 それはあまりにも生々しい光景だった。今、最愛の妻が自分以外の男に股を開き、

信じらないほど大きなものを受け容れて雌になっているのだという現実を最も強烈に伝えてくる光景だった。

 自分しか知る者のいない穴の味を別の男が味わっている。

自分など比べ物にならないほどに逞しいものが妻の小さな裂け目を我が物顔で征服している。

そう思った瞬間、信じられないほどに勃起しているものの付け根がかっと熱くなった。

「うあっ……!」

 友一は触れてもいないのに射精していた。

勢い良く飛び出した白い液体はベッドまで飛び、丁度、智香の顔のすぐ横に着弾した。

中学生のような飛距離だった。

 これ見よがしに腰を振って智香の中を掻き回しながらサトウが言う。

「あ、奥さん、見てくださいよ。旦那さん、奥さんと僕が繋がってるところ見ただけでイッちゃいましたよ。

しかも、あんなに飛ばしたのに、まだビンビンです」

「う、嘘、ユウくん……見てるだけで……?」

 愕然とした問いかけに友一は答えられなかった。驚いているのは彼も同じだった。

自分が智香の痴態を目にして射精してしまったという事実は強烈過ぎて、それ以外のことを考えられなくなっていた。

 すかさずサトウが上体を倒して智香に覆い被さる。

「そうですよ。旦那さんは、奥さんが僕に抱かれて可愛い声を出すのを聞いて喜んでるんです」




「そんな……ユウくんが……嘘……」

「嘘じゃありませんよ。見ただけでイクなんて、本当に喜んでなきゃ無理ですよ。

だから、何も遠慮なんかしなくていいんですよ。

僕に抱きついて、好きなだけ気持ち良くなっちゃっていいんです。

旦那さんのことは気にしないで、僕のチンポで気持ち良くなっちゃってください」

 智香の返事はなかったが、絡みつく手足に力が籠もり、上げる喘ぎが一層の艶を帯びたことが、彼女の内心を端的に表していた。

 サトウの動きが激しくなった。しなやかに体を波打たせ、叩き壊すような勢いで腰が智香の体にぶつけている。

 智香はそれを悦んで受け容れているようだった。

高らかな嬌声が上がり、結合部からは下品な水音が響く。友一が聞いたことのない声、立てたことのない音だ。

「駄目ェっ、イクッ、イッちゃうよぉっ!」

「いいんです、イッてください、僕のチンポでイッて……!」

 はしたない声を上げて悶える智香をサトウの腰が一層激しく責め立てる。

智香は絶叫するような声を上げて体を反り返らせ、痙攣するように震えた。

 それでもサトウは責めをやめない。体の下で跳ね回る柔らかい体を抱き締め、無慈悲に腰を遣い続けている。

「駄目っ、やぁっ、も、イッ、イッてるのぉっ! 駄目なのぉっ、やだやだぁっ、気持ち良過ぎて怖いよぉっ……!」

 悲鳴のような嬌声を上げながら、智香が何度も何度も体を反らして痙攣する。断続的に達しているのだ。

 友一はそそり立ったものを扱き立てながらその様子を見守った。

今まで見たこともない激しい乱れ方に、今までにしたこともない激しい責め。

全てが自分以外の男に為されたことだと思うと、気が狂いそうな熱が下腹部に溜まり、呼応するように他の部分の熱が冷えていく。

 下腹部に溜まった熱が爆発して飛び出し、床に空しく飛び散った。

 荒い息をつきながら眺める先では、声と音が続いていた。

 だらしなく力を失ったものがまた硬さを取り戻し始めた頃、唐突に、サトウが繋がったままの智香ごと体の向きを変えた。

二人の尻が友一の側を向き、生々しい結合部が晒された。

 毛に覆われた筋が痛々しく拡がって太い肉棒を咥え込んでおり、

その下では、友一が今までろくに見せて貰ったこともない、慎ましい肛門がいやらしく収縮と弛緩を繰り返している。

削岩機のように肉の杭が打ちつけられるたび、尻の肉が震え、握り拳ほどもある袋が会陰に押しつけられて形を変える。

肉棒が引き抜かれると、中の肉が名残惜しげに引き摺り出され、泡立った愛液が零れ出す。

 食い入るようにその部分を見つめていると、サトウが荒々しい息遣いと共に言った。

「キジマさん、今から奥さんの中に出しますよ! 初めての中出し、よく見ててくださいね!」

 腰の動きが激しくなってしばらくした頃、サトウが「出る!」と叫び、ぐっと腰を智香に押しつけた。

 密着した結合部が震えているのを友一は見た。僅かに覗く肉棒の付け根が不気味に脈動している。

今まさに最愛の妻の体内に別の男が精液を注入している。そのことが友一には痛いほどにわかった。

「奥さん、中で出してますよ。わかりますか」

「あ、熱いっ、熱いのがっ、びゅっびゅって……」

 うわごとのような声を智香が上げる。

 下腹部が熱くなり、熱が爆発する。震えるものから精液が飛び散り、ベッドを汚した。

 友一のものが力を失っても、サトウの射精はまだ続いていた。力強く脈動して智香の中に精液を注ぎ続けている。

 友一の何倍もの時間をかけてたっぷりとした射精を済ませたサトウは、

余韻を楽しむように腰を動かした後、ゆっくりと腰を引いた。

まだ硬さを保ったままの巨大なものが、内側の肉を引っ張り出すようにして姿を現した。

 ぐちゃぐちゃになった筋はぽっかりと口を開け、そこからは半ば固形物のような白濁液が見えていた。

「あ、ああ……」

 友一はまだ手の中でペニスが硬くなっていくのを感じながら、茫然とその破滅的な情景を眺めた。

 サトウが智香の背後に回り、後ろから抱えるようにして支え起こす。

全身を火照らせて汗だくになった智香が、友一と向かい合った。

「や、やだぁ、ユウくんに、見られちゃうよぉ……」

「見せてあげた方が旦那さんも喜びますよ。さあ、たっぷり中出しされちゃったオマンコ見せてあげましょうね」




 智香の胸を後ろから我が物顔で揉みしだきながら、サトウが微笑む。

「ほら、見てください、キジマさん。凄く具合がよかったんで、奥さんの中にこんなに出しちゃいました。

僕のは濃いから、ひょっとすると出来ちゃうかもしれませんね。まあ、ピルがあるから関係ないですけど。

さあ、奥さん、旦那さんに、初めての生入れ中出しの感想を聞かせてあげてください」

「ユ、ユウくん……」

「……智香っ!」

 蕩けた顔で智香が友一を見る。

「ごめん……ね。ユウくん以外の、人に……されて、気持ち良く、なっちゃった……

訳がわからないくらい……良く、なっちゃったの……ユウくんのじゃない、おちんちん……を、

ゴムをつけないで、入れられちゃって……ユウくんにもして貰ったことないのに、

中で、精液、出されちゃったの……ごめんね……ごめんね……」

 聞きたくない。そう思いながらも、なぜか友一は、遮ることも、耳を塞ぐこともできなかった。

「初めての生チンポどうでした? 僕のチンポは良かった?」

「す、凄く、良かった……サトウくんの……おっきくて……硬くて……ごつごつしてて……

お腹の中、一杯で……良いところに、一杯、当たって……」

「僕のチンポ、好き?」

 智香が顔を真っ赤にしながら小さく頷く。

「ちゃんと言葉にして欲しいな」

「……好き」

「何が?」

「……ううっ……サ、サトウくんの、おちんちんが……」

「嬉しいなあ。それで、初めての中出しはどうでした」

「中で……おちんちんがびくびくってなって……ぎゅうって抱き締められて……

熱いのが一杯出てきて、お腹の中が温かくて……気持ち、よかった……」

「またされたい?」

「……うん」

 もういいだろう。智香を返してくれ。そう言おうとするよりも早く、ぐったりとした智香をサトウがそのまま抱え上げた。

水っぽい放屁のような音が鳴り、股間から白く濁った体液が零れ出す。

「じゃあ二回戦目いきましょうか。いいですよね、キジマさん」

 友一は咄嗟のことに、半ば反射的に首を縦に振ってしまった。

妻が雌になる姿を、今までに見たことのない姿を、もっと見たいと、

心の片隅で思っていたのが表に出てしまったのかもしれない。

 その体液を滴らせる部分がゆっくりと動いていき、体液に塗れて光りながら猛る黒々とした肉の棒の先に触れた。

あれよあれよと言う間に尻が下ろされていき、その大きなものが肉の裂け目を再び押し拡げながらめり込んでいった。

 サトウの膝に乗って友一に向かって脚を開くような形で、二人が再び繋がった。

 サトウが腰を遣って突き上げ始めた。酔っ払いでもしたかのような嬌声が上がった。

「あひぃっ、そんなっ、んっ、ゆ、許してぇ……こ、こんなの、ユウくんに、全部、見られちゃうぅっ!」

「見て貰うのに意味があるんですから、いいじゃないですか。ほら、奥さん、まだまだ硬いでしょ。

これが軟らかくなるまで気持ち良くしてあげますから、楽しみにしててください」

 割り込むタイミングを逃した友一は、どうすることもできなかった。

涙目になって顔を引き攣らせて椅子に座り、

妻の体内を貫いているものに比べれば惨めとしか言い様のないものを握り締めることしかできなかった。

 目の前では貫かれて乱れる妻の全身が躍っていた。

友一の目には、智香が自ら腰と尻を振っているようにすら見えた。

「キジマさん、奥さんの筋みたいなオマンコ、

元に戻らないくらいぐちゃぐちゃにしてから返しますから、楽しみにしててくださいね」

 悪魔の笑い声が聞こえた。










 サトウと智香の交わりは延々と続いた。肉と肉がぶつかる音。粘り気のある水音。荒い息遣い。

甲高い嬌声。甘えるような声。ベッドが軋む音。こうした情交の艶めかしい音が途絶えることはない。

 上になり、下になり、右から左から、前から後ろから、サトウが智香を責め立て、智香が快楽に蕩ける様を見せつけられた。

恥ずかしいからとずっと拒まれていた騎乗位や後背位も見せつけられたし、

その際には、やれ「奥さんのお尻の肉最高ですよ」、

やれ「お尻もいいですけど、太腿が腹に当たる感触も気持ちいいですよね」と、聞いてもいないのに感想を語られさえした。

サトウの腰に跨って腰を振り、友一に向かって四つん這いになってサトウに尻を捧げ、

智香は快楽に叫び、注ぎ込まれる精液を悦びの声を上げて飲み込んだ。




 友一は悪夢のような時間の中で、最愛の妻が他の男によって雌にされていく様を凝視し、

憑かれたように股間のものを扱き立てていた。半ば腫れ上がって疼きと痛みを発するそれは、

既に何度も精液を放ち、最早出すものなど残っていないにも関わらず、一向に収まる気配を見せない。

 正上位で絡み合う二人が体の向きを変えて友一に尻を向け、結合部を見せつけた。

射精の予告だ。サトウの動きと共に情交の音が一層激しくなり、やがて一気に終息に向かった。

 既に何発も撃ち出しているのに逞しさを保ったままのペニスが震え、

涎を垂らして絡みつく肉の穴に大量の体液を注ぎ込んでいくのがわかった。

 組み敷かれた智香の手足はしっかりと絡みつき、サトウを受け容れ、求めている。

「あ、ああ、出てる……まだこんなに、沢山……熱いの……これ、好きぃ……」と夢見心地で呟きながら、体を震わせている。

 友一からすれば冗談としか思えない長い射精を終えたサトウが上体を起こした。

「あんっ、待って、タロウくん……離れちゃ嫌ァ……」

 抗議の声を上げて智香が手を伸ばす。

 その手に導かれるままに上体を倒し、キスの雨を降らせながらサトウが甘く囁く。

「そろそろ交代してあげないと旦那さんが可哀想だよ、トモカ。

旦那さんの相手もしてあげなよ。そうしたらまた可愛がってあげるから」

 いつの間にか、その口調からは丁寧語が消え、呼び方も名前に変わっていた。

智香も同様で、サトウのことを名前で呼ぶようになっていた。

 酷く親しげな二人の態度からは、肉体の距離だけでなく、心の距離までもが縮まっていることが窺い知れた。

間に何も入り込めない、密着状態と言えるほどに。

 智香が甘ったるい声で言う。

「でも、タロウくんの、まだ硬いよ……もっと……欲しい……」

「旦那さんはいいの?」

「だって……」

「あれ、もしかして、旦那さんのチンポより俺のチンポの方がいいの?」

 智香は何も言わずに友一を一瞥した後、何かを堪えるように目を逸らし、微かに頷いた。

「そうか。トモカは旦那さんのチンポより俺のチンポの方が気に入っちゃったんだ」

 智香が再び頷く。

「ちゃんと言葉にして欲しいな。旦那さんにも聞こえるように、はっきりと言ってご覧。でないと抜いちゃうよ」

「そ、そんなの、言えない……」

「今は正直になっていいんだよ。その方が旦那さんも興奮するから……ね。

言ってくれたらまたたっぷり可愛がってあげるよ。こんな風に」

 囁きながらサトウが腰を軽くくねらせる。サトウの下で智香が悦びの声を上げた。

「ほら、こんな風にしてあげるから」

 友一は固唾を呑んで智香の反応を待った。既に勝敗は明らかだったが、

智香が敢えてそれを言葉にして形にするのかどうか、そのことが自分と智香の関係の、

決定的な分岐点であるように思えた。

「……タ、タロウくんのお、おっきい、お、おちん……ちんの方が……好き、なの……ユウくんのじゃ……駄目……」

 この瞬間、初めての生挿入や初めての中出しをサトウに奪われた時以上の衝撃が友一に襲いかかった。

何か決定的なものに亀裂が入ったのを彼は理解した。

「旦那さんのじゃない方が好きなんてやらしいね、トモカは。

じゃあ好きだって言ってくれたことだし、たっぷり気持ち良くしてあげるよ。

あ、そうだ、旦那さんに謝っておかないと駄目だよ。今日は俺とエッチするから相手をしてあげられませんって」

「う、うん……」と頷き、申し訳なさそうに友一の顔を見た。「あの、ごめんね、ユウくん……

私、タロウくんとするから、今日は、その、相手をしてあげられないの……ごめんね、本当にごめんね……」

「お、おい……」

 あまりのことに友一が何かを――それが何かは本人にもわかっていなかった――口走ろうとするも、

その発言はこの場の誰にも待ち望まれてはいなかった。

「よく言えたね、偉いよ、トモカ」

「は、恥ずかしかったよぅ……」

 二人は甘い声をかけ合いながら、水気に富んだキスを交わし、そのまま絡み合った体を蠢かせ始めた。

 友一の口から出かけた言葉はそのまま消えた。

 腰を遣って智香を責め立てながらサトウが言う。

「ねえ、トモカ。今日だけなんて勿体無いと思わない? また逢いたいと思わない?」

「え……でも……」

 ちらりと智香が友一を見る。

「旦那さん抜きでさ、俺と二人で一日中気持ち良いことしようよ。

トモカの大好きなチンポで、沢山気持ち良くしてあげたいんだけど、駄目かな」

「そ、それは……嬉しいけど……ユウくんに悪いし……」

「旦那さんがオーケー出せばいいってこと?」

 智香が無言で頷いた。

 

「だそうですよ、キジマさん。僕達が二人で逢ってセックスするの、許可してくれませんか」

「お、お前、ふざけるのもいい加減にしろよ! 触るだけっていう最初の約束も破って……

挙句にまた会わせろだって? 冗談も大概にしろ!」

 組み敷いた智香を啼かせながらサトウが涼しげに応じる。

「全部キジマさんがオーケーしたことじゃないですか。おまけにオナニーまでしといて……

自分が許可出しておいて、後になって結果に納得できないから怒るなんて、そんなのないでしょう。

トモカがこんな風に僕のチンポを好きになったのも、全部あなたが悪いんですよ。自業自得です」

「あっ、んぅ、ユ、ユウ、くん……」

 激しく貫かれながら智香が友一を呼ぶ。

「な、何だ、智香、どうしたんだ」

「ね、ねえ、お願い……私、今日だけじゃ、嫌なの……またタロウくんに、逢いたいの……お願い、許して……」

 友一の思考は、一瞬、真っ白になった。

 今まで我儘一つ言わなかった智香。

 いつも彼の後ろに隠れていた智香。

 もう少し自己主張をするようになればよいと思っていた智香。

 自分の言うことを聞いてばかりでなく少しは我儘になってもよいと思っていた智香。

 その智香が、知り合い、想い合い、愛し合ってから初めて、我儘を口にした。初めて、自分に逆らった。

 その今までずっと友一が待ち望んでいた瞬間は、しかし、最も残酷な形で彼の元に訪れた。

 決定的な亀裂がどんどん広がっていくのがわかった。もう修復はできない。

「あっ、でも、でも、タロウくんにして貰わない時は、ちゃんとユウくんにもさせてあげるから……」

 して貰う、と、させてあげる。

それは智香の心の中で友一が占める位置の決定的な変化をこれ以上ないほど端的に示したものだった。

 もう本当にどうしようもないのだ。友一は眩暈を感じて椅子に背を預けた。

 息苦しさを振り払うようにして二人に告げる。

「……ああ、いいよ。もう、好きにしろ」

 返事は言葉ではなかった。激しい情交の音と、智香が上げる歓びの声だった。

「トモカ、もし出来ちゃったら、俺の赤ちゃん産んでくれる?」

「ひっ、ん、でも、ユウくんが……」

「旦那さんが、じゃなくて、トモカはどうしたい?」

「う、産みたい……タロウくんの赤ちゃん産みたいよぉ……」

「そう。じゃあ、ピルはトモカにあげるから、どうするかは二人で決めてね」

「うん、うんっ、わかったよぉっ、ユウくんにお願いして、許して貰えるように、頑張る、ねぇ……」

 男女の音に混じって聞こえてくる心を削るような会話は、友一には全く意味の理解できないものだった。

わかっているがわからない。聞こえているが聞こえていない。無意識が理解を拒絶している。




 友一は目の前で絡み躍る肉体を茫然と眺めながら、この破局の原因を考えた。

 結局、悪いのは友一自身だったのだ。

 倦怠期に根気強く向き合うのではなく、即効性のある劇薬に安易に手を出した怠け心。

 他の女を抱いてみたい、他の男に抱かせてみたい。そんな性的好奇心を満たすために、神聖な夫婦の絆を踏み躙ったこと。

 いくつも破滅を回避する選択肢を提示されていたにも関わらず――考えてみれば、いつも決めたのは友一で、

サトウは決断そのものは常に友一に委ねていた――好奇心を自制心で押さえられず、それを選べなかったこと。

 何もかも責任は友一に帰する。悪いのは彼自身だった。

 これは自分の救いがたさに与えられた罰なのだ、と彼は思った。

だから、甘んじて受け入れよう。智香に他の男に抱かれるように強いた以上、それで生まれた結果は全て引き受けよう。

智香が他の男との関係を望むなら、目覚めさせてしまった責任を取ろう。

貴島智香という清楚で真面目な女を破壊してしまったツケを支払おう。

友一はそう決心した。

 だが、自分一人が報いを受けることに納得できるほど、友一は器の大きい男ではない。

彼は自分が報いを受ける以上、他の連中も報いを受けなければ納得がいかない。

 携帯電話から例のスワッピング募集サイトにログインし、T・Sのプロフィールページを開く。

信頼度評価画面を開き、評価を入力する。

「最高」にチェックを入れ、「ペニスサイズもテクニックも言うことなし! まだ若いのに凄い人です。

妻と一緒に今までにないくらい燃え上がりました。

妻も何度もイカせて貰ったと大喜びです。良い体験をさせていただきました」と感想文を書く。

 T・Sは夫婦や恋人の絆を踏み躙る馬鹿共のために用意された報いだ。

そういう連中は精々、高評価のスワッピング相手を探し出して最愛のパートナーを差し出し、一生残る悔いを抱けばよいのだ。

 評価を送信した友一は携帯電話を投げ捨て、手で顔を覆い、声を上げて泣いた。

 ベッドの上では鳴り止むことのない男女の生々しい音が響き続けている。












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