大好きだった彼氏に浮気された上に、相手の女に彼氏を寝取られた姉。



姉は仲間由紀恵似の美人で、今時珍しくクソ真面目で一途な感じ。



自慢の姉なだけに可哀想で、弟としてちょっとした悪戯心とサプライズの気持ちで慰めるパーティーをしたんだよね。



姉が居ない間に俺の部屋を掃除して飾り付けしてケーキを買ってきてさ、プレゼントも用意したりして、変な気持ちは一切無いの。



本当に照れ隠しというかね、振られた姉を茶化して少し元気をつけて欲しかったからさ。






初恋の相手は姉だったけど、それは小学生低学年の時の話だし、女性として性的に意識した事は一切無い。



実際、下着姿とかで歩かれると微妙な感じさえするしね。






学校から帰ってきて部屋に引きこもろうとする姉を呼び止める。



最近は落ち込んでて、部屋で一日中引きこもって思い出し泣きしたり、そのくせ学校にはちゃんと行くからさすが真面目だと思う。






姉「なに?」






どんよりした顔の姉を強引に部屋に連れていき、中に入れる。






姉「トオルちゃん・・・これ・・・」






飾り付けられた部屋と中央のケーキ(『姉頑張れ』の文字)を見て泣き始める姉。






俺「いつまでも泣いてんなよ!美人なんだから男なんてすぐできるよ!」






姉「ええええん、ありがとうトオルちゃん!」






抱きついてきて号泣する姉。



正直軽いノリだったからマジ泣きで感動されてビックリした。



しばらく抱きついたまま、泣き続ける姉を抱きかかえる形で座って慰めること1時間位。






「そう言えばトオルちゃんは昔から私が怒られたりして泣いてるとずっと側にいてくれたね・・・」と思い出話にシフト。






自分でも意識はしてなかったけど、そういえばそうかなと思う。



まあ、お姉ちゃん子ではあったと思う。



年は5つ近く離れてるしね。



優しい姉で喧嘩したことも無いし、姉は何でも自分が我慢して俺にくれるような人だから、おやつのドーナッツとかでも自分は一口食べて、残りをもう全部食べて物足りなさそうにしてる俺にくれたりとか、正月のお年玉が意外に少なくて買おうと思ってたゲームが買えなかったときも自分のを少しくれたっけな。






姉ちゃんが初めて彼氏を家に連れてきた時は本当に失恋した気持ちだったと思う。



まだガキだったけど、(盗られた!)って凄い悔しかった。



まあ、こうやって書くと“姉ラブ”みたいだけど、別にそれは姉弟としての感情だった。






姉「私トオルちゃんみたいな彼氏がよかったなぁ・・・」






だから散々泣いた後にケーキ食べつつこんな事言われた時は笑ってた。






ところが、どうも姉は本気でそう思い始めてたみたい。



その翌日から姉の攻勢が徐々に始まる。



まず、メールの頻度が増えた。



今までは、『帰りにプリン買ってきて』とかのやり取りはあったけど、すごい他愛もないメールがバンバン来るようになった。



家に居ると俺の部屋に来てTV観たり、昔よく遊んだみたいにベタベタとスキンシップが増えた。



大人っぽかった姉がなんか急に小学生みたいな甘え方をするようになった。






「トオルちゃんって、いつの間にかこんなに大きくなったんだねぇ」とか言い出して寄っかかってきて、子供がお父さんの胡坐の上に座るような感じで俺の手を回して俺が抱っこするような感じでTV観たり。






「なんだよ、うっとうしいなぁ」とか言うとスネる・・・。






まあ可愛いといえば可愛いんだけど、姉の変わり様にちょっとどうしたのかなと思ってた。






んで、いよいよ変だなと思わざるを得ない事が起こった。



一応俺も彼女いるんだけど、休日約束して出かけようとしたら、「私も一緒に行く!」とか言い出した。






「え、どこの世界に姉同伴で彼女とデートする奴がいるんだよ・・・」






ドン引きしてると、「やだ!ヤダ!一緒に行く!トオルちゃんの彼女と遊ぶ!」と子供みたいに駄々っ子。






(お前大学生だろ・・・)






それを見た母が心配して、「お姉ちゃんあんな事あったばかりだから、不安定で寂しいのよ。気分転換に連れてってあげなさい」とか言い出すの。



思わず自然に、「どんだけー」って言っちゃった。






つーことで仕方ないから彼女にメールして、急遽“買い物→カラオケ→ラブホ行き”が、“買い物→カラオケ”に変更。



前々から俺の姉ちゃんに興味津々だった彼女がノリノリだったのが救い。



なんつーか会わせたくないのよ。



凄い恥ずかしいの、彼女を姉に紹介するのって。



また、結構嫌がる子も多いんだよね、意外と彼氏の姉ってさ。






姉「はじめまして。トオルちゃんの姉の由紀恵です!」






なんかやたらテンションが高い姉。



俺からすると、アンタ誰?状態。



俺の男友達とかから、「姉ちゃん仲間似の美人」って聞いてたから、どんな人が来るのかな?とちょっと緊張してた彼女もホッとしたのかすぐに意気投合。



女2人にあちこち引っ張り回されて大変だった。



一応、『彼氏に二股かけられてふられたから、色々変だから察してあげて』ってメールしておいたのが効いたのかも知れない。



彼女が姉ちゃんに凄い優しいのwいい子だわいw



俺の目に狂いはなかった、と2人の微笑ましい姿を見て和んでた。






んで、あんまりにも仲良さそうに洋服とか選んでたからなのか、店員が「仲が良いですねwお姉さんですか?」とか言い出す。



彼女は姉と姉妹扱いされた事が嬉しいらしくて、「えーそう見えますか?嬉しいなぁw」とか言い出す。






姉「ふふふwやっぱりトオルちゃんの女の子の趣味って私系列かなぁw」






俺「おいおい!変な誤解を生みそうな発言はやめてくれよ」






マジそれって彼女的にどうなんだよ?と思って彼女の方を見ると・・・。






彼女「あーやっぱりトオル君の初恋ってお姉さんなんだwお姉さん美人だもんねぇw」






姉「やだぁw彼女ちゃんそんなことないよぉw」






満更でもない姉・・・(だから誰だよそのキャラ)。






確かに、彼女も黒髪ストレートだけどよ。



別に彼女選ぶ時、意識はしてない。



実際一つ前の彼女はちょっと茶髪だったし・・・天パだったし・・・すぐ別れたけど・・・。






姉「そっかー彼女ちゃん、確かに良く見ると私に似てるかもねぇ・・w」






マジマジと彼女を見る姉。






姉「じゃあ本当の姉妹になっちゃおうか?w」






彼女「あーそれ嬉しいかもw」






一人っ子の彼女もノリノリ。






姉「妹よ!」






彼女「お姉さま!」






なんか2人とも悪乗りして両手広げて今にも抱きつこうとするような動き。






俺「それはなんか種類が違うぞ!」






姉「やだートオルちゃん突っ込み上手い~w」






俺「あのな~」






んで、その後のカラオケも彼女と姉が楽しげに、『ガラガラへび』(古い・・・)とか、『仮面ライダーのテーマ』(どんだけー)とか歌いだして、2人だけで盛り上がってんの。



姉はともかくとして、彼女がなんでガラガラへびとか、ましてや仮面ライダーの初代のテーマが歌えるのか謎だったけど・・・。






彼女を送って2人で家に帰る頃になると、姉の声はすっかりガラガラ声になっててさ。



適当にカルピスサワーとか飲んでた姉はほろ酔いで、「はははwワダジノコエガガラガラヘビw」とかずっと一人でツボに入って繰り返して笑ってんの。






俺「姉ちゃん調子に乗って飲みすぎ!うかつだぞ!」






姉「ははwウカズだっでwガンダムかお前はw」






俺「それを言うならアムロだろ。大体なんで姉ちゃんがガンダムのネタ知ってんだよ」






姉「あだじジャアよりガイ君がずき」






俺「聞いてねーよそんなこと。だいたいジャアってだれよ?炊飯器の事?」






どうやら隠れガンダムファンだったようで姉の意外な一面を知る。



それからずっと家に帰るまでガンダムの話。



まあ、俺も結構わかるんだけどね・・・姉の方がディープだった。






大変だったけど、こんな風に無邪気にはしゃいでる姉を見たのは久しぶりで、ちょっとは気分転換になって良かったのかなと思ってた。



んで、家に帰ると玄関先でぐでーんってなって動かないの。






俺「おい、こら!こんな所で寝ちゃダメだろ!」






姉「うーん・・・ぬぐうううう~」






もうなんか唸ってるような声。






俺「なに言ってるかわかんねーよ」






姉「ぬぐのぉおお!お母さ~ん」






急に母親を呼び始める姉。



しかし父と母はまだ帰ってきてない。



2人とも報道関係で夜遅くまで仕事している。






俺「母ちゃんたちまだ帰ってないよ。ほらブーツ脱いで」






姉「うー」






俺「もう・・・めんどうくさいなぁ・・・」






とりあえずブーツを脱がす。



その間にも姉はウトウトしだす。






俺「ほら、いい加減着替えないとシワになるぞ・・・。お風呂は?!」






姉「やだ!」






凄い子供みたいに拒否。






俺「ほら起きて、自分の部屋に行って寝ろよ」






姉「やだ!」






俺「じゃあどうすんだよ?」






姉「だっこ!」






俺「えー」






姉「だっこ!」






仕方なくおぶって二階に運ぶ。



結構身長あるので重い。



すると首を締めるみたいにギュウギュウ抱きついて、「う~んむにゃむにゃ」と首筋あたりに頬擦りしてくる。






俺「ほら!部屋に着いたぞ!服くらい自分で脱げ!」と、ベッドに放り込む。






姉「きゃっ!も~、ブツブツ・・・」






なんか文句言ってるけど放っとく。



文句も言いつつも、やっぱり寝苦しいのか服を脱ぎ始める。



それを見て慌てて出て行こうとすると、姉に「うー!」と服の袖を引っつかまれる。






俺「なんだよ!」






姉に「いっしょ!」






俺「はあ?」






姉「いっしょ!」






俺「わけわかんねーこと言うな!」






姉「やだ!」






俺「どうしたんだよ、もー・・・」






ベッドの脇に座ると急に抱きついてきて、胸元に潜り込むように顔を擦り付けてくる。






姉「グスっ・・・」






俺「姉ちゃん・・・泣いてんのかよ・・・」






子供みたいに駄々っ子かと思えば急に泣き出す。



こんな姉じゃなかっただけに本当にビックリする。



本当に好きだったんだなぁ、彼氏の事・・・。



そう思って可哀想になって背中をポンポンとしてやる。






俺「な、寝るまで一緒にいてやるからもう泣くな」






姉「・・・一緒がいい・・・」






俺「えっ・・姉弟でもそれはちょっと不味いよ・・・」






姉「やだ・・・」






俺「じゃあ寝るまでだぞ」






姉「うん・・・」






2人でベッドに入る。






姉「腕枕して・・」






姉にねだられて腕枕をする。






姉「やっぱりトオルちゃんみたいな彼氏がよかった・・・」






俺「すぐいい人見つかるって」






姉「・・・私は、トオルちゃんがいいな・・・」






俺「ばか・・・」






姉はその後もグリグリ抱きついてきて、そのまま寝てしまった。



俺もなんか疲れててそのまま寝てしまった。






<続く>