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イヴとなった妻(長編)








 夫の私が言うのも変ですが、今年36歳になる妻はかなりの美人です。スタイルもよく、胸が大きいため、買い物に行ったり、街を歩いたりしていても、中年男性にじっと見られたり、若い男につけられたりしています。夫であるわたしが一緒のときでも、男たちの妻に対する視線を感じることがたびたびあります。

 

 











 職場で出会った、私達の関係も12年。3年ほど付き合いましたから、私達の結婚生活も9年になります。私はそのころ、バツイチでした。出会った時の24歳の妻は、驚いたことにバージンでした。厳格な家庭や、複数の年の離れた兄たち、それに慎み深い妻の性格から、そんな驚くべきことになったのだと思います。美人であるがゆえに、どこでもとても目立つ24歳の女性が未経験だとは・・・。



 あまりの感激に、私は妻を女性として磨こうと考えました。そのときは結婚するかどうかも分からなかったのに、6つ年上の私なりに、妻に惚れ込んだと言うことでしょう。逢瀬の際には、全身に美白ローションを塗ったり、安全かみそりで体毛を剃ったり、胸を大きくするようにマッサージしたり・・・。奥手の妻の羞恥を一枚ずつはがすようにしながら、妻を愛で、愛してきました。最初にお話したような魅力的な人妻になったのは、少なくとも数%くらいは自分の手柄であると自負もしています。





 1年ほど前、妻が高校時代のクラブの集まりに出席しました。結婚してから、妻がそのような集まりに参加するのは、初めてのことでした。一番下の子供が小学校に行くようになって何となく、ひと段落着いたという安堵感からかも知れません。結婚してから、妻を狼たちの群れの中に放すのは初めてでしたから、私としてはずいぶん気にしていました。長い年月、魅力的に育ててきた妻なのですから。



 集まりは昼間だったので、妻が帰ってきたのは8時ころでした。妻が帰ってきたとき、とてもほっとしましたが、妻にはそんなそぶりは見せませんでした。同時に少し物足りない感覚がありました。それこそが、このサイトを毎日のように訪れる、私の性癖の片鱗なのでしょうが。



 その夜子供たちが寝てから、妻とベッドに入り、今日のコトを聞き出してゆきました。その日はたぶん、何もなかったのでしょう。自然に、話は昔のことに移ってゆきます。高校時代はほぼ毎週、ラブレターをもらっていたこと。高校3年、車でOBの先輩に自宅まで送ってもらったとき、無理やりキスをされたこと。驚かれるでしょうが、そんなことすら僕には言ったことがないくらい、妻はつつましい性格なのです。



 高校1年のころから、繰り返し妻に手紙を送ってくる男が居たそうです。その男は学校で出会っても挨拶をするくらいで、話しかけてきたり、しつこくされたことは一度もなかったそうです。ほぼ一ヶ月に1~2通、彼は手紙をよこしていたそうです。それは高校の間中続きました。そんな男は粘着質で、オタクっぽい男なのだろう、とたいして考えもなく僕が言ったら、妻はムキになって否定します。

 「そんなことはないわ。彼はごく普通の子だったわ」

 「いいえ、それどころかとても優秀で、それもガリベンタイプでなくて、とても知的な感じ」

 「わたしは一度も彼を好きになったことはないけれど、彼はずっとわたしを褒めてくれていたわ」

 「褒めてくれると言うより、いつもわたしを見ていて、賛美してくれる感じ」



 高校を卒業してからも、彼の手紙は頻度が少し減るくらいで、続いたそうです。それはお互い別の学校で学生になってからも・・。





 「わたしが携帯を持つようになると、手紙を通じて自然に番号を教えあったの・・」

 「直接親しく話をしたことはないけれど、電話を通しての、とても親しい友達って言う感じ」

 「いつの間にかわたしも、彼を親友だと思っていたし、彼もそう思っているはず」

 「あなたとは12年間だけど、彼は20年間、ずっとわたしのコトを想ってくれてるの。もちろんわたし、彼に男に寄せる好意や恋愛感情を抱いたことは一度もないわ」

 彼はずっと、計ったように月1回、携帯で連絡をくれたそうです。その内容はといえば、日常起こったことに混じって、5割以上はもう何年も会っていない妻を、賛美することのようでした。(そのころはまだ、わたしたちは結婚していませんでした。)



 私と付き合い始めてからも、彼との定期連絡は続けられていたのでした。そして、結婚してからも・・・断続的にではありましたが、妻と彼は電話で長話をしていました。妻はまるで、女友達からかかってきたかのように彼からの電話を扱いました。メールも使っていますが、不思議なことに、定期的は電話でのやり取りは続けられていました。もしそのことで私が嫉妬するとしたら、それはあなたが下品だからよ、と、聞いたことはありませんが、まるでそうすぐ言い返されてしまいそうなほど、妻はまったく意識していない風でした。





 『他の男から誘惑されたとき、イヴの心の平衡は破れる。イヴはアダムとの安全な関係のみでは我慢できなくなる。そして・・』



 私は、数年前から、「妻が他の男に抱かれる」という妄想に興奮を覚えるようになりました。ここにお集まりの方々に、その詳細をお話しする必要はないでしょうが。



 バージンの時から、大切に磨いてきた妻を、他の男の目にさらす。他の男を知らない妻を、野獣たちの手にゆだね、思い切りいやらしいことをさせる。そして何より、そのときの妻の気持ちを、苦悩と快楽を想像して、私はとても興奮するのです。



 1年ほど前から、妻は彼と会いたいと言うようになりました。その人の事は愛してはいないが、直接あって話をしたい。それも、あなたなしでゆっくりと。彼に会いたいと言い始めた頃から、私はセックスの最中に、彼の話題を出すようにしました。

 「その人と会ってセックスするのか?」

 「そんなことはありえないわ。彼は親友ですもの」

 妻は最初、怒ったように言いました。

 「あなたはいやらしいから、そんなことが言えるのよ。男と女の間でも、ちゃんと友情は成り立つものなの」

 でもその夜は、彼の話題を出したことで、いつもより濡れているような気がしました。



 何ヶ月かに渡り、そんな会話のジャブを交わすうちに、セックスのときは彼のことを話すのが、私たち夫婦の習慣となりました。





 最初のうちは、

 「彼と会って、ホテルに行く」

 「彼の前に裸を晒す」

 「彼にお尻を見せる」

 という程度の言葉でも、妻は間違いなく、これまでより興奮するようになりました。そうなってしまえば、夫婦の間ですから、エスカレートしてゆくのが当たり前です。





 妻が夢想して悶える相手として、妻を20年も一途に想い続けている男以上の適任者がいるでしょうか。



 「彼の前にひざまずく」

 「彼のペニスをしゃぶる」

 「彼の玉を愛おしそうに舐める」

 「彼のお尻の穴をおいしそうに舌で味わう」

 そう言いながら、妻に私に対してそれをさせると、もともと余り積極的ではなかった妻が、情熱的にフェラチオするようになりました。彼に舐められているよ、と言いながらクンニしてやると、おびただしい愛液を滴らせるのです。2~3ヶ月で、彼は格好の「言葉攻め」の材料になっていたのでした。



 そのうち私の誘導に乗った形で、妻は自分から、

 「彼のペニスが欲しい」

 「あなたにしてあげたことを、全部彼にもしてあげる」

 「あなたにもしたことのない、いやらしいことをしてあげる」

 「彼のペニスにひざまずいて奴隷になる」

などと言い始めました。

 一度口に出して言ってしまえば、いつも自分から彼を持ち出して私を興奮させ、妻自身もたいへん興奮するのでした。しかし、日常生活の中では、妻はまったく今までどおりに見えました。



 彼はすっかり私たちの媚薬になりました。いや、媚薬になった程度と考えていたのは、私だけだったようです。今考えれば、妻の中で彼の存在は、どんどん大きくなってしまったようでした。とてもいやらしい意味で。





 ある日の夕食後、妻が落ち着いた感じで、友達と一泊旅行に行きたいと言いました。妻は言わなかったのですが、その友達は彼だと、すぐに分かりました。聞いてみると罪悪感もないように、彼なのだと言います。二人きりで行くのかと言うと、平然とそうだと答えます。



 「それでも、あなたが思っているような事は絶対にないわ」

 「彼は紳士だし、わたしをとても大切に思ってくれているの」

 「彼は大事な友達だし、彼はわたしに敬意を払ってくれているように、わたしの結婚生活や人生にも敬意を払ってくれているの」

しばらく落ち着いて話していましたが、私が

 「そうは言っても男は狼なんだから・・」

と言いかけると、妻は少しむきになったように、

「自分が他の女性をいやらしくしか見れないから、彼の気持ちが分からないのよ」

と、私に対する口調としては、かなり強く言い放ちました。それでその話は終わりでした。



 その日、どちらともなく誘い合って、ベッドに入りました。愛撫を始めてすぐ、私は先ほどの話を蒸し返しました。



 「旅行のとき、彼にしてもらうんだろう」

 「そんなことはありえない、彼は紳士よ」

 「その紳士を、そのいやらしいカラダで誘惑するんだろう?」

 「違う、違う、私たちは・・・」



 妻の好む愛撫を加えながら、そうやって妻を追い込みます。



 やはり、彼と実際に旅行する話をしたせいか、妻の抵抗は強いものでした。何度となく、セックスの最中に彼を話題にしてきたのに、いまさらと感じるくらいでしたが、妻の困ったような、怒ったような表情がたまらなくて、エスカレートしてゆきました。



 「ほうら、こうやって、胸を彼に揉まれちゃうんだろ?」

 妻の耳元で私の顔が見えないように気をつけながら、乳房をいじります。

 「どうして、そんなことばかり・・・」

 「ほら、彼に耳の中に舌を入れられるんだろう?」

 「・・いや、そんなことしないわ・・」

 「舐められて、震えて、いやらしい声を上げるんだろ?」

 「・・もう、・・だめよ、言わないで・・」

 「こうやって、足を開かされて濡れちゃうんだろ?」

 みっしりとした太ももを広げ、お尻の方から撫で回します。

 「ああん・・ん・・」



 「・・あなたは彼のことを知らないから、いやらしいことばかり・・」

 「そんなコト言いながら、彼のペニスを握るんだろう?」

妻の手を、股間に導きながら尋ねます。

 「・・しないわ、しないわ・・」

 「ほうら、彼のペニスも、熱くて太くなってるだろ?」

最初は拒絶しますが、2、3度繰り返すうちに、妻の手がやわやわと動き始めます。



 「彼の手が、体中を這い回るんだよ・・」

 「・・違うの、彼はそんな・・・」

 「ほら、彼の手がオマンコに近づいて来たよ」

 「ああん・・、やめて・・」

 「だってそういいながら、脚を開きっぱなしだぞ」

 「・・!」



 さっき割り開いた両脚は、そのまま天井に向け開かれたままだったのです。妻は自分がどれくらい感じているのか、今の一言で自覚したようでした。



 「・・あ、ああ・・もう、彼のコトは言わないで!」

 「・・なぜ?彼の事を考えて、感じちゃうからだろ?」

 「ちがうの・・おお・・」

「 夫に抱かれながら、彼の事を考えて、悶えてるからだろ?」

 後ろから抱きすくめ、胸を刺激しながら、ペニスをこすり付けてやります。

 「ほうら、こんなにビショビショになってる・・」

 「彼のが欲しくて、ぱっくり開いてるのは、誰?」

 「彼に欲しいって言わないと、入れてもらえないよ」

 「彼のオチンチンが当たってるのに、おねだりしないと、失礼だよ」



ペニスを妻の股間にペシペシとぶつけながらじらしました。



 「・・ああっ!○○クン、来てっ!」

 

 突然、妻が彼の名前を、叫びました。まるで高校時代のように。今まで耐えてきたものを、一気に突き崩すような声でした。私は軽い驚きを感じながら、なおも妻をいじめます。

 

 「もっといやらしく言わないと、彼に入れてもらえないぞ」

「・・ああ・・あん・・」

 「ほら、言えばもらえるよ、彼の・・」

 「・・うう、もう、いじわるっ!」

 「そら、言えよ!」

 「・・ああん、○○クン、来てっ、来てっ!オマンコしてっ!○○クン!」



 今までのように、いや、今まで以上に、彼の存在を触媒にして妻と激しく愛し合いました。そう、その瞬間は、きっと妻はもう、彼に抱かれていたのです。



 もちろん、次の日になれば、お互いそんなことはオクビにも出しません。相変わらず美しく、控えめな私の妻でした。少なくとも私から見た限りにおいては・・。ベッドの上のお互いの行動や発言は、あくまでプレイなのだと、私はもちろん、妻も理解しているのだと思っていました。



 しかし妻はそれ以降私には話もせずに、彼との旅行の計画を進めていたのでした。



 ここで妻について、すこしお伝えしておきます。



 妻が高校時代、毎週ラブレターを貰っていたことはお話しました。大学生になっても、状況は変わらなかったようです。その意味では、誘惑もかなり多かったのだろうと想像できます。学内のミスコンでトップとなり、マスコミからの誘いも1、2あったようですが、それは家族全員の反対で、実現しませんでした。そんな妻が男たちの毒牙にかからなかったのは、父親が厳格に9時の門限を守らせていたこと、それを守るに当たって、年の離れた兄達も全面的に協力していたことが大きかったのでしょう。コンパなどでは、どこだろうと会場まで車で、兄が迎えに行ったくらいだそうですから。



 新入社員時代の妻の第一印象は、ずばり「落ち着いている女」でした。歳より上に見える感じで、よく言えば「おネエ系」の顔です。整形したのではないかと思われるようなタイプです。しかし若さを保持している妻は、年を経るにしたがって、30歳くらいで年相応に、それ以降は歳より若く見られるようになりました。



 入社してから、よくオジサンたちに肩を揉まれていました。今は安易にそんなことできないでしょうが、そのころは、そういう時代だったのです。同期や後輩からラブレターを貰ったり、オジサンたちに迫られたりしたことも、それぞれ数度ではききません。支店勤務だった妻は本社勤務になり、結婚が決まってすぐに、会社を辞めました。



 美人の顔は飽きると、結婚前に先輩たちから冷やかされたものですが、結婚後10年近くたっても、ベッドで妻の顔を見ると感動してしまうくらい、私にとって美しい妻です。



 運動部でかなり鍛えられてきたらしく、体は女らしく発達しています。太っているタイプではありません。身長は160センチ、90センチDカップのバストが、前に述べたように街でも男たちの視線を集めます。子供を母乳で育てたので、乳首はやや濃く色をのせてしまいましたが、胸の形は垂れていませんし、乳首はツンと上を向いています。現在でも腹筋を毎日欠かしていないそうです。ただし、妻は慎み深さから、私にはその運動の姿を見せたことはありません。そのおかげか、ウエストは子供を産んでいても、胸と落差があり腹筋があるので、引き締まって見えます。妊娠線はありません。ヒップと少し太めの大腿はすっかりアブラが乗って、運動によって締まった足首とあいまって、下半身は人妻好きにはたまらない曲線になっています。恥ずかしいと言って、私にはウエストとヒップのサイズを教えてくれないのですが。



 妻が旅行に出かけた日、私は仕事の都合で休日出勤となってしまい、自分のデスクに向かっていました。実は5日ほど前から、ちょうど手がけているプロジェクトの山場を迎え、毎日が深夜帰宅でした。帰っても、妻は寝てしまっているか、あるいは遅い夕食をとっているうちに子供と寝てしまうか、いずれにしろほとんど夫婦で話す時間が取れない状態でした。妻が、私と話すのを避けていた可能性もあります。



 私は妻の旅行のことを忘れていたわけではありませんが、ちょっと気持ちが仕事のほうに向きすぎていたようです。今考えれば、このときもう少し妻のことを思いやって、話をしていたら、と、今は少し後悔しています。でもその時期、私が妻と話し合いをしたからといって、所詮彼の20年間には太刀打ちできなかったのかもしれません。



 「妻が他の男と旅行に行く」 こんな簡単なことが、一人の亭主をこんなにも悩ませるものなのだ、とはじめて知りました。しかしもう遅いのです。私は妻の旅行計画が進んでいることをうすうす知っていて、それにストップをかけずにいました。そう、私は一度も、妻に行くなとは言っていないのです。そればかりか、セックスのたびに彼の事を持ち出して、妻の気持ちが傾いてゆくようにしていたのです。それを当日実行されてから、一人で悶々とすること自体が間違っているのは、自分にも分かっていました。



 ともかくその日、休日出勤してよかったと思いました。子供たちは妻が実家に預けたので、もし、妻が出かけるのを見送り、自宅に一人で居たら、よからぬ妄想にとらわれてしまいそうでした。そこまではないにしろ、朝から猿のようにオナニーをし続けて、貧血になっていたかもしれません。それでも、会社のトイレでオナニーをしてしまいましたが。



 太陽が傾き、そろそろホテルに着く時間かと考えたら、もう我慢ができなくなって、妻に電話をしました。妻の携帯は長い間鳴り続けていました。自分の心臓がどんどん上にあがってくる感じです。



 心臓が首にまで達したころ、妻が出ました。妻は最初、私からの電話に少し驚いたようでしたが、今日の観光のことを話したり、私の夕飯の心配をしてくれました。こちらのことを心配してくれる、妻の普通どおりの声で、私もすぐに落ち着きました。



 「それで、わたし、彼とベッドに入ってもいいかしら」



唐突に妻が言いました。

 日常と同じ妻の受け答えに、自分の考えが杞憂であると思い始めていた私は、一瞬、妻の言う意味が理解できませんでした。



 「え、・・それどういうこと?」

 まったく間抜けな質問です。妻が、他の男とベッドインすると言ってるというのに。



 「やはり彼はすばらしい人よ。わたし、あなた以外の人と・・」

 「ベッドに入るって・・、冗談じゃないよ」

 「最後までかどうかは分からないけれど、わたし、見せてあげたいの・・」

 「何言ってるんだ、約束が違うよ」

 「あなたには、申し訳ないと思うけど・・20年間わたしの事を想ってくれてた人に、・・」

 「おい、やめろよ、何を・・」

 「わたしのことをずっと女神だと思ってくれてた人に、今晩・・身も心も・・」

 「オイ、変なことを言うな、お前はおれの・・」

いくら妻の言葉をさえぎるようにしたところで、所詮電話越しです。

 「彼に・・裸は見せるわ。いいでしょ?」

 「お前、自分が何を言ってるのか・・」

 「・・ホントはね・・もう・・」

 「何だ、何て・・」

 「もう・・脱いでるの・・」

 「えっ・・」

 「・・もうね、見せているの・・」



 間抜け亭主の言葉を聴いているのかいないのか、電話の向こうの妻の様子は、すっかり自分たちの世界に入っているように聞こえます。

 「お、おい、どうな・・」

 「・・あ・・彼、今、・・すぐ目の前にいるの、・・う・・」

 「オイ、何してるんだ、おい・・」

 「・・ああん・・」

 「何を・・」

 「・・ああ・・、また・・後で電話するわ・・」

 「ま、まさか、もう・・」

 「・・うぅ・・じゃ、・・また・・」

 「お・・」

 突然電話が切れました。いつの間にか、私は電話を手に立ち上がっていました。私の頭の中では妻の姿がぐるぐると回っています。ほかの男と絡み合っている姿態が。



 今この瞬間、妻が他の男に裸を見せている。妻は裸体を見せるだけだろうか。いや、妻の体を見て、そのままでいられるわけがない。美人で、熟れきった妻の裸体を前にして、男なら必ず手を出すだろう。いや、私が教えてきたことを使って、妻のほうから仕掛けてゆくのかもしれない。



 いやらしい手が、妻の体を這い回る。いやらしい口と舌が、妻の体を嘗め回す。夫である自分は、遠く離れたいつもの会社にいて、仕事をしているのに、妻は、男と絡み合って、官能の時間を過ごしている。それも、妻の事を20年も想い続け、結婚もせず、妻を賛美し、崇拝し、私が妻を愛でている間も、ずっと妻の事を想ってきた男と・・。



 私には、そんな男の気持ちがよく理解できないのでした。だから、旅行の話を聞いても、他の飢えた男に妻を与えるような感覚を、持ちづらくなっていたのでした。妻は同性と旅行をしているように、たわいなくはしゃいでいるか、観光地でもまったく普通に過ごしていて、ホテルについてもそれは続いて・・。仕事に忙○されていたとはいえ、私の考えがいかに甘かったか、そのときになって私は痛感しました。



 高校生のときから20年以上、一途に妻のことを愛してきて、妻と結ばれないことで結婚もせずに過ごして来た男の気持ち。そして、その男の気持ちをゆっくりと心にしみこませてきた妻が、身も心も彼に捧げる。そう、妻は、身も心も・・と言っていました。さっきの会話の中で、最も私の精神に刺さったのは、あの一言でした。性欲に任せた相手のほうが、ある意味ではずっと気楽なのかもしれません。普通にセックスして、一時の肉欲に溺れてくれるほうが・・。



 妻は、私との結婚生活で、人並みにはいやらしくなっています。36歳の人妻としては完成されているだろう、自負はあります。カラダも、テクニックも。だいたい、彼には愛情ではなく、友情しかないといっていた妻の、本当の気持ちはどうなのでしょうか。



 考えてみると、私は彼の事をほとんど知りません。実は、彼と一度、私は顔を合わせています。妻が私たちの結婚披露宴に呼んだのです。もうずいぶん前ですので、記憶もあいまいなのですが、彼はかなりハンサムで背も高く、容姿にコンプレックスのある私は、いやな気持ちになったことを覚えています。ところが妻はまったく、彼を男としてみていないようでした。心の奥底まではもちろん分かりませんが。



 電話でのやり取りやメールの内容を脇から見ている限りでは、相手の男はかなり知的な人間のようでした。もしかしたら、私よりも精神的に深い男なのかもしれません。私は、無意識にそれを感じていたからこそ、妻との営みの中で、彼をおとしめる快感にも浸っていたのでしょう。



一度だけ読ませてもらったメールを思い出しながら、私は自分を落ち着かせようと必○でした。妻を賛美する内容と、文学や歴史、ヨーロッパ映画などの知的な話題。異常さやいやらしさはまったく感じられず、その意味で私も安心してしまっていたのでしょう。



 その彼が、20年間想い続けてきた女と2人でホテルの部屋にいる。高校時代から、中年に差し掛かる今まであこがれ続けてきた女とひとつのベッドに入る。



 そのとき男はどんなことを話すのか?

 そのとき男はどうするのか?

 どんな愛し方を、どんな愛撫をするのか?

 そして、そのとき妻はどんな顔で、どんな行動をするのか?



 深く考えれば考えるほど、彼の行動は私には想像ができませんでした。そんな彼はペニスを、安易に麗しの女神に挿入したりする事はないのだろうと、希望的な想像をしたり、また失われた20年間を取り戻そうとするような激しいセックスを想像したり・・。



 妻の全裸の姿が、時々、頭の中で明滅しました。

 小さい頭を乗せた長い首と色っぽいうなじ。

 子供を母乳で育てて少し崩れても、相変わらず大きく美しい胸。

 薄く脂肪を乗せているが、豊かなバストとヒップの間で女らしくくびれたウェスト。

 豊かないやらしいお尻。

 そして、汗とも何とも知れない液体でテラテラと鈍く光る、人妻らしい肉感を持ったそのカラダ全体。



 蛇のような黒い男の手が何本も妻に絡みつき、妻はカラダをくねられています。

 妻は切れ長の目を閉じ、高く伸びた鼻から続く眉間にしわを寄せています。

 小鼻を膨らませて、肉感的な唇を半開きにして・・。

 それが苦痛からくるものなのか、快感からくるものなのか、私には分かりません。



 寝ているのか、起きているのか、夢を見ているのかが判然としない、長い夜でした。

 結局あの電話以降、妻からは何の連絡もありませんでした。私も、妻の携帯の番号を再度押す勇気はなかったのです。

 そう、すべてを知ることになるのは、妻が帰って、直接妻の口から一部始終を聞いてからになりました。結論を先に言ってしまうと興ざめかもしれませんが、私は妻の言葉に打ちのめされることになるのです。



 妻が旅行から帰ってきたのは、月曜日。

 その日の私は、前日の夕方と同じように、妻たちのことで頭がいっぱいで、どんな仕事を、どんな顔でやっていたのか、よく覚えていません。しかし客先と電話で話していようと、社内で打ち合わせしていようと、妻と男の痴態が目の前にチラつき、会社のトイレで2回ほど射精しました。それでも、わたしのペニスはずっと上を向いたままでした。いままでの人生で最も興奮した一日だったかもしれません。



 妻は、何事も無かったように、夕飯の用意をして、いつもどおり、私の帰宅を待っていました。まるで何も起こっていないかのように。私にも、子供たちにも、いつもの妻と母でした。あまりの屈託のなさに、私は虚脱感と怒りを、同時に覚えていました。



 こんなとき、男はだめですね。妻はまったく普段どおりに見えましたが、私といえば、食事中も妻の口をちらりと見ては、男のものを咥えるシーンを想像し、胸のふくらみを見ては、胸で男根に奉仕する妻を想像して、ぎこちない状態でした。キッチンに物をとりに行く妻の尻を見れば、その豊かな尻を彼に見せ付ける妻の姿を、男の下半身を打ち付けられる妻の姿を想像して、口の中が乾き、食事ものどを通らないという体たらくでした。私には、その場で旅行での出来事を問いただすことは、できませんでした。もしそうしたら、すぐに子供たちの前であろうと怒鳴り、取り乱してしまうことは明白だったからです。



 その夜、子供たちが寝て、寝室で本を読んでいると、妻が入ってきました。妻はちゃんと化粧をしてベージュのシュミーズ姿でした。セックスを誘ういでたちです。妻は何も言いませんでしたが、いつも以上に濃厚な、むさぼるような情熱を持っていました。とにかく妻の口からすべてを聞き出そうと考え、問い詰めるような口調になることを恐れて、私も無言のまま、妻を求めたのでした。何も話さないとはいえ、私は五感を総動員して、妻のカラダに男の痕跡を探していました。小さいキスマークだろうと、ちょっとしたキズだろうと、少しのニオイだろうと・・。それを見つけてどうするつもりだと、心の中ではもう一人の自分が笑っています。



 しかし無駄でした。慎み深い妻は、何の痕跡も残していませんでした。それどころかいつも以上に念入りに体を清めていて、ほのかな石鹸とシャワーコロンの香りがしました。体中に、怒り、後悔、悲しみ、興奮、好奇心が渦巻いているような不思議なセックスでした。荒々しい一度目の絶頂がすぎ、そしてついに、妻は彼とのことを告白し始めました。



 妻はぽつりぽつりと、旅行のことを話し始めました。



 「・・子供を実家に届けたりしていて、出発が遅れちゃったの。彼の車の助手席に座って、ああ、わたし、あなた以外の男の人とデートするなんて、ずっとなかったんだって思ったわ。彼の隣に座っていると、何か、スカートから出ているひざ小僧がくすぐったいような、胸に甘い圧迫をされるような、変な気持ちだけど、快感だった・・。・・ごめんなさい、あなた、・・でも、今日は嘘をつきたくないの・・これからのことを考えると、あったこと全部、話してしまいたいの。・・もし、途中で聞きたくなかったら、言ってくださいね。・・彼が手配しておいてくれたホテルは、南欧風の洋館だったわ・・部屋は大きなスイートルームで、寝室とダイニング、それに大きな浴室がついていたの・・」



 「・・遅くなっちゃったからもう夕方で、ホテルについてすぐ、わたしは着替えるといったわ。そのときに抱きしめられて、キスはされると思ったわ・・あなたなら、そうするでしょう・・そうしたらわたし、キスをさせてあげようと思ってた。もちろん、そのときすぐに肉体関係になることは考えてなかったわ・・でも、彼は何もしなかった・・」



 「わたしが寝室で着替えを始めるとすぐ、彼はダイニングのほうへ移動してしまったの。わたしは少しがっかりして、着替えをしたわ・・いつ彼が来てもいいように、ゆっくりと・・」



 「彼が何もしてくれないので、余計にわたしは彼に行動を起こさせようという気になって、そんなときの着替えなのに、下着姿でお化粧を直したりしたの・・」



 「・・あなたには悪いと思ったけれど、この日のために高いレースの下着を用意してあったの。そのブラウンのパンティに包まれたオシリを、ダイニングのほうに向けて、いつ見られても彼が興奮するように振舞ったわ・・」



妻の寝物語を聞きながら、私は自分が取り乱さないように努力していました。それは、話をしている妻の瞳が、とても夢見がちに見えたからです。こんなときに、妻に対して見栄を張ってもしょうがないのでしょうが、6歳年上の夫として、恥ずかしくない態度を取らなければと必○でした。



 「でも、興奮してしまったのはわたしのほう・・高校時代からわたしのコトを思ってくれていた男が隣の部屋にいるというだけで、・・あなたには悪いけれど、もうわたし、濡れていたと思うわ・・」





 20年間、妻のことを想ってきた男を前に、この美しい妻が股間を濡らす!私が長い間、夢想してきたことです。このホームページを見ながら、何度も妄想してきたことです。



 夢が現実になったというのに、その事実を妻から告白されているというのに、私のできることは奥歯を噛み締めていることと、どす黒い興奮に身を任せることだけでした。



 「結局、そのときは彼、何もしなかったの・・。わたしは仕方なく、薄い白のブラウスにタイトスカートと、カーディガンを羽織って彼のほうに行ったわ。ほら、あなたが前に、似合うと言って褒めてくれた、あの少し短めのこげ茶色のスカートよ。彼は困った様な顔をして、ダイニングにあるソファに座ってた。まるで、高校時代の彼のようだったわ。わたしもまるで20年前のわたしになったようだった・・でも、カラダはもう、今のわたし。そんな彼の顔を見て、わたしは、また濡らしてしまってたの・・」



 「彼は部屋のカギを取るとつっと立って、ドアのほうへ歩いていったわ。そのとき、彼のズボンの前が大きくなっているのを見て、わたし、安心したわ。本当にうれしくて、スキップするように彼の後に続いたの。だって、彼、普通の男の人でない雰囲気がするから、もしかしたらって、考えてたのよ」



 「歩いているあいだ、わたしは体を彼にくっつけるように腕を組んでいたわ。オッパイも彼の腕にこすりつけて、そのたびにわたし、感じてたの・・あなたには悪いけれど、結婚してからは、感じたことのない興奮だったわ・・」



 「レストランに入って・・夕食の間もわたし、これから抱かれることばかり考えていた・・。ものを食べるときの彼のクチを見ては、このクチで全身を味わわれることを想像したわ。二の腕から胸の動きを見ては、そのがっしりしたカラダに抱きしめられることを考えたわ。指先を見て、この指で体中を愛撫されることを思ったわ。・・あの手がわたしのオッパイを鷲づかみにして、オシリを掴んで広げてくれるんだ、と想像したの・・。あの指で乳首をつまみ、クチに突っ込まれ、最後にはオマンコに入れてかき回してくれるんだと考えたわ。そう、指先がオシリの穴に入っているところさえ、思い浮かんだわ。メインディッシュを彼がナイフとフォークでさばくときは、わたしが料理になっているようだった。・・ああ、これからわたし彼に食べられちゃうんだって・・」



 「彼は最近見た映画の話をしてたけど、私はといえば、彼に抱かれる空想ばかり・・。きっとこの20年間で、何倍もいやらしくなったのはわたしのほう。彼はいつまでも純粋で・・。食事が終わるころには、パンティが濡れて、気持ちが悪いくらいだったの・・。純粋な彼の前で、わたし、すごく濡らしてたの・・ごめんなさい」



 「・・食事の後は、ちょっと酔いざましにって言って、近くの公園を散歩して・・。夜の公園なんてずいぶん久しぶりだし、一緒に居るのがあなたじゃないなんて、とてもドキドキしちゃったわ・・。最近のカップルってすごいの。まわりに人がいてもお構いなしに抱き合ったり、キスしたりしてるのよ。わたし達は、公園の外れの、柵の向こう側がすぐ海のところで、立ったまま、潮風にあたりながら話ししてた。そうは言っても彼のことだから、ほとんどぽつぽつとしゃべっただけだけど・・。たくさん人がいるのに、少し離れたところにはカップルが結構いて、皆ふたりだけの世界に浸っているの。長い長いキスをして抱き合っている2人とか、男の手が女性のお尻を這い回っているカップルとか・・。見ないようにしていても、そこらじゅうに居るんだから、見えちゃうのよ・・」



 「少し寒くない?そろそろ帰ろうかって、彼が優しく肩を抱きながら言って、私、彼を見たわ。ああ、ついにキスされるんだって、・・心臓がドキドキになっていて、・・口の中もカラカラになって、・・きっと、私、また濡れたと思うわ・・」



 「・・そのとき、初めて彼を愛おしいって感じちゃったの。見上げたから彼の首スジからアゴが、よく見えたわ。彼、あなたと違って、ひげが濃くないので、ああ、私、他の人に肩を抱かれてるんだって、全身をぴったりくっつけて、オッパイも押し付けて、アソコもぬらして、夫以外の男に、体を預けてるんだって・・」



 「でも彼、私の肩を抱きながら、歩き出しちゃったの・・どうしてって、思ったわ・・私、魅力がないのかしらって・・」

 「・・・」



 夫や子供たちを遠くに置いて、妻は、こんなメロドラマみたいな時間をすごしていたのかと思うと、黒い澱のような怒りが湧き出してきましたが、私は黙っていました。素っ頓狂な声が出てしまうか、かすれてしまうか、とにかく、醜態を晒しそうな予感がしたからです。



 「・・部屋に入るとすぐ、わたし彼に抱きついたわ。もうとても、我慢できなかったの。この旅行では、ずっと彼を誘惑しては、じらしてあげようと思っていたのに、実際は逆。ホテルについてからずっと、じらされてたのはわたしだった。もう全身がほてって、どうしようもなかったの・・」

 

 「・・彼の首に手を回して、キスをしたわ。最初は彼、びっくりしていたみたいだったけれど、すぐにゆっくりとキスをしてくれた・・。彼はゆっくり、ゆったりしたキスをしてくれたんだけど、わたし我慢できなくて、自分のほうから舌を出して、彼の口の中も、歯茎も、唇も嘗め回したわ。すごく長くて、濃厚なキスだったから、わたしは彼の胸に当たるオッパイの先がしびれてきたくらいだった。彼の股間に、わたしのアソコをぐりぐりと押し付けて、わたし、感じ続けてた・・。20年分の愛を確かめるようなキスだったわ。あんなキス、あなたとは、・・していないと思うわ・・」



 妻の挑むような目を見て、わたしは強く嫉妬して、妻の唇を奪いました。私が離すと、妻は引きつっているのか笑っているのか分からない表情で私を見て、ゆっくり唇を近づけてきました。そうして、そのときを再現するかのように、いやらしいキスをしてくれました。



 こんな淫靡なキスを、妻は他の男と交わしてきたのか!

 奪われた無理やりのや、義務的なのではない、こんなすごいキスを!

 考えて見れば、10年近くも夫婦をしていて、いつの間にかこんな情熱的な「くちづけ」を忘れていました。妻も私も。どんなに愛し合う二人でも、時間の経過によってこのような状態になるのは避けられないのでしょうか。どうして私たちは、他人と言う触媒を利用してしか、こんなキスをできなくなっているのでしょうか。



 そう、セックスをされるよりもこのキスのほうが、亭主の心を焦がす材料として充分です。正直、夫である私の心の中では、妻のオマンコに男の性器が出入りすることより、妻の口を男の舌が出入りするシーンのほうが何倍も嫉妬心が膨らみます。これも不思議な感覚ですが、実際この2日間、嫉妬と興奮をするために私が妄想した回数が多いのは、キスのほうなのでした。



長いキスの後、妻は唇の周りをなめながら、話を再開しました。



 「・・やっと唇を離すと、彼の手が、わたしの髪をなで始めて・・。ほんとうにゆっくり、味わうように。それだけでわたし、感じてしまって、立っていられないくらいだった。うなじからおでこ、首の周りまで、ゆっくり触ってくれたわ。その後、顔中も触られたわ・・。目をそらすと、ずっと顔を見ていてくれって、やさしく頼まれたわ。わたし、言われたとおり、ずっと彼の目を見ていた。彼は、まぶたも鼻も、撫でてくれたわ。指が、わたしの唇をゆっくり撫でて・・。まるで唇のしわを一本ずつ確かめるように、ゆっくり優しい指だった。我慢しきれずに、わたし、彼の指を舐めたわ。・・舌を出して、彼の瞳を見ながら、ぺろぺろって。彼のペニスを想像しながら・・。そのあと、彼の目を見つめながら、その2本の指を咥えたわ。そのときはもう、その指は彼のペニスそのものだった・・。20年間、触れたこともない彼の肉体の一部をわたしは精一杯咥えたわ。じゅるじゅると音を立てて、しゃぶり立てたわ。おもいきりいやらしい顔を見せてあげたくなってたし、もうそのころには、彼に何でもしてあげようって思ってた・・」



 わたしのペニスはもう大きく膨らんでいました。話の内容ももちろんですが、いつの間にか妻がペニスを手でゆっくりとしごいていたからです。



 「ダイニングにあるソファのほうへ移動して、彼を一人がけソファに座らせたわ。彼のペニスを咥えたくて、彼の前にひざまずいたの。脱がそうとベルトに手をかけたんだけれど、彼がわたしのカラダを先に見たいって・・。わたし、彼の顔を見つめながら、服を脱いだわ。下着になったところで、彼がそのままの格好で、体を見せてほしいと言ったわ。最初のうちは、ポートレート写真みたいなポーズだったんだけど、どんどん興奮してきて、わたし、大きなソファやテーブルを使って、いろいろな姿を見せてあげたの・・」



 「最初、テーブルの上に立って、全身を見せたわ・・ブラジャー越しに、胸をもんで見せてあげたわ・・窓際は天井が低かったから、両手を挙げて、天井に両手をついて腰をグラインドさせたわ・・。パンティの両脇を持ち上げて、アソコに布が食い込むところも見せたわ・・。足を広げて、後ろ向きになって前傾して・・お尻を突き出して見てもらったの。テーブルの上に四つんばいになって、お尻を彼のほうに向けていやらしく振ったの・・。みんなあなたが教えてくれたことよ」



 「・・ほんとは彼、もっと普通の状態でわたしのカラダを見たかったのかもしれないけれど、わたしはもう本当にいやらしい気持ちになってて、それで自分からいろいろしちゃったの。何をしても、彼はきれいだよってほめてくれた・・。彼、なかなか手を出してくれないから、わたしテーブルの上にしゃがんで、触って、ってお願いしたわ・・」



 「その時、突然あなたからの電話が鳴ったの。最初は普通に話して、あなたが何も気がつかないうちに切るつもりだったけれど、・・話しているうちに、彼を興奮させたくて、わざと今の状況を話したの・・。でも彼よりも、あなたは予想以上に取り乱して、電話口で叫んでいたわよね。一番興奮したのはあなた。それなのに、わたしはすごく冷静で、ああ、わたし、悪い妻だなって・・」



 「・・あなたの声と、彼の困ったような顔でわたしはますますイジワルな気持ちになって、最後までは分からないけど・・裸は見せるわ。いいでしょ?って聞いたわ。ホントはね・・もう脱いでるの・・彼に見せたのって言いながら、わたしいつのまにか下着越しに自分のアソコをいじり始めてた。そう、そのときは、まだ下着はつけてたのよ・・。裸って言ったのは、あなたへのイジワル・・。彼の目の前で下着姿になって、テーブルにしゃがんでオナニーしてたから、わたし、いやらしい声を出してたでしょ。わたし、彼に見られながらオナニーして、その声をあなたに聞かせてたのよ!いやらしい顔をしてオマンコをいじって、それをあの人に見せ付けていたのよっ!・・ああっ、もうたまらないわ、もういちど、あなたのペニスを入れて!いやらしい人妻の、いけないオマンコにっ!」



 妻はそのときの様子を話しながら、すっかり興奮していました。わたしのペニスを手で導き、寝転んでいるわたしをまたいで挿入しました。



 「・・ああっ、あなたっ・・ひどい妻でしょ。オマンコいじめてっ、わたしのオマンコ!男の前で、あなたと電話しながら、いじってたオマンコよ!ああっ!」





 妻は往きましたが、今日何回も射精しているためなのか、どす黒い嫉妬がブレーキの役割を果たしているのか、私は往きませんでした。妻は私を体内に入れたまま、すこし息を整えてから、話を再開しました。



 「・・電話を終えて、わたし、テーブルを彼の前に持っていって、テーブルの上に四つんばいになって、彼のほうに顔を向けて、激しいディープキスをしたわ・・。わたし、これ以上は出せないってぐらいに舌を出して、彼のと絡みあわせたわ。彼に舌が抜かれそうなほど強く吸われて・・、ああ、この人も興奮してくれたんだって・・。唾液をたくさん送り込んで飲ませてあげたし、彼のもたくさん飲んだわ。ごくごくって・・。垂れた唾液が糸を引くような、すごいキス・・」



 妻はそのときの感覚を反芻するように、私の口に唾液を垂らしました。そうです。もう私だけのキスではないのです。この唾液には、他の男の唾液が混じっているのです。妻のカラダを流れる体液には、他の男の精液が流れているのです。目の前にいる妻は、きっともう、妻ではないのです。



 いつもは甘美な妻の唾液が、苦い、・・そう、まるでその男の精液のようにさえ感じます。



 「・・そしたら彼は、わたしの背中と膝の下に腕を入れて、軽々と抱き上げ、そのまま窓のそばにあった独りがけのソファまで行って、そのソファを窓の外の方に向けて、わたしを抱き上げたまま、ソファに座ったの。部屋は、全然電気をつけていなかったのに、レースのカーテンさえも閉めていない窓から、月の明かりが入ってきていて、まるで、わたし達ふたりにスポットライトがあたっているような雰囲気・・。そして、部屋の窓からは、防風林と海が広がって見えていたわ。わたしは、彼の膝の上に横向きに乗って、彼の肩に両腕を絡ませながら、またキスをしたの・・」





 妻は私の上で、腰をゆっくり使いながら、そのときのことを話しています。私は目の前が暗くなるような感覚の中にいました。もしベッドに仰向けになっていなければ貧血のように倒れてしまっていたでしょう。嫉妬によってドロドロと粘性を増した私の体中の血液が下半身にみんな集まり、貧血とペニスの興奮がいっしょに起こったような。



 それなのに、そんな私には気づかず、妻は男との営みを話し続けます。



 「ソファに座っている彼の膝の上に横向きになって、カーテンを開け放った窓のすぐ前で、下着を脱がされていったわ・・。・・ううん、本当は、私が脱がしてっていったの。あなたの妻なのに、ほかの男の人に・・。最初に・・レースの入った茶色いブラ・・。わたし、協力して上半身を浮かせたから、君の胸を見るよ、ついに・・って、彼がわたしの耳元で言って、留め金をはずされて・・、彼、落ち着いた手つきでブラジャーを取り除けたわ。わたしの胸がぶるんって出てきて・・。彼は、綺麗だ・・と言って、しばらく眺めてたわ。彼の感動がわたしにも、月明かりと一緒に染み込んでくるような時間だった」



 「そのあと、わたしの両方の乳首に軽くキスをしてくれて・・。彼の唇が触れたところから、さざ波のような気持ちよさが体中に広がったわ。ねえ、触って・・って、かすれた声で私がお願いすると、彼、オッパイにふれてくれたわ。右手の、親指と小指以外の3本の指が円を描いて・・。ときどきふもとを持ち上げるようにされると、わたし感じてしまって、声が出ちゃった・・。そのあと、先端を優しくつまんでくれて、わたし、乳首が大きくなっちゃったから、彼に申し訳なくて、もっとはやく、結婚する前に触らせてあげればよかったって思ったわ・・」



 「ずいぶん長い間、彼はわたしのオッパイをいじってくれて・・。強く、弱く、撫でたり、つまんだり、そして咥えてくれたわ。舌でついばんで・・・ずっと胸を愛してくれたの。・・彼、すばらしいオッパイだよって」



 「・・それから、彼はしばらく脚を優しく撫でていたわ。わたしは、恥ずかしくなって、彼に抱きつくように顔を彼の肩に伏せていた・・。彼、なかなかパンティへ進んでくれないから、また耳元で、脱がしてって言っちゃった。・・彼の指が、わたしのわき腹の下あたりから、そっと、パンティの縁に指をかけてきて・・。ゆっくり、ゆっくり、本当にゆっくり、皮を剥くように・・・。わたし、彼の動きに合わせて、腰と脚を動かして、・・脱がしやすいように。彼は、パンティを脚に沿ってすべらせて、そして、足先から抜き取ったの・・」



 「わたしのアソコに、少し冷たい月明かりが当たってるみたいだった。わたしは、彼の膝の上で、ガーターストッキングだけの姿にされたの・・。昔のわたしみたいにひざが震えたわ。彼は、綺麗だよ・・・って。」



 そこまでしばらく妻の話を黙って聞いていた私は、嫉妬が抑えられなくなって言いました。



 「やっぱり・・全部を見せたんだね・・」



 口の中の乾燥のために、滑稽なくらい私の声はかすれていました。



 「・・見せたんだ・・お前の・・」

 「そう、わたし見せたの」

 「・・!」

 「・・わたしのカラダ・・」

 「・・・・」

 「・・全部、カラダの全部を見せたの」

 「・・・・」

 「隅から隅まで・・」

 「・・・・」



 妻が他の男に体のすべてを見せると言う、私の長年の妄想が実現したことを、そのとき私は妻の口から聞いたのです。このときもっとも私が興奮したのは、妻の「隅から隅まで」の言葉でした。魂が震えるくらいの興奮とは、こんな状態なのだと思いました。





 このような話を私に直接話す妻は普通ではないのでしょうか。私を愛してはいないのでしょうか。

 このような話を黙って聞いている私は普通の夫ではないのでしょうか。私の妻への愛情は本物ではないのでしょうか。妻は今までの私たちのベッド・トークの延長として考えているのか、それとも私と自分自身を興奮させるために話しているのでしょうか。こんなに他の男との営みを詳細に夫に伝える、妻の目的は何なのでしょうか。だいたい、妻が話す男との行為は、どこまでが本当なのでしょうか。



 この文章を綴っている私の頭の中を、いろいろな疑問が渦巻きます。しかしこの話を聞いているときは、興奮と嫉妬で私はおかしくなっていたのかもしれません。妻にそんな疑問をぶつける気持ちには、一度もなりませんでした。ただただ、妻の言葉に精神を焦がし、血を逆流させていたのです。まるでペニスの血でさえ、逆流しているような不思議な感覚が、全身を包んでいました。



 「・・僕がずっと想像していたとおりだ。・・女神のようだね・・。ずっとこの体を見ることを望んでいたんだ・・。彼にそんなふうに言われて、顔が熱くなるほど恥ずかしくて・・。でも、すごい興奮だった。それからしばらく、彼はわたしの身体を撫でまわったり、体中にキスをしたりしていたわ・・。わたしのすべてを賞賛しながら・・」



 「素敵だよ・・って言われて、彼にそんなこと言ったのが恥ずかしくなって、顔を肩に伏せてしまったけれど・・。わたし、脚を開いて、ここも見てって・・・。恥ずかしいわ・・・。彼の耳に熱い吐息をふきかけながら、わたしは言ったわ」



 「脚を片方づつ、ゆっくりと広げたの・・。恥ずかしくて、目を閉じていたんだけど、茂みの奥に注がれる彼の視線を、熱く強く感じていたわ・・」



 「綺麗だ。月の明かりで光ってる・・濡れて光ってる・・。雫がもうこんなに溢れてるよ・・。彼も、わたしの耳元でそう囁いてたわ・・。いや・・。お願い・・。そんなこと言わないで・・。出会ったころの、・・高校時代の、わたしじゃないのよ・・」





 さっきから妻が言葉にする、妻が彼に申し訳ないと思ったり謝ったりすることは、わたしの神経に、針のように突き刺さります。刺さった傷口から、嫉妬と怒りがずぶずぶとあふれてきます。そう、話の最初のほうでは、私に対して謝っていたのに、今はほとんど彼に対してのそれになっていたのです。妻はそんな変化にも気づかず、興奮しながら滔々と話を続けます。私から見ると無邪気に見えるくらい自然に。妻はすべてを話すことが、私への贖罪になるとでも思っているかのようでした。



 「・・それでも、彼は、素敵だよ・・と言って、茂みを撫でながら、だんだん敏感なところに触れてきて・・。わたし、全身がビクンビクンって震えて、思わず喘ぎ声をあげたわ・・。彼は、割れ目に沿って、指をゆっくり這わせてきたの。わたしはもう、声も抑えられなくなっていて・・。それから彼、僕は、君の汗のにおいが好きなんだよと言って、わたしの腕を万歳するように持ち上げ、わたしの脇の匂いを嗅ぐようにしながら、舌の先を這わせてきたの・・」



 「わたし、だめよ、恥ずかしいわって言ったんだけど、高校のころ、体育のあと廊下ですれ違ったとき、この君の汗のにおいを感じて、全身がしびれたことがあるんだ・・って、彼が言ったわ」



 妻はゆっくりと腰を動かしながら話しています。そう、妻の体臭は、汗さえも甘美です。時代がかった言い方をすれば、妻の体液はどれも、私にとって甘露でした。これまで妻のまわりで、その甘露を味わおうと群がったたくさんの男たち。そのなかで、本当にそれができたのは私だけのはずでした。30億の男の中で、私だけが・・。しかし、もう違うのです。夫である私以外の男が、妻の汗を、体液をすすったのです。妻のカラダのすべてを、味わった男がいるのです。もうこの世界は、昨日までの世界とは違うものなのです。



 「・・やっぱり、彼の中で、時間が止まってたんだなって、・・20年間、わたしの記憶を大切にしてくれてたんだなって、感動しちゃった・・それもニオイまで・・・」



 「・・わたしが恥ずかしさとくすぐったさで、ダメ・・。もうやめて・・。って言ったら、今度は、しゃぶりつくようにしてわたしの脇を舐めたの・・。そして言ったわ・・ほら、君のおツユが溢れてきたよって・・」



 「気が付くと、彼のペニスが服越しにわたしのお尻に当たっていたわ・・気が付いた瞬間、全身がぶるぶる震えちゃった・・彼に影響されて、高校生に戻ったみたいね・・わたし。でも、彼にもっと恥ずかしいコトしてって、震える声でお願いしちゃった。・・悪い妻でしょ・・」



 「彼は汗の匂いがなくなるほど舐め尽くして、わたしの身体の向きを変えようとしながら、わたしの膝の下側に手を入れてきたの・・。え?と思った瞬間、彼はそのまま立ちあがって・・。わたしは、彼に背中から脚を抱えるようにして、抱き上げられたわ・・。ちょうど、幼い女の子にオシッコをさせるような格好で・・。そして、わたしのあそこが、窓ガラスにくっつきそうなくらい近づいたの。見てごらん・・。君の全身がガラスに映ってる・・。きれいだね、・・ほら、あそこも、光ってるよ・・って」



 妻はわたしの上で、まるで彼にされたように大きく足をM字に広げて腰を上下させていました。どこにいても男たちが振り返るほどの美しい妻が、カエルのような格好を男の前に晒してきたのです。このふしだらな格好を、妻は他の男にも与えてきたのです。恐ろしいほど大きな後悔が、私の胸をふさいでいました。その圧力に、私は声を出すことができないくらいでした。



 「わたしは、そんなところを・・見る余裕なんて全然なかった・・。彼に優しく、でもいやらしい格好をさせられていることに、すごく興奮していたの・・。そのとき目をつぶっているわたしの想像の中では、高校時代の自分の姿しかなかったんだけれど、恐る恐る開けて見たわたしの姿は、すごくいやらしい、人妻のハダカだった。」



 「だって、それだけ窓に近づくと、部屋の真下の方で、レストランになったテラスを人がたくさん歩いている姿まで見えるし・・それに、それまで○角になっていた隣の棟の客室の窓も見えて・・いや・・。見られちゃうわ・・。しばらくカラダをわななかせて、・・やっとわたしが言うと、ようやくその場から離れてくれて、わたしをさっきのソファに下ろしてくれた・・」



 「・・彼に見せたのよ・・ソファで思い切り足を広げて、腰を浮かせるようにして。・・最初は、彼の眼を見ないようにしていたんだけど、そのうち、私のすべてを見ている彼の眼に釘付けになって、永い間、彼を見つめたわ。あの優しくて、わたしを愛でてくれる眼を思い出して、・・ああん、興奮しちゃうわ!」



 私の後悔の大きさと同じように、今、私の目の前にいる妻の興奮は、ものすごいものでした。これまで感じたうちで、一番熱いオマンコがわたしのペニスを咥えていました。

 

 「脚を思い切り開いてたわたしは、彼が行動を起こしてくれないから、少しじれてたと思うわ。ずいぶん長い間そうしていたんだけれど、彼はその優しい眼で見つめてるばかりで、・・わたし自分からまた、テーブルの上で四つんばいになって、彼の顔の前にお尻を持っていって、見てもらったわ」

 

 「裸のお尻を高くあげて、・・そう、あなたがいつも好む姿よ・・いつもあなたには言われてからしていたけれど・・彼には自分から、あの優しい眼で全部を見て欲しくて・・。わたし、穴も、お尻の穴もみせたわ。お尻を両手で広げて。そのまま長い時間、わたしはお尻を彼の目の前で出したままで・・。彼はわたしのお尻をなでてたわ、ゆっくり、やさしく・・。そのあと、穴を指でなぞって、綺麗だって誉めつづけたの・・。そう、あなたにも、見せてあげるわ、そのとき、彼に、見てもらったお尻!」



 妻は私の性器を抜くと、すばやく後ろ向きになりました。私はクラクラする重い頭を持ち上げて、上半身を起こします。妻が言うとおり、そのとき彼が見たであろう光景が、眼の前にありました。



 少しブラウンがかった黒髪は女らしくウェーブしていて、小さい頭が乗った長い首のうなじのほつれ毛へ続きます。豊かな胸の存在を予感できないような女性らしい華奢な肩、シミひとつない背中。肩幅からの美しい角度はくびれたウエストで反転して、そこから急激に幅を増します。脊椎のくぼみは、うなじから一直線に私のほうへ向かってきて、ウエストの終わりで一度消え、性器へと続く深い谷に繋がってゆきます。背中は、いままでの性行為の激しさを表すかのように汗で濡れ光り、ヒップの両頬がベッドサイドの明かりを受けて白く蠱惑的に輝いています。



 男にとって、これほどの絶景があるでしょうか。私は、もう何度、この絶景を目にしたでしょうか。他の男に汚されても、妻の絶景は変わらず神々しいものでした。夫にとって、妻の絶景には特別な意味があることに、初めて私は気づきました。



 「ねえ、後ろからして・・この、わたしの、他の男に見せたお尻に、あなたのペニスを差し込んで!このお尻に、あなたのペニスを突き刺してっ!」



 フラフラと揺れるお尻に誘われてゆき、相変わらず上を向いているペニスを押し込みました。ズブリと音がして、妻の中から透明な液体がしたたってきました。



 男に生のお尻を長時間見せる・・。この美しい曲線で構成された尻。この尻を四つんばいになってすべて晒したばかりか、尻を両手で広げてオマンコも肛門も見せるとは。私が教えてきたこととはいえ、この貞淑な妻が、それを他の男にむけて行うとは・・。数日前の私には、とても想像ができないことでした。しかし、もうそれは実行されてしまったのです。私が知らない密室で。



 私は今までないほど興奮していましたが、興奮の度合いは妻のほうがずっと上でした。私のストロークにあわせ、妻もそのヒップを打ち付けます。



 「わたし、オマンコの奥まで、全部見せたの!お尻をいやらしく振って、視姦してもらったの!ああっ、ああっ、あなたっ!あなたが言っていたことよっ!他の男にオマンコの奥まで見せたのよっ、わたし!ああっ、・・もう、他の男のオマンコなのよっ! ああっ、ああっ、あなたあっ!」



 叫びながら往ってしまった妻は、私のものを入れたまま、しばらくシーツに突っ伏していました。妻の横顔に、額からもみ上げにかけての髪が汗で貼り付いています。私はゆっくりと体勢を入れ替え、力の抜けた妻のカラダを動かして横を向きました。シーツの上に二人の上半身が向かい合うように。



 しばらく二人とも沈黙していました。妻は息を整えるために。私は気持ちを整理するために。



 「続きを、話してもいいかしら・・」

妻は私の返事も聞かず、また話し始めました。腰を私にこすりつけるように動かしながら・・。



 「今度は、わたしだけをソファに座らせて、彼はわたしの両脚をおもいきり広げながら、ソファの両側の肘掛にわたしの脚をのせたわ・・。そして彼は、わたしの方を向きながら、ソファの前の床に直接座ったの・・。素敵だよ・・そう言いながら、彼は指でさらにわたしのあそこを押し広げて・・」



 「綺麗だ・・。よく見えるよ・・。奥まで丸見えになってるよ。まるでビーナスのようだって・・。長い間、僕の中で、君は憧れだったって。憧れの君のそんな姿も、すてきだって。美しくて、ぜんぜんいやらしくないよ、崇高な感じだよって・・」



 「そして彼、わたしの股間にゆっくりと顔を近づけてきて・・。また、わたし全身が激しく震えてしまったわ。彼、音をたてながら、わたしの溢れるおツユを吸い取ってるんですもの・・」



 「おいしいよ・・。彼は感極まったように優しく言ったわ。ああ、わたし、彼とこうなってよかったって、あなたには悪いけど、思っちゃった・・」



 「彼の舌がわたしの中に分け入ってきて、・・掻き出すように動かして、キスをするように押しつけて吸われたわ・・。彼の喉がゴクンって動く感触が、股間で感じられるたびに、新しいおツユが湧き出して・・」



 「わたし、もう気が狂いそうなほど感じていたわ・・。私、あなた以外の男に、初めてオマンコを舐められたのよ。頭の中が真っ白になるような、素敵な感覚・・。それからわたし、敏感な小さな粒を剥き出しにされて・・。彼は、わたし自身の中と・・、お尻の穴にまで指を深く挿入してきたわ・・。ゆっくり中とお尻を掻き回されながら、敏感なところを吸われ続けたの。わたし、もう、何がなんだかわからなくなって・・」



 「しばらくそうしていたら、身体が勝手にビクビクと痺れるような感覚がきたわ・・。全身が硬直してくるみたいに・・。そして・・。カラダ中が一斉に溶けちゃうみたいな感覚で・・。往ったのよ・・。オマンコしてって言いながら・・。そう・・わたし何度も叫んだわ・・。心の底から・・彼のペニスがほしかったの・・。あなたと想像したとおり、オマンコして、オマンコしてって何回も叫んだの!」

 

 また妻の中で、私のペニスがむくむくと力を得てきていました。

 

 「わたし・・往く時、あそこからおツユを噴き出して、彼が不安になるほど、身体を痙攣させながら、往ったんだって・・。後から彼に聞かされたわ・・。そのあと、わたし、脚を大きく広げた格好のまま、気を失って動かなくなってしまったらしいの。でも、あそこだけはまだヒクヒクと動いていたんだって・・。・・そんなわたし、あなただって見たことないでしょ」



 「わたし、彼にめちゃくちゃにされたくて、とてもいやらしい言葉を使ったわ。あなたにも言ったことのないような、みだらな言葉・・」



今までの言葉よりもっといやらしいこと?何のことだ?



 「・・何て言ったんだ?」

 

 「・・・」



 妻はこの夜初めて、躊躇を見せました。今まで私がほとんど質問をしなくても、夢見るように話を続けてきた妻が。これはどういう意味があるのでしょうか。妻の精神の中で、ある範囲があって、それからは外れた内容なのでしょうか。今までの内容は、私に伝えてもいい範囲だったのでしょうか。強い疑念と、妻をいじめてやりたい感情が湧き出してきました。



 「・・ほら、それをここで、言ってみろ!」



相変わらず乾いた声でしたが、力を得たペニスを突きたてながら、妻を問い詰めました。



 「・・わたし、後ろを向いて、片足をテーブルに載せて、思い切りお尻を広げながら言ったわ」



 「・・夫に抱かれてるわたしをみて欲しい。大きく足を広げられて、オマンコ舐められてるわたしを見て・・。貴方以外の男のザーメンを子宮に浴びて乱れるわたしを・・」



 「貴方の気持ち知ってたけど、他の男と結婚して、抱かれているの・・。わたしを抱いて!今ここで、私をむちゃくちゃにして!思い切り乱れさせて、夫を嫉妬で狂わせて欲しいの・・・。いまごろ、きっと一人で想像して悶えているわ。オチンチンを擦って、オナニーしているわ。わたしと貴方が色んなコトしてるところを想像して・・。嫉妬に狂った夫の気持ちを考えると、わたし、とっても興奮するの・・」



 「乱れるわたしを見ている貴方の顔を見たかったの。こんな淫乱になったわたしでも、愛しいって思ってくれる?高校時代の清潔な私じゃないの。夫に抱かれてオマンコから流れ出るザーメンを見てくれる?もうたくさんのザーメンを注ぎ込まれてきたのよ。」



 「あぁ貴方とセックスしたい!貴方のペニスがほしいのよ・・。貴方、わたしの中に来て・・・。わたし、人妻だけど、夫のおちんちんには飽きてるの・・逢いたかったの。逢って抱いて欲しくて・・。貴方とセックスしたいのよ!すごくいやらしいセックスを!」



 「・・わたしに、貴方のその太い指を入れていて欲しい。ほんとは最近、昔聞いた曲を聞いてオナニーしてるの。貴方と電話して、貴方の声を聞いた後は、わたしとても興奮するの。高校時代に貰ったカセットテープの、なんでもない曲を聴きながら、わたし、オマンコいじってるの。この大きなオッパイを揉みしだきながら、貴方に見せることを想像するの・・・。貴方、わたしのこと愛してるんでしょ?・・もっと奪って。だって・・わたし結婚しちゃったから・・。結婚してから、10年近くも、他の男のペニスを突き刺されてきたのよ。貴方が賛美するこのカラダで、夫に仕えているの。ほんとは、わたしの体をめちゃくちゃにして欲しいの。・・夫から、思い切り奪って欲しいの」



 「夫が居ないときに貴方からの電話があると、私スカートを脱いで、貴方に感づかれないように自分でいじるの。・・貴方はいつまでも純粋だけど、私はその貴方の声を聞きながら、オナニーしてるの。高校時代からの男友達の声を聞きながら、何気ないそぶりで、淫乱な人妻はオマンコをいじってるの・・」



 「夫には何も気が付かれないようにして、貴方を性欲の対象にしてしまってたの。貴方がどんなに素敵なことを言っていても、そのとき私はオマンコをいじってたの。メールを交換していても、夫が居ないときは裸でパソコンに向かってたの。あなたの声を携帯に録音して、その声を聞きながら電話をオマンコにこすり付けてオナニーしてたのよ」



 「純粋な貴方と、淫乱な私。本当は、貴方と電話で話しながら往ってしまったことも、何度もあるわ・・」



 メールという便利な道具があるのに、いまだに妻が彼と好んで電話で話していた理由がこのとき分かりました。



 「わたしのオマンコは貴方のもの・・・。このおっぱいも・・。昨日の晩もクリトリスいじりながら、あなたの事を思っていたの。夫が家にいたから、トイレで全裸になって、足を思い切り開いてオナニーしたわ・・片足をペーパーホルダーに乗せて、もう片方を手洗いに乗せて・・。あなたの事を想って、オマンコを擦ったの。貴方のペニスを咥えることや、貴方のペニスを受け入れることを考えながら・・。居間の方から、夫の見てるテレビの音がしてたわ・・。夫の咳払いが聞こえたわ。そんな時に、わたしあなたのことを考えてオナニーしてたの。ほうら、この大きなオッパイをもみくちゃにされることを想像しながら、自分で胸がひしゃげるくらい掴んだわ。揉みまくったわ。トイレットペーパーの芯をあなたのペニスだと思って、オマンコに擦りつけたわ。何度も何度も。」



 「・・あとで、トイレで同じ事をしてあげるわね。貴方、見てね・・そうすれば、また貴方に見られていることを想像して、いつでも家でオナニーできるわ。昨日はあなたのことを考えて、夫にはさせなかったのよ・・わたしがこんなヤラシイ女だって思わなかったでしょ?・・いやらしい事したいの。貴方と気持ちよくなりたいの。・・・・・いつの間にか、愛してたのよ・・」



 そういって、初めて妻は、目の前にいる私の顔を覗き込んだ感じがしました。このとき初めて、妻は私の顔を「観察」したのです。この言葉を妻は私に言いたくなかったんだと、私は直感しました。先ほど躊躇した部分からあとを続ければ、必ずこの愛の告白につながってしまうからだと。





 ついに、彼への愛の告白を、私に言ってしまった妻は、私の考えるほどには、悪びれる風でもありませんでした。私の直感どおり、愛の告白を聞かせたくなかったから、躊躇したのかどうかは分かりません。私は妻の眼を見ながら、どのような質問をするべきかを考えていました。妻も、私の心を読もうとするかのように私の眼を見ています。怒りを下半身の動きに変換するかのように、私はペニスを動かし始めました。



 ベッドの上で下半身をつなげたまま見つめあう夫婦。この場面だけを見れば、幸せな愛し合う夫婦以外の何者でもないでしょう。しかし、私たち夫婦は新たな扉を開けてしまったのです。先週までの私たちではないのです。



 「それで、彼のペニスはどうだったんだ?」

下半身から湧いて来るようなどす黒い欲望に身を任せながら、私はやっと妻に聞きました。



 「・・ううん、あなたのより大きかったと思うけど・・」

 「・・なんだ、急に、言いよどんだぞ」

 「・・・」

 「・・ここまで話しておいて、いまさら隠すことはないだろう」

 「・・・」

 「ほら、どうだったと聞いているんだ」

 「違うの、隠しているんじゃなくて・・、それが、・・わたし、彼のものを咥えたりしたわ。一生懸命、彼に奉仕したの・・。」



 妻の様子は、さっきの躊躇とは違う種類の反応に見えましたが、妻の直接的な表現に、私はいきり立ってきました。



 「だから、彼のセックスはどうだったんだ?」

 腰を突きたてながら、妻を問いただしました。

 

 「これだけ細かく話しておいて、最後をはぐらかすつもりか!」

 一度怒声を上げてしまうと、ますます怒りを募らせる欠点が出てしまい、私は強い調子で訊きながら、打ち込みを続けました。



 「くそっ、どうだったんだ!言って見ろ!」

 

 妻のあごを持って正面を向かせると、妻は涙こそ出してはいませんでしたが、泣きそうな顔でこちらを見ました。きっと私はその瞬間、鬼のような顔をしていたと思います。



私が打ちのめされたのは、その後の妻の言葉でした。



 「・・うっ、ううん、・・しなかったわ、彼は最後までしなかったのよ・・」

 「えっ?」



 被虐心と嗜虐心がない混ざった性欲の塊となって、汗みずくで妻を攻め立てていた私は一瞬、妻の言葉を理解できずにいました。思わず、妻に打ち込んでいた腰の動きが止まっていました。



 「・・そうよ・・しなかったの」

 「え?」

 「・・セックスはしなかったの」

 「ど、どういうこと・・お前、すべてを見せたって・・」

 「見せたわ。ホントに・・彼もすごく興奮してたわ」

 「だけど、最後まではしなかったの・・・」

 「・・じゃあ、彼は・・インポなのか?」

 「ちがうわ、彼の大きいペニスが、パンツを突き上げていたわ・・それに、さっきから言ってるように、わたし彼のペニスを長い間しゃぶったわ。硬くて、熱くて、あなたのより少し大きかったわ」

 「インポでもない男が、お前とひとつの部屋に泊まって、それで何もしないわけが・・」

 「それが、・・本当に、しなかったの」

 「そんなばかな!」

 「本当なのよ・・だからあたし、狂っちゃって・・・」

 「・・彼は、・・じゃあ、いったい彼は何を?!」



 少し大きいと言う表現は、妻の私に対する心遣いなのかという疑問が気持ちの中をよぎりましたが、劣等感と、妻を汚された嗜虐に身を焦がしながら、初めて私は叫んでいました。



 「わたしは彼を誘ったわ。わたしの大事な部分を見せている時は、もう興奮しすぎて、狂いそうだったの。早く彼と一緒になりたくて、おちんちんが欲しくて。彼のものは大きくて、ただ入れて欲しくて・・」



 「・・それで、わたしは彼にもっとわたしを見て!と言って、あなたが好きなお尻を突き出した格好をしてみせたのよ、ねぇあなたがわたしにさせるように、ぁぁああっ!!自分でお尻も広げて、彼の目の前にお尻を持っていったの・・。・・あぁぁ、あなた、もっと、もっと、もっとっ!」



 先に書いたように、妻の四つん這いのポーズは最高です。この世の女体美が、集約したように感じられます。妻は、それをすることをとても嫌がっていた時期がありました。しかし気がついてみると、最近は妻の方が進んでお尻を突き出すようになっていました。今考えれば、それも私に彼の存在を投影しての興奮だったのでしょう。



 妻は裸でお尻を突き出し悶えている。彼は服を着たまま、妻のアナルやオマンコをゆっくりと指でなぞっている。妻だけが淫乱な姿を、知的な男の前で晒している。妻は自分にあこがれる男の前で、オマンコから愛液を滴らせている。彼の男根に、妻はひざまずいている。子供を育てた豊かな胸で、乳首で、彼の男根に快楽を与えている。バスルームで全身を使って、男に心から奉仕している。人妻の癖に、夫以外のペニスを欲しがり、精一杯の媚態を尽くしている。



 たぶん、妻は私が教えたとおり、男の喜ぶことをすべてやって見せたのでしょう。愛情というより性欲によって。



 夫以外の男との行為という背徳感、

 熟れた自分の体を見せ付ける充実感、

 いやらしい行為をつぎつぎに行う嗜虐感、

 長い間自分を賛美してきた男への優越感・・



 妻は快楽を求めて、自分の淫らな姿を彼に見せたのですが、それに対して彼は、純愛で答えたのです。

 20年間想い続けた女がすべてをあらわにして目の前にいる。それも、男が20年かけるだけの容姿を持った麗しい人妻が。

 夕方から翌朝まで、一晩中その営みは続いたと言います。12時間以上、彼と妻の行為が続いたことになります。

 彼は妻のアナルのヒダの1本1本までも指でなぞったと言います。そしてオマンコも、彼の指と舌を隅々まで感じたといいます。文学部出身の美しい言葉で、妻を賛美し続けたといいます。

 妻は何度も何度も絶頂を迎えたそうです。視られて、指と口で触られることによって・・・。





 私のペニスは立ったままでしたが、精神的にはすでに峠を越えていました。自分のように獣欲で妻を犯してくれれば、こんな感覚を持つこともなかったでしょう。彼の女性に対する考え方が、私とあまりに異なるために、こんなに打ちのめされるのでしょうか。いや、妻と言う美しい一人の女性に対して、男はそんなに優しくなれるのでしょうか。



 妻は私との12年間で身に付けたすべてのテクニックと淫乱さで彼を誘ったに違いありません。

 「わたし、彼にもっといやらしいことをしてほしくて、いやらしいことも本当にたくさん言ったの」

 「・・・」

 「私は貴方が考えているよりずっといやらしいメスよって・・」

 「・・・」

 「いつも貴方のこと考えて、オナニーしてるスケベよって・・」

 「貴方と話した後、携帯をオマンコにこすり付けてるのよって・・」

 「・・・」

 「お風呂に入っているときは、オマンコとお尻で洗ってあげるって・・」

 「淫乱人妻は、なんでもしますって・・」

 「人妻のお口で、何でもさせてって・・」

 「貴方のペニスで、オマンコしたいって・・」

 「わたしの全身で20年分の奉仕をさせてって・・」

 「貴方のオチンチンの奴隷にしてって・・」



 彼はついに、妻といる間中、射精しなかったそうです。妻はとにかくそのペニスが欲しくて、あらゆることをしたと言います。口で長時間ペニスに奉仕したそうです。直接オマンコに当てて、こすりあげたそうです。

 

 「それでも、彼はいつでも、絶頂に近づくと、あとでね・・僕の女神ちゃん、って言って、するっと逃げてしてしまうの・・」



 清楚で夫しか男を知らなかった妻が、男に裸体を晒して、感じていたのです。私にも言ったことのないような卑猥な言葉を、夜通し叫んでいたのです。ほとんどの男が振り返るほどの美人妻が、一晩中悶えていたのです。夫に教え込まれたすべての媚態、すべての秘術を尽くして、ペニスを欲しがったのです。それなのに、その妻を前にして、妻の欲望に付き合うだけで、彼は自分の快楽を求めませんでした。



 私は徹底的に打ちのめされました。妻はイヴになりましたが、彼は蛇にはならなかったのです。いや、妻がイヴになったとき蛇に変身していたのは、夫である私のほうかもしれません。妻がイヴになったことを感じながら、妻の官能に火をつけるだけで妻を守りもせず、誘惑の言葉だけを妻に投げかけ、身を焦がしてのた打ち回っていただけなのですから。



 『他の男から誘惑されたとき、イヴの心の平衡は破れる。イヴはアダムとの安全な関係のみでは我慢できなくなる。そして、イヴは誘惑を受け入れる・・』





 妻の告白から10日が経っていました。妻の態度はまったく以前と変わらないものでしたが、私といえば、やっとあのときのショックから浮上し始めたというところでした。



 あれから私は妻を抱いていません。仕事がまた忙しくなったということもありますが、正直言って、どんな顔をして妻との営みをすれば良いのか、分からないというのが理由です。それで私は遅くまで残って仕事をし、妻が起きているような時間に会社を出てしまったときには一人で飲むという、ひどい生活をしていました。私はそれまで、一人で飲み屋に向かうという習慣はありません。飲むとすれば二人以上だったのですが、誰か相手がいると酔った勢いでこれまでのことを叫びだしそうな恐怖があり、それもできないのでした。



 しかし私はさりげなく、しかし注意深く、あれから妻を監視していました。会社勤めがあるのでおのずと限界はありますが、突然家に電話してみたり、妻の携帯をチェックしてみたり。朝のせわしい時間、妻がちょっと席を立ったとき子供たちに、それとなく妻の行動を聞くことまでしていました。しかし、妻の行動にはまったく怪しいところはありませんでした。不思議なことに、彼との通話履歴もメールの履歴も見当たりません。もちろん削除されていれば分かりませんが。



 妻の態度は、それは見事なものでした。まるであの晩私が聞いたことはすべて夢だったのではないかと疑うくらい、以前と寸分違わない美しい妻がいました。この文を綴っている今から考えれば、この10日間にもう少し私に勇気があって、ちょっとの思い切りで妻に釘をさしていれば、あるいは、私たち夫婦の今後について少し突っ込んだ話をしていれば、これからお話しするようなことにはならなかったのだとは断言できます。しかし私には、その勇気がなかったのでした。



 水曜日、私宛に、郵便が届きました。月曜日から少し風邪気味だったので、午前中は休んで、午後出社しようと家を出たところでポストの中身を覗いたのです。封筒の中には、ビデオテープ1本以外、何も入っていません。宛名などはプリントしてあり、筆跡は分かりませんし、家族宛ではなく、私のフルネームが書いてあるのに、差出人の男名前には心当たりがありません。新宿区から投函されています。ビデオテープはつめが折ってあり、表題などは何もついていません。いたずらだろうと推測し、小学生の娘がいますので、下手に騒いでもまずいだろうし、まず自分の目で確認してからだと思い、妻にも黙って隠しておきました。そしてそのまま、勤めのほうが忙しくなったためにビデオのことを忘れたようになっていました。



 土曜日になり終電で帰宅したら、妻と子供たちが妻の実家に帰っていました。伝言メモには、子供の誕生日プレゼントを両親に貰うためと書いてありました。何となく眠れずにビールを飲んでいたとき、ビデオテープのことを思い出しました。家には家族がおらず私一人。怪しいビデオを見るにはちょうどいい状況です。ビデオデッキは居間にしかありませんので、そこでヘッドホンをして、テレビの前に座りました。



 このときになっても、このビデオが妻を映したものだとは、私は少しも考えていなかったのです。





 たぶんアダルトビデオを、いたずらか販売目的で送ってきたのだろうと思い込んでいた私は、ひとりになった気楽さも手伝って、どんなビデオだろうといやらしい期待をしていました。妻の告白を聞いてからのこの2週間近く、私は禁欲状態だったのですから、男のサガが出てきても仕方ない時期でもありました。あれ以来妻を自分から避けておいてアダルトビデオでもないだろう、と少し自嘲しながらも、新しいビール缶の栓を抜き口に運んでから、いそいそとビデオリモコンのスタートボタンを押しました。



 ビデオは誰もいない部屋から始まりました。画面の左側手前に少しシーツが乱れているベッドの上面が広がっています。その向こうに2人掛けのソファ、ソファの後ろには大きなスタンドが点灯しています。画面の右端には小さいテーブルがあり、画面はテーブルに置いてあるビールの小瓶のところで終わっています。背景には窓が写っていて、カーテンが開けられた窓の外は暗く、深夜であるように思われました。



 白を基調とした小奇麗な室内がややオレンジ色を帯び、天井面にはダウンライト型の照明と火災報知機が見えます。どうやらホテルの一室のようです。家具やインテリアから判断すると、ラブホテルのような感じではなく、中級程度のリゾートホテル風と言うところでしょうか。ビデオカメラはまったく動かないので、三脚に固定して撮影しているようです。映像はとても鮮明でした。



 しばらく何も写っていない室内が続きました。含み笑いのような女の声と男の低音が聞こえますが、何を言っているのか分かりませんでした。女が右側から画面に入ってきました。裸の女です。女は画面を横切ってソファに座りました。妻です!



 こんな内容とはまったく想像していなかった私は、体内の血液が止まったくらい驚きました。私にはまったく記憶にない室内です。なぜ、何でこんなものがあるのか?それがなぜ、送られてきたのか?血流は止まったままなのに、私の頭の中では、いろいろな考えがグルグルとすごい速さで回っています。



 これはあの日の彼とのビデオなのか?

 そうだとしたら、どうして私宛に送られてきたのか?

 そうでないとしたら、いつどこでの情景なのか?

 相手は彼なのか、それとも違う男なのか?



 妻は下にブラウンのハイレグパンティを着けていて、胸には同じ色のブラジャーをしています。どちらも周辺部がレースになった、それ以外の部分は光沢のあるもので、上下ともシルエットはかなり大胆ですが、素材の良さとレース使いによって下品にならず、全体としてエレガントなデザインです。ただ、後ろ側はTバックになっていて、男族が喜ぶ形でした。妻の豊かな尻がぷりぷりと動いて、ソファの前に移動しました。この下着を私は見たことがありませんので、もしかしたら、彼との旅行のために妻が買ったと言っていたものかもしれません。



 ソファに座ると妻は脚をそろえ、まるで着衣のままのときのように、落ち着いた雰囲気で画面の外にいると思われる、テーブルの反対側にいるであろう人物のほうを見ました。



 脚をそろえ、すこしあごを上げて胸を前に出した妻の姿勢は、普段よく見る、すこし澄ましたときの妻でしたが、普通でないのは妻が下着姿でホテルの一室におり、私以外の人物と向かい合っているという状況でした。いや、人物という言い方はよしましょう。きっと、妻といるのは男です。

どういうことなのか、私は状況を理解しようとしました。あれ以来、妻はまったく外泊していません。夜はいつも、家にいたはずです。するとこのビデオが撮影されたのは、あの日以前と言うことになります。これはあの日のビデオなのでしょうか。それとも、もっと以前の・・?私の心の中に、恐ろしい疑念がわきあがってきました。もしかしたら、妻は今までにも・・。知らないのは私だけで・・。息が詰まるほどの猜疑心に押しつぶされそうな私とは裏腹に、画面の妻はとても自然に見えました。



  「暗くしてくれないの?」

 妻はすこし媚を含んだ声で、画面の外の男に呼びかけました。



 「・・暗くしては、顔や体が見えない」

 男の声がしました。あの彼の声なのかどうか、記憶を手繰りましたが10年ほど前に一度会っただけの男の声を覚えているほど、私がいい記憶力も耳も持っているわけがありません。巻き戻して男の声を何回か聞き、男の言葉の調子から、妻との関係を推測しようと試みましたが、やはり男の正体は判りません。



 二人は、しばらく黙っていました。(この時点では画面の外にいる男が一人なのかどうか判っていたわけではありませんが、私はすでにそう思い込んでいました)きっと男は、妻の全身を嘗め回すように見ているのでしょう。そう、ビデオの中の妻は、画面の外の男のためにハダカになり、その全身を、これからその男に見せようとしているのです。絶望的な猜疑心と嫉妬心が私の胸をふさいでいます。妻はどんなつもりで、私以外の男の前でそんな格好をしているのでしょうか。妻はこの場面を、ビデオに記録されていることを知っているのでしょうか。そして、これから男の前で、何をしようというのでしょうか。



 妻はまるで貴婦人のように、横顔をこちらに見せています。視線は男のほうに向かっています。頬に浮かんだ微笑は、女の幸せを体現しているかのように、平和な微笑みでした。もう話としては知っている、私以外の男に下着姿を見せているという事実より、妻からの告白には現れないこの妻の微笑のほうが、私の自尊心を砕くには最適です。私の知らないところで、こんな微笑を下着姿で男に投げかける妻。これはアダルトビデオの一場面ではなく、私の妻を写したものなのです。



 「こうかしら・・」

 男に何も言われないうちに、妻は胸をいっそう前に張り出し、ヒップを後ろに下げました。手を後ろについて、脚をつま先立ちして・・。そうすることで、妻の美しい横顔から長い首、女らしい量感のある胸が自然に強調されます。むっちりした右足の太腿と、そこからすらりと続くひざとふくらはぎ、締まった足首も。



 黙ったまま、妻は手を持ち上げたり、体をねじったりして少しずつ姿勢を変化させてゆきます。まるで愛する者の前で、自分の姿態を見てもらうために、あるいは写真を撮られるためにポーズをつけている様に。



 私は一応、一眼レフデジカメを持っていますし、写真のイロハぐらいは知っているつもりです。匿名で妻のヌードを公開するサイトが世の中にたくさんあることも知っています。しかし、公開するしないを別にしても、妻はこれまで、私にヌードを撮られることを拒んできました。何度も妻に誘い水を向けて見ましたが、ことごとく拒絶にあってきました。

長時間頼んで、もういいかと思うと、「美容院に行ってくるから、それからね」とか、「あと2キロ、痩せてからね」といってはぐらかされて来たのです。



 その妻が、夫の私以外の目の前で、こんなポーズを取っていることが、私にはにわかに信じられないのでした。逆に、愛する私の前ではできないのだと、自分を慰めて見ましたが、男の前で媚態を振りまく美しい妻は、私にはやはり刺激的でした。

私の胸をいっぱいに満たした猜疑心と嫉妬心は、少しも収まるものではありませんでしたが、私はふと、自分の股間が膨らんでいるのに気がつきました。



  「少し、脚を広げてごらん」

 また、男の声がしました。



 「いやねえ・・」

 甘えたような声を出した妻の顔はいつの間にか上気して、眼も発情したときの潤んだものになっていました。妻が恐ろしく興奮しているのは遠目にも明らかでした。



 言葉では嫌がりながらも、妻はそろえた脚を少し開きました。両手は持って行き所をなくしたように、軽く握られたまま、へその前でフラフラとさまよっています。今まで比較的落ち着いて見えた妻が、にわかにあわてているように見えます。極度の興奮が、そうさせているのかもしれません。



  「手を後ろについて、いいんだよ」

男は優しげに声をかけますが、それによって妻は自在に脚を広げられる体勢に追い込まれるのでした。



 しばしの無言劇が続きます。両手を後ろについた妻がそれ以上脚を開かないでいると、男はいつまでも黙っています。妻も、目を泳がせて、少しまぶたを震わしながらそれ以上の体勢を取りかねているようです。(ビデオ画面なのでよくわかりませんが、この辺は私の主観です。)



  「んんっ・・」

 少し大きめの鼻息のような嘆息と共に、妻は脚を30度ほどに開きました。顔を心持ち左側に伏せて、目を閉じています。妻の感じているであろう嗜虐感に、ビデオを見ている私も興奮していました。まるで私の前で、妻がいじめられているような。私の目の前で、男の命令で裸体を無理やり晒されているような切ない感覚。



 告白しますと、このとき私はパジャマ代わりのジャージの下を脱ぎ、(もともと寝るときは下着を着けていませんので、これで下半身はハダカです)右手をペニスに持っていきました。ビデオ画面の前でオナニーの態勢をとった私をよそに、画面では無言劇が続いていました。男は辛抱強く、妻の行動を待ちます。妻はその無言の重圧に耐えられないかのように、少しずつ脚を開いてゆきます。



  「ああっ」

 妻は目を閉じたまま、感極まったかのような声を出しながら天井を仰ぎ、脚を90度まで開きました。



  「動かないで」

 少しの沈黙のあと、男の声がしました。画面の右端に男の手が映り、ビデオカメラのほうに近づいてきました。男の顔は確認できません。ビデオカメラは男の腰の高さくらいに据えてあったようで、男の黒いブリーフのみの下半身がチラッと映り、三脚からカメラをはずしているようでした。妻の前で平然と作業を行っていることからすると、妻はビデオカメラの存在を知っていることになります。あれだけビデオやカメラに撮られることを拒絶していた妻が、この男の行動には唯々諾々と従っていることになります。



 きっとビデオカメラを手持ちにして、妻を写すつもりなのでしょう。嫉妬心はその男の行動を否定していますが、同時に期待感が私の下半身を直撃します。これから見られるであろう映像を想像して。





 三脚からはずされたカメラは、止まることなく妻のほうへと移動してゆきます。撮影者は妻を真正面から捉えられる、妻の座るソファとテーブルを挟んだ反対側に立ったようでした。ビデオ画面は少しズームして妻の上半身を捕らえて止まりました。



 妻は右手のスタンドの明かりから少し顔を背け、目を閉じていました。まぶたは少し震えているように見えます。美しい眉を心持ちしかめ、頬は上気して薄赤く染まっていて、少しつぼめた唇には、普段より鮮やかな紅が注してあります。



 ビデオにこうして改めて撮影した妻は、やはり私が内心自慢する以上の美人でした。妻は私以外の男のために、いつもより鮮やかな口紅を注し、真新しい下着を付け、着飾っていたのです。そしてその服を脱ぎ捨て、もっとも貴重な宝物を男に与えようとしているのです。たぶん街で妻を見た男たちが感じたであろう切なさを、この瞬間私も感じたのでした。



 ビデオカメラはゆっくりと妻の顔から胸に移動してゆきます。



 90センチCカップと常々妻は私に言っていますが、着けている周りがレースに縁取られたブラウンのブラジャーは、レース部分を内側から押す肉感的な圧力によって外側に広がっているかのように見えます。乳首はかろうじて隠れていますが、バストを下から支える形の不透明な部分から乳輪が少しはみ出し、周囲のレース部分に三分の一ほど覗いています。



 近くで見る妻のバストの量感は、すばらしいものでした。私の胸にある嫉妬を差し引いたとしても、画面越しでさえその量感に圧倒されて、息ができなくなるくらいでした。



 カメラのほうを一瞬薄目を開けて見た妻は、胸が狙われていることを知って、手を胸の前で泳がせました。しかし、画面は冷酷にバストから動かずにいます。男は息を○して、じっと妻の次のアクションを待っているようでした。画面の前の私も、同様に息を○して妻の行動を待っています。



 男の意図に気づいて、しばらく逡巡していた妻はついにあきらめたようで、両手を後ろに回しブラジャーを外しにかかりました。男との奇妙な連係プレーを感じて、また嫉妬が胸にわきあがります。耐え切れないといった雰囲気で妻は密やかに、しかし深く息を吐きました。まるで呼吸と一緒に、決意も胸から押し出してしまうかのように。





 画面の妻は、ゆっくりとブラジャーを自慢のバストから外し始めました。その少し小さめに見えた枷を外された胸は、瞬間ふわりと横方向に広がったように見えました。



 目の前で見る時には、女の体に立ち上る乳臭い甘い香りが立ち上がる瞬間ですが、もちろんビデオではそんな香りは漂ってきません。それを感じることができるのは、画面の向こうの男だけです。わたしの中で、その香りをかいだとき感じる数万倍の切なさが去来します。



 妻は外した下着を両手で握りつぶし、胸の前に泳がせることで、つまらない抵抗をしているようでした。しかし、自分の意思で夫以外の男とホテルにいて、下着姿をビデオカメラの前に晒していても、なお胸を隠すようなしぐさをする妻の感覚が、私には理解できないながら愛しいものに感じていました。それと同時に、先ほど感じたような目の前で妻がいじめられて感じるような、被虐感と呼べる興奮も。



 私は気づきました。ブラジャーを今取ったばかりの妻の胸の周囲には、ほとんど跡がついていません。妻は皮膚がやわらかいほうなので、一日着けた下着を取ったのなら、柔肌にはっきりとした下着の跡がついているはずです。妻はこのビデオが始まったときには、すでに風呂に入っていたか、長時間ハダカで過ごしていたことになります。



 これはどういうことなのでしょうか。特に夜間、妻が外で私以外と長時間過ごすことができるのは、この数年を思い起こして見ても、あの彼との旅行のときぐらいでしょう。私はこのビデオがあの夜のことであって欲しいと思っているのでした。このビデオを撮った相手が、20年間妻を思ってきた男であると思いたいのでした。



 どの男が相手だろうと、それが夫である私ではないのは事実なのに。私以外の男と妻が姦淫を行っているのは事実なのに。





 私のさまざまに乱れる思いをよそに、画面は新たな展開に入っていました。「もういちど、後ろに手をついて・・」男の言葉はやはりあくまで優しいのですが、妻はうまく誘導されてゆきます。



 あまり長い逡巡も見せず、妻は男の言葉に従いました。両手をピンとのばして腰の後ろに回し、胸を張るようにしたのです。カメラを避けるように心持ちあごを引いて目を伏せていますが、妻の大きな乳房がぐっと前に張り出し、先端は左右で斜め上を指しています。子供を2人、母乳で育てたにもかかわらず、堂々として張りのある、私の自慢のオッパイです。妻が別の男のために見せているバストを誇らしく思っている自分にあきれながらも、私の右手はペニスを擦っていました。



 妻はその体勢のまま、ゆっくりと脚を開き始めました。注意してみていなければわからないほどゆっくりと。しかし先ほどのようなためらいは感じられません。ゆっくりとはいえ、ほとんど等速度で両足を開いてゆきます。カメラはほぼ妻の真正面にあるので、こちらに向いていた膝頭から続く、人妻らしくむっちりと脂を乗せた太ももが左右に割れて、パンティに包まれた魅力的な場所がすぐに見え始めました。先ほどの角度、ちょうど90度くらいまで来て、妻の動きが止まりました。



 妻はその肉の乗った太ももを割り裂いていました。ブラウンのハイレグパンティを内側から盛り上げる股間が、重たげな存在感を示しています。妻が学生時代から、いや、高校時代から多くの男たちを悩ませてきた、魅惑の丘が画面の中央にありました。人妻となってさらに全身に乗った肉感はこの丘にも乗って、さらに男にとって究極のふくらみとなった感じです。



 妻はいつもハイレグラインの手入れをしていますので、パンティの脇からはみ出すような状態にはなっていませんでしたが、中央部に切れ込むレース部分の下端には、刈りそろえられた陰毛が覗いています。



 カメラが妻の全体像から、下半身のみへズームします。妻の両足は閉じられていましたが、男はまた先ほどと同じように、無言の重圧で妻の脚を開こうと考えているのでした。



 妻の抵抗は今までのうちで最も長時間続きました。

  「うう・・・」

 うめき声がして、無言の圧力に屈した妻は、さらに両脚を開き始めました。



 パンティをはさんだハイレグラインから付け根の両端の肉に凹みが走り始め、妻の脚がほぼ120度になったころ、カメラは思い切りズームをして妻のいやらしいパンティのふくらみをアップで捉えました。



 このくらい画面に大きくパンティが写されてみると、妻のパンティが重たげに見えるのはその丘の量感だけでないことがわかりました。パンティの下側はぐっしょりと濡れて、色が少し濃くなっているのです。妻はこの濡れそぼった下着に気がつき、それを見られるのがいやで開脚を止めていたのでしょう。下着をぬらした液体が他のものではないのは明白です。妻は男とのこの営みの中で、私が見たこともないほど愛液を分泌し、パンティをぐっしょりと濡らしていたのです。



 それだけではありません。それが判っていながらなお、妻は男の求めに応じたのです。男が静かに待っているだけで意図を感じて、私がいくら願っても実現できなかったことを、やすやすとカメラの前でしてみせたのです。恥ずかしい、濡れそぼったハイレグパンティを晒して見せたのです。



 長い間の夫婦というのは嫌なものです。こんなとき、妻の下着の濡れ具合で、この画面までに妻がどんなに感じてきたのかが想像できるのですから。私との長年の結婚生活の間には、確かに妻は下着をびっしょりにするくらいの濡れ方をしたこともあります。しかし、正面から見ても判るくらいに濡らしたことはないはずです。それくらい、妻は強く、長い時間感じていたのでしょう。



 カメラが動き、再度妻の全身を捉えました。妻は握り締めた両手を大きく割り開いた太ももの外側で泳がせながら、相変わらず豊かな胸を突き出すようにして、目を閉じていました。男なら誰もが見ていたい姿をカメラがしばらく映していましたが、また突然、画面の外から男の声が聞こえました。



  「もっと拡げて・・」

 

 男も当然興奮しているのでしょう。少し声がかすれて聞こえました。妻のこの姿は、どんな男をも興奮させずにはいないほどの猥褻感と美しさを兼ね備えています。男と同様、私も興奮してペニスを擦り続けました。



 妻は少し躊躇してから、なおも脚を拡げて行きます。やわらかいカラダをしていますので、最近は見せてもらっていませんが、たぶん今でも立った姿勢から前後に180度開脚することが可能なはずです。妻はどんどん脚を開けてゆき、それに伴って上半身を後ろに倒してゆきました。背中がソファの背に沈み、妻が目をつぶったまま顔を上向きに仰ぐのとほとんど同時に、妻の脚はほぼ180度を描きました。



 ソファに腰掛けたまま開脚したため、妻の足は腰の部分では直線になり、膝を90度に曲げた状態になっています。カメラが全身を映してみると、両手はいつの間にか上に挙げて、頭の上で交差させています。その上、今まで映っていなかった足先には、少し高めのブラウンのピンヒールを履いています。カメラは再度ズームしながら、妻の手の先からゆっくりと下に、舐めるように移動し始めました。



 交差させた手の指が、何かに耐えるように反対の肘あたりを掴み、そこから腕は直角に曲がって、女らしい肉を載せた二の腕に続きます。二の腕には熟れた肉が薄く付いていて、スタンドに近いほうの左腕は輝いています。妻は少し汗ばんでいるのかもしれません。



 手入れされた脇が傍らのスタンドの柔らかい光で影をつくり、あまり筋肉がない肩を乗せていて、そこから裸の豊かな胸につながる、絶妙な曲線を描いています。スタンドの光を受けた豊かな乳房の上側が光り輝き、その先に直径4センチくらいの乳輪と、授乳によって色素をつけた乳首が乗っていて、横に広がるばかりでなく斜め上に向いた乳房は、手を挙げて胸を張ったためにへこんだ腹に深い影をつくっています。よく見ると、妻は快感からか嗜虐感からなのか、胸が小さくフルフルと震えていました。



 足の付け根側と中央がレースになったブラウン色のハイレグパンティが、細くなった腰の部分で妻の柔らかい肉に少し食い込んだようになっていて、中央のレース部分から妻の刈り込んだ陰毛が見えています。妻の柔肌に腰の左右で引っ張られた頼りない生地は、妻のカラダの中央のふくらみをよりいっそう強調するように張り詰めて、愛液に濡れて光沢を増したシルク部分を包みます。その蠱惑的なふくらみは、脚を思い切り割り開いているために少し足を開いた時ほどには強調されていませんが、上半身をソファの背に倒してしまったために後ろの器官のほうまでが見えていて、妻の官能を示す濡れ方のすごさを明らかにしています。



 その布地は鼠径部を過ぎたところから急激に幅を狭くして、妻の後ろ側へ回り込み、尻の肉が少しだけ前側にはみ出しているのがエロチックです。足を開ききったことによって付け根の凹みが大きく出来ていて、妻の官能のふくらみを挟んでいます。太ももは人妻らしい肉感と、内側からにじむような女の生命力に張り詰めていて、90度に曲がってから続く、生意気そうなふくらはぎと、そこから急速に狭まった足首に、力をみなぎらせています。細くなった足首は、先端が尖ったブラウンのピンヒールを履いた妻の小さい足まで、一気に続きます。



 この画面を見たときの私の衝撃を、どのように書き表したらいいのでしょうか。私の前では一度もしなかった、まるで映画に出てくるような裸像を、妻はビデオカメラに捉えられているのです。思春期に見た「愛の嵐」という映画の、シャーロット・ランプリングが胸を露わにしたまま軍服を着てソファに座っているポスターを見たときの性的衝撃といえば、私と同年代の方にはわかっていただけるでしょうか。



 そう、私にはこの情景は、妻が新たな官能の舞台に立つ、そのポスターのように美しい映像なのでした。胸を圧迫する大きな嫉妬と下半身を支配する興奮、それに私の頭を支配する、妻という美しいオブジェに対する讃美が加わったのです。





 私は先ほどから、違和感を持っていました。下着の跡がほとんど素肌に残っていないという事実もそのひとつですが、ビデオの中で妻が正体不明の男の前で裸体を晒す異常さとは別の、もっとモヤモヤした違和感。



 少し考えて私はその違和感の理由に思い当たりました。ひとつは、あの日、長々とベッドで聞いた妻の話の中には、こんなシーンが無かったという事実です。もちろん寝物語が、そんなに正確であるとは思っていません。妻が四つんばいで彼にオマンコを広げて見せた話は聞きました。しかし、あれだけ不必要なくらい細部まで私に伝えた話の、どのシーンにも今の状況は当てはまらない感じなのです。



 それともうひとつ、この部屋にはある種の落ち着きが感じられることです。不倫にしろなんにしろ、女が夫以外の男とホテルの一室にいたら、ある種の興奮が立ち上るのではないでしょうか。そして美しい人妻を前にした男にも。今この部屋には、それが感じられないのです。これはあくまで感覚的なことなのですが・・。



  「上へあがってごらん」

 

 しばらく私同様、妻の魅惑的な全身に見とれていたように無言だった男が、思い出したように妻に声をかけました。妻はハッとした様に目を開き、カメラのほうを見ました。そうして、探るような目つきでどうしたらいいのか、男に目で尋ねます。



 甘えながら、すがるようなその妻の表情を見たその瞬間、私にはわかりました。妻は、もうこの男に抱かれています。この目は、抱いた男を見る、女の眼です。肉体的にも、精神的にも、男に屈服してからの女の眼です。やはりさっきから感じている違和感、妻の下着の後などからの推理はきっと間違っていません。妻はもう、この男のものです。



 この私の直感が正しいかどうかは、もう少し後になって解かることになります。





 妻はようやく男の意図を察したようで、カメラの上方を見ながらためらっています。脚を広げた時から妻の顔は上気して真っ赤にみえますが、スタンドの明かりがオレンジ色であるためだけではありません。妻は、男のために羞恥と戦っているのです。



 この時まで、妻は最大の角度ではありませんがかなり大きく足を開いたままにしていました。妻はゆっくり足を閉じ、一度足をそろえると、ソファの前に立ちました。右側にあるスタンドのほうに背を向けて立ちましたので、顔は暗がりになって見えていませんが、妻は手を胸の前に持っていって、少し胸を隠すようなそぶりを見せます。



 妻はおずおずとソファの上に足を乗せ、膝立ちになりました。そうして、両手を前について、パンティ一枚のままソファの上で四つんばいになったのです。



  「美しい・・」



 男が嘆息のように妻に声をかけます。この男でなくても、美しい人妻が目の前のソファで四つんばいになってくれたら、こんな感嘆の声を上げるのでしょう。またもビデオカメラは横顔を見せている妻の顔にズームしてから、嘗め回すように全身を映してゆきます。妻の豊かな胸がプルンと揺れながら、重たげに垂れています。学生時代に運動をしていたため、妻の肩は少し幅がありますが、その肩幅からウェストにかけて急激に細くなり、そこから反転してむっちりとした尻へと、横から見ても美しいカーブがなだらかに続いています。妻の臀部はまるで男を吸い寄せる磁力を持ったように、スタンドの光を浴びてまあるく見えました。



  「こちら側の足を、少し前側に進めて・・」



 一通り妻の四つんばいをビデオに収めた男が声をかけます。言われたとおり妻が動くと、横から映す画面にも、妻の尻の割れ目が見えてきました。



  「ほら、もっと」

 

 妻は両膝をソファに埋めたまま、左足を前に、右足を後ろにずらしてゆきます。豊かな尻の肉が角度を変えて行き違い、間からパンティに包まれた悩ましいふくらみが見えてきました。正面で捉えたときよりも小さい感じでしたが、ぷっくりと後ろ方向にはみ出しています。人妻が、夫以外の男の前でする姿勢ではありません。まるでヌードグラビアで見るような、扇情的でいやらしい姿です。



 ビデオは情け容赦なく、妻の秘密のふくらみへズームしてゆきます。スタンド側になったヒップはすこし汗を乗せたように明るく輝き、毛穴の凹凸が見えます。そのうえ、自分では処理できなかったのでしょう、もう肛門に近いと思われる後ろのほうの陰毛が、脇から少しはみ出しているのさえ判ります。





 しばらく画面をその部分に固定しておいた男は、もう一度妻のカラダ全体が捉えられるところまで画面を広げました。四つんばいになったまま、妻は助けを求めるようにビデオカメラのほうを見ます。妻の気持ちがわかっているのでしょうが、男は何も言わず、カメラを動かすことすらしません。



  「さっき、僕にお願いした言葉を言ってごらん」

 

 さっき?お願い?何のことでしょうか?



  「でも・・」

 

 妻が言いよどみながら、またビデオを構える男に向かってあの甘えを含んだ、頼るような眼をしますが、男は辛抱強く待ちます。



  「ああん、イジワル・・」

 

 妻は目を泳がせて、顔ばかりでなく体中を赤くしています。妻の中で、羞恥と服従が戦っているのでしょう。やはりここでも、妻の負けでした。いや、服従したいという気持ちが勝ったというべきでしょうか。



  「わたしの、・・いやらしいカラダ、全部ビデオに収めてね・・」

 

 妻はその言葉をカメラに眼を向けて言いました。男に言い含められているのではとも疑いましたが、妻の振る舞いは無理強いという雰囲気ではありませんでした。その言葉を聞いて、わたしは脱力感と下半身のみなぎりを同時に感じます。



 画面は少し揺れてから右に動き、お尻を大きく捉えられる位置に移動しました。手前側にあるスタンドの光を受けて、妻の立派なお尻が輝いています。光量を増した照明によって、丸いヒップの上側は白く飛んでいますが、妻の隠すべきところはすべて、毛穴からシワにいたるまで明瞭に映っています。しばらく画面には動きがありませんでしたが、男は待ち続けています。



 ついに妻の手が左右から、パンティにかかりました。妻の指が、両側からブラウンの頼りない布地を握り締めました。そのとき、私はある発見をしたのです。



 妻の左手の薬指には、なんと結婚指輪がいつもどおり輝いているではありませんか。それはうれしいような、悲しいような不思議な感覚でした。ツーンとした切なさがペニスの根本に内側から刺さります。



  「ああ、下ろすな!」

 

 妻の指に力が入ったのを見て、私は声を出しました。耐え切れなくなった画面の前の叫びと同時に、ゆっくりとパンティが下ろされ始めます。



 少ない布地で出来たパンティが、妻の豊かなヒップからはがされ始めました。人妻らしく、周囲に少し色素が沈着した肛門が現れ、続いて妻の穴が現れました。画面はズームされ、妻の恥ずかしい部分がこれでもかとクローズアップされます。こうしてビデオ画面で見ると、モロ画像で見るAV女優よりも年の割に色が薄い綺麗な小陰唇が少し左右に開いています。妻の羞恥に合わせて規則的な収縮をしている膣口は、もの欲しそうな穴を開けています。



 同時に、はがされた下着のほうも、わたしの注目を集めるのに充分なおかずでした。一瞬ですがはがしていく途中で、パンティは妻の秘部に貼り付くように抵抗し、はがれる瞬間ブラウンの生地には縦に白い筋が見えたのです。もちろんパンティ自体は濡れているために重くなっているようでした。また、ツーンとした切なさがペニスの根本に刺さるのを感じながら、わたしは急いでリモコンを探します。妻のオマンコからパンティがはがれる瞬間をコマ送りで見て、妻の欲情が実体化したような存在である、濡れたパンティの質感と白っぽいスジを確認しながら、激しくペニスをしごいていました。



  「ああん・・・」

 

 ビデオを再生に戻したとたん、妻の悩ましげな声が聞こえ、それと呼応するように膣口がヌラヌラと光り始めました。愛液があふれているのです。



  「そんなところ、撮らないで・・」 

  「・・・」

  「恥ずかしいわ・・もう・・」

  「・・・」



 男が沈黙を守ったままなので、ますますいたたまれない雰囲気で、妻は羞恥の言葉を重ねます。しかし妻は、隠すような行動をとるつもりはないようでした。きっと、本心では目の前の男に見てもらいたいのでしょう。そう思ったとたん、私の心に怒りが湧いてきました。男にではなく妻に。



 私の怒りをよそに、画面はズームアウトして妻の全身を映しました。妻は横顔を見せて、目を閉じていました。頬が赤く上気し、まぶたがぴくぴくと痙攣しています。しばらく無言の重圧を送った後、男がぼそりと命令しました。



 「自分で開いてごらん・・」

 

 言い方は優しいのですが、人妻に命令しているという事実は忘れていないような、低い重みのある言葉でした。



 「そんなこと・・・」



 小さい声で妻は言うと、それ以降の言葉を飲み込みました。妻の喉がごくりと動きます。妻のたわわに実った胸も、揺れたように感じられます。憎らしいことに、ビデオは妻がその言葉に従うことを見越していて、再度妻の秘部にズームしてゆきました。妻がそれを行うであろうという自信に満ちた、ブレのない画面の移動です。



 逡巡に少し揺れる尻を見ながら、命令に素直に従うな!と思う私を置いて、妻の手が尻の双球にかかりました。妻がもっと平然と行動したら、私はこんな気持ちにはならなかったのでしょう。しかしそうならば、私はもっと妻に対して怒りを燃やしていたに違いありません。妻の逡巡が、私には愛しいものに思え、同時に下半身への刺激になっていました。



 「くううっ・・」



 妻は悩ましい声と共に、お尻にまわした両手を左右に開きました。性器の周囲に用意された女らしい8本の指が、妻のすべてを露わにします。強く開いたことで、ぷっくりと膨れたクリトリスが亀裂から顔を出しました。そうして、小陰唇が大きく左右に分かれて、ヌラヌラと濡れ光るピンク色の膣口がひろがってゆきました。

 

 「うう・・う・・」

 

 羞恥にさいなまされた妻のうめき声が画面の外から聞こえると同時に、わたしのペニスからスペルマが飛び散りました。



 時間にすると十数秒のコトなのでしょうが、果てて脱力感の中にいる私には永遠のような時間が過ぎ、ゆっくり動き出してズームアウトした画面は再び妻の全身を捕らえました。その瞬間、私はまたひどく驚かされたのです。



 ビデオ画面が拡がるにつれて、妻の全身がほぼ捕らえられるようになり、妻の顔が映ったのですが、妻はなんと、左の頬をソファの座面につけ顔はこちらを向けて、カメラに向かって微笑んでいるではありませんか!



 私の知っている妻ならば、この状況では羞恥の大きな波に飲み込まれて、笑うことはおろか、目を開けることさえしないはずなのです。それなのに、妻は男の構えるカメラに向かって、優しく微笑んでいるのでした。



 ここで突然ビデオが切れ、画面が変わりました。いままで長回しで鮮明な画面を見ていたために、ふとビデオ画面ではなく現実に妻の不貞を覗いているような錯覚に陥っていた私は少し驚きました。



 ビデオカメラはまたベッドのうしろの三脚に据えられたようで、最初の画面に戻りました。ベッドの向こうにソファがあり、そこに妻が座っています。妻は、全裸です。先ほどまでつけていたパンティも着けていません。しかし、不思議なことにハイヒールは履いたままです。これはきっと男の指示なのでしょう。この男の指示に、私の中のひとりも喜んでいます。



 初めて、画面の右側から男が現れました。ベッドの向こうでそんなに大きく写っているわけでもありませんし、カメラのほうには後ろ向きになっているので、誰なのかわかりません。もしかしたら例の男なのかもしれませんが、10年近く前に一度だけ会った男です。たぶん彼だ、彼であって欲しいと私は切実に思いました。私には見せたことのない、妻のこんなに淫らな姿を晒すのは、あの彼に対してであって欲しい、このビデオはあの旅行であって欲しいと、私は願っているのでした。



 男は、黒いビキニのブリーフのみを身に付けていました。引き締まった体を見て、私の嫉妬心が燃え上がります。男は落ち着いた様子で、当然というように妻の隣に腰を下ろしました。ビデオカメラに背を向けて男が座ったために、妻はこちら側に顔を見せることになりました。妻は男を見つめています。



 妻は男の手を取って、指を絡めました。熱い視線で見つめ合いながら顔が近づいてゆき、妻はゴクリと唾を呑み込みました。



 ああ、妻が。私の妻が、他の男とキスをする。その光景を、自分が見る。もう何度も妄想してきたことが、ついにビデオ画面に映るのです。妻と同様、私もゴクリと唾を呑み込みました。



 妻と男の顔がなおも近づいてゆき、画面では二人の頭が重なります。ソファの上で、熱烈なキスが始まったのです。妻が少しこちら側に顔を傾けているため、閉じた目が時折見えます。顔が少し動いているので、アグアグと口を動かしているようでした。妻の両手は男の両肩に回され、力のこもった手のひらが男の背中を掴んでいます。男は左手で妻の華奢なうなじを持って自分に引寄せ、右手を妻の二の腕に乗せていました。



 長い長いキスは、そのまま画面で続けられました。このビデオを撮り、編集した人間のねっとりとした思いが感じられます。見慣れているアダルトビデオであれば、単純なキスのシーンをこんなに続けて移し続けることがないというくらい、無言の、ほとんど動きのない画面が続きます。



 考えて見ると、私は妻からの話で、妻が男とさまざまなことを一晩中、したことを知っています。しかし、話だけではあくまで今までの妄想の延長でした。妻を煽るために話してきた想像の世界と一緒なのです。しかしこうやってその光景を目の当たりにすると、妄想や言葉とは別の何かが、私の胸を嫉妬でふさぎ、同時に下半身へエネルギーを送ります。果てたばかりだというのに、また私はペニスを擦り始めました。



 男の広い背中に隠れて、妻のカラダはほとんど見えないのですが、顔の上半分と足の膝から下は見えていました。長い官能的なキスによって二人のカラダの位置が少しずつ動き、ふと気がつくと妻のヒップが男の尻の向こうに見え始めていました。黒いブリーフの向こうにある妻の尻は、もぞもぞと動いています。ちょうどそんな位置でなければわからないほど小さい動きなのですが、ブリーフの黒から妻の白い肌がちらちらと見え隠れしているのです。



 そうやって腰が動き出すのは、妻がかなり感じている証拠でした。妻が男とキスをしながら、性的興奮によって尻を揺らす。中学生でもなければ、女の尻が動いたくらいで興奮などしないでしょうが、やはり妻の尻は特別なのでしょう。私はひどくそそられました。



 男は右手を胸に向かわせます。張り出しながら人妻らしくむっちりと垂れる妻の乳房の上に、男は右手を乗せました。しばらくそのままキスを続けてから、バストを丁寧に揉み始めます。 

 「ううう・・・うぐう・・うぐう・・」

耐え切れないように妻の口からくぐもった声が漏れ、男の手の動きと同期しています。



 二人は、私に見せつけるようにキスを続けます。濃厚なキスと同時に、男の右手は見せびらかすように妻の胸を揉み続けます。気がつくと、妻の右手が男の背中にありませんでした。妻の手は、このカメラの角度では男の背中にさえぎられて見えませんが、間違いなく男の股間に伸びていました。キスはもう5分以上に及んでいるでしょう。呼吸がしにくいせいか、妻の胸が大きくあえいでいます。



 「はぁぁ・・」

 唇を離すと同時に妻の口から漏れたのは、感極まったようなため息でした。妻の欲情が肺からあふれ出てきたように、私には思えました。その後妻の口から出てきた言葉は、私を再度驚かすものでした。





 妻は右手に続き、左手も男の肩から外すと、微笑みながら男の目をねっとりと見つめて言います。

 「ねえ、すごいオッパイでしょ・・ほら、こんな風にもっと強くしていいのよ・・」



 男の顔を見ながら、妻は自分で胸を揉みながら誘っているのです。妻の右手はまだ男の背中に隠れていましたが、左手は自分の豊満な乳房を揉みまわしています。男がしていたよりずっと激しく。妻は男の性器に右手で刺激を与えながら、自分の胸を揉んで男を誘っているのです。もう結婚十年になろうとする、私には見せてくれたことのない姿です。



 男が妻の胸をもっと激しくもてあそび始めました。

 「うふふ、強く揉んで・・」

 「もっと強く、もっともっと強く!」

 激しい愛撫によって、妻はひどく興奮しています。



 「まだまだ夜は長いのよ・・ほら、お楽しみはこれからよ・・・」

 妻の両手が男の股間に向かっています。

 「うふふ、・・大きいオチンチン・・・」

 「ほうら、こんな風に貴方のオチンチンをいじってあげるわ・・」

 「ずっと、貴方のオチンチン触りたいと思ってたの。電話で話してるときも・・」

 「・・ほんとは、・・最近、夫のを触ってるときも、貴方のを想像してたのよ・・」



 本当に愛おしそうに、丁寧に妻は男根をさすっているようでした。

 「ううん、・・また、おしゃぶりしたくなっちゃった、・・また、舐めさせて・・」

 また!、そうです、妻は“また”と言いました。やはりこのシーンは、相手が彼だとすれば“最初のシーンではない”のでしょう。さっきの違和感どおり、妻は間違いなくもう男に犯られています。



 妻はいそいそとソファの上で自分の下半身を後退させ、男の股間に顔を持ってゆきました。右足はソファの上に膝立ちとなり、左足だけがカーペットの上に残っています。妻の顔がしばらく、男の股間にうずまりました。尻が男の向こう側で揺れています。たぶん舌で男の物をなぶっているのです。唾液を出しているのでしょう。だんだんとピチャピチャといういやらしい音が大きくなってきました。



 「うふふ、おいしいわ」

 「ずっと、舐めたいと思ってたの。夫にしてる時も、貴方にしてあげてるつもりになってたの。・・だからね、夫に、最近熱心になったって言われちゃったのよ・・」

 これは本当です。妻は、彼との旅行を宣言した前後くらいから、とても情熱的にフェラチオするようになっていました。もともとそんなにフェラの好きな女ではありませんでしたから、鈍感な私でも気づくくらい、その変化は劇的だったと思います。



 妻の頭が上下し始めました。数度上下しては口の中で転がし、それを繰り返す妻のスタイルです。とは言っても、私へのフェラはそれを2~3度すれば終わってしまうのですが。予想通り、画面の妻の愛撫は私にするより何倍も繰り返されました。彼のペニスへの情熱に見合うくらいに。



 男の股間に埋めた妻の頭は数度上下すると低い位置で止まり、とどまっている間は頭よりも上になった豊かな尻がゆらゆらと揺れます。その時は足先から尻まで見えている、左足の太ももとふくらはぎに力がこもるのが、とてもエロティックです。



 妻はその行為を何度も何度も熱心に繰り返してから、男の股間から顔をあまり上げないで言いました。

 「ああん、頂戴。また、貴方のペニスが欲しくなっちゃったの・・」

 妻は再度“また”と言いました。やはりフェラチオだけでなく、オマンコも “また”なのでしょう。



 股間で数回上下しては、妻はいやらしい誘いを言葉にします。

 

 「このおっきいので、突き刺して欲しいの・・」

 「ああ。わたしのオチンチン・・」

 「こんな太いチンチンで、いじめて欲しいのよ・・」

 テラテラと濡れ光る妻の口の周りが見えました。

 「お願い、早く頂戴!」

 

 妻は短く叫ぶと、すばやく上半身を後ろに倒し、背中を持たせるのにちょうど良く丸くなったソファの肘の部分に乗せました。

 

 「そうよ、ずっと入れたかった私の中に、貴方のペニスを差し込んでいいのよ。今日のわたしは貴方のもの・・何でもしてあげるし、何をしてもいいのよ。」

 「さっきしたばかりだからね・・」

 「ああ・・おねがい・・」

 「男はすぐには回復しないんだよ・・」

 「そんなに大きく回復してるじゃない・・」

 「・・もっとゆっくりでもいいだろ?」

 「そんなこと言わないで・・早くぅ」

 妻を言葉でなぶりながら、男は妻とは打って変わってゆっくりと覆いかぶさってゆきます。



 「そうだね・・じゃあこうしようか」

 男は妻の足を抱え挙げると、左右に容赦なく割り裂き、両脚をM字にして上から眺めました。

 「はは、いい格好だ、女神ちゃん・・」

 「ああん、そんなこと言わないで、・・早くぅ」

 「・・いや、しばらく眺めていたいね」

 「ああ・・おねがいよぉっ!」

 「・・・」

 「・・わたしの、いやらしい穴を、ふさいで!」

 男は妻の上に体を乗せながら、挿入せずにいます。



 「ああん、○○クンっ!早く、わたしを、むちゃくちゃにしてえっ!」

 

 妻はついに、相手の名前を言いました。さっきの私の直感は、やはり当たっていました。妻の叫びで、相手の男が例の彼であることがわかり、私の胸にどす黒い嫉妬が急速に込み上げてきます。しかし同時に、何度も書きますが相手が彼であることが判って、安堵感も拡がりました。少なくとも、彼以外の男の存在を消すことができたのが、この時点での私の精一杯の安心だったのでしょう。それに、相手が彼であることで、このビデオがあの日のものであることも決まったように思われました。客観的に考えれば、他の可能性もたくさんあるのですが、少なくともビデオを見ている時点での私は、そう得心していたのです。



 私の安堵を打ち砕くように、妻に覆いかぶさった男の引き締まった尻が、少し沈みました。

  「ううぐうぅ・・」

 止めを刺された妻のくぐもった声が聞こえます。



 男は押し付けながら左右にひねりを加え、少し打ち込んでは休む戦法でした。

 「・・ああ、・・ああ、・・ああ、・・」

 妻の声と彼の尻が、こっけいなくらい同期しています。



 「あああっ、すごい、すごいの!貴方のおちんちんが!わたしの中にっ!そうよ!そうなの!これをずっと、想像してたの!夫と寝ていても、貴方のオチンチンを想像してたの!このオチンチンよっ!」

 突然妻が叫びました。男に下半身を打ち付けられながら、大きくM字に広げた脚を規則的に空中でさまよわせながら、絶叫しているのです。



 彼は少し足を開き気味にして、打ち込みを続けました。男の股間越しに、二人の性器が見えました。ビデオ画面とはいえ、夫の目の前に、他の男の性器が出し入れされる妻のオマンコが広がっているのです。



 あの日の告白ではちょっと大きいと言っていた彼のペニスは、私のものより二まわりくらい太く見えます。ストロークの高さから、その長さも私より勝るのは間違いありません。



 男が顔を突き出すと、目をつぶっていたと思った妻の顔がさっと近づき、びちゃびちゃと舌を絡め始めました。ベッド越しで少し遠いとはいえ、性器と口が両方見える絶好のカメラポジションです。

 

 「あああっ!」

 口を離すと妻の叫びが漏れてきました。

 「うぐうぐ・・・」

 また男の口で、妻の叫びがふさがれ、くぐもった声になりました。

 二人は何度もそれを繰り返し、官能の急坂を登ってゆきます。



 そんなビデオを見ながら、私は妙な精神状態の中にいました。まったく無いわけではありませんが、強い怒りも、深い悲しみも湧いてこないのです。胸から腹にかけて、ポッカリと大きな空洞が開いてしまったような感覚。心臓がコトコトと、その空洞の中心で小さくなって動いています。それなのに、私の性器はいきり立っていました。



 他の男に貫かれる妻。 貫かれて快感を叫ぶ妻。 下半身で繋がりながら、男の舌をしゃぶり続ける妻。 この世に相手の男だけしかいないような振る舞いの妻が、そこには居ました。 いや、妻にはこの瞬間、相手の男のペニスだけが存在したのでしょう。 もう何年も想像し続け、オナニーにも、性交にも使ってきた情景です。



 妻は嘘をついていました。 あれだけいろいろ卑猥な言葉を私に報告しながら。そう、本当に妻は、言わなくてもいいところまで詳細に話をしました。彼のペニスをねだったこと。私にもしていない、さまざまな行為。彼に愛の告白をしたこと・・・。



 しかし、彼のペニスを受け入れたことだけは、私に伝えなかったのです。ほかの枝葉末節をこと細かく言葉にしたのは、この大きな嘘を隠すためだったのです。これを隠すために、愛の告白すら私に報告したのです。



 私の大きな空洞などお構いなしに、画面の中の妻は男に激しく突き動かされていました。

 

 「・・ああっ、ああっ、ああっ、大きいわ!」

 「すごい、すごいの、貴方のが、ああっ、わたしの中に!」

 「・・オマンコが、あっ、ああっ、むぐ、ぐうう」

 

 二人は唇と舌を、音を立てながらしゃぶりあい、唾液を交換しながら、激しく腰を打ち付け合っていました。下になった妻の口の端から、飲みきれない唾液がたらりと滴り落ちます。二人の、絡み合う男女の性欲が、セックスで使いきれずにあふれ出しているように、私には見えました。



 「ああっ!ああっ!ああっ!」



 妻は男の激しいストロークによって追い詰められてゆきます。M字型に折り曲げられていた妻の両脚は男によって伸ばされ、妻の形のよい足が虚空で激しく揺れています。

 

 「うぐうう・・」

 妻の両脚が痙攣して、うめきの中で男の打ち込みが続きます。妻は一度往ったようでした。



 妻とは関係なく、男はしばらく動きを続けて妻の絶頂をやり過ごしてから、妻の左足を下ろし、責め続けながら体勢を入れ替え始めました。カメラに近い方の足を下に下ろして右足は高く上げたままの妻のからだは、髪を乱した頭から、ブルンブルンと揺れる胸、男の手を添えられ絞られたウェスト、ペニスが出入りしている腰から男の動きにあわせて力がみなぎる太もも、締まった足首と未だに履いているピンヒールのつま先まで、全身がくまなく晒されています。



 妻は協力して上半身を浮かせ、いとしい彼の顔を見ながら彼の快楽を手助けしているようでした。彼が手前側のソファの肘に背中を付けると、妻は上半身を完全に起こし、体重を自分から彼の性器に乗せました。男が攻める体勢ではなく、妻が自分から動いています。



 「ああっ、太いわ!太いわ!おちんちんが、わたしの中で、暴れているの!」

 妻は男の上でしゃがみこむように下半身を上下させます。ずぶずぶと音がして、男の性器が出入りしているのが見えます。

 「ああ、君の全身が見えるよ・・いやらしい格好だね・・」

 「ああっ!そうよ、貴方の上で、オッパイを揺らして自分からオマンコしてるの!」

 「ふふ・・・」

 「・・夢にまで見た貴方のおちんちんをくわえ込んで、オマンコでも奉仕しているのよ!」



 妻の白い胸を男の浅黒い手が揉みまわします。まるで美しい玉に絡みつく蛇のように。蹂躙されながら形のいい双球はさまざまに形を変えてゆきます。いやらしい愛撫が妻の乳房も自分のものだと主張しています。



 揉みしだく男の手が、頂にあるむくりと頭を持ち上げた乳頭を強調させるように握り込み、それを中指がカリカリと引っかくようにしています。先端は堅く張り出して、妻は痛いのではないかと思われました。



 「ああっ!もう、たまらないわ!わたし往くわ!」

 私の心配など関係なく、そんな痛々しい愛撫さえ、今の妻には媚薬なのでしょう。妻のしどけなく開いた口元から、忘我の唾液がこぼれています。妻は髪を振り乱し、形のいい胸を振りたてながら、下半身を激しく上下し続けました。私であれば10秒も持たないくらい激しい動きでしたが、男は落ち着いていました。



 「ああっ!ああっ!ああっ!」

 妻は男の激しいストロークによって追い詰められてゆきます。M字型に折り曲げられていた妻の両脚は男によって伸ばされ、妻の形のよい足が虚空で激しく揺れています。

 

 「うぐうう・・」

 妻の両脚が痙攣して、うめきの中で男の打ち込みが続きます。妻は一度往ったようでした。



 妻とは関係なく、男はしばらく動きを続けて妻の絶頂をやり過ごしてから、妻の左足を下ろし、責め続けながら体勢を入れ替え始めました。カメラに近い方の足を下に下ろして右足は高く上げたままの妻のからだは、髪を乱した頭から、ブルンブルンと揺れる胸、男の手を添えられ絞られたウェスト、ペニスが出入りしている腰から男の動きにあわせて力がみなぎる太もも、締まった足首と未だに履いているピンヒールのつま先まで、全身がくまなく晒されています。



 妻は協力して上半身を浮かせ、いとしい彼の顔を見ながら彼の快楽を手助けしているようでした。彼が手前側のソファの肘に背中を付けると、妻は上半身を完全に起こし、体重を自分から彼の性器に乗せました。男が攻める体勢ではなく、妻が自分から動いています。



 「ああっ、太いわ!太いわ!おちんちんが、わたしの中で、暴れているの!」

 妻は男の上でしゃがみこむように下半身を上下させます。ずぶずぶと音がして、男の性器が出入りしているのが見えます。

 「ああ、君の全身が見えるよ・・いやらしい格好だね・・」

 「ああっ!そうよ、貴方の上で、オッパイを揺らして自分からオマンコしてるの!」

 「ふふ・・・」

 「・・夢にまで見た貴方のおちんちんをくわえ込んで、オマンコでも奉仕しているのよ!」



 妻の白い胸を男の浅黒い手が揉みまわします。まるで美しい玉に絡みつく蛇のように。蹂躙されながら形のいい双球はさまざまに形を変えてゆきます。いやらしい愛撫が妻の乳房も自分のものだと主張しています。



 揉みしだく男の手が、頂にあるむくりと頭を持ち上げた乳頭を強調させるように握り込み、それを中指がカリカリと引っかくようにしています。先端は堅く張り出して、妻は痛いのではないかと思われました。



 「ああっ!もう、たまらないわ!わたし往くわ!」

 私の心配など関係なく、そんな痛々しい愛撫さえ、今の妻には媚薬なのでしょう。妻のしどけなく開いた口元から、忘我の唾液がこぼれています。妻は髪を振り乱し、形のいい胸を振りたてながら、下半身を激しく上下し続けました。私であれば10秒も持たないくらい激しい動きでしたが、男は落ち着いていました。





 男は妻の豊かな乳房を中ほどで握り込んで、さらに乳首を突き出させました。妻の胸先は、私が見たことがないほど、限界まで尖りきっています。私が愛で、育ててきた乳房が男の手で蹂躙されているのです。



 「きゃああっ!」

 男はその尖りきった先端を、容赦なく中指で突き刺しました。乳房を貫通する衝撃にたまらず、妻は嬌声を上げてしまいます。



 「ううっ、今度は、中に、出しても、いいかい?」

 「ああっ!出して、出して、わたしの中に!」

 「よし、・・じゃあ、行くよ・・」

 「ああん!来て!来てっ、来てぇ!」

 男は、“今度は”と言いました。

 妻は当然のように中出しを許します。



 「ああっ!ああっ!ああああっ!」

 前髪を汗で濡れ光る額に貼り付けたまま彼の上に突っ伏しました。

 妻は恍惚の表情で気を失ったように顔を彼の顔に重ねていましたが、妻の尻はびくりびくりと大きく痙攣しています。男がペニスを抜くように下半身を少し引くと、妻は支えを失ったようにズルズルと床に滑り落ちました。



 男は往ってはいないようで、床に座り込んでソファの座面に顔を着けた妻を見下ろし、足を床につけて立ち上がって、ベッドの傍らに立ちました。撮影しているビデオカメラの近くになったため、少し逆光ですが男の下半身が大きく写るようになりました。



 近くで見る男のイチモツは圧倒的でした。妻の肌の白さと較べるとそれは黒々として、妻の肌の滑らかさに較べるとグキグキとした質感を持っていて、醜悪な凶器と言った感じです。こんな大きなもので狂わされたら、もう私のペニスに帰ってくるとはとても思えません。



 妻を追いやったペニ棒に残る液体を、テラテラと光らせながら、妻の滑らかな頬に塗りつけました。

 「ああん・・すごい」

 妻は感極まったように自分から頬を押し付けているように見えます。うっとりと目を閉じ、私以外の男のペニスに、頬ずりしているのです。



 男の性器は首筋から鎖骨の中心へ、ゆっくりと移動してゆきます。妻も彼の意図を察したようで、カラダを持ち上げて協力しています。巨大なペニスは胸の間へ向かい、そこで往復し始めました。なんと妻はそのペニスに唾液をタラタラと垂らし、摩擦を少なくして両手で乳房と共に男根を握り込み、刺激を続けます。いつの間に、妻はこんな事を知ったのでしょうか。このビデオが始まる前のシーンでしょうか、それとも・・・。





 柔らかい肌に亀頭を擦りつけているうち、萎えていた彼自身がよみがえってきました。胸の間の大きなモノの成長を見下ろし、うれしそうに微笑むと、彼の目を見つめました。

 

 「○○クン、また、咥えさせて・・」

 「また?さっきあんなに・・」

 「うふふ、淫乱な人妻は、ずっと貴方のペニスを咥えたいのよ・・」

 言い終わらないうちに、妻の右手は男のペニスを握りました。

 「ああ・・この貴方のペニスに、ご奉仕させて・・」

 熱っぽい視線を男根に注ぎながら、妻がかすれた声で言いました。妻が口を寄せると、男は腰を引きました。

 「ああん、イジワルしないで、私に、淫乱人妻に、貴方のオチンチン舐めさせて!ご奉仕させてくださいっ!」



 言い終えた妻の口元に男根が寄せられると、妻は自分からすばやくそれを頬張りました。男のものはムクムクと力をみなぎらせ、恐ろしく巨大なものに変身してゆきます。いつのまにか妻は両手を男根に添えて、一心不乱にストロークを始めています。

 「そんなに激しくしたら、往っちゃうよ、女神ちゃん」

 目を閉じて必○に口で奉仕している妻には、その言葉が聞こえていないのかと思いましたが、何回かストロークした後に妻はそれを口から出し、舌を這わせ始めました。そうしながら、男の顔をまぶしそうに見上げ、右手で竿を支えながら、左手で男の袋から肛門にかけてをサワサワと刺激しています。



 「まだ、続けられるかもね、・・女神ちゃん」

 彼は例の男前の顔でやさしく笑うと床の上でひざまずき、妻と同じ体勢を取りました。物理的な大きさでも、スタミナでも、男が私に勝るのは確実です。妻は男根から手を離さず、やわやわと揉んでいます。



 「もう、たまらないわ、もういちど、私のオマンコを味わってっ!」

 妻は男をいざなうと向きを変え、背中をカメラのほうに回して男を引っ張るようにベッドに倒れこみました。男は少し微笑むようにすると、妻の上に覆いかぶさりました。



 男はペニスを妻の股間にあてがって、笑いながら妻を覗き込み、カラダを止めます。妻をじらしてなぶっているのです。妻の頭だけが映っていて、顔は見えないのですが、妻が彼の顔を覗き込みながら叫びました。

 「欲しいの!このオチンチンを体に入れて!体の奥まで!このオチンチンで泣きたいの!狂わせて欲しいのっ!」



 男は反り立つペニスを、妻に侵入させました。いやらしく左右に捻りながら、ゆっくりと。妻を弄び、味わい尽くすように。亀頭を妻の肉壁に強く擦りながら挿入しているように、私には見えました。



「あああああっ!」

耳を覆いたくなるような妻の声が響きます。快楽の虜になった、男根に屈服した妻の声が。



 再度妻を追い詰めておいて、ゆるゆると腰を動かしながら、男はやさしく声を掛けます。

 

 「・・どう?」

 「ううん、素敵よ・・」

 「まだ、欲しいの?」

 「ああん、もちろん、欲しいわ・・」



 「僕のを?」

 「そう、あなたのを・・」

 「この太いのを?」

 「貴方の、太いのを・・太くて、硬くて、熱いのを・・」

 見つめあった二人は、私の怒りを育てるように甘いささやきをつづけています。



 「お願い、強く・・して・・」

 「・・・」

 妻のリクエストに答えて、彼が強く腰をえぐりました。たぶん彼のペニスの先端が、妻の奥に当たったのでしょう。妻の目が大きく開かれ、男を見つめます。男は妻のくびれたウエストに手を掛けると、いっそう腰を激しくゆすり始めました。絶頂に近づき、妻は切羽詰った声を上げながら、男の腰の動きに合わせてペニスをむさぼります。



 「気が変になりそうよっ!」

 「ああっ!往くわ!わたし、貴方ので往くわ!」

 「来てっ!あなたも!・・ああああっ!」

 絶頂を迎えた二人はその体勢のまま体中を痙攣させました。きっと妻の中で、男の精液が爆発しているのでしょう。



 彼の下でいやいやをするように首を振っていることも、今の妻は気づいていないでしょう。まるで獣のように叫んでいることも。普段の妻からは想像もつかないくらい、はしたない嬌声を上げながら妻は上り詰めました。



 静かになった妻は近づいてきた男の口を反射的にしゃぶりたてましたが、妻の目は憑かれたように曇ったままでした。



 「いっしょだったね・・」

 男の優しい言葉が、画面を通して私の胸に刺さります。





 画面が切り替わりました。

 カメラの位置は先ほどと同じですが、少し時間が経過したのでしょう。妻はベッドの上に上半身だけを乗せて、カメラのほうに頭を置き、後ろにいる彼のほうを向いて叫びます。両手で、自分のお尻を思い切り拡げながら。丸みのある尻を高く掲げ、彼に見せ付けているために妻の伸びきった左足が、後ろ側の大きなスタンドの光でオレンジ色に輝きながら伸びています。



 「ああっ、○○クン!来てっ!私のお尻の穴に、あなたの大きなペニスを差し込んで!私の処女を、あげたいの!あなたに、捧げたいのよっ!」

 ベッドヘッドにあるスタンドの光で妻の姿は良く見えましたが、妻の後ろにいる男の顔は、後ろに明るい照明が写っているため、暗くてよく見えませんでした。しかし逆光でも、男の引き締まった体と下半身、特に大きな男根はテラテラと光って、はっきりと見えます。



 「ああああ、○○クン、私のお尻に、オチンチン頂戴!頂戴!お願い!」

 妻が叫びます。

 「私の全部の穴にっ!貴方っ!さっきお口でしたわ!さっきはオマンコに入れてもらったわ!あとはお尻よ!お尻の穴よ!夫にもあげてないお尻の穴よっ!」

 確かに私は、妻の後ろの穴を味わってはいません。指を入れることは何度かありましたが、そこまででした。妻がとても嫌がったからです。



 男はタラタラと妻の大きな尻の谷間に、多量の唾液をたらしました。妻は短い悲鳴のような声を上げて、なおも懇願します。



「あぐっ!・・そうよ、さっき広げてくれたから、大丈夫よ!切れてもいいの!裂けてもいいのよ!」

「ほうら、私のお尻のヴァージンを、貴方、破って!わたしのお尻、あなたのペニスで切り裂いてっ!」

「両膝をベッドにのせて、足を開いて・・・」

「・・・こう?」

「・・じゃあ、体の力を抜いて、口をあけて息をしていてごらん・・」



 彼が妻の尻の上にのしかかりました。妻は尻を彼に向けた体勢のまま、顔をこちらに向けました。先ほどまでの性行為に乱れた髪の毛ではなく、もう一度整えたヘアスタイルと、化粧直しで強くひいたルージュが映えて、妻はセレブと呼ばれる奥様たちのようにきれいでした。ただ、妻の後ろには、これから尻の穴を犯す男が立っているのですが・・・。



 妻は目を見開き、口を開いたまま、時間が止まったかのように全身が固まります。彼が下半身を押し付けるに従って、妻の瞳は上へあがってゆきます。



 「・・あがあああっ!」



 妻は断末魔のように声をあげました。「あ」とも「が」ともつかない、体全体からほとばしり出る声でした。私は、妻のこんな声を聞いたことがありません。状況を細大漏らさず聞き取ろうと、大きくしていたボリュームのせいもあると思いますが、耳をふさぎたくなるような、大きな叫びでした。



 妻は白目をむいたまま、口を開けっ放しでいました。妻の目から、涙が流れ始めました。妻の口の端からは、唾液の糸が滴っています。



 「・・ああ・・あがああ・・あああ・・」



 男のゆっくりした動きにあわせて、妻の声が続きます。何と言う顔でしょうか。直前までセレブ奥様風だった妻の顔が、一瞬にして、男の剛直によって破壊されたのです。



 あの美しい妻が、お尻の穴に男根を埋め込まれて、白目をむいて、涙を流し、よだれを垂らしているのです。恐ろしいほどの快感が妻を襲っているのでしょう。妻が経験したことのないほどの。私が与えたことのないほどの。エロ漫画では見たことがありますが、妻がこんな顔をするとは・・。



 妻はついに、ベッドに突っ伏してしまいました。妻の両手は尻を離れ、頭の前でシーツを掴み締めています。くぐもった、連続した悲鳴が聞こえます。男はなおもゆっくりと、下半身を前進させます。割れた腹筋が、妻の尻にゆっくり近づいてゆきます。



 妻のカラダが、痙攣しているようにビクビクと震えます。妻は、長い間そのままの体勢でいました。尻を男根に貫かれて、長い時間連続して往っているようです。ヒップのバージンを男に与えて。肉体的にも、精神的にも、満足しきって。



 いつの間にか、私の頬にも涙が流れていました。不覚にも、妻が男根に屈服するビデオを見ながら、私は泣いていたのです。ソファにあったクッションを、私は顔に押し当てました。クッションを顔から離すと、ビデオが終わり、画面とヘッドホンの中はノイズだけになっていました。家族の誰もいない、一人だけの居間で、私はもう一度クッションを顔にあて、何十年ぶりなのか、号泣をしました。ヘッドホンの中のノイズで、自分の泣き声が聞こえないのだけが、幸いでした。



 翌日の日曜日は、繰り返し妻のビデオを見て、どす黒い嫉妬に息を詰めながら、オナニーに浸るという酷いものでした。視まいと思っても、家の中には私とそのビデオテープしか存在しないようなものです。何度射精したか、判らないくらいです。



 夜遅く、妻は子供を連れて帰ってきました。妻の態度はまったく変わりがありません。きっと私の顔はすごいものに変化していたでしょうが、そのことに気がついたそぶりさえ見せません。眠くてむずかる子供たちと、さっさと寝てしまいました。



 その深夜、妻の隙を見ながら、妻の携帯から彼の番号を探り出しました。携帯のメモリには彼が本名で載っていたため、すぐに見つかりました。堂々としたものです。発着信メモリもついでに確認しましたが、怪しい履歴も残っていません。



 月曜日、妻が起きて来ないうちに家を出ました。始業前の会社で時間をやり過ごしてから、行動予定に遠距離の取引先の会社名を書いて出かけました。会社から遠く離れた喫茶店を見つけて、モーニングを頼みます。10時が過ぎ、どうしても彼に目的を聞きたくて、電話してみました。何度しても出ません。思い余って彼の会社の番号を調べ、公衆電話を利用しました。適当な会社名と本名を名乗って、ビジネスライクに電話をしたのですが、彼の会社の人間によれば、彼は出張中とのことでした。先週の頭からドイツに行っていて、水曜日に帰ってくるそうです。



 毎日早く出て遅く帰って、妻とできるだけ顔をあわせないようにしながら、水曜日を待ちました。



 私の名前を伝言で聞いたのでしょう。水曜日の午後、携帯にかけた電話に、彼は応答しました。

 

 「ああ、・・まさかあなたからお電話をいただくとは・・」

 「いや、こちらも、君に電話するつもりはなかったんだ・・」

 「・・・」

 「・・・」

 「・・それで、用件は・・」

 「いや、どうして私にあんなものを送ったのか、理由を聞きたくてね」

 「・・・」

 「あまりにひどいじゃないか・・」

 「・・・」

 「君がそんな男だとは思わなかったんだ・・。あんなものを送りつけて、こちらの家庭をどうするとかと言うことなのか、それともほかの意図があるのか、・・いづれにしろ理由を聞きたいんだ」

 「・・・」

 「ああいうものを送っておいて、まさか君は知らないと言うのじゃ・・・」

 「・・・」

 「あのビデオテープだよ!」

 「・・・」

 「・・何とか言ったらどうなんだ」

 「・・・」



 「・・お会いして、お話したほうがいいかもしれませんね・・」

 「なんだ、電話では話せないということなのか?」

 「・・とにかく、・・そうですね、そちらが指定する場所で今晩でもお会いしましょう」

 「・・よし、君が言うなら、かまわないが・・夜8時、○○ホテルのロビーでどうだろう」



 いよいよ彼が本性を現して牙をむいてくるのか、あるいは金をねだるのか。それとも妻の隷属宣言でもするつもりなのか。それにしては送りつけてから、まったくコンタクトして来なかったのも不思議です。送りつける意図と共に、直接会いたがる彼の本心が分かりません。





 警戒しながら約束の場所に近づくと、すでに彼は窓際の席に座っていました。結婚式のときに会っただけの彼は、それなりに年齢を重ねてはいましたが、落ち着いた良い男でした。この男と妻が・・。そう考えると血が頭に逆流してきます。しかし彼は冷静でした。私の顔をゆったりと見て、とても恐喝を働こうと言う男の顔には見えませんでした。二人とも無言でした。私も少し、落ち着いてきました。私の分のコーヒーが運ばれたところで、私は口を開きました。



 「・・電話で聞いた件、どういうつもりなんだ」

 「・・・」

 相変わらず、彼は私の顔を観察しているようです。

 「・・じゃあ、質問を変えよう、あのビデオを撮ったのは君か?」

 「・・そうです。あなたには申し訳ないと思いましたが、私たちの記念に・・」

 記念という言葉は、この時になってもまだ私の心に刺さりました。そしてその傷口から、怒りがあふれ出てきます。



 「・・ん・・、で、どうして送ったんだ?」

 「・・・」

 「撮ったことを認めておいて、送った件になるとダンマリか・・」

 「・・・」

 「それで、妻はビデオの存在を知っているのか」

 「ええ、記念に撮りたいけれどと聞いてから、カメラをセットしましたから」

 「・・・」



 黙り込むのは私のほうでした。妻はビデオに記録されることを知っていて、あのような痴態を繰り広げたのです。

 「・・それじゃ、もう一度、送った理由を聞こう」



 長い沈黙のあと、彼が口を開きました。

 「・・本当に正直に言えば、私は送っていません・・」

 「そんな、君以外に、誰がビデオを送れると・・」

 そこまで言いかけて、鈍感な私にも、彼の伝えたいことが分かりました。そう、ビデオテープを私に送りつけたのは、彼ではなく、妻自身だったのです!



 彼は最近、確かに出張していたのでしょう。出張している彼が不可能ならば、それを私に送ったのは妻しかありえません。妻はわざわざ彼の勤め先の近くで郵便物を投函して、あたかも彼が私に送ったかのように見せかけたのです。こんな簡単なことに、私は今まで気がつかなかったのです。今回、彼は恐喝するつもりでもなんでもなく、やんわりと気づかせるつもりで私と会ったのです。



 「・・奥様が欲しいと言ったので、あのあとダビングして彼女に送ったのは私です。しかし、それはあくまで奥様宛でした」



 妻は、告白の中でひとつだけ重大な嘘をついていました。彼とセックスしなかったという、最も重要な一点です。そして、あの日告白しなかったことによって、妻は私に大きな負い目を感じていたのでしょう。その負債から逃れるために、妻は私にビデオを見せたのでしょう。



 「・・それで、旦那さんは、どうして奥様がそうしたと考えていらっしゃるのですか」

 「・・・?」

 「・・奥様が嘘をついたことに耐え切れないで、送ったとお考えですか?」

 「・・え」

 彼はまったく、私の心を見透かしたように、静かに話し続けます。

 「そ、それはどういう・・」

 「奥様がもっと、直接的な意味で行動されたとは考えられませんか?」

 「直接的・・」

 「そうです。自分の本当の姿を見せるための・・」

 そう、この期に及んでも、まだ私の心は、妻を貞淑な、麗しい妻にしておくつもりのようでした。彼の言うとおり、妻が自分の淫蕩な姿を私に見せる目的を持っていることも、十分考えられるのでした。



 妻にはあの旅行から、次の日の告白まで、充分な時間がありました。その間に妻は本当のことを私に伝えるか、嘘をつくか、熟慮することができたはずです。それでも、いざと言う段になって、愛する妻は私を傷つけないために嘘をついてしまったのだと思いたい。そして、嘘を後悔して、ビデオを彼が送ったようにして私に見せたと思いたい。それともやはり、妻は私に自分の本当の姿を見せるために・・・。あるいは新たな性的な冒険の扉を開くために・・・。



 私の思いつめたような顔を、彼は心配そうに見ていました。彼は最後まで紳士でした。彼の表情の中に、憐憫や軽蔑を探して、見つけられずにいたのは、私のほうでした。



 私は彼に、完全に負けたのです。

 妻が身も心も捧げたと言う意味で。

 妻を完全に征服されたと言う意味で。

 妻の心を私より知っていると言う意味で。

 そして、この場で愕然としている私を、優しい目をして見守っていると言う意味でも。



 フラフラと立ち上がった私は、彼とどう言って別れたのか、どう帰ってきたのかも覚えていません。気がつくと私は自宅の前にいました。呆然としながらも習慣に従ってポストを開けた私は、そこにまた、ふくらんだ封筒を発見したのでした。



 妻の新しいビデオが入っている封筒を・・・。





『他の男から誘惑されたとき、イヴの心の平衡は破れる。イヴはアダムとの安全な関係のみでは我慢できなくなる。そして、イヴは誘惑を受け入れる。男に官能を燃え上がらせたイヴ、そのことをアダムに伝えた妻イヴ・・』








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